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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epico45-A嬉し悲しも想い次第

 
前書き
ひゃっほーい! PS4で「エースコンバット7」が発売されると発表されました! 待ってたぜ、バンナムさんよぉ!

嬉し悲しも想い次第/意:特別な日における嬉しい思いも悲しい思いも、その日までに想いをどれだけ大事にするかに懸かっている、というたとえ。 

 
†††Sideアイリ†††

明日2月14日はバレンタインデー。女の子が好きな男の子にチョコレートっていう甘いお菓子をあげる日なんだよね。アニメでそんなイベントを学習したアイリは、「アイリ、チョコレート作りたい!」日曜日で学校が休みで、特捜課もまた休みなはやてにそう言ってみた。

(マイスターが調査部の仕事で居ない今が最大のチャンスなんだよね!)

マイスターは調査部(今日は監察課の研修だったかな)、シグナムとヴィータは武装隊、シャマルは医務局、ザフィーラはシャマルの護衛。今、家に居るのははやてとアイリとリインだけ。シャマル以外のシグナム達はバレンタインなんて関係なさそうだからどうでもいいや。マイスターが居ないことが重要なんだからね。

「明日はバレンタインなんだよね! アイリはルシルに贈りたいのです!」

「そう言うと思うてな。実はもうチョコレート買ってきてあるんよ♪ 一緒に作ろうな♪」

はやてがそんなことを言ったから「それじゃダメだよね?」ってジト目で見る。するとはやては「ん、何がダメなん?」って小首を傾げる。アイリも「???」小首を傾げる。アイリ達の様子を眺めてたリインまでもが「えっと・・・」小首を傾げる。リビングが妙な空気になってるね。

「あ、もしかして・・・。なあ、アイリ。チョコレートを作る時の材料って何か判るか?」

はやてからの質問にアイリは「チョコの材料? カカオ?」どこかで聞いたような言葉をそのまま答えると、「一般家庭でカカオから作るんは無理やなぁ~」はやてが苦笑した。そして冷蔵庫の中から市販の、ふっつうの板チョコレートを取り出して来た。

「手作り言うてもカカオからは作れへんのや。こうゆう市販のチョコレートを溶かして、新しく固めるのが手作りチョコってことなんよ」

「え、そんな簡単のでいいの!?」

アニメでよく不味いチョコで主人公を苦しめるってシーンがあったから、手作りチョコってすごく難しいと思ってたのに、まさかの溶かして固めるだけだったなんて。アイリが驚いてると、「チッチッチ。手作りチョコを甘く見たらアカンよ」そう言われた。

「去年もな。ルシル君にチョコを渡そう思うて作ってみたんよ。酷いもんやった・・・」

その当時のことを思い返してるのかはやては遠い目をして明後日の方を見て、人差し指で涙を拭う仕草をした。聞けばなのは達と一緒に作ったんだけど、対して調べもせずに手作りに挑んで失敗した、とのこと。

「溶かして型をとって冷やして終わり、なんて3項目で終わるもんやないんよ? アイリ」

「う、うん・・・」

両肩をガシッと掴まれて顔をギリギリまで近付けられたからちょっと身を引く。はやてのそのようすからして手作りチョコはアイリが考えてる以上に難しいものみたいだね。だったらやめる? 否。その困難を乗り越えてこそマイスターへの愛を示せるというもの。

「はやて! ううん、レーラー! アイリにチョコ作りの秘伝をお教えください!」

「「レーラー?」」

「そ♪ 師匠のことだよ! はやてはチョコ作りの師匠だからね! ね、チョコ作りのこと教えて!」

「うん、ええよ! わたしもルシル君やクラスのみんな、すずかちゃん達にも作るからな。そんじゃ、エプロンに着替えよか」

「ヤー!」

「リインもお手伝いするですよ~♪」

そういうわけで、アイリははやてとリインと一緒にバレンタインチョコを作ることになったんだよ。マイスターに買ってもらったアイリ専用のエプロン(最初は無地だったけど、マイスターがアイリの顔と名前の刺繍してくれた❤)を付けて、チョコ作りを始めた。

