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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epico?進撃のフローリアン娘~Uminari City tour~

 
前書き
また1話追加するって、私は馬鹿なの!?
ハイ、私ブァカなんです! 

 
†††Sideルシリオン†††

『このような形での挨拶で申し訳ないね。はじめまして。僕の名前はグランツ・フローリアン。エルトリアで研究者をしているんだ』

スマウグとの戦闘後、俺たちは医務局で手厚い治療を受けた後、はやて達とアミタ達はそのままアリサの家へ直帰。そして俺は、ガアプ一佐と一緒に権威の円卓の会議に参加。その内容は俺の今後についての話だった。会議後に俺もアリサの家に向かい、その日は何をする間もなく、俺を含めた全員がぶっ倒れるように眠った。
そして翌日となる今日、俺たちは美味しい朝食を済ませた後にアリサの部屋に集まって、アミタ達が遠路はるばるやって来た理由の1つ、彼女たちの父・グランツ博士からの挨拶と、エルトリアがどこまで回復したかの記録が収められた映像を観ていた。

『まずは、うちの娘たちが迷惑を掛けたことについて謝らせてほしい。いきなりそちらの世界に現れては色々と引っ掻き回し、さぞ混乱させたことだろう。すまない』

「あぅ~」

「博士、蒸し返さなくても良いのに~」

“砕け得ぬ闇”事件についてグランツ博士が語り始めたことで、アミタとキリエがしょんぼり肩を落とし、そして「ごめんなさいでした」アミタと、「ごめんなさ~い」キリエが改めて俺たちに頭を下げて謝った。俺たちは「いえいえ」と気にしないように伝える。確かに色々あったが、その分得られるものがあったのも確かだ。彼女たちとの絆、あと俺個人事になるが複製術式を数多く得られた。

『それでも娘たちを見捨てず、また助けてくれたことに心から感謝している。ありがとう』

「その節は本当にお世話になりました」

「ありがとね~♪」

グランツ博士に倣うようにアミタとキリエもお辞儀した。そしてグランツ博士はフローリアン姉妹への愛を語り始め、小さい頃はもっとやんちゃだったとか、初めての料理は炭化していたとか、聞かれて恥ずかしい内容ばかりだったこともあり、アミタとキリエは顔を真っ赤にして・・・

「きゃぁぁぁぁぁ! 博士、なんてこと言っちゃってくれてるんですかーーーー!」

「いやーん! 聞いちゃダメよーーーーー!」

モニター前に陣取って「あー! あー!」大声を上げ続ける。しかし「静かにせんか! レヴィ!」ディアーチェの指示の下に「ほーい!」レヴィと、「博士が見えません」シュテルが、アミタとキリエを無理やりモニター前から引き離した。それから俺たちは2人の小さい頃の思い出話を堪能させてもらったわけだが・・・

「あんまりです、博士・・・」

「わたし達の恥ずかしいこと、聞かれちゃったわね~」

「知らないこともありましたな~」

「大変面白い話を聞かせてもらいましたわ。ごちそうさま」

耳まで真っ赤にして若干泣いてるそんなアミタとキリエに、フラムは茶菓子として用意されたクッキーを頬張り、アイルは紅茶を飲みつつ、グランツ博士からの思い出話に満足そうに頷いた。

「え、ちょっ、知らないことも・・・って、どういうこと?」

「えっと、キリエ、それにアミタも知らないかもしれませんが、私たち、結構前に博士から聞いてました、2人の小さい頃のお話・・・」

「博士ぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!」

グランツ博士はかなり面白い人柄のようだ。モニターに映る彼はとても優しい表情をしている。事件当時、アミタやキリエから聞いていた通りの人物像だ。だから直接会って話してみたいな、と改めて思う。もちろん今の俺としてではなく、“戦天使ヴァルキリー”をシェフィリスと共に開発した当時の私として。

『コホン。娘たちとの思い出話はまだ尽きないが、もう1つの感謝をしなければね。・・・ルシリオン君』

俺の名前が呼ばれた。モニター越しにグランツ博士と目が合う。グランツ博士が身を屈め、『この子、エフェルヘリンズを送ってくれたことで、今の僕が居るんだ』二頭身の人工精霊・エフェルヘリンズを抱え上げた。

