海戦型さんのつぶやき

 
つぶやき
海戦型
 
妄想物語16
 
 『樹』の呪法は、他の4つの呪法と比べて非常に特異だ。
 呪獣との戦いにおいて直接的な攻撃力を持たないこの『樹』という属性は、夜の戦いでは圧倒的に強い『熱』を弱点としている。しかし、面白い事にその利用価値は昼限定で『熱』の価値と逆転するという不思議な性質を持っている。

 まず、『樹』の呪法は名前の通り植物に干渉することが出来る。これは対象植物の生死に関わらない為、加工された木材にも適用される。これらは呪獣との戦いではほとんど役に立たないが、薪の精製、製造業、建築業等の人間の文化的な生活を支える機能としては非常に大きなウェイトを占めていた。
 つまり、従来の固定的な物質の構造を呪いによって変異させ、自分の都合のいい道具に作り替えるのがこの『樹』という属性の真骨頂。面白い事に、攻撃力が最も低い『樹』の属性には他のどの属性より禁呪となった術が多いと言われている。
 更に、『樹』は植物由来の物質だけでなく動物由来の物質にもある程度干渉が出来るため、その応用性は無限大と言ってもいい。犯罪者等を取り締まる呪法師にはこの『樹』を得意とする人間が多く、民家やロープ等を自在に変異させて相手を追い詰める様は手品のようで圧巻だ。

 そして、その手品師――ガルド・ルドルクの戦い方も、それに沿うように技巧派だった。。

 ドレッド達と共に境の砦へと戻る途中で5体の呪獣が同時に現れた際、彼らのチームで真っ先に前へ出たガルドは、低い声で呪言を口にする。

「奴から脚を奪え……『藁蛇(セルピエンテ・セカ)』」

 異様に腰を落とした低い体勢から、地面をすくい上げるようにアンダースローで縄が投擲される。縄は彼が口にした蛇のようにうねりながら醜い呪獣の脚に絡みつき、一瞬でその機動力を奪う。直後、もう片方の手に握った拳銃が火を噴く。
 放たれた銃弾は走行中で激しく動いている筈の呪獣の膝に吸い込まれるように命中し、立て続けに3体の呪獣が足をもがれて転倒する。「撃鉄(インパクト・ヒエロ)」という『鉄』の呪法の基礎中の基礎だが、それを立て続けに命中させて脚をもぎ取るには純粋な拳銃の技量が必要だ。

 転倒させられた呪獣の体からは、微かに湯気のような煙が上がっている。体が光に冒されているのだ。呪獣は基本的に光を避けるが、上位種の呪獣が出現し始めてからはリスクを承知で短期決戦に挑んでくる呪獣が増加したという。
 命懸けの攻撃であるが故に、自分の身体が崩壊する直前まで呪獣は死に物狂いで殺しに来る。殺してしまえば後は光の外に広がる陰鬱な空間が体を癒してくれる。故に、闇に逃さぬよう動きを封じるのは自分優位の戦いに持ち込む方法としては適切だ。

 しかし、華麗な銃撃を見せる彼の頭上に影が迫る。足を縛られて転倒した呪獣の振りまわした腕が彼の進行方向から暴力の塊として接近していた。

「危ないっ!!」

 反射的にトレックは叫んだ。呪獣の攻撃力は人間の骨など容易にへし折る威力がある。まともに受ければペトロ・カンテラの照射範囲外に吹き飛ばされるし、当たり所が悪ければ即死だってあり得る。だが、トレックの心配をあざ笑うようにガルドはそれを無視して突っ込む。
 ぶつかる――!!そう確信して援護のために銃を構えたその時、鋭い声が飛んだ。

「下を抜けろ!!」

 地面に杖を突きたてたステディの足元が濁った光を湛え、直後にガルドに迫った黒い腕が突如として隆起した石畳交じりの地面に弾き飛ばされた。『地』の呪法で地面を操ったのだ。ガルドは腕の軌道が上方に逸れたことで難なく呪獣を潜り抜けた。しかし、抜けた先に漆黒の影が揺らめいた。

