| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

Eipic27恐怖の大王~Agreas~

†††Sideフェイト††††

ヴィヴィオをようやく取り戻した私となのは。直後、“聖王のゆりかご”を動かす鍵たるヴィヴィオを失ったことで、ゆりかごが再び眠りに着こうと休眠モードに移行した。AMFがさらに濃くなって、「っ!」私たちの飛行魔法が強制解除された。

「まずい。なのは、脱出しよう! ヴィヴィオ、こっちにおいで」

なのはは限界突破のブラスター3での集束砲によって、その体も“レイジングハート”も外から見た以上にボロボロだ。私もライオットを発動したことで結構ガタが来てるけど、なのはに比べたら何てことはない。そんななのはは右腕でヴィヴィオを抱え上げてるから、私は変わろうとした。

「私は大丈夫。でもこれだとプライソンと逮捕できないね・・・」

「・・・今はとにかく、ヴィヴィオを安全無事に脱出させることを優先しよう。それに、ゆりかごが完全にダメになった以上はプライソンも脱出するはず。外で決着をつけよう」

駆動炉を失い、ガンマも敗れ、ヴィヴィオの聖王化も解除されて、ゆりかごは後は惰性で上昇するだけ。この先、プライソンが逆転する目は無い。それにこんなAMFがキツイ中での戦闘なんて、正直したくない。そう考えていたら・・・

「驚いた。オリジナルに比べて弱体化しているとはいえ、仮にもベルカ最強の聖王女を負かしたのか」

出口から「プライソン・・・!?」が姿を見せた。私はなのはとヴィヴィオを庇うように前に躍り出て、戦斧形態アサルトフォームの“バルディッシュ”をプライソンへ突き付ける。

「何をしに来た! ヴィヴィオはもう、聖王から解放された! 埋め込まれていたレリックももう無い! お前は負けたんだ!」

「負けた、負けた、ねぇ・・・。何ならもう1回、プリンツェッスィンを引っ捕まえて、レリックを埋め込んで玉座に座らせてやろうか?」

プライソンがニタリとヴィヴィオを見ると、「ひぅ・・・!」ヴィヴィオがすごく怯えを見せた。当たり前だ。実際に一度、“レリック”を埋め込まれているんだから。なのはがヴィヴィオを遠ざけるように体勢を変えて、私は・・・

「貴様ぁぁぁぁーーーーッ!」

“バルディッシュ”を構えてプライソンへと突っ込む。大した魔法は使えないけど、この一撃くらいは打ち込まないと私のこの感情は抑えられない。プライソンはニヤニヤと笑みを崩さず両腕を大きく広げて、私の一撃を待ち構えた。

「はあああああッ!」

「ぐふっ!」

私のフルスイングの一撃を脇腹に受けて、プライソンは玉座の間の壁に叩き付けられた。でもすぐに大きく陥没した壁の穴から「心地いい痛みだ」と脱出して、トンッと床に降り立った。思わず肋骨を砕いてしまったんだけど、なんてことないって風だ。一度はドクターに殺害されたのに蘇ったっていうシスターズからの話を、すずか伝手で知っている。まさか本当に・・・不死身?

「プライソン、お前の計画は潰えた。殺人罪、世界規模動乱罪、公務執行妨害、違法医術の施術、その他諸々の罪状で逮捕する。大人しく縄に付け!」

「計画が潰えた? ハハハハハハ! 違う、違うぞ、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン! これまでの遊戯は所詮、前座に過ぎん。ゆりかごなど、俺の真の目的にとっては単なる時間稼ぎ!」

プライソンの口から聞き捨てならない言葉が出て来た。なのはが「ゆりかごが時間稼ぎ・・・?」って訊き返すと、「そうとも。他の兵器も前座に過ぎん」奴はそう断言した。その様子から負け惜しみじゃないのが判る。

「一体、なにを企んでいる! 答えろ!」

「そう怒鳴るな。俺の本命は、ゆりかごでもアンドレアルフスでもディアボロスでもない。アグレアス。ソレが俺の真の目的を果たすオモチャの名だ。ミッドに戦争を仕掛けたのも、アグレアスを稼働・運用するための時間稼ぎ。判り易く言ってみたが、どうだ?」