「まずはチョコレートを溶かしやすいように細かく刻む」

「ヤー!」

まな板に置いた板チョコを包丁で薄く刻んでく。包丁の扱いはこれで2度目。初めての時は何度か指を切ったけど、マイスター愛のことを思えば怪我なんて怖くないよね。1個刻んだら「はいです!」小っちゃなリインが2個目の板チョコをまな板の上に置いてくれる。

「ありがとう、リイン♪」

2個目の板チョコも刻み終えると、「次はチョコを溶かす作業や」はやてがボウルを取り出して、そこに刻んだチョコを入れるように言ってきた。チョコを溶かすってことだから・・・

(レンジでチンだね♪)

はやてが別のボウルにお湯を注いでる中、アイリはボウルをレンジの中に入れてスイッチオン、というところで「ちょっ、ちょっ、ちょぉー!」はやてがものすごい勢いでレンジの中からボウルを取り出した。その様子にアイリとリインはビックリ。

「アカンよ、アイリ。溶かすのにレンジはアカンのや」

「じゃあコンロの火でボッ?」

「それもアカン、アカン。100パー焦げるからな、それ。去年のアリシアちゃんやよ、その失敗は。・・・チョコを溶かすのに必要なものはこのお湯を張ったボウルなんよ」

はやてはそう言ってチョコ入りボールをお湯入りボウルに浮かべた。そして「はい。コレでゆっくりとかき混ぜてな」ヘラをアイリに手渡した。受け取ったヘラでチョコをかき混ぜてると「お、おお! トロトロしてきた!」チョコが溶け始めた。

「これが湯煎や。お湯の温度は低すぎても高すぎてもアカン。それにお湯がチョコのボウルに入らへんようにな」

溶かし終えたら次は「テンパリングやな。えっと、温度計、温度計は・・・っと」はやてが温度計を用意した。

「テンパリングはな、チョコに含まれてるココアバターの結晶を安定化させることを目的とする温度調整のことや。これはチョコの出来を左右する重要なことやから慎重にな」

はやての説明によると、テンパリングを失敗するとチョコの風味が劣化したり、口どけが悪くなったり、光沢が無くなったりするんだって。アイリもそんなチョコを食べたくないし、マイスターにあげるわけにもいかない。来年のためにもメモをとる。

「水冷法で行こか。去年もそれやったし。まずチョコのボウルを冷水のボウルに入れてヘラで練り混ぜつつ、チョコの温度を24度から25度にまで下げるんよ。そんで最後に湯煎。今度は31度から33度まで上げる。

これまでの手順としては、湯煎で溶かして、次に水で冷やし、最後にまた2、3秒くらいの湯煎で31度ちょっとまで温めるって感じ。テンパリングを終えた後は「いよいよ成形や」クッキングペーパーが敷かれたプレートと、いくつもの金型が用意された。

「アイリ。どの金型をつかー―」

「やっぱりハート一択だよね♪」

選んだのは愛を意味するハート。はやては「そうやな♪」笑って、プレートの上にハートの金型を置いてくれた。その金型のところにボウルのチョコを流し込む。余ったチョコも☆や○の金型に流し込んでく。

「あとは冷やすだけ・・・っと。よし。うん。テンパリングも失敗せえへんだし。初めてにしては上出来や!」

「おめでとうです、アイリ!」

「ありがとう、はやて、リイン!」

それからチョコが冷えて固まるまでお喋りしつつ、チョコのデコレーションに必要な道具を用意。はやてが「そろそろええかな」そう言ったから、アイリは冷蔵庫から冷たく冷えたプレートを取り出した。

「「「おお!」」」

作ったチョコ3個はどれも綺麗に出来上がってた。さぁ、デコレーションタイム。まず練習のために別の星型チョコの表面に、「だ~、い~、す~、き~、ハ、~、ト♪」ホワイトチョコの入ったチョコペンを使ってメッセージを書くんだけど・・・

「最後の、ト、が小さくなっちゃったし❤が入らなかったね・・・」

「その方が手作り感があってもええと思うけどな~」

「リインもそう思うですよ」

はやてとリインがフォローしてくれた。確かに不格好の方が逆に可愛らしく見えるかもね。じゃあ「本番、いっきます!」マイスターに贈るハート型チョコに、だいすき❤って書く。文字がそれぞれ小さくなっちゃったけど、なんとか全部入った。