『レ゛エ゛エエエエエエエエッ!!』

 押し潰されて強引に吐き出されたような重低音の咆哮。未だ無力化が為されない最後の一体の呪獣が待ち伏せるようにガルドの行先に立ちはだかった。ペトロ・カンテラの光が体を蝕むのも意に返さない強烈な殺意が宿った紅い瞳がギョロリとガルドを捕え、汚らしい唾液を撒き散らしながら大口を空けて突進する。
 呪獣の攻撃方法の中でも突進は最悪の技だ。獣の敏捷性を最大に活かし、しかも走行中にある程度方向転換が出来るために回避が難しい。しかし、トレックは今度は援護しようと考えなかった。彼の視界に、既に拳銃を構えて呪言を呟くドレッドの姿が映ったからだ。

「消し飛びたまえ。『炎の矢(フレッツァ・リャーマ)』――!」

 瞬間、トレックが使ったそれの2倍は威力があろうかという炎が一瞬で突進する呪獣に着弾し、身体を中ほどから真っ二つに引き裂いた。攻撃の余波が周囲を照らし、熱風が頬をなぜる。

「……『炎』が得意分野か。ちぇっ、俺が使った一発と同じ術とは思えない威力だ」
「援護のために少々威力過剰になっただけだよ。ただ敵を撃つだけならば込める力はもっと節約した方がいい。無計画では後に響くからな」

 そうは言うが、ここまであからさまに技量の差を見せつけられると内心では面白くない。トレックはいつも他人より多い呪法を扱えるが、そのどれもが特定属性を得意とする呪法師には敵わなかった。教導師からは「5大属性全てを操れる癖に贅沢をいうな」と不思議な人間を見る目で言われたが、器用貧乏よりは一部の能力に特化していた方が結果的に勝率は高いとトレックは考える。

 見れば、ドレッドの放った『炎の矢』が撒き散らした炎をガルドの持つ縄が吸収し、炎の鞭となって転倒していた呪獣たちに巻き付けられる。全身を劫火で焼き尽くされ、呪獣は黒い滓となってぼろぼろと地面に崩れ去り、やがて消滅していった。
 かなりの高熱を纏いながらも燃え尽きない縄は、最後に縄で縛った呪獣を焼き尽くしてから纏う炎を解除した。どうして縄が燃えないのか、その答えにトレックは心当たりがあった。

「あれは……まさか灯薪と同じ成分で作られているのか?」
「そうさ。燃焼が長時間続く灯薪は強度の問題から武器に使われることは少ないが、縄や鞭のような形状にすればああやった使い方も出来る。もっとも、『樹』の術を得意とする呪法師は総じて『熱』の呪法を苦手としているし、『熱』の術を得意とする場合は縄の精製や修理がまるで出来ない。好んで使う呪法師は少ないだろうね」
「………敵を縛り、縄で殺す、か」

 結局、ガルドはステディとドレッドのそれぞれ一回ずつの援護だけで5体の呪獣を殲滅して見せた。夜の戦いでは使えないと思われていた『樹』の呪法の可能性に関心した俺は、自分でも出来ないだろうかと考える。
 メインで使えなくとも、いざという時の引き出しは多くて困ることはない筈だ。

「ええと、縄を作るには………」

 ガルドにいきなり予備の縄をくれなどと厚かましいことは言えない。法衣の上着の洒落だけで必要性がない生地を触り、呪法対象として設定。昔に講義で習ったことのある灯薪生成の基礎理論を思い出しながらうろ覚えの呪法式を頭の中で組む。