“アグレアス”。ルシルが奪取した兵器群の開発コード名の中にそんな名前があったのを思い出した。そう言えば、ずっとその姿を見せていなかった。ゆりかごすら及ばない兵器があるのだとしたら、どれだけの脅威レベルなのか想像も出来ない。

「俺を倒して止めてみるか? アグレアスの管制はガンマではなく、プライソンだ」

この状況でプライソンを倒す・・・。後ろに居るなのはとヴィヴィオをチラリと横目で見る。今の私に出来ることはただ1つ。プライソンの「望み通りに!」仕掛ける。アイツは「さぁ来い!」構えを取った。“バルディッシュ”を振るうと、奴は素手による拳で迎撃して来た。

「ぐっ・・・!?」

「ひ弱な一撃じゃないか!」

完全に力負けしたことで殴り飛ばされてしまった。床に着地してすぐにもう一度プライソンへと突っ込む。そしてフェイントを交えながら“バルディッシュ”を振るって、奴を出口から遠ざけつつ・・・

「なのは! 先に脱出を! プライソンは私が押さえておく!」

「えっ!? ダメだよ、フェイトちゃん! フェイトちゃんをひとり残してくなんて出来ない!」

「ヴィヴィオを優先して、なのは! プライソンにまたヴィヴィオを渡すわけにはいかない!

「でも・・・!」

「フェイトママ・・・!」

不安そうな声を出すなのはとヴィヴィオ。小柄なクセにプライソンの一撃は重くて疾いこともあって、2人に目を向けることが出来ない。でも「行って!」そう伝えることは出来る。

「ハハハ! 美しい母娘愛と言ったところか! 逃げろ、逃げろ! 鬼さんに捕まらないように!」

「早く!」

「・・・ごめん、フェイトちゃん!」

「フェイトママ!」

なのはが玉座の間から出て行くのをプライソンとの攻防中に確認した後、何度目かの“バルディッシュ”とプライソンの拳の激突に、「バルディッシュ!?」の戦斧部分にヒビが入った。だから今度は柄部分で奴の拳を受けるようにするんだけど、「まずっ・・・!」柄の方もヒビを入れられた。

「そらよ!」

「あ・・・っ!」

AMFの影響もあるけど、単純に近接戦に強いプライソンに押された私はとうとう、“バルディッシュ”の柄を折られてしまった。してやったりって表情を浮かべるプライソンだけど、柄を折ったぐらいでイイ気にならないでほしい。柄の短くなった“バルディッシュ”を振るって攻撃を続ける。柄下部も刺突用として突き出す。

「さすがS+ランク魔導師! 魔力や魔法を大して使えずとも、ここまで戦えるとは大したものだ!」

「きゃあああ!」

“バルディッシュ”の打撃を頭部に受けてもよろけることすらしなかったプライソンの蹴りがお腹に打ち込まれて、私は大きく蹴り飛ばされてしまった。防護服まで解除されていたら、私の上半身と下半身は確実に・・・。

「そーら、トドメだ!」

着地した直後の私に向かって突っ込んで来たプライソン。迎撃するために構えようとしても「っ・・・く」お腹に受けたダメージが結構あって、ふらついてしまった。まずい、対応が遅れた。

