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ランス ~another story~

作者:じーくw
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第3章 リーザス陥落
  第103話 魔人の誘い

 
前書き
~一言~

ランスシリーズと言うちょっと珍しい作品を見てくださってありがとうございます!

ここで一言を書くの初めてな気がしますが…… そ、それは一先ず置いておきましょうか! この原作は所謂エ○ゲーですから、あまり知らない、って人も多いと思いますw それでも、ストーリーが面白いんですよ! そんな部分、正直いらなーい! って思うくらいですw キャラも魅力的ですし!!

っとと、話が脱線しましたが、一言お知らせをしておきます。

この作品も……その、一話10000文字を目指して投稿してたのですが…… それ、最近本当にきつくなっちゃったので、申し訳ありませんが、これから短くとも投稿しよう、って考えてます。。。 そうです・・・妥協、しちゃいました……。 
早く先に進みたーい! って気持ちもあったりしますし……。

ちょっと物足りなくなるかもですが、どうか ご了承ください。頑張って先に進みますので!!

では よろしくお願いしますっっ!!


                             じーくw 

 


「……これは、光の結界か。魔を退ける為に刻まれた術式」

 カオスへの道は光で満ちていた。
 以前この場所に来た時はこんな道は無かった筈だから、恐らくはランス達が先に封印の間への道を開いたのだろう。

「う、うぅぅ……」

 フェリスは その光を直視出来ない様子だった。悪魔であるフェリスにこの光の結界は厳し過ぎるのは当然だろう。

「無理するな。一度、戻って「嫌だ!」っ……?」

 フェリスを戻そうとしたのだが、それを最後まで言わせず頑なに拒否するフェリス。
 それを訊いたミリとロゼはニヤニヤと笑う。 

「うぅ~ん。愛だなぁフェリス。愛の為に戦う悪魔かぁ……泣かせるじゃねぇか!」
「あらあら~ シスターとして、祝福しますわよー? 人間と悪魔は相性抜群なのは ワテクシが証明致しますわっ!」
 
 けーらけらけら、と大笑いする2人。
 そして、複雑な表情を見せるのは 志津香やらかなみやら……。
 勿論フェリスだって黙っていない。

「ななな! 何馬鹿な事言ってんだ!! 今! この状態で!!! ランスに召喚でもされたら、わ、わたしが大変な目に合うんだぞ!! それ位判れ!!」

 フェリスの話は一理ある……どころじゃない。確かにありそうな話だ。事ある毎にユーリはフェリスを召喚していた。身体に負担にならない様に 呪いのメガネをフェリスに渡して 負担を軽減。長くこちら側にいさせた為、ランスが召喚する事など殆ど無かった。

 つまり、一度でも召喚成功させてしまえば…… どうなってしまうのか。

「……それは私も同情するわ。フェリス」
「そんなの嫌! 私も絶対に嫌!!」

 ぶんぶん、と首を振る志津香とかなみ。

「はぁ……、お前らほんとに元気だな。こっから先はマジでヤバイトコなんだぞ? 間違いなく魔人がいる。……魔人どころじゃないかもしれない。判ってるのか?」
「確かに楽観視し過ぎだとは思いますが、ユーリがそばにいるから安心できるのではないでしょうか?」
「あ、私もそう思いますよ。クルック―さんと同じ意見です」

 セルとクルック―の意見は確かに間違っていないが、それでも 場を弁えてもらいたい、とため息を吐くユーリ。
 だが、そこまで心配はしていない。ここへきてON/OFFの切替が出来ないような者達なら、こんな場所にまで来られるはずがないのだから。危機管理・対応力は群を抜いて高い。故に20倍をも超える軍事力を相手に戦い、勝ち続けてきたのだから。

「……頼もしいな。だがユーリ。この光は……少々ヤバイぞ。衣類の類が触れれば燃える様だ」

 清十郎が手を伸ばすとガントレットを装着していたのだが、それが白い光を放ち、燃え出した。直ぐに手を引っ込め、思い切り腕を振って消火したから火傷の類は無さそうだ。

「むぅ……。この手の結界はワシも見た事がある。恐らく反応しないのは人体のみ。装備は全て外さねば歩けぬと言う事だろう」
「はい。その通りです。……マリス様より聞いた話によると、ここから先、到達する為には あの聖武具を使用する必要がある、と。使用者を先頭にして進む事で、後者は 進む事が出来る。……勿論、衣類の全てを脱ぐ必要がありますが……」

「「「ッッ!!!」」」

「……さ、流石に私も恥ずかしいですね……」
「そうですか? 私は構いませんが」
「わ、わぁ! クルック―さんっ! ぬ、脱がないで……っ!」

 全裸になる必要がある、と知った途端に 一気に顔を紅潮させる女性陣と、ニヤニヤ笑う女性陣、ここから先防具無しで進むのは危険すぎると 危機感を募らせる男性陣、と綺麗に分かれた。

