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ランス ~another story~

作者:じーくw
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第3章 リーザス陥落
  第83話 カースA討伐戦



~パッキャマラード・デン~





 一行は、デンへと到着したのだが、今回のこの街で募る案。それが 良かったのか、悪かったのか……、それははっきり言って微妙だった。

 確かに、一癖も二癖もある連中が揃っている。ヘルマンにも臆することなく、戦える者達が多い。そして、ヘルマン側もこのデンには手を出していない様で、被害の類も見られなかった。

 だが、問題はここからだ。

 デンに到着すると直ぐに判った事なのだが、デンの街中から悲鳴が聞こえるのだ。当然ながら、ついたばかりのこちら側には、状況を理解出来る者などは誰もいない。ヘルマン側がこのデンに攻め入った、と言う情報は無かったから、ヘルマン側の仕業では無い事は判っていたし、危険がある、と言う情報もこちら側に入ってなかったから。

「おい、シィル。一体何が起こっているのだ?」
「えと……、ちょっと判らないです。ランス様」
「役立たず!!」
「ひんひん……」
 
 とまぁ、こんな具合にランスとシィルもいつも通りだった。
 ゆく先々で、アクシデントに見舞われるのも、正直な所通常運転だ。

 そして、ひと足早くに 街の様子を探ってきてくれたかなみが戻ってきた。

「……ユーリさん。話を訊いた所、ですが、少々厄介な事がある様です」
「まぁ、街の様子を見たら、一目瞭然だがな。……街一つ巻き込む厄介事、か。ヘルマン側じゃないとすれば……、モンスターの類か?」
「お察しのとおりです……」

 この街にまで同行してくれたのは、かなみ、志津香、マリア、トマト、クルックー、シィル、ランス、そして ユーリの7人である。
 有志を募るのが、目的であって、戦いが目的じゃないから、少数精鋭。大人数で行くこともない。と言う事で 最終的に纏まったのだ。


――ランが盛大にため息を吐いていたのはまた別の話。


 色々と思う所はあるだろうけれど、まだまだする事が多いから、と言う事で涙を飲んでもらった。そして、セルやミリに慰められたのだった。 

 話を元に戻そう。
 デンの街では、今モンスターに襲われている。……それも、並大抵のものではない。

「カースAだと!?」
「みたいなんです」
「ち……。なんでまたこのタイミングで……」

 ユーリは苦虫を噛み潰した様な表情をしていた。
 カースAとは 以前ラース達と共に倒した触手の集合体、とも言えるモンスターだ。その性質は凶悪極まりなく、無限とも言える食欲を持ち、人間も好んで食する。
 因みに、カースAはランスと何処となく似た性質を持っているのが、このメンバーから考えたら、せめてモノ救いだろう。

「う、うわぁぁぁぁ!!!」

 デンに住んでいたのであろう、ゴロツキ風貌の男があっという間に触手に絡みつかれる。

「ら、ランス様。大変です」
「おおー。なんだ? あのぐねぐねしたヤツは。寒天の壁の次は、ゼリーの塊か?」
「馬鹿。あれは、カースAっていう魔獣らしいのっ! このままじゃ、ジオの街にまで押し寄せる可能性があるんだって!!」

 シィルが大変そうに……、この戦争の事を考えたら、これが、いつも通り、とおもえてしまうのは仕方がないが、この現状は下手をすれば、ヘルマン軍を相手にするよりも厄介だ。少数できてしまったのが、裏目に出たと言える。マリアもかなみと一緒に色々と情報収集をしてくれた様だ。

 そうこうしている間に、カースAの一部である触手が襲いかかってきた。

「ちっ、剣じゃ分が悪い! 斬っても分裂するだけだ!」

 ユーリは、剣を構えつつ、皆に叫んだ。

「ランス、こいつらは爆散させるのが有効だ。全力でぶっ飛ばせ!」
「オレ様に命令するんじゃないわ! ええぃ! 気色悪い! 寄ってくるんじゃない!!」

 ランスとユーリは、2人揃って剣をふった。

 ランスの《ランス・アタック》。
 ユーリの《煉獄・爆砕》

 それらの攻撃が、カースAの細胞のひとつひとつをすりつぶしていく。
 最も効果的な攻撃であり、所謂《弱点》と言うモノなのだ。

「流石ユーリさんですかねー! 惚れ惚れですかねーーっっ!!」

 傍で剣を振るいつつ、ユーリに拍手喝采! をする勢いで喜ぶのはトマト。
 ユーリの事だけでなく、ユーリの剣技を見よう見まね! とまではいかないが、技の名前を使っている程惚れ込んでいるからこそ、なのだが 当然ながら納得がいかないのはランスである。

「コラァ! 不感症娘! オレ様の攻撃の方がもっと凄かっただろうが!!」
「トマトさんは、ユーリさん派ですかねー。ん~、ランスさんも凄かったですかねー?」
「そこを疑問形にするんじゃない!」