「そこまでだ! プライソン!」

――ラウムゲフェングニス――

ギンッと鈍い音が聞こえたかと思えば、「ぐおっ!?」プライソンが空間に出来た歪みに捕らわれた。そして歪みは収縮して始めて・・・完全に消滅した。

「フェイトちゃん!」

「フェイトママ!」

続けて先に脱出したがはずのなのはとヴィヴィオの声がした。出口の方を見るとシスター・プラダマンテ、それになのはとヴィヴィオが居た。

「どうして・・・?」

「途中でシスターと合流して、フェイトちゃんがひとり残ってプライソンと闘ってるってことを伝えたんだよ。そうしたらシスターが協力してくれるってことで・・・」

「フェイト執務官。このまま脱出しましょう。プライソンは空間隔絶の檻に閉じ込めたまま、責任を持って連行しますので」

シスターの固有スキルは空間干渉。シャルが言うには、シャルの絶対切断やルミナの物質分解より強力だって話だ。だからシスターの案に「判りました」って答えた。

「そう言えば騎士キュンナは・・・?」

「彼女はコントロールルームへ向かった武装隊と合流中です。ここに来るまでに脱出経路は作っていたので、そこから脱出するよう伝えてあります」

私の疑問にそう答えつつ、シスターは“シャルフリヒター”というデバイスではない、純粋な武器としての剣を床に突き刺すと・・・

――ラウムアウスグラブング――

床に大きな穴が一瞬で出来て、そこを覗き込めば市街地が見えた。穴の内壁は初めからそうだったようにツルツルだ。シスターが「私が殿を務めますので、お先に脱出を」そう言ってくれたから、お言葉に甘えて私、なのはとヴィヴィオ、最後にシスターが穴に跳び込んでゆりかごから脱出した。

†††Sideフェイト⇒はやて†††

空と陸のガジェットやLAS、戦車や装甲車といった兵器が一斉に動きを止めた。おそらくなのはちゃん達がプライソンを止めてくれたんやろうね。残る航空兵力は、超機動を誇る戦闘機・ナベリウスのみ。搭乗者はイプシロンとゆうサイボーグの少女で、アリシアちゃんとトリシュ、アンジェちゃんが戦ってるのをモニターで見守る。

――シューティングスター――

「お!」

ヴァイス陸曹の操縦するヘリに乗って戦闘に参加してるアリシアちゃんの高速狙撃弾で、とうとうナベリウスの左主翼を貫くことが出来た。一瞬のふらつきってゆう隙を見逃すわけないトリシュの・・・

――天翔けし俊敏なる啄木鳥――

高速狙撃が右主翼を撃ち貫いて、ナベリウスはもう墜落するしかなくなってしもうた。それでもナベリウスは機首にあるガトリングによるエネルギー弾を放つ。

――レフレクスィオーン・ファーネ――

魔力旗を展開した“ジークファーネ”を振るうアンジェちゃんの反射魔法がエネルギー弾を捉え、その全弾をナベリウスに返した。もちろん主翼を失ったナベリウスに回避する術は無くて、全弾が着弾して爆発を起こす。そんでコックピットを覆ってた装甲が破壊されて、キャノピーが丸見えになった。悔しげな表情を見せてる素っ裸なイプシロンとようやくご対面や。脱出装置が働いたみたいで、座席ごとイプシロンが宙に放り出された。

『イプシロンはあなた達に最大限の称賛と、そして憤怒を贈ります!』

――ISマグネティックドミニオン――

「何や、今の軌道・・・!」

落下してたイプシロンがガクッと90度に方向転換して、側のビルの外壁に引っ付いた。そんで外壁を垂直に駆け上がって屋上に到着したところで、足元にテンプレートを展開、そんで吼えた。全身から迸る綺麗な紫色の電磁波が、あの子の立ってるビルや、近くのビル4棟を覆い尽くした。

「んなアホなことが・・・」

目の前で起こってる現実に思わず口が開きっぱなしになる。5棟のビルが土台ごと引っこ抜かれて、ゆっくりと宙に浮いたからや。この付近は避難が済んでるけど、やからってビルを5棟引っこ抜くなんて、どんな被害か・・・。

「アカン、あんなもんが振り回されたらこの辺りが壊滅する・・・!」

「こちらルシリオン! ビルは俺が対処する! イプシロンを止めろ!」

「ちょっ、ルシル君!?」

ルシル君がアリシアちゃん達に通信を繋げた。私とルシル君は今、戦線を離れて救急車の側で休んでる。ルシル君はフォルセティを保護した後、後を絶たへん巡航ミサイルの迎撃による魔力過消費となって、私は前線指揮官の後任が来てくれたことで、フォルセティを病院へ移送できるようになるまでの救急車の護衛としてや。

