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大統領の日常

作者:騎士猫
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本編
  第三十一話 準備

 
前書き
良かったら、感想等よろしくお願いします。 

 
西暦2115年 11月 4日
ペルシャール・ミースト


俺は今シヴァ艦内にある大統領室にいる。あの事件の後プリンツをシヴァ艦内の医療室に運ぶとハイドリヒがお伝えしたいことがと言ってき他のでここにいる、ちなみにプリンツはまだ眠ってるそうだ。後でまた見に行くか。

「で、伝えたいこととは?」
「まずあの人身売買組織ですが、やはり基地ぐるみで活動していたようです。あの後30名ほどの協力者と思われる士官や下士官を捕えました。現在尋問中です」
「ふむ。で、奴らの客は?」
「どうやら政治家や軍関係者のようです」
まじか。政治家もいるとなるとまためんどくさいことになりそうだな。まぁ全員SSで逮捕ないし射殺するけど。(ぶっちゃけめんどいから全員射殺したい)
「どんなに偉い奴でも構わん、一人残らず捕まえろ。何かあっても大統領命令で押し通せ。もし逃亡して見つからなかったら家族を見つけてそれを餌にして引きずり出せ。もし出てこなかったら家族を寸刻みにして殺すと行ってな。だが実際にはやるなよ?」
「わかりました。一人残らず逮捕します。それとつかまっていた。民間人は無事全員引き取られました」
「そうか、よかった」

「閣下はこの後は首都に戻られますか?」
どうしようか。本当のことを言うか?まぁこいつ口は堅いし言っちゃうか。
「この後は艦娘、深海棲艦を率いてロサンゼルスに向かう」
俺がそう言うとハイドリヒは驚くことなくしゃべりだした。
「そうですか。では我々も同行してよろしいですか?」
「・・・別にかまわんが、2万人しか収容できないぞ?」
確かここには4万人で来たはずだ。とても載せられん。残りは待機とかか?
「その点は問題ありません。飛空揚陸艦できましたし、護衛をビッテンフェルト少将の艦隊におねがいしますので」
・・え?ビッテンいるの?よく考えてみればそうだ。あの戦闘の後、補給や整備でここにいるんだろうな。あいつにもついてきてもらうか。うん、そうしよう。突撃大好きなビッテンの事だ。喜んでついてきてくれるだろう。後でお願い(命令)するか。
「そうか、わかった。出発は二日後だ。用意しておいてくれ」
「わかりました。それでは失礼します」

さて、プリンツのところ行ってみるか。


・・・・・・・


いまおれは榛名を連れてプリンツのいる医療室に向かっている。

「提督」
「ん?なんだ?」
「プリンツちゃん大丈夫でしょうか」
親友らしいし、心配だよな。
「大丈夫だよ。あの戦闘の後、ちゃんと治療してるし、さっきの事件でも特にけがはしてないからな」
「そうですか」
俺が言うと榛名がほっとした表情をした。
「さて、そろそろつくぞ」
やっと着いた。この艦4500メートルもあるからな・・・。移動するだけで疲れる。今度艦首から艦尾まで何分で行けるかやってみるか。今度、適当に生贄(兵士)を捕まえてやってみよう。

「失礼しまーす」
寝てるかもしれないので小声で言うとそっとドアを開けて中に入った。

「・・・ん・・あ、ここは・・・?」
ちょうどよく起きたようだ。
「ここは艦内にある医療室だよ」
俺がそう言うと恐る恐るこちらに振り返ってきた。
「・・・あ、アドミラル・・さん・・・?」
どうやら前の世界の記憶も健在のようだ。(誰この人、とか言われなくてよかった)
「ああそうだ。提督だよ」
「えっと・・私はベーリング海で戦っていて・・・」
「あの戦闘の後、偶然プリンツが漂流してるのが見つかってね。それで保護したってわけだ」
「そうだ・・・レーベは!?マックスは!?他のみんなは無事ですか!?」
「・・・・・」
「そんな・・・・」
「残念だが、撤退したのは30隻ほどだ。他は全艦轟沈した。そのレーベとマックスが生きているかは・・・」
「みんな・・・・う、ううう・・・・」
これも全部あのゴミ貴族どもが艦娘を大量建造して捨て艦として使いまくったからだ・・・270隻以上だ
っ、270隻以上もの艦娘が轟沈した!恐らくこの数はこの戦いが続く限り増え続けるだろう・・・