『マスター! お久しぶりです! 私はこっちの世界で、博士やお嬢さん達と楽しく過ごしてまーす!』

『この子の魔術、コード・エイルと言ったかな。その魔術のおかげで僕の不治の病は治り、こうして元気で過ごせている。本当にありがとう』

『マスター。こちらとそちらとは時か――・・・あー、距離があり過ぎる所為でリンクに不具合が生じています。けど、元気でやってます!』

『では! そろそろ君たちチーム海鳴の協力のおかげで、エルトリアがどれだけ救われたかをお見せしよう!』

エフェル、何か言い直したな。何を言おうとしたんだ? まぁ、ちゃんと役目を果たしているのであれば問題は無い。グランツ博士が指を鳴らすと映像が切り替わり、エルトリアの腐食した大地、そしてグランツ博士の研究やユーリ達の協力の元に再生していく大地への経過といった記録映像が流れる。
グランツ博士とディアーチェ、それにシュテルやユーリが何かしらのデータを眺めながら話し合っているもの、アミタとレヴィとフラムがモンスターを狩っているもの、キリエとアイルが砂漠に植木をしているものなど様々だ。

『どうだっただろうか。完全に再生するまではまだまだ時間は掛かるだろう。それでも徐々にだが再生を始めているんだ。これもアミタやキリエ、ディアーチェ達、そしてチーム海鳴のおかげさ。今はまだ君たちを招待できないのが残念だ』

グランツ博士のそんなメッセージが流れると、また彼とエフェルの映像へと切り替わる。

『しかし! いつか必ず君たちをここエルトリアへ招待したいと考えている。それまではこの記録映像だけで許してほしい。それでは最後になるけど、改めて感謝させてほしい。本当にありがとう。君たちと直接会い、話せる日を待ち望んでいるよ』

『ではマスター。またいずれ!』

手を振るグランツ博士とエフェル。映像はそこで終わった。モニターが閉じられた携帯端末を手に取るアミタ、それにユーリ達、はやて達に俺は「今日はどうするんだ?」と予定を聞く。昨日は結局そんな話をせずに爆睡したからな。

「明日にはみんな帰っちゃうんだよね? だったら今日は外に遊びに行きたいかも」

なのはが挙手して意見を述べると、「わたしもそれがええな~」はやてや、「私も賛成!」フェイト、「やっぱそれだよね♪」アリシア、それに「うん。遊びに行こうよ」すずかも賛成した。シャルも「そうね。模擬戦なんかよりは良いよね~」と続く。

「ねえねえ! どっかに遊びに行こうよ!」

アリシアがレヴィの肩に両手を置いて揺らす。なのははシュテルを見詰め、はやては「王さま~」抱きつこうとするも、「いちいち抱き付こうとするでない!」避けられる。

「王さま~。ボクも遊びに行きたい~!」

「私も行きたいであります!」

「レヴィ、フラム。あなた達、オリジナルと再戦できると喜んでいたではありませんの」

アイルにそう言われたレヴィとフラムは「う~ん・・・」腕を組んで唸る。遊びに出掛けるか模擬戦をするかで揺れ動いているようだが、「遊びに行きたいです」ユーリがポツリと言ったことで、「行こう!」2人も遊びに出掛けることを決めたようだ。

「シュテル・・・」

「ユーリのお願いなのであれば、私も賛同しましょう。なのはの今現在の実力は昨日の戦闘で計れました。再戦はまたいずれ・・・エルトリアに招待した時に行いましょう。その時は互いの実力が判りませんし、さぞ楽しい決闘になるでしょう」

「ま、この街を侵略するのもやぶさかではないな」

「このお茶美味しいですわね。茶葉を買いに行きたいですわ」

「あ、じゃあわたしも買い物に行きたいわね~」

「ゆっくりお買い物も楽しみたいですね!」

ディアーチェとアイル、それにキリエとアミタも出掛けることに賛成とした。そうして俺たちは、海鳴市の街に飛び出すことになった。

†††Sideルシリオン⇒フェイト†††

今年は暖冬ということもあって防寒着のフル装備でなくても大丈夫だった。着替えは持参して来たレヴィ達だったけど、防寒服は持って来なかったこともあって私たちが貸した。サイズ的にアミタとキリエにはシグナムとシャマル先生のを、ユーリにはヴィータのをだ。
そして私たちは公共バスに乗って市街地へ向かって、着いたら着いたで「おお!? なんかすごい音がするぞ!」レヴィがキョロキョロと辺りを見回して、「あそこだ!」音の出どころだった建物へ駆けていく。