「「完成ぇ~~!」」

「ですぅ~!」

作ったチョコははやてが買ってきてくれてた箱にしまって、包装紙で綺麗にラッピング。あとは、本番の明日まで寝かせておくだけ。早く明日にならないかなぁ~。

(マイスターは明日も調査部の研修だから、学校の後は一番近いフェイトの家から本局へ行くって話だし、帰りも遅いっていうし、バレンタインデー当日に渡すには朝早く起きるしかないわけだね)

だから今日は早寝しなきゃね。寝坊して渡し損ねた、なんて最悪な結末だけは回避するためにね。

†††Sideアイリ⇒イリス†††

2月14日、乙女にとって年に1度の大事な日・バレンタインデー。昨日の内にルシルへの本命チョコ、なのは達やクラスメイト、ついでにクロノやユーノにあげる友チョコを作っておいた。

(クロノは昨日の内から本局だから、今日の仕事の時に渡せばいいか)

通学バスに乗ってる今、ルシルへの本命やなのは達、クラスメイト(15人分。あとの半分ははやてが作ってくる)にあげるチョコを入れた保冷効果のあるバッグを何度も覗いて「えへへ~♪」確認する。

「シャル、保冷効果があっても開けてばっかりだと溶けちゃうよ?」

「クラスの子も溶けたチョコなんて食べたくないんじゃない?」

フェイトとアリシアにそう言われるけどやめられないんだよね。早くルシルに渡したい。そんな話をしていると「おはよう、フェイトちゃん、アリシアちゃん、シャルちゃん!」バスになのはが乗ってきた。そんななのはに「おはよう!」3人で挨拶を返す。

「なのはもチョコ持ってきてくれた?」

「うんっ。お昼ご飯の後でみんなで食べようって。シャルちゃん達は?」

「当然♪ チーム海鳴で食べるチョコ、クラスメイトにあげるチョコ、そして! ルシルへの本命チョコ!」

「友チョコは持って来たよ。クロノやユーノ、ルシルへのチョコは本局で渡そうって思って」

「ルシルって学校でたくさん貰うはずだからね。下手に数を増やすと誰が渡したものかなんて絶対に判らなくなるだろうし」

(そっか。学校で渡すより本局で渡す方が印象に残りやすいのかぁ・・・。盲点だった・・・!)

なのは達が鞄の中から小さな保冷効果のあるポシェットを取り出した。あの中にチョコ5個入りの箱が入ってるわけだ。なのはとアリサとすずかとフェイトとアリシアは同じクラスだから5人で協力して作ったんよね。だから小箱1個にチョコを5個入りにすればクラス全員分になるわけだ。わたしとはやては別々だったのに。来年度は同じクラスになったら良いんだけどな~。

「みんな、おはようや♪」

「おはよう」

次にバスの乗って来たのははやてとルシルだ。アリサとすずかは今日は自家用車での登校だっていうことだから乗らないんだよね。2人に「おはよ~!」挨拶を返して1ヵ所に集まるように座席に座る。

「やっぱりバレンタインデーだな。他の生徒がそわそわしている」

バスにはわたし達以外の生徒も乗ってるからね。そんな子たちの様子もあって今日がバレンタインデーだってルシルが察してる以上は、変にサプライズしても意味ないから「昼食の時に渡すからね~♪」と、保冷バッグをルシルに掲げて見せる。男の子は甘いのが嫌いって言い訳をしないルシルは「ありがとう」笑顔を浮かべて喜んでくれた。

「はやて。クラスメイト分のチョコ、ちゃんと作って来た?」

「もちろんや。チーム海鳴の分とクラスメイトの分。ちなみにルシル君には朝の内に渡しておいたよ」

「ありがとう、はやて。また後日、ゆっくり出来る日に頂くよ」

「うんっ♪」

そんなこんなで学校に着くと余計に男子・女子関係なくそわそわ空気が満ちていた。正面玄関なんてチョコが靴箱に入っていないかって確認し続ける男子の巣窟と化してるし。チーム海鳴ってお世辞とか贔屓とかなしで美少女ぞろいだから・・・

「なんか視線が・・・集まってるような・・・」

「にゃはは・・・、うん、すごい見られてるかも・・・」

「去年もこんな感じだったっけ・・・」

フェイトとなのはとアリシアがちょっと萎縮しちゃってる。こんな可愛い女の子から義理チョコだとしても貰えたら勝ち組だもんね。とまぁ、女子組には熱い視線が注がれてるんだけど、チーム海鳴で唯一の男子であるルシルには・・・