俺は榛名にプリンツを任せて部屋を出た。
部屋を出るとき、プリンツの鳴き声が耳に響いた。


西暦2115年 12月 4日
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト


俺が仮司令部の司令室で部下の報告を受けていると扉が勢いよく開けられ、兵士が走りこんできた。

「なんだ!入るときにノックぐらいしないか!重要な話をしていたらどうするんだ!」
俺の怒鳴り声にも動じず、兵士は口を開いた。
「そ、それが・・・」
兵士が言い終わる前にまた一人男が入ってきた。
「ちょっといいかな」
「大統領!?」
なぜここに大統領が?いや考えるのは後だ。直ぐに応接室にご案内しないと。
「閣下、隣の応接室にて伺ってもよろしいですか?」
「ああ、そうだな。そのほうがいいだろう」
俺は部下を下がらせて大統領を応接室に案内した。

「・・・で、いかなるご用件でしょうか」
緊張しているせいか少し声が震えた。
「一つ頼みたいことがあってな」
「頼みたいこと、ですか」
大統領は傾くと再び話し始めた。
「私が艦娘と深海棲艦を連れてここにきているのは知っているな?」
「存じております」
忘れるはずがない。軍艦に少女が乗ってあろうことかその軍艦を動かしているのだから。それに深海棲艦、確か5万隻ほどだったか。あの数にはさすがに仰天した。が、よく見れば一隻がとても小さく、人に何か機械がついている程度だった。話によると火力は普通の艦船並にあるそうだ。どうやったらあんなに小さくできるのか、一度教えてもらいたいな。一番印象に残ったのはあの黒さだ。ああいう風に船を黒に塗るのもいいかもしれない。夜戦なんかではステルス迷彩としても使えるだろう。

「そこで少将には私の指揮下に入ってもらいたい」
「閣下の指揮下に・・ですか・・・」
「そうだ」
「それは一時的なものでしょうか?」
大統領は少し考えると口を開いた。
「実はな、少将には第一艦隊の第二分艦隊司令官に就任してもらうことになっていてな」
第一艦隊の司令官!?第一艦隊といえば総司令官や大統領が指揮を執るエリート艦隊ではないか。
それも分艦隊司令官?俺なんかに努めるだろうか・・・
「第一艦隊の分艦隊司令官ですか・・」
「そうだ。前任のアイゼナッハ少将が中将に昇進して第十二艦隊司令官に就任したから第二分艦隊司令官の席が空いていてね。もちろんこれは本部長にも許可を得てある、正式なものだ」
「はぁ・・・承知しました。第一艦隊第二分艦隊司令官の任お受けいたします」
俺がそう言うと大統領は喜ぶような表情はせずに話を進めた
「そうか。一件が片付くまでは混乱する可能性がある。呼称は第三独立艦隊のままでいいかな?」
「かまいません」
「では、正式に発表はしていないが、第一艦隊所属になったわけだし、名誉司令官である私は少将を指揮下に置くことが合法的にできるというわけだな」
大統領は先ほどとは違い無邪気な笑顔で言った。これは・・・
「・・・そういうことになりますな」
「改めて、言おう。ビッテンフェルト少将以下第三独立艦隊は私の指揮下に入ってもらいたい」
「・・・御意」
「では話を進めよう」
俺は姿勢を正して大統領に目を向けた。