「あ、レヴィ!」

「どこへ行く!?」

私とディアーチェで呼び止めるけど、「すげぇー!」レヴィは聞かずに建物の中に入っていった。そこは「ゲーセン・・・」アリシアがその建物がなんなのかを漏らした。そこはゲームセンター。お金やコインを使って色んなゲームを楽しむための施設だ。

「ああなってしまったレヴィはもう言うことを聞かん」

「じゃあ最初の行き先はあそこで決まりやな」

そう言うわけで、私たちもゲームセンターの中に入ることに。店内では四方八方から大きな音が聞こえてくる。ユーリは「すごい音ですー!」と耳を塞ぎ、「煩わしいですわね・・・!」アイルはしかめっ面になった。アミタからの「ここはどう言った施設なんですか!」質問に、ゲームセンターがどう言った施設なのか説明をルシルがする。

「とにかく遊んで行こう! 一度ぐるっと回って、気になったゲームがあったら遊ぼう!」

レヴィを捜しつつ、私たちは施設内を歩く。その間、筺体を指差してどんなゲームかを訊ねるアミタ達に私たちは知りうる限り教えていった。そんな中、「どうしましたキリエ?」足を止めたキリエにアミタが声を掛けた。

「え? あ、あー・・・な、なんでもないわよ~」

なんだか誤魔化した風にそう言って戻ってきたキリエ。それを見ていたルシルが「そうだ。何かの記念に何か贈るよ」そう言って、キリエが見ていたらしいクレーンゲームへと歩み寄って行った。筺体の中には種類が豊富な可愛らしいぬいぐるみがたくさん入ってる。

「ユーリはどうかな?」

「あ、欲しいですー!」

「アイリも、アイリも!」

「リインも欲しいですぅー!」

ユーリ、アイリ、リインと言った小さい子がルシルの側に群がる。妹たちにお願いされるお兄さんって感じだ。そう言えば、ルシルには妹が居たって話だったよね。だからかな、その光景が自然に見えるのは。

「よしっ。待ってろよ!」

「ユーリ達はわたしが見てるから、アミタ達はレヴィの方をお願いね~♪」

保護者的な役割を買って出たキリエも早速プレイを始めたルシルの側へ。私たちはクレーンゲームからあんまり離れないようにしながらその辺りでレヴィの姿を捜していると、「居た!」レヴィをある筺体の前で発見。

「レヴィ居た~!」

アリシアがレヴィの元へ駆けて行く。レヴィは「あぅ~。お金な~い」って、バイク型のコントローラーに乗りながら泣き事を言った。すると「じゃあ、わたしとちょっとやってみよっか!」アリシアが自前の財布をポシェットから取り出し、レヴィと自分の分のお金を投入してプレイ開始。

「ハンドルの右がアクセルだよ。こうやって捻ってスピードを出して、曲がり角に差し掛かったら進みたい方向にハンドルを回しつつ、こうバイクの車体を傾けるんだよ」

「ほうほう! 判った!」

2台のバイクに股がるアリシアとレヴィの前にあるモニターにコース映像が映し出されて、カウントシグナルが点灯。そして大きな文字でGOと表示された瞬間、2人はアクセル・オン。NPCの7台と一緒にスタートした2人のバイクは好調なスタートを切るけど、「のわぁ!」レヴィの操作するキャラクターはすっ転ぶ。

「フェイト達みんなは別のところに行ってても良いよ! レヴィはわたしが見てるから!」

「くっそ~、負けないぞ! オリジナル! もう1台あるから、次のレースはオリジナルも参加しろ!」

レヴィからの直々のリクエストに「じゃあ、うん。いいよ」私は応じた。すると「あたしも残るよ、フェイト」アルフも残ってくれた。するとレヴィが「アホ犬はどっか行け!」なんてアルフに振り向いてまでそんなことを言うからまた事故った。