 だが、1人だけ――違った。

「問題ない」

 その1人……そうユーリは そう一言いうと、剣の柄を握りしめ、やや前傾姿勢を取り、構えた。それが抜刀術の構えである事は誰もが理解できるだろう。神速の剣技を何度も目の当たりにしてきたから。


「煉獄―――斬魔」


 放たれた居合の一閃。

 この業は 斬魔と銘打っているが実の所《斬魔》と《居合》合わせ業である。
 時間を掛け、力と気を込める事で更に効果が見込める。更にユーリ自身の技能も相余り、魔法であれば余程高度な結界でもなければ破れなくは無いのだ。
 ユーリ自身のレベルも上がっている為に出来た芸当だと言えるが。

 一閃は 光に真一文字の筋道を入れ、瞬く間に霧散した。

「お見事」
「流石だ」
「……末恐ろしいとも言える、な」

 男性陣。リック、清十郎、トーマの3人は 破る事は判っていたのだが、いざ目の当たりにしたらそう思わず口にしてしまうのも無理はないだろう。

「オレに無いものをお前達は持っている。……その逆、お前達が持っていないものをオレが持っている。それを存分に活かしただけだ」

 軽く言うが、結界を 魔法を斬り割く業を持つのは世界を見渡しても ユーリ1人しか知らない。特に年季が違い、世界中で戦い続けた歴戦の猛者であるトーマでさえ知らない業なのだ。そして――最も長い歴史を持つハンティでさえ知らない。

 だから、どれだけ謙遜してもある意味無駄です。はい。

 勿論、ユーリ自身も自覚してるから ある程度は受け入れている。大っぴらに誇示をしたりはしないが、それでも必要とあらば 先頭にだって立つ。


「……行くぞ」


 ユーリを先頭に、光の消えた結界の道へと突き進んだ。
 
 

 歩を進める毎に重く感じるのは決して気のせいではないだろう。
 此処から先に待ち構えている者の強大さ、……凶悪さを見なが知っているからこそ、強くそう感じてしまうのだろう。
 如何にこれまで戦い、勝つ事が出来たのは間違いではないが、相手は人間。魔人とは極一部と戦っただけに過ぎない。

 此処から先に待ち構えているのは、待ち構えている敵は もう魔人しかいない。

 全力の魔人。……そして、最凶の存在(・・・・・)のみだ。


「………皆、止まれ」


 先頭にいたユーリが手で皆を制した。
 いや、制するまでもない。既に全員が気付いていたから。その先にいる者達。

 人外の者達を。


「ここまで到達するとは 本当に……見事です。人の身にしておくには惜しい程に……」

 現れたのは長い金髪と漆黒のマントを靡かせた男。
 そう、魔人――アイゼル。

「アイゼル!!」

 志津香は直ぐに構えたが、それよりも先にユーリの方が早かった。

「全員下がれ!!!」

 剣を素早く構えて、アイゼルに向かって飛ぶ斬撃を撃ち放つ。
 魔人には無敵結界が存在するのは最早全員が知っている事だ。こちら側の攻撃は一切通用しない。つまり数の利も一切通じないのだ。加えてアイゼルは 洗脳術のスペシャリスト。この場に集っている仲間達は 全員が死線を乗り越えた手練れたちであり、最強の仲間達だ。
 簡単に洗脳を受けたりはしないが、それでも ただの1人でもアイゼルに堕ちてしまえば最悪の事態にもなりかねない。

 アイゼルの結界は《視た》が、この攻撃はただの攻撃。ただの牽制だった。

 それはアイゼルも十分判っている様で、手に持った剣を振るい、その攻撃を防ぐ。結界を使ったりはしない様だった。それはユーリの技能を警戒しての事、と判断したのだが……違った。

「よしなさい。……私は、あなた達をどうこうするつもりはありません……」

 アイゼルは、ユーリの剣を防いだ後 再び剣を鞘へと戻した。

「……そんなの、信じられると思っているの……?」

 アイゼルとの戦いを目にしている志津香は当然ながら信じられるはずはない。
 魔法使いである志津香が前衛に。トーマや清十郎、リックの隣にまで上がってきていた。

「……確かに貴女が信じられないのも無理はありません。しかし、これは本当の事です。私にはあなた方とこれ以上争うつもりはありません」
「ふん。……魔人、アイゼルよ。お主が従えている使途どもが姿を見せておらんが、それだけでも策をろうじているとしか思えんぞ」
「流石……。醜いヘルマン軍の中で唯一と言える星……、人類最強に恥じぬ男、トーマ・リプトン ですね。魔人(わたし)を目の前にして、周囲を見る眼は素晴らしい。……本当に良い観察眼です」