 うねうね~ と触手が絡んできているのにも関わらず、このメンバーは変わらない。いや、トマトとランスなのだけど、大体変わらない。

「あんた達、集中しなさい!」
「もーー、これ、気持ち悪いんだから! えーい! チューリップっ!!」
「回復は任せてください。いたいのいたいのとんでけー」
「あ、私もしますっ。いたいのいたいのとんでけー」

 志津香やマリアは 文句をいつも通り。
 クルックーとシィルはマイペース。触手による攻撃を何度か受けている為、急いで全員に回復をしてくれていた。

「ほんと、頼りになるな……」

 ユーリは、苦笑いをしつつ、カースAの分身である触手を葬り続ける。

「集団漫才も良いが、ランス。……あれに絡まれない様にしろよ? 男は 怪我じゃすまん」
「む? 男??」

 ランスは、ユーリの言葉を訊いて訝しみながら首を傾げていた。
 そんな時だ。

「もーー、なんで私達がこんなとこにいんのよ!」
「まー、まー、これも勉強、勉強だよー。アテンちゃん」
「珍しく、遺跡、ブブビビ遺跡行こう! とか言ってたのに、なんでここなのよっ! おまけに、妙な化物に囲まれてるし!」

 カースAの触手に何人も殺られていて、この周辺のみではあるだろうが、多少なり悲鳴などが無くなっていた賑やか? な声が聞こえてきた。

「だいじょーぶだよ! 頑張ろう! アテンちゃん!!」
「はぁ……(なんで観光ツアーでこんな目に……)」

 賑やかな声の元を辿ると、そこには、女の子達がいた。
 やや離れているのにも関わらず、大した声量である。

 この場では最年少だろうか? とも思えるまだ幼さが多少残っている少女達だ。歳の話題は、いろんな意味であまりしないから、言及しないでおこう。

 そう、少女達は 自由都市内で色んな所で 出没? していたツアーメンバー、ジュリアとアテンの2人である。

「ん……、何だか 見た事ある様な……、それに、この声も訊いた事ある様な」
「違う意味で賑やかになったわね」

 ユーリは、何処かで会ったか? と首を傾げていた。志津香も、先程の惨状とはそぐわない光景だったから、思わず気が抜けた様だ。
 だが、一先ず考えるのをやめた。何故なら、カースAの触手が迫っているのを見たからだ。そして、比較的、傍にいたマリアが。

「あっ! 君達、そっち、行ったよ!!」

 大声を上げて、危険を知らせた。

「え? あっ――――」

 先程、アテンは 魔法を使って、攻撃をこの触手にしていた。
 その魔法の痛打を受けた報復、のつもりだろうか? その隣にいるジュリアには目も呉れず、アテンに接近していったのだ。

「やばっ……!」
「アテンちゃん! 危ないっっ!! ちぇいやさ―――っ!!」
「い、痛ぁっ!?」

 アテンは、ゼスの優秀な魔法使いである。
 バリアを張りつつ、身を翻そう、としていたのだけど、予想外の所からの攻撃? ではなく、アテンを庇おうと突き飛ばしたジュリアの両手、掌底打にダメージ? を受けてしまいそうだったのだ。

「アテンちゃんには、指一本触れさせないよーーっ! この、しん……っと、謎の美少女ツアーガイド、ジュリアちゃんが守る! えーーいっ!!」

 ぽく、ぽく! と、手に持った手旗で触手を叩くが……、当然なんの効果もない。

 ここは、格好よくモンスターをなぎ倒す自分の姿を連想させていたジュリアだったが、全くの手応えがなく、怯むようすもみせない相手を見て、逆に自分がちょっと怯んでしまっていた。当然、アテンも呆れる……どころじゃすまない。

「あっ、あれぇー??」
「なっ、こ、このっ! おバカーーーーっっ!!」

 些細すぎる抵抗を意に介さず、カースAの触手が2人を捉えたのだ。

「きゃーっ!」
「ひっ……! つ、捕まっ……! (は、はやくしないと、さっきの人たちみたいに……っ)」

 触手に捕まった2人。女の子の力では振りほどくのが不可能とも言える程の力で体中に巻き付かれてしまった。



 それを見ていた志津香は、慌てた。

「大変……っ こんな所に来るからっ!」

 両手を翳し、魔法を放とうと構えた。
 先程のデンの住人であろう男が、あの触手に捕まって、ぐちゃぐちゃにされる、というショッキングとも言える場面を見ているのだ。そんな事になるくらいなら、魔法で吹っ飛ばした方が、無傷は無理でも、死ぬ事なないだろう。だからこそ、諸共に魔法を放つ、と決めたのだが。