「ルシル君、平気か!?」

「イロウエルを発動するだけだ、対して魔力は消費しないよ」

――屈服させよ(コード)汝の恐怖(イロウエル)――

モニターに映る白銀の巨腕イロウエル10本がイプシロンの佇むビルや、その周囲を直立したまま回り続ける5棟のビルをガシッと鷲掴んで止めた。直後、アリシアちゃん達がイプシロンへ総攻撃を開始。あの子は何も出来ずにその全てを受けた。

「むっ! イプシロンが墜ちたのか、ビルの浮遊力が無くなった・・・!」

「ルシル君、頼むわ!」

「判っているよ!」

十数mってゆう高さから40階建てクラスのビルの落下なんてさらに被害が出ることになる。ルシル君は巨腕を操ってビルをゆっくりと地面に降ろした。

『こちら六課のアリシア。プライソン一派の1人、イプシロンを確保したよ!』

モニターには、気を失ってるらしいイプシロンがバインドで拘束された映像が映し出されてる。

「了解や。お疲れ様。・・・グリフィス君。なのはちゃん達、シグナム達、アリサちゃん達からの連絡は?」

旗艦・“聖王”のゆりかご、護衛艦・“アンドレアルフス”、列車砲・“ディアボロス”の攻略に向かったみんなからの通信が途絶えて久しい。

『いえ。ガジェットなどの兵器群の停止と共に、南からの巡航ミサイルの接近も止まりましたが、各攻略班からの通信・念話、共にありません』

「そうか・・・」

胸の内に渦巻く不安。便りがあらへんのはええ頼りってゆうけど、状況が状況やしな~。不安がってるそんな私にルシル君が「大丈夫。信じて待とう、はやて」そう優しく声を掛けてくれた。

「うん。そうやんね・・・」

頷き返したところで、『こちらゆりかご攻略班、スターズ1!』なのはちゃんの通信全体が入った。モニターにはなのはちゃんと、なのはちゃんに抱っこされてるヴィヴィオ、側にフェイトちゃんとシスター・プラダマンテの4人。

『拉致されていた救出対象を無事に保護、本件主犯のプライソンも確保しました!』

待ち望んでた報告が入って、私とルシル君はバチンとハイタッチを交わした。さらに突入してた武装隊員たちも全員脱出して、ゆりかごは完全に無人となった。これで局の艦隊も憂いなくゆりかごを撃沈できるわ。
ゆりかご攻略を完了したことを六課の後見人であるリンディ統括官、クロノ君、カリムの3人に報告した後、フォルセティの乗る救急車を始めとした数多くの救急車の護衛を手の空いた武装隊に任せて、ルシル君と一緒に前線本部の簡易テントへ向かう。そこでヴィヴィオを医療隊員たちに預けたばかりのなのはちゃん達と合流して・・・

「はじめましてやね、プライソン」

シスターのスキルで作られた歪曲した空間に捕らえられてるプライソンにそう声を掛ける。彼は「あぁ、大将のお出ましか」まったく余裕って感じで、全然反省も後悔もしてへんみたいや。

「プライソン。本当ならここで1発くらい殴っておきたいが、私情に駆られてそんな無様をはやて達の前で晒すのも辛いからな。ここは抑えておいてやる」

「よう、化け物。お前のリンカーコアのおかげで、プフェルトナーは完成したぞ。まぁ所詮はクローンでコピーな欠陥品。お前を大して傷つけずに負けたがな。まったく、プリンツェッスィン共々使えない粗悪品だった。ハハッ、天才の俺とした事がとんだ下手を打ったものだ」

ルシル君、それにフォルセティやヴィヴィオに対してのその暴言。私となのはちゃんとフェイトちゃんはギュッと拳を握りしめて唇を噛むことで、怒りに任せるような真似をせえへんように必死に耐える。