「なのは達は別のところで遊んでていいよ。レヴィはしっかり監督しておくから」

「ふむ。うぬらと共に居るのならレヴィも暴走はせんだろう。レヴィ。他の者たちに迷惑を掛けんようにな!」

「ほーい!」

「なんや王さま。侵略するとか言うてたのに、ちゃんと気遣いをしてくれるんやね~♪」

「た、たわけ! 我は王ぞ! 物事の分別くらい弁えておるわ!」

ディアーチェからも許可が下りたことで、私たちとなのは達は別行動となった。別の筺体へ向かうなのは達と手を振り合いながら別れて、終始ビリでゴールしたレヴィが「ほら、オリジナル、早く早く!」私もバイクに乗るように急かしてくる。私は「はいはい」苦笑しながらもバイクに跨ってお金を投入。そして、ふと思ったけど同じ顔をしてる3人な私たちは・・・

「次もぶっちぎりで勝つよ!」

「へっへ~ん! もうやり方も覚えたし、ボクが勝つよ!」

「うん。私だった負けないよ!」

モニターに映るシグナルを見詰め、赤から青になった瞬間、私たちは一斉にアクセルをオンにした。

†††Sideフェイト⇒イリス†††

ルシル達やフェイト達と別れた後、わたし達もゲームを楽しむことにした。わたしとアミタはダンスダンスパーティって言うダンスゲームをプレイ中。楽曲に合わせて矢印オブジェがモニター内に流れてきて、指定されたとおりに足元の前後左右の矢印パネルをタイミングよく踏むゲーム。

「よっ、っと、ほっ、おっ♪」

おさげを揺らしながらしっかりとパネルを踏んでくアミタ。隣で踊るわたしは「初見でそこまでやれるんなんてビックリなんだけど!」アミタの少し不格好だけどちゃんとコンボを稼いでるダンスには本当にびっくり。

「これ楽しいですね! ダンスなんて生まれて初めてやりましたけど、癖になりそうです!」

満面の笑顔を浮かべるアミタ。わたしは踊り途中ながら携帯電話をポケットから取り出して、動画モードでアミタを撮影。当然わたしのコンボは途切れるし、スコアも散々になっちゃうけど、アミタの楽しそうな顔を撮る方がきっと大事。そして楽曲が終わり、「ふぅ!」アミタが充足感いっぱいと言った風に息を吐いた。

「ディアーチェ達は今は何をやっているんでしょう・・・?」

「少し見に行ってみる?」

「そうですね。もう少しやりたいですけど、他のお客さんにも譲らないといけませんから」

アミタと一緒に筐体を離れる。わたし達の居るところは音ゲー区画で、すぐ近くに「おお! 王さま、やるな♪」はやてと、「我に出来ぬ事など無い!」ディアーチェの2人が太鼓マスターっていうゲームで競い合ってた。側には2人をケータイで撮影してるシャマル先生が居るから、2人の監督かな。

「ディアーチェ、初見でしょ?」

高難度の楽曲だって言うのに完璧にバチを振るってるディアーチェ。

「そのはずですよ。アレ、楽器なんですよね? エルトリアには在りませんから」

「そっか。やっぱ魔法とかもコピーしちゃってるし、他にもスキルとか受け継いで・・・あ、料理とかのスキルって・・・」

「はいっ。フローリアン家最高の料理人ですよ王様は♪」

「もう1回、もう1回や、王さま!」

「良かろう! 我の方が貴様より優れていることを何度でも証明してやろう!」

はやての料理スキルもやっぱり受け継いじゃってるみたい。でも、ディアーチェが起動した頃って、はやてってまだこういった場所に来てなかったんじゃなかったっけ? ということは、純粋にディアーチェの才能だったりするのかな~。それから音ゲー区画を出て・・・

「お! なのは達を発見!」

「シュテルも一緒ですね!」

シューティングゲームの筺体に、なのはとシグナムとヴィータとシュテルが居て、なのは&シュテルVS.シグナム&ヴィータの2対2でプレイ中。ヴィータが「しっかり狙え、シグナム!」ってお怒り中。

