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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Saga18本局決戦前~Interval~

†††Sideイリス†††

「ごめんね、ホントにごめんね」

「ううん、気にしないでシャルちゃん」

「そうやよ。困ったときは助け合いや」

「うん。私たちはチーム海鳴でしょ? 大切な親友が困ってるんだもん」

「力を貸すのは当然だよ」

“T.C.”の襲撃に備えて集まってくれたなのは達に頭を下げてお礼を言った。わたしたち特務零課の専属任務である“T.C.”の逮捕は、依然として成しえてない。その不甲斐なさと、ミッドの地上本部まで襲撃されたことを許した無力さと、なのは達の温かい言葉でもう泣いちゃいそう。

「アリサとシグナムも。有給取ってまで応援に来てくれて本当に感謝だよ」

「あんた達が困ってるからっていうのもあるけど、あたし個人でも逃がした獲物を捕まえなきゃ気が済まないのよ」

「ああ。召喚者、召喚王アーサーの生まれ変わりだったか? 奴との決着はまだついていない」

「リベンジの機会があるってんなら有給だって取ってやるわよ」

すべての地上本部の陽動を行ったアーサー(仮)に対して敵意をむき出しにするアリサとシグナム。トリシュとアンジェがこの場に来られないのは残念だけど、あの2人のためにもここ本局で決着をつけてやる。

「早速チーム分けをします! わたしたち特騎隊が6人に分かれて、なのは達も分かれてそれぞれの騎士に付いてもらう。なのは達の魔導師としての質から見て分けさせてもらった。まず、なのは。わたしとペアを組んでもらう」

「うんっ、喜んで!」

近接特化のわたしと射砲撃特化のなのは。こんな大事な時だって言うのになのはと組めるってことが楽しくてしょうがない。PT事件で、フェイトとステアを相手になのはと2人で戦ったことを思い返す。あとでアリサとすずかも加入して、ユーノとセレネとエオスの5人で初代チーム海鳴を作ったんだ。懐かしいな~。

「で、ルシルとアイリとはやてとアインスの4人。はやて、アインス。うちのルシルとアイリをどうぞよろしく」

「あはは! うん、任された! ルシル君、アインス、アイリ、頑張ろな!」

「はい!」「うん!」

「ああ。よろしく頼むよ」

はやてがルシルと組めると判って満面の笑みを浮かべた。フッケバイン事件末期、“T.C.”の活動が著しく低下して暇してたわたしたち特騎隊が、はやてたち特務六課と共闘して連中を追い詰めたことがあった。その時もわたしはルシルをはやての直掩に回して、少しでも一緒に過ごせるようにフォローした。長い間っていうか、今もだけどわたしの不甲斐なさでルシルを独り占めしてるしね。公私混同してるけど許してほしい。恋する乙女はいろいろと大変なのだ。

「次は、セレスとミヤビとヴィータとリイン」

「あたしらはお前らとか。よろしくな」

「よろしくお願いします、セレスさん!」

「2人とも、よろしく~♪」

「はい! よろしくお願いします!」

ヴィータとリインのユニゾン形態とミヤビは近接特化で、セレスは中遠距離はもちろん広域攻撃もこなせるオールラウンダー。セレスとミヤビとヴィータ、お互いをしっかりフォロー出来る布陣だし、幹部だってきっと目じゃないはずだ。

「次はルミナとフェイトとアリシアとすずか。人数が他より多いのは、レオンを相手にしてもらいたいからなの」

「私の相手はアイツか。いいよ、望むところ。フェイト、アリシア、すずか。レオンは正直言って強すぎるけど、それでも私は、私たちは・・・」

「勝たないとね」

「うん。負けるつもりはないよ」

「私も全力でサポートするから、大丈夫だよルミナ」

「ありがとう、みんな」

ルミナはルシルお手製神器のおかげでカートリッジが使えなくても魔術を扱えるようになってるから戦力になるし、近接戦だとアインスより強い。そこに高機動力のフェイトと、中遠距離に優れたアリシアと、ブースト魔法も扱えるすずかの布陣だ。