「発言には気をつけろ。何がお前の遺言になるのか判らんぞ。俺への罵詈雑言は聞き流すが、フォルセティとヴィヴィオへの発言を聴き流せるほど、今の俺は優しくないぞ」

「なんて気持ちの良い殺気だ。いいぞ、俺を討ってみろ、化け物め! さあ! さあ! さあ! 俺を殺して見せろ!」

「貴様・・・!」

怒りを露骨に態度で示すルシル君に、逆に私たちは落ち着けた。プライソンはプライソンで煽りまくるし。そやから私は「ルシル君!」の右手を両手でギュッと握りしめる。

「おい、止めるなよ、大将」

「黙ってて!」

プライソンと睨み合う中、フェイトちゃんから「はやて。プライソンが気になる供述をしたの」って報告が。さらになのはちゃんからも「アグレアス。それが本来の狙いみたい」そんな報告が・・・。

「・・・アグレアス。お前のアジトから奪った兵器データの中にあった名だ・・・!」

「プライソン。一体、何を企んでるんや」

「・・・ふん、そうだな。全ての準備が整った以上もう隠すことは何も無いな。判った、全てを話そう。俺の真の目的を。だが、条件が1つだけある。俺の話をオープン回線で各管理局施設と聖王教会本部にも届くようにしろ」

プライソンから提示された条件。そこまでの規模となると私個人では決められへんから、「上と相談してみる」って返答すると、プライソンは「そんな時間は無いと思うぞ。アグレアスはもう、起動している」そう言うて笑った。

「はやて。俺が責任を取る。今の俺は限定的だが准将の階級持ちだ」

「・・・ごめん、お願い出来るか?」

「ああ、任せてくれ。・・・こちら本局内務調査官、ルシリオン・セインテスト准将。これよりプライソンからの最終声明を、管理局・聖王教会両組織に連絡します」

本件に関わってる部隊や、ゆりかごを撃沈させるためにミッドに急行してる艦隊、その全てに全体通信を繋げて、ルシル君がそう前置き。そんでルシル君は目線でプライソンに合図した。

「あー、コホン。ご機嫌麗しゅう、管理局・教会諸君。そして、我が愛おしき作品・スキュラ達」

プライソンの周囲に勝手に展開された複数のモニター。そこに映ってるんは、生体ポッド内に浮かんでる裸の女の子たち3人。アルファとデルタは判るけど、もう1人の髪の短い女の子の名前は判らへんな。クラリスちゃんやロッサの猟犬と戦う女性が1人、そんで意識を取り戻したらしくて、布で体を包んで女の子座りしてるイプシロンの5人。

「ミッド地上戦はすべてお前たちの勝利として幕を閉じるだろう。機動六課の所為でゆりかごは最早、聖王という中身の無い空っぽの器。艦隊に撃沈される未来が確定したわけだ。教会の連中も派手に暴れてくれた。あぁ、負けたよ。地上戦は俺たちの負けだ。ゆえに全スキュラに命じる。即刻、抗戦行動を停止しろ」

ポッド内の3人と、クラリスちゃん達との交戦を中断してた女性が『了解です』そう答えて、ロッサが大人しなった女性に手錠を掛けた。

「さて。ここからが本題だ。聖王のゆりかご、航空空母アンドレアルフス、列車砲ディアボロス、装甲列車オルトロスとケルベロス、各航空戦闘機6種と陸戦兵器4種による、本戦闘は全て前座に過ぎん。負け惜しみだと思うか? ゆりかごによる地上爆撃? 列車砲による地方爆破? 陸戦兵器による地上制圧? ミッドチルダの支配? そんなもの、ただの時間稼ぎに過ぎない。さぁ、そろそろ第一波のお出ましだ!」

プライソンがそう言い放った直後、アースラのシャーリーから『た、大気圏外から熱源多数!』そんな焦りに満ちた報告が入った。大気圏外ってゆうことは、「宇宙からの攻撃ってことか!?」想像だにしてへんかった事態に驚く。

「プライソン! 大気圏外に在るのか!? アグレアスが!」

「フハハハ! そうとも! ミッドに生きる人間ども、畏怖せよ、今より来たるは恐怖の大王の先兵!」

「・・・っ! アレ、見て!」

なのはちゃんの指差す方――遥か空を見上げると、「アレはまさか・・・!」私たちは目を見張った。空を流れる幾筋の強烈な閃光。そう、アレはまず間違いなく「隕石・・・!」や。驚いてる私たちを余所にプライソンは笑い声を上げ続ける。そんで隕石はどこかへと落ちて行った。

