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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第27話 龍種・水龍































ジャック side



これは正直な話だ……。

ジャックは結構ビビっていた……。 苦笑

それはもう……、何と言っても身体を貫くかの様な攻撃が突然やってきたら驚くだろう?

格上、格下関係ないって……!

背後からの攻撃をかわしたジャックは…そんな事を考えていた。



(これは油断大敵だ…。 自然系形態に成ってないと生身の身体だからな…。 ……当たってたら多分痛いじゃすまなかった……今の攻撃は。格下相手とちょっとなめてた。)


内心ひやひやさせながらも、ものの数秒後には調子を元に戻していた。






side out







その蒼い光線の来たほうからだ。

……影が見えてきた。

「……ほぉ 今のを回避するとはな。 やはり 貴様の速さは一級品だな…。 ひょっとして貴様の正体は人狼(ウェアウルフ)なのかか?」

さっき蹴り飛ばした歐龍がいつの間にか すぐ後ろまで来ていたのだ。

『……へえ お前、気配の消し方上手いな。 ……あの攻撃の瞬間まで気づかなかったぞ?後 オレの正体についてはノーコメントだ。』

……初めて ジャックがここの妖を褒めた。

そして、ジャックは改めて目の前の欧龍と呼ばれる男の姿を正面から見た。

その姿を見たら正体はすぐにわかった。


(この姿… コイツ龍種か…)


歐龍の姿、 水色の鱗に頭には角。……まぁ解りやすい龍のような姿。

歐龍の正体、それは姿のままだった。



【龍種・水龍】



……古来より人間の世界では 荒ぶる水害は全て水龍の仕業と恐れられたという伝説の怪物。

龍種の中で特に有名なのがヤマタノオロチだろう。

数ある種の中で災害クラスの能力を持つ大妖。

(……まぁ、これだけ偉そうにもなれるな。 コイツの正体が龍種の末裔だったら。)

ジャックは、これだけ高慢な物言いのわけが見えた気がしていた。

そして、周りが恐れている理由も。




「くくくく……。 さあこの姿を見た貴様は生きては帰れん!我が公安にしてくれた暴行罪、貴様は死刑だ。」

歐龍は、もはや自分の勝ちだと確信しながらそう言っていた。

……っというか。


『……おいおい、因縁つけてきたのはそっちだろ? だいたい俺がここに来た理由は言ったはずだ。そもそも、教師にでも、確認を取ったらそれで終わってただろうが。…どんだけ自分勝手なんだよ。お前は!』

ジャックは、その物言いに半ばあきれたように言い返した。

「はっ! この私こそがこの学園の正義… 私がやることは全て正しいのだ。教師になど頼らずともな!私が判断した!もはや反論の余地などは無い。」

この男は自分こそが正義…自分がこの学園の治安を守っていると信じて疑わない男。

そして正義(じぶん)に逆らう者、従わない者は、みんな悪。

正義(じぶん)の為だったら何やっても良いと思っている。

まさに、後の公安の九条のままだった。





(……大体のこいつの思考は理解した。なるほど。自分自身を絶対的正義と信じて疑わないか……
もう いい加減失笑を通り越してむかついてきたな……。)



このジャックという男は、元々基本めんどくさがりで、マイペースだ。

そして 面倒事を極端に嫌っている。

必要だったら、必ずやり遂げようとはするが。

それに、街での妖たちをとめているとは言っても、実のところは、極力争い自体も好まない。

……冥王とも呼ばれる程の実力を得ている為、唯我独尊をするんじゃないか?とも思われるが、それは大きな間違いだ。



それでも…



幾らなんでも限度というものもある。

どうやら、歐龍の高慢な考え、物言いに……堪忍袋の緒が切れたのだろう。

まあ、短く言うと≪キレた≫






「なんだ?今度は黙りこくって 、念仏でも唱えてみるか?」

よほど自信が有るのだろう…。

正体を見せた歐龍は先ほどの人間形態の時よりかなり高慢な物言いになっていた。



『………せえ』



ジャックは……ゆっくりとした動きで歐龍に向かい歩き出す。


「……くくく。 何だ?気でもふれたか?ぶつぶつ言いやがって……いい加減そろそろ死ねェ!」

まるで竜そのもののようなデカイ口を開けた。

人の身であれば人噛みで胴体がなくなるだろう程の大きさ。


「……高水圧弾だ。受けろ!!水龍散弾!!」


先ほどのビーム状とは違い、水の礫を散弾銃のようにして打ち出した。

水の力は時として凄まじいものとなる。

それを高圧にすればダイヤモンドでさえ加工してしまうほどのモノになるのだ。

その水の散弾が……!!




“ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!”




一斉にジャックに襲い掛かった!

(ふん……いくら スピードに自信が有ろうがこれほどの量の弾丸をかわし切るなんて不可能!)

散弾とは、元々 広範囲に飛び散るタイプの弾丸だ。

かわすのは……ほぼ不可能だろう。


「はっはあ!さあ 断末魔の叫びを聞かせて見ろ!!」


散弾銃と化した水礫がジャックに襲い掛かる。




ジャックは動きを止める事は無く、ただゆっくりとした動きだった。

だが、纏っている空気は明らかに違う。

……なぜ、歐龍は気づかないのだろうか?



『雷の力…自然形態 (ロギア)!』



ジャックは約2世紀ぶりに自身の能力……


自然系(ロギア)の力を解放した。






……この公安委員会は悪夢を見る事になるだろう。




 
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