「志津香、待て」
「何悠長な事、言ってんのよ。ゆぅ! 早くしないと、あの子達、死ぬわよ!?」

 ユーリが志津香の手を掴み、魔法を止めたのだ。
 志津香は、ユーリの行動の意味が分からず、無理にでもうとうとしたのだが、ユーリは首を振った。

「――……大丈夫、だ。カースAは確かに獰猛で凶悪な魔獣だ。……だが、女の子であれば、大丈夫なんだ。寧ろ、志津香の魔法の方が被害がでかい」
「???」

 ユーリがそういったと殆ど同時だった。
 アテンとジュリアの様子がおかしい事に気づいたのは。

「って、……あれ?」
「にゃーーっ、服の下に入ってくるーーっ」

 触手たちは、盛大にアテンとジュリアに絡まりながら、衣服を剥ぎ取る、若しくは潜り込んでいたのだ。


「……なんなんですかねー? あれは??」

 トマトも、この光景には言葉を失っ……てはないが、理解できない様子だった。

「むむ、バケモンの分際で、ガキとは言え、女の子に触手でイタズラするとは……。ふむふむ、がははは。将来性を感じさせるおっぱいではないか。まだまだ、だが」
「ランスっ! 何を、馬鹿な事言ってんのよっ!」

 ランスは、まだストライクゾーンに入っていない様子だったのか、そこまで興奮する事はないが……、それなりには楽しみながら見ていた。マリアはそんなランスを叱咤するのだが、効果は今ひとつなのだ。

「……ああ言う性質なんだ。どっちかといえば、女を狙った時は、ランスだな。……ん。男には容赦ない所も、似ているが、即殺な所を見ると、あっちの方がタチが悪い」
「こら!! いつまでも 見てるんじゃないわよっ!!」
「いたっっ!!」

 やや、ため息をしながら見ていたユーリに蹴りを入れる志津香。
 完全に油断をしていた為、更に痛い。

 そうこうしている間にも、アテン達には更に不運な展開となってしまう。


「あ、っ! ちょっ、こ、こらっ……!!(ど、どいう事……っ!? さっきの人たちはすぐに殺していたのに……様子でも? って、こ、この感触っ……!!)」

 先に、触手の攻めに堪えきれなくなったのは、ジュリアだ。

「にゃ、にゃふははははははは!!」

 目に涙を浮かべながら、大笑いをしていた。触手は敏感な部分を攻め……、責め続けているのだ。所謂、くすぐり攻撃である。

「ちょっ、く、くすぐった、っ……! あ、あは、あはははははっ……!(ななななっ、ぐ、こ、この)」

 盛大にくすぐられ続ける2人。


「がははは。あれは大丈夫そうじゃないか。うむ、楽しそうだ」
「ら、ランス様。可哀想ですよ……。私は、触手に絡まれたくないです……」 

 楽観的な考えをしているのだが……、くすぐり、というのは古来より拷問に使われる事があるのだ。短時間のそれであれば、確かにランスの言う様に別段大した事じゃない。

 が、長時間続ければ危険だ。

「いつつ……、蹴るな蹴るな、志津香! それに、一応大丈夫とはいったが、さっさと助けた方が良いのは確かだ、擽りは 度を越せば、十分拷問だぞ」
「わ、わかってるわよ! さっさといくわよ!! グズグズしない!」
「……横暴だ。相変わらず……」
「うっさいっ!」

 気を取り戻して、彼女たちを救出に行こうとしたのだが、問題ない様だった。

 あまりに度を越した責めがもたらすのは、やられている側だけとは限らない、という事だろう。

「離せって、言って……! ふ、あ、あははっ、こ、このっ! む、むぺんぱ式……ふふっ! あ、ああ!! もういい!! ―――――軟体凍結!!」

 アテンの手から放たれた光は、ぐねぐね、とうねっていた触手があっという間に凍結を始めたのだ。薄く張った氷は直ぐに砕かれているのだが、おそらくは 触手の奥深くにまで浸透しているのだろうか、動きが格段に鈍くなっている。

「あ、あれは、むぺんぱ式対軟体生物様の、氷雪魔法……!?」

 魔法使いとして、知識が解放軍の中でもトップクラスの志津香。
 だからこそ、魔法の正体にいち早く気づいた。

「……ゼスで取り上げられていた魔法使いの少女が、彼女か。……どっかの馬鹿とは大違い、って事なのかな?」

 ユーリも、その名前は知っていた様だ。
 そして、《ゼス》、そして 《魔法使い》から、連想してしまった、ゼスのとある魔法使いの事を思い出してしまい、ため息を吐いていた。