「グリフィス君! 落下地点は!?」

『隕石の数は7つ! そのどれもが居住区より遠く離れた海などです! その大半が大気圏によって燃えてサイズが小さくなっているおかげで、被害は少ないですが・・・これで終わらないとなれば被害は徐々に大きくなってしまいます!』

報告の前半に安堵して、後半で絶望に叩き落とされてしもうた。狂ったように笑い声を上げ続けるプライソンにフェイトちゃんが詰め寄って「何を考えている!?」って問い質した。

「お前の目的は、ミッドの支配じゃなかったのか!?」

「支配ぃ? そんなもの上っ面の動機だ。言っただろう? 俺には真の目的がある、と。管理局、聖王教会! そのご都合が良いモノしか見ない聴かない目と耳で、しっかりと刻み込め。俺の目的は、俺の終焉だ! 俺は死にたい! 聴こえるか、最高評議会! お前たちが俺を不老不死に造ったおかげで、こんな手段を取らざるを得なかった。これは復讐だ! お前たちの大事なミッドチルダ諸共、俺は死ぬ! 隕石落下はその前の前準備だ!」

ミッドを道連れに死ぬ事。それがプライソンの真の目的やった。プライソンの頭上にモニターが展開されて、宇宙空間に浮かぶ1つの兵器を映し出した。長棒の両端に十字架が1基ずつ付いてて、ゆっくりと回転してる。そんで十字架を繋いでる長棒から何十発ってゆうミサイルが発射され続けてる。

「The Electromagnetic signal system Meteorite Fall Induction Station――電磁気信号式隕石落下誘導装置、アグレアス。それが正式名称だ。ミッドの磁気をインプットしたミサイルをミッド周辺の隕石に撃ち込んで、ミッドへと誘導落下させる。まぁ隕石のサイズは選べないため、ムラっ気があるのが失敗だが」

「ふざけ・・・! くそっ! クロノ、聞いていたな! ゆりかごよりまずは隕石とアグレアスの撃破を最優先にした方が良い!」

『ああ! すでに艦隊旗艦から発令が下った! 到着次第、即座に破壊を実行する! そちらはプライソンから、停止方法などを聞き出してくれ!』

「了解だ。・・・俺の複製能力や左目の視力について問い質したかったが、今は後回しだ。プライソン、アグレアスを止めろ、今すぐにだ」

クロノ君との通信を切ったルシル君が早速、プライソンを問い質したけど「フフン」憎たらしく鼻を鳴らすだけや。そこにフェイトちゃんが「お前を気絶させれば止まるのか!?」そう声を荒げた。

「お前は言っていたな、自分がアグレアスを管制していると!」

「そうなんか?」

「うんっ。確かに言っていたよ!」

フェイトちゃんに代わってなのはちゃんがそう継ぐと、「よしっ。死なない程度にやってやるよ」ルシル君が指をポキポキ鳴らし始めて、プライソンの前に立ったその時・・・

『プライソ~ン。電磁誘導ミサイル・アポカリプス全弾の発射シークエンスを完了~。あとは勝手に発射され続けるよ~』

ルシル君の宿敵である“エグリゴリ”の1人、「レーゼフェア・・・!?」がモニターに映り込んだ。これまで以上に目を見張ったルシル君が「あの子は何の役割だ!」ってプライソンの胸倉を掴み上げた。普段の私たちなら、落ち着いて、って止めに入るところやけど・・・。本件の現状、ルシル君の宿命からして止められへん。

「プライソンと同じ、アグレアスの管制端末だ。先程、局の艦隊でアグレアスを撃破する、と話していたが無理だ。アグレアスの装甲は魔術でコーティングされている。ハハハ、魔法は魔術には勝てない、だったな。急いだ方が良いぞ。アグレアスも徐々にミッドへ墜落を始めている。隕石とは違って燃え尽きることも無く、地上に激突すればおよそ54,760,000 km²が消し飛ぶように設計してある。さらに衝撃波でミッドの3分の2が吹っ飛ぶだろう」