「『編(テヘーラ)』」
「むっ………何をする気だ?」

 装飾が濁った光で生地が分解されるように解けてゆき、掌に1m程度の長さの細い紐が出来上がった。ガルドのものと比べると材料が少なかったせいで遙かに細い。今度は必要ない『鉄』の装飾を呪法で紐の先端につけ、重りの代わりとする。編み込みに問題がないかと張ってみると、ビィン、と音を立てた。
 最後に組み込んだうろ覚えの『灯薪』の呪法式と材質変化の合成が上手くいっているかを確かめるため、ペトロ・カンテラを目の前に降ろして紐に火をつけてみる。縄は小さく燃えながらも不完全燃焼の煙を出さず、紐の強度を保っている。しかし暫く見つめていると紐が段々くすみ始めた。
 理論は出来たが洗練されてはいないようだ。それに、これを使った戦闘方法のノウハウがない今、紐が役に立つことはそうそうないだろう。単純に使い慣れていない上にガルドの武器の劣化品だ。トレックは紐を軽く丸めてポケットに放り込んだ。


 3属性を操るだけでなく、相性の悪い『熱』と『樹』の両方を扱って簡易呪法具を作成し、コントロールする――その行為がどれだけ出鱈目な真似なのかを、トレックは理解していない。
 ガルドの武器が、ガルドとドレッドのアイデアを基に呪法具製造を最も得意とする学徒に伝え、形になるまで1か月を要したことも。そもそも大半の『欠落』持ちは呪法の才覚と呪法具の才覚が分離している場合が多く、その学徒も数人の友人に手伝ってもらってそれを作りだしたことも。
 彼は、知らない。

 彼の為した所業を見ていたのは、興味深そうに薄く笑うドレッドと、トレックの後ろに無表情で立っていたギルティーネだけだった。

 = =

この執筆が終わったら、スパロボBXをいい加減にクリアするんだ……。あとロボボプラネットも。小説とゲームと両立できればいいのに。 
海戦型
 
コメントどうもです
『樹』の呪法は限りなく科学に近い領分というか、ハガレンの錬金術に近いものです。他のも似てると言えば似てるけど。

ウィンキーの話は聞きました。まぁ、バンプレストがきっちり志を受け継いでくれればいいなと願うばかりです。
ちなみに私もスマホのはやりません。暇をつぶしたいんじゃなくてスパロボという総合芸術を楽しみたいんで。 
Y.T
 
頭に浮かんだ事
『樹』の呪法は、バイオプラントやマジックハンドを連想したな、新しい産業形態が出来てるのか!?

スパロボBXってはじめて知ったぜ
魔装機神やスパロボを手がけていたウィンキーソフトが自己破産申請の準備をしているらしいし、スマホゲーム以外斜陽なのね(´;ω;`)

しかしロボットアニメ有る限りスパロボは不滅なり!ヽ(・∀・)ノ(ただしスマホはやだな・・・・)
 
海戦型
 
たまに思うんですけど
種死のシンってSEED持ちだったじゃないですか。だったらひょっとして妹のマユの方もSEED持ってたんじゃ……だとしたら、もしもマユが落としたケータイを自分で拾いに行ったら主人公交代だったかもしれませんね。(主人公ポジをキラから護り通せたかは別として)

それとは関係なく、BDFFやってた時に疑問に思ったことがありまして。ティズの弟のティルが生き延びたパラレルワールドに行ったときに気付いたんですけど、あいつベアリング・ホーリーコンビをアニエスの協力も得ずに単独で撃破したっぽいんですよね。実はティルってティズより潜在能力高いんじゃ……? 
海戦型
 
SEEDの世界は
種死がちょっと残念だったことを除けばいろんな要素がありますから。私も一個ぐらいはSS書きたいものです。 
ノブヤス
 
そういえば
某ガンダム種SS掲示板に妹のマユが自分で拾いにいったら、シンを含めた家族が爆発で亡くなってマユがシンのポジションでザフトに入るという小説を見かけましたよ。可能性としてマユがSEED持ちというのもありえたかもです。 
海戦型
 