「私は二日後にここを出発するつもりだ」
賢明な判断だろう。ここは前線にほど近い場所だ。あまり長くいるのは危険だろうし、万が一大統領がここにいることが敵に知られたら大変なことになる。ということは俺に用事とは首都まで行くのに同行せよということだろう。そしておれの任命式でもやるに違いない・・・
「では首都に戻られるのですか。それに私も同行せよ、と」
俺の言葉に大統領は首を振った。はて、ではどこへ行くというのだろうか。また出撃でもするのか?
「私が向かうのは確かに首都だ。ただし”敵”のな。それに少将にも同行してもらう」
敵の首都に向かう!?攻め入るということか?そんな危険すぎる・・・
「お言葉ですが閣下、敵の首都に攻め込むのは危険すぎます。第一大統領自ら指揮を執る必要はありますまい。実動部隊総司令官のケーニッツ元帥らにお任せになればよろしいではありませんか」
俺の言葉に大統領は少しも反応しなかった。
「少将。私は君に意見を聞いた覚えはない。これは提案ではなく命令だ。大統領、国防委員長、最高司令官の、な」
「・・・・・勝てるとお思いなのですか」
「ああ、第一勝算がなければ戦わんよ」
「策があると?」
「策というか。まぁ圧倒的な不利を対等かそれ以上にする方法だな」
SS・・・ラインハルト・ハイドリヒ中将か。先の人身売買組織壊滅に大きく貢献したため中将に昇進していたな。俺はあまり好きになれんが・・・
「SSの情報によれば首都に駐留しているのは飛空軍1個半艦隊、陸軍12師団、海軍2個主力艦隊、空軍3個飛行師団だけだそうだ」
「だけ・・ですか・・・」
だけといっても飛空艦隊だけでこちらの約4倍、陸軍も我が艦隊とSS合わせても6万人程度しかいない。空軍に至っては俺の艦隊の400機とシヴァに搭載されている80機のみ。どれも圧倒的に不利だ。優勢と言えるのは海軍だけだろう。
「少将。圧倒的に数において不利だといいたいのだろう」
「・・・はい。いかに策があるからと言ってこれほど物量差があるのです。勝算は極めて低いと言わざる負えません。まともに戦えるのは海軍ぐらいのものでしょう」
「そういうと思っていたよ。飛空軍の不利は仕方ないが、陸空軍は対等に渡り合えるだろう」
なにか秘密兵器でもあるのだろうか。またあの開発部がすごい兵器でも作りだしたか?
「なにか秘密兵器が?」
「秘密兵器・・か。まぁ秘密かな」
「艦娘と深海棲艦がどうやって艦を動かしているか知っているか?」
「確かメンタルモデルのようなもので、艦を自由に操ることが出来る、だったはずです」
「そうだ。しかし実際に一人でやっているわけじゃない。それに空母なんて航空機をどうやって動かすと思う?」
そういうと大統領は手を2回叩いた。するとテーブルに白い煙が立ち込めた。
そしてしばらくして煙が収まると、そこにいたのは40センチほどの小人だった。
「なっ!」
「驚くのも無理はない。私だって最初に見たときは少し驚いたよ」
よく見ると手足はあるし顔も全部人間と同じだ。
「なんだいさっきからじっと見つめて、何か俺の顔についてるかい?」
「い、いやそうじゃない」
「だったらいいんだが」
どうやら言葉もしゃべるようだ。
「・・・で、この小人がさっきの事にどうつながるのですか?」
「これは小人ではなく妖精という名前だ。呼ぶときは”さん”をつけてくれ」
「妖精、いえ妖精さんですか」
妖精といえばファンタジーものでよく出てくる生き物だ。まさか現実で会えるとはな。
「妖精さんには色々と種類があってな。主砲妖精さんや機関部妖精さん、それに”航空部妖精さん”や”陸戦妖精さん”もいる」
「航空部妖精さんと陸戦妖精さん・・」
「航空妖精は艦娘深海棲艦合わせて大体2万5千機ほど。陸軍はおよそ8万だ。もちろん戦車や装甲車などの車両もある」
2万5千機・・・途方もない数だ・・・
「これで陸空軍の問題は解決だ。もちろん深海清鑑もいるからな」
「なるほど・・・しかし飛空軍はどうするのです。我々の約4倍はいるでしょう」

「まだ納得できないか?」
「いえ、ちょっと混乱してまして・・」
すると大統領は少し笑いながら言った。
「ははは、混乱するのも無理はない。ではそろそろ私は帰るよ。そうだ、出発は二日後だ。準備しておいてくれたまえ」
「はっ」
大統領は軽く傾くと応接室のドアを開けて一度こちらを見るとそのまま出て行った。

「そうだ、早く準備をしなければ」
出発は二日後だ。補給や整備なども急がせないといかんな。


 
 

 
後書き
いつもの1.5倍ぐらいになった。(他の投稿者の方に比べれば少ないけど・・)
独自設定として深海清鑑にも妖精さんがいてサポートしているということにしています。
それと陸戦妖精も追加しています。 
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