「次はクラリスとアリサとシグナムとアギト」

「騎士3人か。うん、やりやすい」

「厳密に言えばあたしは魔導師だけど、でもこの3人で負けることはないでしょうね」

「あとは相手がアーサーであることを祈るのみだ」

クラリスは自前の魔術、アリサとシグナムはわたしやルシルのカートリッジ。3人とも近接特化だけど、アリサはミッド式だから中遠距離系にも強い。クラリスにはナデシコもいるし、シグナムもアギトとのユニゾンで強化されるし、問題なし。

「以上が各チームの組み合わせね。現在確認されている幹部は、エグリゴリのガーデンベルグ。シャルロッテ様やルシルのオリジナル、さらにはアンジェやクラリスの前世が生きてた時代の魔術師の生まれ変わり、レオン、プリムス、フォード、アーサーの5人」

「レオンとプリムスとフォードは、当時では四王と呼ばれていた。残る王の名はアグスティン・プレリュード・マラス・ウルダンガリン・デ・ヨツンヘイム。騎士フィレスやセレスの先祖だな。おそらくこの男の生まれ変わりもいるだろう。強大な氷雪系――氷結の魔術を使う。アリサとシグナムは、アーサーではなくアグスティンを相手にしてもらいたいんだが・・・」

ルシルがそう言うと、アリサは「まっ、仕方ないわね」って肩を竦めて、シグナムは「私情を優先するつもりはない。気にするな」ってルシルに微笑みかけた。ルシルが「感謝する」って小さく頭を下げたのを見届けてから、どのチームがどの幹部とぶつかるかを伝えた。
“T.C.”が本局の保管室を目標に襲撃してくるのは確実だ。その時、どういった誘導をするのか、誰が保管室に現れるのかはまだ判らない。ただ、ミッドでは召喚者であるアーサー(仮)が召喚獣を武装化させて直接戦闘を仕掛けて来たって話だし、もう“T.C.”もなりふり構わってないみたいだから、本局襲撃には幹部や他のメンバーが直接やって来るはず。

「シャル。私は? 私だけ単独?」

「セラティナは今回は不参加ね。セラティナには各戦場の結界を担当してもらう。幹部やメンバー連中を本局内の各トレーニングルームに転送させて、そこで待ち構えてるわたし達で迎え撃つ」

「T.C.の幹部をまとめて相手にするようなことだけは絶対にしてはいけない。俺たちと奴らが1つの戦場で総力戦となれば、俺たちが不利になる」

特騎隊のわたしたち以外のみんながルシルの言葉に息を呑んだ。人数的には圧倒的に上のわたし達が揃っていても“T.C.”の幹部には勝てないっていう事実に。向こうには創世結界っていうものがあるし、プリムス(仮)の幻術は恐ろしい。レオン(仮)だってわたしたち特騎隊が束になっても勝てなかった。

「(信じよう。ルミナ達を。それに、他の幹部たちをサクッと倒して合流すればきっと好転するんだから)んで、ルシルとはやてとアインスにはプリムスをお願いしたい。はやてとルシルとアインスはいろんな効果を持った数多くの魔法・魔術を使えるから、プリムス相手にも断然不利なんてことにはならないと、ルシルと一緒に考えて決めた」