「凄いっ! 弾力がなくなってる!」
「これなら、通るわね! チューリップの威力で一気に叩き割るわ!」

 かなみの忍者刀、そして 手裏剣。あの軟体相手には、心許なかったのだが、凍った相手であれば話は別だった。マリアの爆撃も 凍った触手には効果は抜群だ。

「っ、は、はぁ はぁ…… これで、いいでしょ」
「大丈夫ですか? いたいのいたいの、とんでけー」
「手伝います」

 近づいていって、ヒーリングを掛けるシィルとクルックー。

「な、何? あんた達は……。あっ」

 アテンは、シィルやクルックーに驚いていたのだが、ヒーリングをかけてくれているのに気づいた様で。

「ど、どうもありがとう」
「いえ。問題ないです」
「はい。無事でよかったです」
「ありがとーーっ そして、ちゃーーんすっ! 総攻撃だよーーっ!!」

 ジュリアの掛け声。
 それに、同調したのはランスである。

「がははは! 女の子を救うオレ様は格好良い! ラーーンス・あたぁぁぁっく!!」

 総攻撃、という事で1番目立つ様に登場。高い位置から、飛び降りて、盛大なランス・アタックを撃ちかましたのだ。

「いくですかねーー! レンゴク・トマト!! ネクストジェネレーションver! ですかねーーっ!!」

 ちょっぴり、剣が壊れない程度に爆発茸の欠片を塗りつけ、そのまま、力いっぱい振り下ろす。使用量を間違えない様に、精密に……っと、彼女のキャラでは ちょっと難しいので、真面目で正確な分析が出来る真知子、そして マリアや香澄にも手伝ってもらって完成した配合バランスなのである。
 そして、火の魔法は通じづらいのだが、爆発系は別の様だ。

「はぁ。ふざけてるのか、本気なのか……。ともかく! 火が効きにくいのは間違いないみたいね。……エンジェルカッター!」

 志津香は、光属性の魔法を撃ち放った。どうやら、火の魔法以外は全部通じる様だ。
 そして、凍結した事もあり 難なく 触手の群れを倒す事は出来た。

「本体の強さは、触手の数と強さに比例する。……以前のヤツより……」

 ユーリは、剣を仕舞いながら呟いた。

「以前、ユーリさんも戦ったと言う話ですが……、今回のは」
「ああ。……数段上だ。こんな所に いて良いような相手じゃない」

 ゼスでの1件、ラークやノア達と共に戦った事のあるカースAだが、その時よりも遥かに上、それは、体格(サイズ)下手をすれば子供と大人の差だ。

 ぐにゃりと広がったままの触手は、まるで動く気配が無い。

 それは、当然だ。本体と繋がっているであろう元から完全に切り離されている、或いは粉々になっているのだから。

「ひゃぁ……、それにしても 大変な目にあったね~? アテンちゃん!」
「アテンちゃん! じゃないわよ! 何をどーやったら、こんな事になるわけっ!? 珍しく、ガイド役を率先してやりだしたかと思えば、なんでここについてんのよ!」
「だってー、こっちがブブビビ遺跡だと思ったんだもん♪ 山、近いし!」
「山なんか、幾らでもあるでしょ!!」

 盛大に言い争っている……、と言うより一方的に怒ってる子と完全に天然が入っているのか、聞き流しているのか、おそらくは前者なのであろう子。

 一先ず、ここにいるのは危険には違いない為。

「お前達も、とりあえず オレ達と来るか? 触手の範囲は極めて広い。……入り込んでいる以上、どこで遭遇するか判らないからな。いや、遭遇してもおかしくない」

 ユーリはそう提案をした。
 黒髪の少女、アテンには十分に戦えるだけの能力、魔力を持ち合わせている様だが、もう一方のジュリアと言う少女には、そう言う気配はまだ見えない。 お世辞にも今現在、あのカースAと戦えるだけの力があるとは到底思えないのだ。――何れ、化ける可能性は0ではないとは思うが。

「アテンちゃん、どーする??」
「うー……、お荷物抱えてる状態だし……。そっちの方が安全そうだし……」

 アテンは、さっさと帰りたい、と思っているのだが、ユーリが『どこで遭遇してもおかしくない』と言う言葉を訊いて、考えを改めた様だ。

「あんた達は、この街の住人なの?」
「いや。リーザスの解放軍にいるメンバーだ。ここにいるのはな」

 指を指して説明をするユーリ。

 見てみると、盛大に『がはは』笑いをしながら、触手の残骸を只管蹴っ飛ばしている男
と、オロオロとしつつ、触手が痙攣するたびに、自分の身体もビクつかせているピンク色の髪の少女。
 その光景を見てため息をしているメガネをかけた少女。後は、目の前の男と一緒にいるメンバー。

「(際物揃い……と言うか、なんと言うか……)」

 一瞬そう思ってしまうアテンだったが、最善策を考えたら、何が一番なのかは判っていた為、早かった。

「じゃあ……、お願いするわ。此処を脱出したいんだけど……、本体を倒しに行くんでしょ?」

 アテンには、彼らの目的が何なのかは判らないが、用事があって此処を訪れたのは 判る。そんな時にカースAと遭遇したのだから、このまま 帰るとは到底思えなかった。

「まぁ、な。ここの元締と話がしたかったんだが……、今はそうも言ってられないみたいなんでな」

 ユーリが、視線を向けた先。また 悲鳴が聞こえて来た。

「ふん。軟弱者が多いのではないか? この街は」
「はぁ、相手が相手だ。仕方ないだろ。 全員がランスの様にはいかん」
「がははは! 当然だ。オレ様の様なスーパーな戦士がそこら辺にいる訳がないだろう!」