「納得いかねぇ・・・」

「女子みたいな顔しておきながら・・・」

「あの子たちからもチョコ貰うんだろうなぁ~」

「羨まし過ぎる!」

「あれがマンガでよく見るハーレム・・・」

「神様・・・」

ルシルには嫉妬やら羨望やら、結構黒い視線が突き刺さりまくってた。それでもルシルは堂々と歩いてるわけで。とりあえずわたしは「ルシルもチョコ買っておけば良かったね」ルシルをイジることにした。

「はあ? 何で男の俺が買わないといけないんだ?」

「ちょっと女子の制服着て男子に、チョコあげる、なんて言えば、男子もルシルの凛とした可愛さにメロメロにな――」

「なるか、馬鹿。くだらないことを言ってないで教室に向かうぞ」

「はーい」

そんな話をしながら靴箱の扉を開けていると「うおっ!?」ルシルが変な声を上げて、ドサドサって何かが落ちる音がした。そっちを見れば小さな箱――乙女からのバレンタインチョコが数箱とルシルの足元に転がってた。

「今年も大量やなぁ・・・」

「ていうか、俺の上履きどこだ? チョコばかりで上履きが無いんだけど・・・」

「え、無いの?」

ルシルの靴箱の中を見ればチョコの箱が積まれていて、本来あるべき上履きが無かった。これにはさすがに引いた。ルシルは「チョコは嬉しいけど上履き盗るってなんだそれ・・・」ガクッと跪いた。

「どうしたの? シャルちゃん、はやてちゃん、ルシル君」

「うわっ、ルシルすごい! コレ全部チョコ!?」

「チョコいっぱいで嬉しいはずのルシルはどうして心折られてるの?」

なのはとアリシアとフェイトが上履きに履き替えた上でやって来た。ルシルの靴箱にチョコが詰められてる代わりに上履きが無くなったことを話すと、これにはなのは達も「えぇ~・・・」引いてた。とりあえず近くに上履きが無いかを探すんだけど、見つけることが出来なかった。誰かが持ち去ったと考えるしかない。

「はぁ~~・・・。とりあえずチョコは保冷バッグに入れて・・・っと」

ルシルは折り畳まれた保冷バッグを鞄から取り出して、「溶けているんじゃないぞ」チョコをそこに詰め始めた。そして詰め込み終えた途端に「盗った奴・・・、地獄に堕ちろとは言わないが、酷い目に遭え」ボソッと呟いた。さすがのルシルもお怒りだ。

「なに朝から物騒なこと言ってんのよ」

「おはよ~。みんな、どうしたの?」

わたし達に声を掛けてきたのはアリサとすずかだった。わたし達も「おはよう!」挨拶を返して、ルシルの身に起こった事を話した。

「うわぁ、なにそれ。犯人ってやっぱり女子?」

「とにかくスリッパを借りよう、ルシル君。借りてくるから少し待ってて!」

「ありがとう、すずか」

すずかが職員室に走って行ってくれた。ていうか、それってわたし達が先にやっておくことだったよね。ミスった。ルシルの好感度を上げるチャンスだったのに。そして「借りて来たよ~!」すずかが持って来てくれたスリッパを履いたルシル、わたし達はここに残っててもしょうがないってことで教室に向かうことになった。

「なんか散々な目に遭ったね」

「バレンタインチョコいっぱい貰って良い気分のところに上履き窃盗で嫌な気分に突き落とす。結構エグいやり方だよね」

「見つかるとええなぁ、ルシル君の上履き」

「でも一度盗られた物って戻って来ても使いづらくない? あたしはそうよ」

「弁償だよ、弁償♪」

「いいよ、自分で買うから。一応チョコを貰ったからな」

「もし上履き盗った子がチョコを置いて行ってなかったら? それと男子だったら?」

「・・・・男子なら痛い目に遭わせる。女子なら・・・」

ルシルがそこまで言ったところで口を閉じた。わたし達女子の視線が集中してるから。別に非難するわけじゃないよ、うん。ただ、ルシルがどんな罰を女子に下すのかちょっと興味があるわけで・・・。