「そういうわけだ。はやて、アインス。力を貸してくれ」

「さっきシャルちゃんにも言うたように困ったときはお互い様や、ルシル君」

「全力を以てお前たちの力になるよ」

「セレスとミヤビとヴィータとリインには、フォードの相手をしてもらう」

「フォードの創世結界に関してはセレスの氷結があればなんとかなるだろうし、あとは破壊力に優れたヴィータとミヤビで本体を討てばいい」

「おっしゃ! 以前お前らに見せてもらった戦闘データ、待機してる間にもう1回観させてもらうわ!」

「リインも、しっかり予習してヴィータちゃんのサポートをするですよ!」

「わ、私も精いっぱい頑張って、絶対に勝ちます!」

「今度こそ徹底的に潰してやる」

ルシルの炎熱系の魔術でも耐えたフォード(仮)の植物生成・操作も、セレスの凍結なら通用してた。フォード(仮)にとっての天敵はルシルじゃなくて、きっとセレスの方だ。

「そして最後に、わたしとなのはでアーサーを討つ」

「あれ? ガーデンベルグはどうするの?」

「ガーデンベルグと初遭遇した際、レオンが、ガーデンベルグには戦闘の役割はない、ようなことを言っていた。ガーデンベルグがT.C.内でどういった役割なのかは不明だが、前線に出てくるのは想定外のことらしい。だからと言って今回も出てこないという確証はないが、とりあえず度外視でいい。もし現れたら俺が何とかする。もちろんはやてとアインスに迷惑を掛けないようにする」

「そこはまぁええんやけど・・・。ルシル君、ユルソーンとかゆう神器は破壊したらアカンよ? ユルソーンが壊れるとルシル君は死んでしまうんやろ?」

はやての言葉になのは達もルシルに視線を移した。ルシルがセインテストの宿命を追える条件はすでにチーム海鳴内に知れ渡ってる。心配そうなみんなの視線に「大丈夫だよ、はやて。ユルソーンは破壊せずに保管。リアンシェルトを救ったら、ちゃんとみんなに挨拶をしてから逝くよ」って微笑んだ。

(ほらぁ、なのは達の表情が曇ったぁ)

ルシルの死がもうすぐそこまで迫って来てるって判ると、どうしたって気分が落ち込むんだよ。ルシルも「あ」って声を出して、困ったようにわたしに視線を送ってきた。ここで振られてもわたしたって困るんだけど、「はいはい。落ち込むのは後!」って無理やり空気を換える。

「アインス。わたし達とT.C.の交戦データは観てもらってる?」

「もちろんだ。プリムスという幻術使いについてもしっかり観ておいた。ルシルが居なくとも私と主はやてのユニゾン形態で何とかなるだろう。あの娘に隠し玉が無ければ、だが」

「プリムスの真技は創世結界テアートロ・エンガニョソ。結界内に取り込んだ対象者の記憶を取り込み、対象者が大切にしている人たちの幻影を展開し、惨たらしい目に遭わせる光景を見せつけ続けて精神を崩壊させる、というものだ」

「えげつねぇ真似しやがるなソイツ・・・」

「ルシル。当時はどうやって攻略していたのだ?」

「手っ取り早いのは創世結界をぶつけることだな。かつてのプリムスは、カノンという魔術師の創世結界で自身の創世結界を上書きされて戦死した。アーサーにも創世結界があるが、あれはシェフィリスという魔術師の広域凍結によって結界内を永久凍土にされたことで崩壊した」

ルシルが答えると、質問者のシグナムが「カノン・・・」って唸って、アリサも「そう言えばアーサーが悪魔のような固定砲台って言ってたわね」って頷いた。聞けばミッドでアーサー(仮)と交戦した時に、ソイツからカノンの名前が出たみたい。まぁ生まれ変わりってことで前世の記憶を持ってるっていうのはもう割と珍しくないような気がしてスルーだ。

「プリムスの創世結界は確かに強大な魔術だが、発動は即ち対象の死だからまず使用されない。アーサーの創世結界は獣界。召喚獣の軍勢を一斉召喚する結界だな。これも広域系で殲滅する方が早い。はやてとアインスのユニゾン状態ならそれほど難しくない相手だと思う」

「ん。頑張ろなアインス」

「はい。我が主!」

「アーサーって人も創世結界を使うんだねシャルちゃん」

「うん。でも大丈夫。わたしはなのはの盾役としての前衛だから、なのはには指1本として触れさせない。なのはは気持ちの良い射砲撃をぶっ放してね」

わたしもデスクワークの日々の中でシャルロッテ様の創世結界、剣神の星天城(ヘルシャー・シュロス)を単独で発動できるようにはしておいた。まぁルシルがリアンシェルトやガーデンベルグのために貯めてる魔力結晶を1個貰うことになっちゃったけど。シャルロッテ様が表に出てきてくれたら、もっと楽に発動できると思うんだけど・・・。

(ヘルシャー・シュロスの術式なんかは夢の中で教えてくれたけど・・・。シャルロッテ様、もう表に出てきださらないのかな・・・?)