 皮肉を大分込めたつもり……なのだが、一応操縦テクニックも駆使しているから、ユーリにとってはしてやったりの反応だった。

「さっさと行くぞ。むさ苦しい男共が死ぬのは構わんが、女の子は保護してやらんといかん! ……そしてぇ!! ユーリ!! 貴様は、魔獣の相手だけをするんだぞ! 女の子には、指一本触れさせんっ!!」
「はいはい。オレに負けない様に頑張れー(棒)」
「その前に、回復はしておきます」
「ああ。ありがとう。クルックー」

 のっしのっし、と歩いていくランス。
 目の前にも女の子は2人程いるのだが……、ランスの許容範囲外の様で、気にしてない様だった。そんな中でも、マイペースに先程の戦いの傷を癒す為、《回復の雨》を使用するクルックー。

 ランスの事に対してもそうだが、何事にも動じない精神力の持ち主だなぁ、と改めて、ここにいるメンバーは思っていた。
 そんな時、ユーリの隣にいた志津香は。

「馬鹿ね。こんな大変な時に、変なことする訳ないでしょ」

 そう言っているのだが……正直目が怖い。そして、目

「……懐かしさも感じるな。足に魔力を貯めるな」
「ふ、ふんっ!」

 志津香も相変わらずだった。『すれば、どうなるか分ってるわよね?』と言っているかの様に、魔力を足に集中させているのだから。
 かなみも、志津香の勢いには 毎度羨ましさと同時に、微笑ましさも覚えてしまっているが、今は 現状の報告が先だった。

「ユーリさん。とりあえず この辺りには触手はいないみたいです。振動や音響である程度の目星は付けました。……ただ、移動速度が早い為、直ぐにでも現れる可能性は捨てきれませんが」
「ああ。判った」
「トマトも頑張るですかねーっ。あ、マリアさん! レンゴク・トマトのチャージをお願いしますかねっ!」
「はいはい。無駄遣いしちゃダメよ? ストックも少なくなってるんだから」

 かなみに返事をし、そして トマトは粉末状の爆発茸を受け取って剣の鞘の中にそっと忍ばせた。……まるで、お小遣いをあげている母親と子供の様な……と、思えるが 渡してる物が危険物。その連想は直ぐに捨てた。

「じゃあ、奥に行くぞ。……注意を怠るなよ?」
「はい。判りました」
「了解」
「行くですかねーーっ!」
「はぁ……なんでこんな目に……」
「えいえいおーっ!」

 ランスを待たせたら、色々とうるさいので、警戒しつつもさっさと追いつく様に、足早に進んでいくのだった。

 因みに、新たな仲間? となった2人。

 アテンは、げんなりしていて、ジュリアに関しては あっという間に順応、と言うより溶け込み、トマトといい具合にはしゃぐのだった。













~娼館 モンスーンの館~


 デンの街と言えば、娼館。とまで囁かれている程、有名であり 犯罪者だらけの街に置いて、絶大な人気を誇る場所(勿論、デンの街の住人 聞き込み結果)

 調査によると、ならず者達が流れ着くこのパッキャマラード・デンの元締がここの主との事だ。住人たちは、敬意を込めて、《大娼婦》と呼ぶらしい。

「あー。お客さんかい? 悪いね。今は凄く取り込んでて、出来そうに無いんだ」

 そこに出てきたのは、どう見ても学生にしか見えない少女?
 何処かで見た事のある制服だと思えば、以前 リーザスに行った時に見た事がある、パリス学園の制服だ。
 あの学園はお嬢様学園。こんな場所にいる様な人脈じゃないのだが……、ツッコミは誰もいれなかった。

「うむ。判っている。カースAとやらが、大暴れをしているんだろう? オレ様がきたからには、もう安心だ!」
「へぇ……、あのバケモンの事知った上で、ここにきたのかい? あの凶暴性を知った上で?」
「がははは! オレ様にかかれば、あの程度 ちょちょいのちょーい! なのだ。がははは!!」

 一気に良い気分になったランスだ。勢いのままに押し切っている印象だろうか。

「ユーリさん……、あの人がここの……?」
「みたい、だな。貫禄の様なモノが見える気がする。学生には出せない気配(オーラ)だ」

 かなみの疑問はよく判る、と言うものだったが そんじょそこらの若者が出せる様な佇まいじゃない事ははっきりと判った。
 この街が大変な目に合っていると言うのに、落ち着き、色々と男達に指示をだし、この館の娼婦であろう娘達の安全にも気を配っている。