「私は弓は使うが銃は門外漢だ、当てにするな!」

「なのは。このまま一気にスコアを引き離しますよ」

「うんっ! ごめんね、ヴィータちゃん、シグナムさん!」

さすがに相手が悪過ぎでしょ、シグナム、ヴィータ。そんな中で、「っ! アミティエ、ちょうど良いところに! 代わってくれ!」シグナムがわたし達に気付いて、アミタを呼んだ。

「えっ? 私ですか!?」

「頼む!」

「あ、はい!」

シグナムから銃型コントローラーを受け取り、「お願いします、ヴィータさん!」プレイに参加。わたしはシグナムに「お疲れ~」労いの言葉を掛ける。

「ああ。いや、参った。やはり私に射撃は合わん。射撃はいろいろと考えることが多過ぎる」

「あー、解る。弾速・軌道・距離、ホントいろいろあるもんね。やっぱ近付いて斬る。これが合うよ、騎士は」

「まったくだ」

シグナムと微笑み合っていると、「にゃー! アミタさん、強過ぎ!」なのはや、「さすが銃の扱いではアミタが一番ですね」シュテルが、アミタの猛攻にあたふた。わたしは「アミタ、わたし先行くね~」声を掛ける。

「あ、判りました!」

「私も行こう。アミティエが側に居れば問題ないだろう」

今度はシグナムと一緒に施設内を歩く。次に見つけたのは「アリサ達、はっけ~ん!」だ。アリサとすずか、フラムとアイルがドーム状のアナログゲームをプレイ中。バトラードームって呼ばれるゲームで、一種のピンボールだ。
大きなドーム状の筺体の真ん中にある柱から球が数秒間隔で出て来る。半球状のボードだから球はランダムでプレイヤーが護るべきゴールに向かって転がり落ちて来る。プレイヤーは手元の2つのレバーを操作して転がって来る球を弾き、相手のゴールへと叩き込む。最終的に自分のゴールに幾つ球が入ったかで勝敗が決まる。

「うりゅうりゃ! しっかり弾かないと負けるわよ!」

「球の数が半端じゃなくなってきたでありますよ!」

「フラム! あなたの弾いた球が私のところばかりに来ますわよ!」

「あー、やっぱり対角線上の相手にばかりに行っちゃうから」

フラムとアイルがかなり苦戦してるみたい。まぁアリサとすずかは慣れてるだろうしね。これで見てないのはあと、「ザフィーラ・・・?」だけだ。シグナムが「ザフィーラは外だ。こういう場はあまり、な」ゲームセンターの出入口に視線をやった。

「あー、そっか。そろそろみんな集合して、プリクラでも撮って次に行こうか」

それから私たちはみんな集まってのマリオカート大会、そして記念にプリクラを撮りまくって、ゲームセンターを後にした。というか、いつの間にやら大人の姿に変身していたルシルに「ぬいぐるみ獲り過ぎ」そう言ってわたしは呆れた。
嬉しそうに大きなぬいぐるみを抱っこするリイン、アイリ、ユーリ、そして「うふふ~♪」リイン達以上に満面の笑顔を浮かべるキリエ。ルシルはいっぱい余ってるぬいぐるみを大きな袋に詰めて担いでる。あとで貰おうっかな。・・・貰えるかな・・・。

「車を呼ぶわ。その方がこれからも安心して買い物できるし」

「あ、あの! 私たちお金が――」

「んなもの、あたし達が払うわよ」

「忘れられそうになるけど、私たちって公務員で、しっかりお給料もらってるから」

「久しぶりの再会やもん。その記念になんか奢らせて♪」

「ですけど・・・」

「ならこういうのはどうだ? いつか俺たちをエルトリアに招待してくれるんだろ? 今回のお返しとして、最高のおもてなしをしてくれ」

ルシルがそう提案すると「えっと、じゃあ・・・」アミタも折れ、「任せて~♪ 最大限のおもてなしをさせてもらうわ~❤」キリエも、その提案を受け入れた。

†††Sideイリス⇒すずか†††

ゲームセンターの後は、なのはちゃんのお父さんとお母さんが経営してる喫茶・翠屋でお昼ご飯を済ませた。私たちはそれぞれ家族にマテリアル達のことについて、“砕け得ぬ闇”事件のあとにすぐ伝えておいたから、大きな混乱は起きなかった。
そしてその後は商店街区画をぶらぶらと歩くことになった。ウィンドウショッピングをしながら、気に入ったお店に入っては商品をひとしきり眺める。洋服のお店では・・・

「博士の服もそろそろ替え時なんですよね」

「下着もなかなかに解れていましたから、そちらも新しい物を買って頂きましょう」

「グランツ博士って身長どれくらい?