報道に圧力がかかっている気がする
震災から大分経ってるけど国の対応は別に早くもない。それどころか松なんとか副大臣さんは被災地で我儘ばかりいって滅茶苦茶邪魔になっているという話もあった。………のに、何故かニュースではまるで取りざたされていない。というか、このタイミングで現内閣に対する批判や不満の声は被災地で当然として上がる筈なのに、ニュースに全然上がらない。

この頭の裏がチリチリするような違和感は……やっぱ現政権がメディアに圧力をかけてるとしか思えないんですよね。そもそも安倍政権って碌に結果出してないどころかいらんことも多数やってるのにメディアが静かすぎるんですよ。小泉政権以降の政権批判ラッシュを考えればどう考えてもおかしいでしょう。

という独断と偏見の愚痴でした。 
海戦型
 
何が飲み会ですか!
こんな、こんな酒の席なんて必要ありません!
もしあなた達の言うように自分の意志を犠牲にしてまで飲んで相槌を打つのが大人なら、僕は大人になんかなりたくありません!!ずっと子供のままでいい……!! 
海戦型
 
妄想物語13
(ほんっと、この人何考えてるのか分かんない……)

 マジボケなのか人で遊んでいるのかは全く理解できなかったが、予想以上に彼女の髪梳かしが心地よかったためトレックは抵抗を諦めて暫く為されるがままだった。やがて満足ゆくまで梳いたと言わんばかりに彼女が手を離した頃にはもう風にふわりと揺れるサラサラストレートヘアの完成である。
 盛大に無駄な時間を使った、とトレックは自分の髪先を指で弄りながらため息をつく。しかし、この試験のタイムリミットは夜明けなので時間には余裕がある。試験を見越して体内時間を夜型に合せてあるし、多少は無駄な時間を使っても特段戦闘に支障は来さない筈だ。

「ギルティーネさん、座って。あと櫛返して。今度は俺がするから」
「………………」

 ギルティーネはほんのわずかな時間だけこちらを見て停止し、またスイッチが入ったように櫛を手渡してベンチに座った。今の間は何なのかを問いたいが、問うて答えが返ってくるわけでもなし。トレックは立ち上がり、彼女の痛んだ髪をゆっくりと梳かし始める。

 鉄仮面のせいか、痛んでるだけでなく少し埃っぽい。今回の護送の影響かとも思ったが、もしかしたら入浴もある程度制限されているのかもしれない。彼女の髪はそれなりに長いから、洗うには時間がかかるだろう。しかし栄養状態には問題がないのであろう、指で掬い梳かすうちに、彼女の髪はあるべき美しさを少しずつ取り戻していった。
 髪を梳かしているこちらからではギルティーネの表情を把握できない。彼女は今、どんな表情をしているのだろうか。相変わらずの鉄面皮か、それとも少しは違った形になっているのか。出来ればよい方向へ変化していればいいな、と願う。

 それからしばらく、トレックは彼女の髪の量に少し苦戦しながらも梳かし続けた。
 どれほどの時間が経過しただろう。彼女の髪から乱れた部分が一通り消え去った頃、背後から掛かった男の声にトレックの作業は中断された。

「――君、少しいいだろうか」
「……?あ、いいけど。俺達に何か?」

 どことなく自尊心の強そうな、しかしそれを嫌味に感じない澄んだ声。振り返ったトレックは、そこにいた数名の呪法師の先頭に立つ男と相対する。そして、その釣り目気味の顔に見覚えがあることにすぐ気付いた。

「あれ、アンタもしかして馬車で隣にいた……?」
「あの時は名乗りもせずに失礼した。私の名はドレッド・リード。覚えておいて損はさせん」

 恭しい礼をしたドレッドは静かに友好の手を差し出す。仰々しい仕草や雰囲気からは上流階級特有の「上に立つ者」の姿勢が見え隠れするが、別段断る理由もないのでその手を取って自分も名乗った。