「それで、君は? ここで働いている女の子か?」
「ん? あたしは、この娼館、ついでにデンをしきってるヘクトミリバール・千津ってもんさ」
「…………………」

 流石に、ランスも言葉が直ぐには見つからない様だ。
 そして、ユーリの言葉も的中した。こちら側全員も、ランス同様に言葉が出なかった様だ。そして、ランスは頭のてっぺんから足の先まで見わたす。どう見ても、彼女の姿は……。

「…………学生にしか見えんな」
「そりゃどうも。平時だったら、この格好はウケがいいんだけどね。今は生憎、あのバケモンがきたせいで、それどころじゃないんだ。一応言っておくけど、デンじゃ、元締の他に、大娼婦だのなんだの、色々と大層な呼ばれ方をする事もあるよ。……っとと、話はこの位にしとこうか」

 千津は、軽く咳払いをした。
 男の悲鳴が微かにだが、聞こえて来たから。

「手を貸してくれる、ってんなら 嬉しいね。ここには血の気の余った連中が揃ってるんだが……、どうも、あのバケモンには相性が悪いみたいなんだ。……それで、見返りは 兵士がほしいのかい? あんた達は解放軍さん達だろう?」

 あっという間に、こちら側の素性を見極めた様だ。

「……成る程、確かにこのデンをまとめるだけの器があるみたいだな。見事な眼力だ」

 ユーリも少なからず、感銘を覚えた様子だった。
 千津も、ユーリを見てニヤリと笑った。

「ま、蛇の道は蛇……って、感じかねぇ? 大体の佇まいや見た目? をみりゃ判るもんなのさ。それに、あのカースAにたじろぎもしないなんて、そこら辺の用心棒クラスじゃいる訳もないしね。ともなれば、解放軍しかないだろう。あのヘルマンに連戦連勝中の、さ?」

 その威圧感に似た何か……。そして 誰も口にはしなかったけれど……、見た目(・・・)。何処か通じるモノでもあるのだろうか? と志津香は思っていた。 ちなみに、かなみも……。

 こう言う時は、妙に勘が鋭いユーリなのだが、彼の後ろにいたから、気づかれる事はなかった様だ。

 千津は、ひとしきり笑うと本題に入った。

「あたしは、借りは残しておかない主義でね。この街を助けてくれたからには、礼はするよ。正直、まだヘルマンの本体は健在だし、分の悪い賭けとは思うけど、そっちにベットするさ」
「おお、よしよし。あっさりと交渉成立したぞ。流石は、オレ様だ。がははは!」
「なんなら、ワンプレイ無料(ただ)でやってやろうじゃないか。ウチのプレイは、本当に半端じゃあないよ」
「おおっ、それも面白いな! がははははっ! よーし、大船に乗ったつもりでいろ。さっさと、そのバケモンは刺身に変えてやる!」

 ランスは、意気揚々と外へと出ていき、シィルも。

「ら、ランスさまぁ~~」

 追いかける様に出て行った。

 そして、残されたメンバー達はと言うと。

「やれやれ。まぁ、やる気を出してくれたんなら、話は早いがな。カースAとはあいつの剣は相性が良い」

 ユーリは、ため息を吐きつつも 戦況的に楽になった、とつぶやいていた。

「はぁ。まぁ 私達も行きましょ。シィルちゃん1人だけじゃ あいつの世話が大変そうだわ」

 志津香は、ランスの事よりもシィルの事を心配している様だった。
 かなみも、うんうん と頷き。

「回復は任せてください。私の武器(メイス)では、少々相性が悪い様ですので」

 クルックーもいつも通りマイペースだった。

 セルであれば、こう言う場所を見ると、『ALICE様の教えを……』と少なからず、教えを説こうとするだろうけれど、クルックーはそう言う気配は無かった。

 クルックーも優秀なAL教信者であり、司教見習いとまでなっているから、多少疑問に思ったユーリだったが。

「任せるですかねー! クルックーさんっ! トマトの、レンゴクも火をふくですよー」
「はい。お任せします。ですが、火は効きづらそうですが」
「だいじょーぶですかねーー! ユーリさん直伝ですからねー!」

 トマトとはしゃいで? いるから それ以上は何も言わなかった。

 


 そして、全員ここから出ていこうとした時だ。

「宜しく頼むよ」

 千津が声をかけてきたのは

「ああ。任せろ。……こちらとしても、有益なのには変わりない」
「ふふふ。可愛い顔して言うじゃないか。あんたが 頭なんだろ? 緑の坊やとは違って」
「……いや、あいつが解放軍リーダーなのは間違いないぞ?」
「ああ。そう言う意味じゃあない。形は大切だし、確かにあのぼーやも並じゃない。相当強いとは思うんだ。――……ただ、ああいうぼーやが、快く暴れられる為に、必要なのは、裏に実力者がいなけりゃならない、だろう? どんなもんでもそうさ」