「これも、これも、これも良いわね~♪」

「おお、この服カッコいいぞ!」

アミタさんとシュテル、付き添いのなのはちゃんはメンズ服コーナー、キリエさんやレヴィ達はレディース服コーナーで服選びをしてる。ちなみに私たちチーム海鳴もレディース服コーナーで、他のマテリアル達と一緒に服選び中。

「アイルはやっぱり白色?」

「もちろんですわ」

「王さまはルシル君と同じ銀髪やし、やっぱ黒やな~」

「もしくは濃い目の紫だな」

「ねえねえ、レヴィ。わたしとフェイトとレヴィの3人でお揃いの服買おうよ!」

「いいぞ。でもカッコイイ奴だぞ!」

「ユーリはどんな服がいい? 可愛い系が似合うかなぁ~」

「お、お任せで・・・」

1人につき10着ほど買って、その荷物をアリサちゃんのお家の車に放り込み、私たちは再び徒歩でのウィンドウショッピングに戻る。次に「あら~?」キリエさんがある店の前で足を止めた。そこは「園芸店・・・?」だった。こう言ったら失礼だけど、キリエさんと園芸が結びつかない。

「キリエは花壇を作っているんですよ」

「とっても綺麗なんですよ、キリエのお花♪」

「確か、植える花の種類が少ないと嘆いていましたね」

エルトリアの記録映像の中に綺麗な花壇があったけど、あれキリエさんが作ったものだったんだ。シャルちゃんが「じゃあ、今度はここね~」キリエさんの手を引っ張って入店。私たちも揃って入店して、園芸に関連してる道具を眺める。

「種類が豊富なのね~。目移りするわ~♪」

「家庭菜園ですか~。私もキリエに倣って作ってみましょうか・・・?」

「あ、私もやってみたいですー」

「野菜より果物とかにしようよ!」

「レヴィの言う通りでありますよ! 野菜よりは果物、果物より肉であります!」

「肉、肉ってあなた達。お野菜は美容によろしいですのよ?」

「ほう。面白い種や苗もあるのだな。・・・ふむ。暇つぶし程度に我も菜園を作ってみるか」

「迷っちゃうわね~。あ、これも、あれも♪」

「お金のことは気にしないで良いから、後悔の無いように買って良いんだよキリエ」

「あ~ん。ホント~に君たちって良い子すぎる~♪」

園芸店でたくさんの花や果物の種、肥料、道具を何十万円分(どうしよう。12歳にして金銭感覚がおかしくなってきちゃってる・・・)を購入。それらをまたアリサちゃんのお家の車に乗せて、私たちはまた歩き出す。

「あ、アイルちゃん! あそこ、あの店!」

「なんですの? すずか」

「あー、あそこ。家が取り寄せてる茶葉を売ってる専門店よ」

「どこですの!?」

アイルちゃんはどうやら紅茶が好きなようで、茶葉の店があるって言ったら目をキラキラさせた。でもすぐにハッとして「こほん。で、どこの店ですの?」恥ずかしそうにそっぽを向いた。私は「あの店だよ」って指を差す。

「では行きましょう、急ぎましょう、走りましょう」

競歩みたいな速さで店に向かい始めるアイルちゃん。私たちはその様子に苦笑しながら、紅茶専門店へ向かった。店内は茶葉の良い香りがしていて、「素晴らしいですわ~」アイルはうっとりしてた。本当に紅茶が好きなんだね~。