 アイゼルは、指を鳴らした。

 すると、何処からともなく、赤、青、黄の色を持った少女たちが姿を見せた。
 ユーリとばっちり目があったのは、使途の1人ガーネット。合うや否やユーリは個人的な私怨でもあるのか、ギロリ! と睨んでいた。


「……またあったな。小娘」
「ひ……。う、うるさいな!! このが……ッ。っっ! こ、今度はそうはいかないんだからな!」


 ガーネットは 思わず禁句ワードを口走りそうになったが、直ぐに口を噤んだ事で、何とか助かった。

 でも、助からなかったものもある。……それは勿論。

「じろじろ見てんじゃないわよ!」
「いてっ!!」

 3人の使途たちは トップレス。つまり、胸が露わになっており、性格や能力はヤバいが非常に色っぽい。そんな女の子達の前にユーリが立ってしまったから、条件反射と言うヤツだ。非常事態なのに、いつも通りな所も末恐ろしい、と感じるのはアイゼルだ。

「ガーネットも止めなさい。……私達には あなた方と争う気はありません。それに、もう1人。ここにはお越しいただいています」

 まだジタバタとしているガーネットをサファイアとトパーズが抑えた。

 そして、その3人の奥から もう1人出てきた。

 その1人も見覚えがある……女だった。


「ゆ、ユーリ……」
「……サテラか」


 それは魔人サテラ。
 そして 傍らに控えているシーザーとイシス。



 つまり 魔人が2人、その使途が5人。



 最悪の組み合わせだと言って良い。いや 絶体絶命だと言えるだろう。

 だが、アイゼルは戦いの意思がないと言う。こちら側を全滅させる事だって、出来ない訳がない。 2人の魔人が負けたと言えるのは ユーリただ1人だ。たった1人で これだけの魔人と使途を相手に出来るとは到底思えないだろう。……それにあの異常な力を乱用できる、とも思っていない。

 もしも、魔人をも一捻りにする力を乱用できるのであれば、こんな戦争などもう直ぐに終わらせていると思えるからだ。
 
「聞いてくれユーリ! ……も、もう お前達に勝ち目は……ないんだ。お前たちは、……いや 人間たちはもう終わるんだ」

 サテラは、今までのサテラとはまるで違っていた。どういえば良いか……弱弱しささえ垣間見えていた。《人間の最後》 《もう勝ち目はない》と言っているのに、その様子はまるで逆だった。

「だから、ユーリ…… お前たちは私の、使途になってくれ!! わたし、わたしは……」

 サテラの心の内が判るのは女性陣のみだろう。
 ユーリを死なせたくない、と思う気持ちはよく判る。

 その悲痛な叫びにも聞こえるサテラの気持ちを無下にする様に言うのは忍びない部分はあるものの、譲れない所だってあるから、女性陣。志津香は勿論、かなみやクルック―、ミリやロゼまでが一歩また前に出た。

「魔人の女の子まで落としちゃうなんて、ほーんと罪な男よねー。ユーリって。……いやー先が楽しみったらありゃしないわぁ」
「だねぇ」

 軽口を言いつつも、決してひかないロゼとミリ。

「人間を、舐めんじゃないわよ……! 誰が負けるって……? 勝手に決めるな!」
「そうよ。……リーザスは。……ユーリさんは。……私達は負けない! 絶対!!」

 絶対的な意思を示す。
 戦う相手はサテラやアイゼルじゃない事は判っている。その先にいる絶対的なモノがいる事も判っている。そして サテラは魔人であるのにも関わらず、自分達に助け船にも似たものを示してくれているのも判っている。それでも、決して譲れなかった。

「そうですね。魔人と言えども好きにさせてはいけません」
「私達には神がついています。……邪悪には決して負けません」

 クルック―とセルも臆さない。 どれだけ凶悪な者達がいたとしても、己が信念を突き進む覚悟だ。つまり、共に最後まで進むと。

 
 勿論、女性陣だけではない。

「人としてこの世に生を受けた以上、……外の道へ踏み込む事はご遠慮願いたい。私は最後の最後まで、自分を、そして 仲間達全員を信じて、戦い抜くと決めた故」
「論外だ。戦術的撤退ならよし。……が、敵が強大だからと敵前逃亡はオレの主義に反する。……それは死よりも有り得ん行動だ」
「儂のこの命は、ここで使うと決めておる。許しを請うて生き永らえるつもりは毛頭ない。……確かにまだ、すべき事は残っておるが、その道はあり得ぬ」

 リック、清十郎、トーマ。
 皆が同じ想いだった。

 皆の気持ちを束ね、言葉にする様に 最後にユーリが前に立ち、言い放った。
          




「残念だが、それに応える者達はここにはいないよサテラ。……退け。オレは進まなければならない。先に進むために。……邪魔をするなら、全力で相手になる」




 
   
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