 不思議と、この人に《可愛い顔》といわれても あまり来るモノは無かった。
 いろんな意味で、見透かされている感じがしたからだ。

「色々とお見逸れしたよ。正直、アンタもスカウトした位だな」
「やめとくれよ。こんなおばさんを捕まえて。ただの経験さ。――見た所、あんただって色々と経験してるだろ?」
「ッ――……」
「んで、容姿も色々と気にしてる、って感じか? ――ふふ。こう言う商売をしてると、相手が何を望んでるのかとかも見抜けないと、稼げないからね」

 千津は軽く笑うと、ユーリの手を掴んだ。

「頼むよ。ここはゴロツキの溜まり場。世間さんにとっては、肥え溜かもしれない。でも――あたしにとっちゃ、守んなきゃならない場所なんだ」
「ああ。任せておけ。カースAはさっさと始末する。原因はそちら側に任せてもいいか? こんな場所にいて良い相手じゃない」
「ん。そっちの方は大体当てがある。大丈夫さね」

 そして、話が纏まってきた時だ。

「ゆぅ! 何してんのよ! はやく行くわよ!」

 しびれを切らせたのだろうか? 志津香が、再び戻ってきた。

「ああー。悪かったね。じゃあ 頼むよ。ん、こっちの方も色々と準備しとくから。――色々(・・)とな?」

 その言葉を訊いて、志津香の表情が変わったのは言うまでもない事だ。

「――……妙な言い回しはしないでくれよ」

 ……何処となくミリやロゼの性質も見えてきた千津。

 足が痛くなりそうだから、さっさと志津香を連れて、外へと向かうのだった。











 娼館から出た先の広場にて、カースAの本体が現れたとの事だ。

 悲鳴をたどっていけば、大体の触手の場所も把握する事ができ、本体の戦力を削ぐ為に、触手の数を減らすのが最も効果的だ。

「はぁ……、なんでこんな目に……」

 愚痴を漏らしてしまうのは、アテン。
 こればかりは仕方がない。ただの観光ツアーだった筈なのに、戦争地域にまで入ってきてしまった。巻き込まれる事は回避出来た様だけど、今回のデンは回避出来なかった様だ。

 それもこれも、隣で笑って話をしているジュリアに巻き込まれた形になったそうだ。

 色々と話を訊いていたら、何やら親近感が少なからず湧いてきたのはユーリ。

「大変、だったな……」
「はぁ……ほんとにそうよ……。色んな知識を得られると思ったのに、これじゃ……」

 戦ってばかりだから、あまり興味が無い経験値が貯まりそうだ、とボヤく。

「戦争はミラクルに任せたら良いのに……」
「みらくる?」
「ああ……こっちの話。身内にいるの。こう言うの、好きなのが……」

 アテンが話す中に出てきた《ミラクル》と言う名について。
 これは、今後 関わってくる人物の1人である……と言う事はこの時 ユーリは考えてもいなかった事だった。




 そして、全ての触手を始末し、本体カースAとご対面。
 さっそく、アテンにはむぺんぱ式の《軟体凍結》魔法を掛けてもらい、動きを止めてもらったが、それでもうねり、動き続けている。
 その動きは、生理的な不快感をもたらす。

「うげ……、触手以上に気持ち悪いな。見てるだけで吐き気がする……」

 マリアが思わずむせてしまうのも無理はない。
 相手は、動きが鈍くなったとは言え、あの触手の集合体だ。
 おまけに、絶えず姿を変え続けている巨大な不定形だ。触手の元締、と言っていいだろう。

「さっさと始末するわよ! エンジェルカッター!!」
「ああ、もう! アンコク!!」

 魔法使いの2人が遠距離攻撃で先制する。

「いっけー!! チューリップ!!」

 マリアも、魔法に合わせて、チューリップによる砲撃を開始。

「えいえい、えーーいっ!」
「てりゃてりゃてりゃーー! ですかねー!」

 ジュリアとトマトも、剣でぺしぺしー! と叩き続けている。

「がははは! さっさと経験値になれーー! デンジャラス・らぁぁんす! あたぁぁぁぁぁぁっく!!!!」
「これは、大分楽だな。――煉獄・爆砕!」

 まるで、爆発が起こったかの様に吹き飛ぶカースA。

 凍結してなくても、関係なく吹き飛ばす一撃。
 柔らかくても、弾力があっても、関係ない。――有無を言わさぬダメージ固定の爆発の剣は、カースAの不定形でも、頭? と思える場所を打ち抜き、爆ぜさせた。

「デビルビーム! 死爆!」
「エンジェルカッター! 光爆!」

 アテンと志津香の光と闇のコラボレーション。
 相反する属性の魔法を叩き込む事で、何やら相乗効果も得られたのだろうか? ランスとユーリの爆発の剣にも負けない勢いで、吹き飛ばした。