夢で教えてくれた時は言葉じゃなくて、ドーン!と一気に答えを見せつけてきたような感じだったし。それで理解できるわたしもどうかしてると思うけどさ。ちょっとはお顔を合わせたいし、お話もしたい。もうこのままコミュニケーションを取ることがないのかな・・・。

「で、最後にシャマルとザフィーラ、それにクララ先輩は、襲撃の間出入りが規制される保管室へ続く通路で待機を。規制中の通路に入ってくるのは敵確定だから、問答無用で拘束魔法の発動および転移スキルの使用を許可する」

シャマル達には、今回の本局襲撃における最初の戦場になる保管室前通路で待機してもらい、わたし達が待ち構えてる各戦場へと“T.C.”メンバーや幹部を転送する役目を務めてもらうことになる。

「かなり危険な仕事だから特騎隊の中から誰かを入れたかったんだけど・・・」

プリムス(仮)、レオン(仮)、フォード(仮)、アーサー(仮)に加えて他メンバーが一気に勢ぞろいで押しかけてくる可能性があることくらい判ってる。加えて幹部だってわざわざ1対多数戦闘に強制移行なんてされたくないだろうから、戦場へ送る役のクララ先輩の転移スキルから逃れようとするはず。

「(そのための捕縛担当のシャマルと護衛担当のザフィーラっていう配置なんだけど、やっぱり無茶だよね・・・)あのさ」

「シャルちゃん。私たちは大丈夫よ。だから不安にならないでほしいの」

「シャマル先生の言う通り。信じなさいって」

シャマルとクララ先輩にそう言われてはわたしもうじうじしてられない。だから「任せたよ!」って全幅の信頼を載せて伝えた。

「了解!」

「了解した」

「オッケー!」

「大体こんなところかな。T.C.がいつ襲撃を仕掛けて来るかは判らないけど、そう遠くはないと思う。ミッド地上本部から1日は経過してるからね。そういうわけで、各チームは指定したトレーニングルームで待機を」

わたしの指示に特騎隊となのは達が「了解!」って応じた。

・―・―・―・―・―・

石造りの大きな屋敷のある一室。そこに彼ら“T.C.”の幹部と称されているメンバーが揃っていた。

「で、次はいよいよ本局か?」

セミロングの緑色の髪はオールバック。ダークブルーの瞳。月桂冠を被り、銀色のモーニングコートとスラックス、アスコットタイ、革靴といった姿の青年フォード・テルスター・スリュムヘイム。

「現代の魔導組織の中枢への襲撃。心が躍りますわね」

レモン色の長い髪はワンサイドアップ。オレンジ色の瞳はツリ目。ボール・ガウン・ドレス、オペラグローブ、ストラップシューズといった姿の少女プリムス・バラクーダ・ウトガルド。