「謝ったら許す!」

優しいんだかヘタレなんだか。なのは達と一緒に苦笑してると、「お、来た来た!」わたし達4年生の教室がある階の廊下に居た1人の男子がわたし達に、というよりはルシルに手を振った。

「亮介・・・?」

「いやさ、別のクラスの女子たちがお前の靴箱にチョコを入れてたんだけど。上履きが退かした良いけど、どうするか困っていたようだったからさ、俺が預かっといた♪」

わたしとはやて、そしてルシルと同じクラスの男子、武塔亮介君。綺麗な赤髪をルシルのようにうなじ付近で結ってる、けどルシルとは正反対の見た目格好いい系(ルシルは綺麗・可愛い系)男子。彼が後ろ手に回していた両手を前に出した。手に持っていたのは1組の上履き。亮介君の持ってる上履きから、ハッとしてルシルへと視線を移す。

――地獄に堕ちろとは言わないが、酷い目に遭え――

――男子なら痛い目に遭わせる――

さっきそう宣言したルシルは「だったら靴箱で待ってろや!!」亮介君にドロップキックをお見舞い。すると「ぐへぇ」って、亮介君は妙な呻き声を上げながら吹っ飛んだ。

「いってぇ! 何すんだよルシル!」

「うるせぇ、馬鹿! 上履き盗まれたと思ってヘコんでたんだぞ! 預かっていたんなら俺が来るまで靴箱で待ってろよ!」

「そんなの寒いだろ! つうかチョコいっぱい貰って調子乗ってんじゃないのか!?」

「貰える物を素直に貰って何が悪い! つうか、関係ねぇ!」

リアルファイトを始めたルシルと亮介君。しょうもないオチを知ったわたし達の空気が、もう勝手にすればいいよ、みたいになったからそんな2人の脇を通ってそれぞれの教室に入った。わたしとははやとルシルが所属する2組の教室にはすでに何人かのクラスメイトが居て、「おはよ~!」挨拶を交わし合う。

「くっそ~、マジで蹴りやがったな、お前・・・!」

「俺に与えた精神ダメージに比べえば軽すぎる。裁判起こせば俺が勝つね」

「ざけんな。ここまでボコにされた俺が勝つね」

ルシルと亮介君が教室に入って来た。ルシルの足にはしっかりと自分の上履きがある。そしてルシルは真っ直ぐ自分の席へ。トボトボ歩く亮介君の側へは「もう。だから待つなりメモ残すなりすればいいって言ったのに」1人の女子がそう言いながら向かった。

「でもさ、刀梅(とうめ)・・・。親友なら察すること出来るだろ?」

「いやぁ~、エスパーじゃないと無理だと思うよ・・・」

亮介君と両想いで彼女(わたしがキューピット役した。・・・羨ましくないもん、悔しくないもん)、八重刀梅。藍色のロングヘアをシュシュで纏めて、肩前に後ろ髪を流してる、大人っぽい女の子だ。

「ルシル君、ごめんね。私がメモ残しておけば良かったね」

「それについてはもう怒ってないから。亮介に責任を取ってもらったし。あー、スッキリした♪」

「鬼! 悪魔! 女男!」

「もうそんな軽い悪口じゃ何とも思わんね~」

机の中からいくつものチョコ入りの包みを保冷バッグの中に詰め込むルシルへ、「おはようございます、ルシルさん」1人の女子が近付いた。

「おはよう、咲耶」

このクラスの前期・後期共に委員長になった木花咲耶。チョココロネのように巻かれてる茶色い長髪をポニーテール(わたしはその髪型をドリルポニーと命名した)にしてる。そんな咲耶の手には綺麗にラッピングされた箱が1つ。わたしとはやてはそれをジッと見守る。去年も渡していたからね。焦ることはない。

「バレンタインのチョコレートです。受け取って頂けますか?」

「もちろん! ありがたく頂戴するよ!」

ホント嬉しそうにチョコを受け取るルシル。このスィーツ大好き男子め。
 
 

 
後書き
イアオラーナ。
去年はGOD編にばかり気を取られていたので出来ませんでしたが、今年はきっちりバレンタイン回を書き上げる事が出来ました・・・って、前編だけですが。
前話のクロノとユーノの登場予告は後編になりましたね。前半部は学校を舞台に、後半は管理局を舞台にする予定。
 
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