「ぎっしゃあああああああああっ!!!!!」

 その魔法は勿論、爆発の一撃によって、耳障りな、苦悶の声が魔獣から上がる。

「がはははは!! オレ様、大勝利~~!! おいこら、シィル! 何サボっている! 後でお仕置きだからな!」
「ひんひん……、わ、私も回復とか、クルックーさんと頑張りました……」
「はい。シィルさんも頑張ってくれました」

 盛大に、触手の残骸を足蹴にしているランスに、シィルは 必死に弁明。クルックーも肯定してくれた。
 
 そして、ランスは、完全に油断をしている様だ。

「ぎっしゃああああああ!!!!!」

 最後の足掻き、とも言えるカースAの叫び。
 それは、触手の残骸を強引に引き寄せると、ランスに絡む。

「うげっっ!!」
「ら、ランスさまぁ!?」

 巻き付かれたランスの姿を見て、絶句してしまうシィル。あの触手に絡まれて、バラバラにされてしまった人たちを見てきているからだ。

「ら、ランスの馬鹿!! 油断してっ!!」

 マリアが、チューリップを向けるが。

「こらぁ! オレ様まで、吹き飛ばす気か!?」
「バラバラの粉々より、マシでしょ!」
「マリア、手伝おうか?」
「こらぁああ! 志津香!! 喜々と魔力を貯めるんじゃない!!」

 まだまだ、余裕があると思えるのは、カースAが殆ど死にかかっているからだろう。
 万全の状態であれば、もうランスは……と考えられるのだから。

「ちょ……、大丈夫なの? あれ?」

 アテンがユーリにそれを訊く。
 巻き付かれた経験があるから……と言うのは、忘れて、男達が殺されていった姿は見ているから、流石のアテンも心配だった様だ。
 でも、殆どのメンバーは心配している姿は皆無だった。

「はぁ……、相変わらず、ムラがあるな」

 ユーリは、ため息を吐きながら、剣を鞘に収めていく。

「って、フォローはしないの?」
「いや……」

 ユーリは、完全に鞘に収め切った所で言った。



「もう、終わってる」



 その言葉の意味が、アテンには判らなかったが……直ぐに判る事になる。


 その後に、ユーリが呟いた言葉《煉獄・斬光閃》

 光の筋が、カースAの本体に何本も伸び……、それが切れ目となって、粉々になっていく……。最終的には、ランスの拘束を説いたのだ。

「なっ…………」

 何が起きたか判らない。
 ただ、判るのは……、あのカースAが完全に沈黙した、と言う事。そして……。


「こら! ユーリ!! オレ様のスーパーな装備が汚れたではないか!」
「助けられて無茶苦茶言うなって」
「下僕であれば、当然なのだ! そして、対応が遅い!」
「バラバラにされるよりはマシだろ?」

 まるで、危険を感じてなかった、と言う事だった。

 2人をよく知っているであろう、回りの者達も同様だった。
 
 最終的には、ランスが更に調子に乗って……シィルだけじゃなく、マリアにまでも手を出しそうだったので、志津香が実力行使(炎の矢)をして 阻止していた。


「(……解放軍って、こんな感じなの……?)」


 まるで、遊んでいるかの様に、化け物を倒してしまった。
 
 確かに、アテン自身の軟体凍結の魔法があり、多少なりとも戦いやすくなっていたのだが、それでも その本体の大きさを考えたら大規模な討伐戦、となっても不思議ではない。
 なのに、殆ど少数で倒してのけたのを見て……、暫くアテンは言葉を失うのだった。











                                                 









~人物紹介~


□ ヘクトミリバール・千津

 本編でもあった通り、ならず者どもが流れ着く街、パッキャマラード・デンの元締にして、娼館の主。住人達は敬意を込めて大娼婦と呼んでいる。
 その街の長である為か、眼力はユーリを頷かせる程の者であり、スカウトをしたい、と思った程。だが、その属性……性質が、ロゼやミリと似たような気配を感じたので、そこまでのスカウトは考えていない。現状では徴兵だけで十分だったらしい。

 そして、ランスにサービスを約束したのだが……………。



~魔法紹介~


□ むぺんぱ式 軟体凍結
使用者 アテン・ヌー

 正式名称は『むぺんぱ式対軟体生物用氷雪魔法第8号』
 数百年前から、遺失魔法に分類されていた魔法。それを復活させたのが、使用していたアテン・ヌーである。当時は、ゼスに置いて天才少女と新聞に大きく扱われていた為、魔法そのものはメジャーとなった。志津香も、使おうと思えば使えるのだが、復活させた本人である事を訊いて、驚きを隠せなかったりしたのは、別の話である。



~モンスター紹介~


□ カースA

 触手の集合体。不定形のモンスター。限度のない食欲は留まる事を知らず、ただ只管に食い続けた為、以前ユーリやラーク達が倒したカースAよりも遥かに大きく育った。
 因みに、被害に合うのは《男》にのみである。
 
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