「うむ。それゆえに防衛戦力も整っておるだろう。早く特騎隊と拳を交えたいものだ」

きっちりとした七三分けの黒髪、柔和な赤い瞳。首の下から膝上までを覆う黒いタイツの上にキトン、何も履かない素足といった格好の老齢男性レオン・レオ・ヴァナヘイム。

「自分も、シグナム、アリサ、トリシュタン、アンジェリエという騎士と再戦したいですね」

整えられた金色の短髪、キツ目の青い瞳。赤いジャケット、乗馬ズボンの軍服スタイルの壮年の男性アーサー・ブラック・セダン。

「トリシュタンとアンジェリエは別組織の騎士だ。再戦は諦めた方がいいぞ」

銀色の短髪、アップルグリーン色の瞳。立て襟の膝丈の長衣、スラックス、ブーツといった格好の青年ガーデンベルグ。
そして、幹部たちの前に鎮座する玉座に腰掛ける人影。マントを頭から被って全身をすっぽり覆っていることで性別も外見も不明。ただ、ガーデンベルグ達が立っている中で玉座に腰掛けているところを考えれば、この者が“T.C.”のリーダーであることは間違いないだろう。
さらに明かりの弱い部屋の隅には7つの人影がある。1本の足長の丸テーブルを囲んでわいわいと楽しそうにお茶をしている。最も小さいのは10歳に満たないほどの幼女で、他は10代後半ほどの少女が1人、残り5人は20代半ばの女性だ。

「さて。王に代わり、俺からお前たちに渡すものがある」

ガーデンベルグがスッと左手を上げると、カラカラと音を立ててキャスター付きの長テーブルがひとりでにやって来た。いや背が低くて見えなかったが、二足歩行の猫が押していた。猫の名前はエルフテ。元最後の大隊の融合騎だ。

「「「これは・・・!」」」

テーブルの上に置かれた物を見たフォード、プリムス、レオンが驚きを見せた。その様子にガーデンベルグは「お前たちが使っていた神器だ」と笑みを漏らした。フォードは2mほどのポールを手に取り、「はは。俺の神器だ。ネメストリヌスだ」と目を輝かせた。彼はガーデンベルグ達から少し離れ、扱い方を思い出すように“ネメストリヌス”をバトンのようにクルクルと回し始めた。

「美しさはあの頃のままですわね。こうして再び手に取ることが出来てわたくしは幸せですわ。我が神器、パウォル・シュンボルム」

プリムスが手に取ったのは美しい細工の施されたティアラ、“パウォル・シュンボルム”。彼女はソレを自らの頭に乗せ、「この重み。とても懐かしいですわ♪」と満面の笑みを浮かべた。

「おお! やはり我が神器、ユーピテル・アーラ!」

レオンはテーブルから1つの輪を手に取り、一般的な女性の腰以上に太い右上腕に装着。

「メフィーティス・アニマ!」

さらにもう1つの輪を同じように右上腕に装着。

「パウェンティア・ダートゥム!」

さらにもう1つの輪を、今度は左上腕に装着。

「アクィロー・ペッリス!」

さらにもう1つの輪を同じように左上腕に装着。

「ヘルクレース・コル!」

さらに輪を今度は額に装着。

「セークーリタース・ノードゥス!」

残る最後の輪を首に装着したレオンは、「はっはっは! 武勇王レオン! 正真正銘の復活だ!」と大きく肩を揺らして大笑いした。ただでさえ強力な実力者だったレオンが、神器による完全武装を済ませた。

「さて。これで準備は万端だな。ではこれより時空管理局本局への襲撃作戦を開始する」

自分たちの手元に戻って来た神器に喜んでいたレオン、フォード、プリムスは、ガーデンベルグのその言葉で彼に向き直り、「了解」と返事をした。部屋の隅でお茶をしていた複数人の女性たちがそんな彼らの様子を眺めていた。

「あーあ。ボクも早く戦いたいな~」

「私もすぐにでも戦いたいでありますな~」

「私もです」

「揃いも揃って戦闘狂。私は嫌ですわよ?」

「今回は諦めよ。我らの出番は今ではなく次だ」

「・・・私は戦うことなくすぐにお話がしたいです。けど、ダメですよね・・・」

「あ、う、うむ。残念だが諦めるがよい」

「そう・・・ですよね。ごめんなさい。戦ってからじゃないと、お話しちゃダメなんですよね」

「別にいいんじゃない? 足止めって仕事をきちんとやってさえいれば~」

「そうですね~。私も、戦うよりはお話したいですよ」

幹部たちに聞こえないよう、彼女たちは今後の自分たちの任務に思いを馳せていた。
 
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