「「「「なっ・・・!」」」」

耳を疑った。激突しただけで地球で言えばユーラシア大陸以上の範囲が壊滅して、さらに衝撃波による被害も出る・・・。しかも“アグレアス”の装甲が、この世で立った数人しか扱えへん魔術でコーティングされてるなんて。局の艦砲攻撃じゃ破壊できひん・・・。

「~~~っ! くそがっ! アグレアスはどこに在り、ミッド激突までの残り時間を教えろ! 俺が直接乗り込んで、レーゼフェアを討つ!」

ルシル君がそんなことを言い出した。確かにそれしか手があらへんやろうけど、言いしれへん不安に駆られた私は思わず「ルシル君・・・!」の右手の袖を掴んだ。

「不安がることはないよ、はやて。どの道、俺が負けたらはやて達もバッドエンドだからな。レーゼフェアに勝ってアグレアスを止める、それしか道が無い」

「うん・・・」

そしてルシル君は、どこか期待してるような表情を浮かべてるプライソンから“アグレアス”の座標を聴き出すと、クロノ君に“アグレアス”の攻略法が管制機として搭乗してるレーゼフェアも倒さなアカンこと、そんで自分とユニゾン中のアイリの2人で乗り込んで、レーゼフェアを撃破するってことを報告した。

『・・・魔術関連とエグリゴリに関しては君に一任するしかない。艦隊は隕石の破壊を最優先にしてもらうよう、旗艦に進言しておく。ルシル、もはや君だけが頼りだ。任せたぞ』

「ああ、任された」

クロノ君との通信を切った後、ルシル君は「じゃあ行ってくるよ」って私たちに声を掛けながら、「ぶふっ!」プライソンの顔面を思いっきり殴った。そして「いってらっしゃい」私たちに見送られながら、聴き出した座標へと転移魔法を使って転移した。

「プッ! 魔力を込めた一撃、良い痛みだった・・・」

口から血と折れた歯を吐き捨てたプライソン。鼻血も出てるけど、一瞬で止まった。さぁ、私たちも負けてられへん。プライソンも管制者ってことやし、もっと情報を聴き出さなな・・・ってところで・・・。

『父さん。嘘、ですよね・・・? 死ぬ事が本当の目的だなんて、嘘ですよね?』

「アルファ・・・」

『嘘だと言ってください! ミッドを支配して、私たちの思うが儘の世界を造るのが目的だと!』

「ベータ・・・」

『そうだよ、パパ! デルタ、そんな事のために、パパを死なせるために戦ってきたわけじゃないよ!』

「デルタ・・・」

『イプシロンもお父さんの真の目的には納得できません!』

「イプシロン・・・」

『父さん。ウチ達は、父さんと一緒に生きるために戦ってきた。ウチはその為に父さんを手伝って数多くの兵器を造り出してきた。それを、無駄にするの? それに隕石とアグレアスの特攻なんて、ウチ達も一緒に死なせるということになる・・・。納得できない!』

「ガンマ・・・」

“スキュラ”姉妹たちが思い思いにプライソンに反感を示し始めた。そのことからプライソンは、姉妹をも道連れに死ぬってゆう真の目的を、姉妹に伝えてへんかったようや。

「お前たち、俺の為にその命を懸けることを厭わない。そう言っていたな?」

『確かに、父さんの為なら死んだって良いとは考えてはいます! ですが・・・!』

アルファって娘が悲しげに呻いたところでガンマが『父さん。これが反抗期』って言うて、手錠を自力で破壊した。

『父さんを止めるから邪魔しないで』

そんでデバイスを構えるクラリスちゃん達にそう言い放つと、卵型椅子から伸びて来たケーブルをうなじに繋いだ。

『管理局・聖王教会に告ぐ。ウチは各陸戦兵器統合管制機ガンマ。これより局の艦隊到着までの時間、ウチらスキュラが隕石迎撃を行う。邪魔をしないように。アルファ、ベータ、デルタ。全兵装を再起動。イプシロンは・・・今のところは用がないから適当に』