「ねえ、アイル。お茶なんてどれも同じじゃないの?」

「馬鹿を言ってはいけませんわ、レヴィ。茶葉によってはその効能が違いますわよ。気分などによって茶葉を変え、美味しく頂く。きっと博士の研究も捗りますわ」

「博士の研究が・・・」

「捗る・・・」

アミタさんとキリエさんは何を想像したのか判らないけど、「誰か! 茶葉の知識をお持ちの方!」アミタさんや、「頭がスッキリするもの、リラックス出来るものは無いのかしら!」キリエさんも、アイルちゃんに続いて瓶詰めにされてる茶葉の効能の説明欄を読み始めた。でもなかなか決まらず、「迷いますわ~」アイルちゃんが困り始めた。

「アイルよ。どうやら試飲が出来るようだぞ」

「あ、ホントです! アイル、アミタ、キリエ。試しに飲んでみませんか?」

「そうですね。私たちも飲むことになるでしょうし、好みの茶葉を見つけましょう」

「えー、ボクはいいや。ボクは甘いカフェオレ派だし」

「私も甘い方が好きであります」

「ミルクティーという手もありますわよ」

というわけで、アイル達は紅茶の試飲を開始。その間、店員さんから美味しい入れ方とか飲み方を教えてもらってた。

†††Sideすずか⇒アリサ†††

「はぁ~、良い買い物が出来ましたわ~❤」

「もうお腹がたぷんたぷんだよ~」

「いやーん、わたしの引き締まったお腹がこんなにふっくらに・・・」

試し飲みを何度も繰り返すことで、ようやく決めることが出来た紅茶の茶葉を買ったアイル達。付き合わされたアミタ達は「けぷっ」ゲップをして、お腹を擦り続ける。揃ってお腹が出てるわね。

「次はどこへ案内しようかしら」

翠屋、ゲーセン、洋服店、園芸店、紅茶葉専門店と行って、次は行き先を考えながら街路を歩く。人型モードのザフィーラと、大人モードのルシル以外はみんな女子だからか道行く人たちがあたし達を見ていく。

「あの、あそこに行っても良いですか?」

そんな中、ユーリからのリクエストがあったから、あたし達はもちろん「うん!」頷き返した。ユーリの指さす方へと目を向けるとそこには「書店・・・?」があった。ユーリが行きたがっていたのは書店だった。なるほど。これはまた大荷物になりそうね。

「あ、鮫島? 今度は書店の駐車場に車持って来ておいて。・・・うん、そう、そこ」

ケータイを使って、買った荷物を運搬するための車を運転する鮫島に連絡しておく。早速入店して、思い思いに散開。アミタとキリエとアイルはファッションコーナー、はやてとリインとディアーチェはレシピコーナー、アリシアとレヴィとフラム、その付き添いらしいフェイトとアルフの5人はマンガコーナー、シュテルとなのはは世界の軍隊関係のコーナー。あたしやシグナム達は具体的に行きたいコーナーは無いから、その辺をウロウロ。

「ユーリは本が好きなのかい?」

「あ、はい。博士の書庫にある本など、たくさん読んでます! ルシリオンも本は好きですか?」

「ああ、大好きだよ。電子書籍という物があるが、俺はやっぱり紙の重みや手触り、香りが好きなんだ」

「解りますー!」

あたしがたまたまついて行ってるルシルとユーリが目の前でガシッと握手を交わした。そんな2人が向かう先は「あ、見つけました♪ 園芸コーナーですー!」だった。

「あぁ、なるほど。さっきキリエが買った物の育て方か」

「はいっ! 育て方を失敗すると、その植物に申し訳ないですから。きっちり育ててあげたいんです♪」

「そうか。よし、俺も手伝おう。気になった本は・・・、アリサ!」

ルシルがあたしに声を掛けてきた。何を言いたいか判ってるから「オッケー」側に積み重ねられてるカゴを手に取って2人の元へ。ルシルからの「ありがとう、アリサ」と、「ありがとうございますー♪」ユーリからのお礼に「ん!」笑顔で応えた。
それからは真剣に本を読んでは「コレ、買って良いですか?」ユーリが本の裏に書かれた値段をルシルに見せてからそう確認して、ルシルは「お金の心配はいらないから、欲しいと思った本はカゴに入れていってくれ」そう言って、ユーリの手から本を取ってカゴに入れた。