「トレック・レトリックだ。こんな所で再会できるとは思わなかったよ。俺とアンタ、何か縁があるのかもな」
「ああ、まったく。このような奇縁は大切にしたいものだ」

 ドレッドという男は恐らく誰にでもこうして接するのだろう。自然体で他人を尊重することが出来る、欠落持ちの中では政治や指導者に向いている性格だ。ただし、この手の人間には近くに必ず厄介な人が潜んでいる。この手の『欠落』持ちは、得てして誰も受け入れられないほど尖った『欠落』を持つ人間も受け入れてしまう。
 それが証拠に、彼の後ろにいた二人の仲間の瞳にはトレックに対する敵意にも似た感情が垣間見えた。友達に慣れるのは有り難いが、代わりに二人の人間に嫌われそうだ。トレックはそっと気付かぬふりをして本題に入る。

「それで……態々俺に話しかけてきたのは何も挨拶の為だけじゃないんだろう?」
「無論だ。実は、より確実にこの試験を突破するための協力者を探していてね……そんな折、仲睦まじそうな君達が眼に入った。試験に過剰な緊張も抱いていないし人数も丁度いいと考え、誘わせてもらった」

 よくは分からないが、どうやら俺達は彼のお眼鏡に適ったらしい。というかギルティーネとは仲がいい悪い以前の関係なのだが、確かにこの試験中に呑気に髪を梳かし合っていたらそうも見えるだろう。内心で少しばかりの羞恥を感じるが、今は気にしないことにする。

「それで、この状況で何を協力するんだ?」
「簡単なことだよ――二つのチームで徒党を組んで移動しようという誘いだ」
「なんだって?」

 トレックは少々驚いた。以前にも語った通り、この試験はチーム参加が原則だ。そしてチームとは『欠落』の決める運命的な相性が合致してこそ最大の効率を発揮する。下手に数を合わせるだけでは、強くなるどころか互いが互いの個性を相殺して戦いにくくもなってしまう。そんな状況下で、しかもチーム行動が原則であるこの試験で徒党を組もうというのは逆に効率の悪い話に思えた。
 ドレッドは直ぐにトレックの疑惑を察し、説明する。

「確かに完全に徒党を組んで集団行動すれば互いの個性を潰し合い、隊としての機動力も下がるだろう。だが、ある程度の距離を保ったまま並んで進めば、前方や後方で敵が現れた際に回り込んでの援護が可能………複数の呪法師チームが活動する際にはよく使われる手だよ。助けが必要な時だけ助けてもらえばいい」
「それは知ってる。だけど片方が戦闘をしている間、もう片方は足止めを喰うだろう?時間の無駄なロスになるぞ」
「多少時間は伸びてもいいさ。最終的に、確実にゴールに辿り着ければいい。二つのチームで活動すれば、仮に上位種の呪獣が来た際にすぐさまもう片方がフォローに迎える。そして素早いフォローを行う為にはなるだけ少人数のチーム……理想ではタッグチームが望ましい」

 確かにその案を受け入れれば時間はロスしてもより安全性の高い行動が可能だろう。
 しかし、トレックはその提案を安易に受け入れるつもりはなかった。

「………悪い考え方をすればこうも言える。上位種の呪獣が来たら手伝わせ、相手の方に上位種が行った場合は相手を囮にその場を脱出。体よく利用すると言う訳だ」

 呪法師は助け合いが基本とは言うが、同時に欲望のある人間だ。目の前の戦いに対しては誠実でも、他人の戦いにまで誠実になれる人間は多くない。所詮この試験一度きりの隊列だ。自分が一度目を乗り切れればどんなに背信的なことをしていようが結果だけが残り、相手が死んでも失うものはない。
 つまり、ドレッドがいい子のふりをしてトレック達を体のいい使い捨て援軍にしようとしている可能性が否定できない。
 トレックの疑いが混じった瞳にドレッドは気分を害した様子もなく顎に手を当てる。