『『父さん。ごめんなさい』』

『デルタ達は、パパに死んでほしくないんだよ』

『イプシロンは役立たず・・・orz』

自分を父と慕っていた“スキュラ”シリーズの反抗にプライソンは「そうか。裏切るのか・・・」って、私たちにだけしか聴こえへん程のか細い声でそう漏らした。その直後・・・

『何よ、コイツら! 一体どこから湧いて出て来たのよ!』

『おい! わんさか出てきやがった!』

『LASがこんなに・・・!?』

『ヴィータ副隊長、アリサさん!』

デルタの映るモニターの外から「アリサちゃん!」と「ヴィータ!」と、「スバル、ティアナ!」の声がして、デルタのポッドへ殺到するLASの迎撃に入った。床に倒れてるイプシロンと全く同じ姿をした子が踏み付けられてるけど・・・その子は誰さん?

『ギンガ陸曹! そちらを頼む!』

『了解です!』

ベータって娘の収められてるポッド近くでは、チンクとギンガがLASと交戦中。

『おおおぉぉーーーッ!』

『ああもう! キルシュブリューテが腐った血肉で汚れるぅ~!』

『シャルちゃん、そっち!』

アルファって娘の収められてるポッド近くでは、すずかちゃんとシャルちゃんとトーレさんがLASと交戦中。シグナムやエリオとキャロは別行動中みたいで、どのモニターにも映ってへん。そんでガンマのことろでは、クラリスちゃん達が、卵型椅子に座り込んでキーボートを高速で打ち続けるガンマを護るように陣取って、LASを打ち倒していってる。

『イプシロンはお前たち如きに倒されないと確信しています!』

そんでイプシロンは自身から発する電気で壁を張って屋上にまで昇って来たLASの大群を覆って、その全てを屋上の床に張り付かせた。

「今すぐ、やめさせなさい!」

なのはちゃんが“レイジングハート”をプライソンに向けた。LASは明らかにプライソンの意思で動かしてるようにしか思えへんから、私やフェイトちゃんもそれぞれデバイスを突き付けた。

「ふふ、ははは・・・ハハハハハハ! アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン! 創造主である俺からの離反! 楽しませてもらったぞ! だが裏切りは裏切りだ!」

プライソンが遥か上空を見上げる。隕石の軌跡が青空の中を突っ切って、ミッドの地上へ降り注ぎ続ける空を。すでに破壊されてるはずの“アンドレアルフス”上面の砲台からエネルギー砲が何十発って放たれ始めて、中央区画に墜落する軌道の隕石を撃ち抜いていってる。

「プライソン!」

「嫌だね。俺は死にたいんだ。いっちょう派手にな。お前たちを道連れにして。そういうわけで・・・先に逝っていてくれ、我が愛おしく、そして最後に弓を引いた愚かな作品たち! さらばだ!」

そう言い放ったプライソンが「音声認識!」と言うと、彼の面前に1枚のモニターが展開された。音声認識ってことで、私たちはプライソンの口を塞ごうとしたけど、一足遅く「ペニテンツィアジテ!」そう発するんを許してもうた。直後、LASが一斉に自爆して、全てのモニターがブツンと強制解除された。
 
 

 
後書き
ルシルがアグレアスに乗り込むシーン。普通に考えればもっと、上に掛け合う~とか、危険だって制止される~など、そういった流れが必要なんでしょうが、変に描写に拘ると馬鹿な目を見るので、これでOK~みたいな感じになりました。
アグレアスのモデルですが、外見はエースコンバット5の戦略衛星SOLG。地表に向かって落下するというのはそのままですね。で、隕石云々は、エースコンバット04の巨大要塞メガリスの、隕石落着誘導ミサイルをモチーフにしています。プレイ中、無数の隕石が空を流れるシーンはBGMと相まって今でも震えます。

あぁ、7の架空兵器は一体どんなものになるのか。もう楽しみでしかたないです!

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