「お待たせ~。わたしも手伝うわ~」

そこにキリエも合流して、園芸誌を物色してはカゴの中に放り込んでく。そして「結構な数になっちゃったわね~」カゴの中に積まれた本の数にキリエが少し遠慮がち。ユーリも「ルシリオン。少し減らしましょうか・・・?」ルシルの顔色を窺うんだけど・・・

「気にしない、気にしない。よっと」

そしてルシルはユーリとキリエを伴って、「今度はユーリ個人で欲しい本だな」って別のコーナーへ向かった。あたしは3人を見送って「フラムはどうしてんのかしら」フェイト達と一緒にコミックコーナーに居るフラムの元へ行く。

「レヴィ。ダメでありますよ。未完のシリーズを買っては」

「だってー! ボク、このシリーズ気に入ったんだもん!」

「だからと言って、続きを買えない本を買っても仕方ないでありますよ!」

「なに揉めてんのよアンタ達・・・」

「「アリサ!」」

ホッと安心したようなフェイトとアリシア。アンタ達がついていながら何やってんのよ。事情を聴けば、聞こえてきていた話通り。レヴィは気に入ったコミックを全巻買おうとした。だけど、そのシリーズは未完。そのシリーズを買っても続きが読めないから後悔する、というのがフラムの意見。

「レヴィ、やっぱりフラムの言う通りだよ。続きが読めないってかなり苦痛だよ?」

「うん。完結しているシリーズのコミックを探そう?」

「うぅー・・・」

「レヴィ。この作者の書いてる本を探しましょ。そっちの方がまた面白いかも知れないわよ」

「・・・うん。判った」

なんとか言いくるめて、レヴィがお気に入りの作者の作品で、なおかつ完結してるシリーズを探したんだけど、結局なかった。でも、「あ、これ面白そう!」別の作者の完結シリーズを気に入って、それの全巻を購入することになった。
それからレジで会計を済ませて(全員分の合計で100万近くだったこともあって、ルシルがカードで一括払い)、駐車場で待っていてくれた鮫島と、その車にドサッと買った本を載せて、あたし達はまた徒歩で商店街を巡る。

「お? 何でありますか?」

フラムが何かに惹かれたみたいで、目を細めて何かをジッと見た。そこは裏道って感じの路の先にある木造の古き良き駄菓子屋だった。おやつの時間な15時に近いということもあって、あたし達は駄菓子屋に行くことに。狭い店内に全員が入って、気になった駄菓子をフィーリングで決めて購入。そして・・・

「すっぱ!」

アミタは購入した駄菓子の内の1つ・梅干し飴を口に含んだ瞬間に口を窄めた。

「っ!? 口の中がパチパチしてる!?」

キリエはパチパチ綿アメ。綿型のガムと炭酸ガスの粒型の飴の綿菓子で、口に入ると飴が弾けるってやつ。キリエの口からパチパチと飴が弾ける音が聞こえてくるわね。

「何故うぬらは冒険しようとするのだ。名前からある程度はどういった物かは判断が付くであろう。・・・ふむ。我の駄菓子は当たりのようだな」

ディアーチェがタバコ型の飴、コーラシガレットをパリポリと噛んで食べる。

「甘いですね~♪」

ユーリは無難にブドウ味の飴玉を頬張る。いろんな味の飴をあげたくなるわ。

「私のも当たりです。癖になりそうな甘さですね」

シュテルはキャラメル。確かにあの甘さって癖になるのよね。あたしも後で買おうっと。

「ぷくーっ!・・・わっ!?」

レヴィはソーダ味の風船ガムで、初めてにしては上手く膨らませた。だけど、しぼむ前に割れたことでガムが顔面に張りついて「べたべたする~!」剥がすのに苦戦中。

「よっと!・・・あむっ! 甘いでありますな~」

フラムはマシュマロ。袋から取り出したマシュマロを頭上に放り投げてから食べる。どこでそんな知識を得たのかしら。

「あら。結構美味しいですわね、コレ」

アイルは・・・高飛車お嬢様って感じなのに、選んだ駄菓子はなんとデカカツ・ソース味。似合わないと言うか、それを選択した理由を是非とも訊いてみたい気もするわね。そんな感じであたし達は駄菓子を食べ比べっこして、帰り際に自分たちや博士用のお土産として多くの駄菓子を買った。
 
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