「『普通』の人間的な疑問を呈するな……こちらの言い分を正当化するような言い方だが、そんなものは実際に起きた時に冷静に対処すればいいのではないか?結局元々は別のチームだ。自分に振りかかった火の粉は自分で払えなければならない事に違いはあるまい?」
「………つまり、裏切りがあろうがなかろうが俺達の取る行動に変化はないと言いたいのか」
「違うか?私は同じだと考えるが」

 確かに、元々は1チームで行く道のりなのだ。仮にドレッドたちがこの約束事を破っても、最初から助けてもらえると思ってないのであれば、それは当初の予定通りに進んでいると言うだけの事。

「つまりこの協定は無料のクジのようなものって事か。当たればラッキー、外れても懐は痛くない……と」
「出来れば協定には互いに誠実であった方が望ましいがね」

 と、ドレッドの後ろで黙っていたうちの一人、ショートヘアの女の子が我慢の限界を迎えたように前に一歩出る。

「……貴様、さっきから黙ってきていればドレッド様に不敬な発言ばかり――!!」
「落ち着きたまえ、ステディ君。彼の疑いは正当なものであると私は考える。こちらが頼んでいる側であることを忘れるな」
「くっ……!」

 素早く手で制され、女の子は歯を食いしばりながらも踏みとどまった。その表情には依然としてこちらに対する憤怒の感情がありありと込められているが、ドレッドにかなり陶酔しているのか彼の言葉には逆らえないようだ。
 「それに」――と付け加えたドレッドが、その釣り目を更に細めて低い声で漏らす。

「どうやら彼の後ろの『獣』を刺激してしまったらしい。敵意を鎮めたまえ、あれと戦う気か?」

 何の事だ――と告げようとした刹那、視界の端をしなやかな黒髪が躍る。

「………………」

 それは、ギルティーネ・ドーラット。何の音も言葉も前触れもなく、しかし彼女は剣の柄に明確に手をかけてトレックの前に躍り出る。その瞳は灯薪の生み出す陰影のせいか、まるで飼い主に危害を加える敵に牙を剥いているかのように鋭く、そして恐ろしかった。
 
= =

前回から場面は繋がってます。今回の場面も次に繋がっているのであしからず。
余り夜更かしできないけど、夜更かししないと執筆に集中できないという板挟み。 
海戦型
 
ありがとうございます
ギルティーネちゃんは設定を説明すると悉くがネタバレな核地雷キャラなので、動かす時には割と気を遣います。個人的にも初めて挑戦するタイプの子なのでこれからも温かい目で見守ってあげてください。
……彼女がその名の所以を見せてからも。 
八代明日華/Aska
 
素敵
今日もギルティーネちゃんが可愛いですありがとうございます 
海戦型
 
それじゃ意味ない話
ストーリーや設定に関して読者から質問が出ると言うのはよくある話だと思います。しかしこの疑問というのは大別して2種類あると私は思います。

一つは期待や純粋な好奇心の質問。感情としてはポジティブに属するもので、作品をもっと深く知りたいという意思が込められています。或いはこれまでの情報や推論を繋ぎ合わせて作り上げた仮説を披露して作者が困ったりもするのですが、ともかくそれは作品に対して肯定的に働きます。

対して、もう一つは作品に対して否定的な意味合いを持った質問。つまり設定の辻褄や心理描写などに対して疑問や苦言を呈したり、まるでエンターテインメント的な意図が分からない描写や展開に対する純粋な疑問を込めた質問です。同じ質問なのに二者はまるで異なります。ちなみに今回触れるのは主に後者。

話は逸れて、ネット小説界を良く知らない人達は「ネットで何かを公開=叩かれやすい」という漠然としたイメージがあるらしいです。だからネット小説に趣味で文章を投稿している事を知った時、大人たちは「批判されたりしなかったの?」と私によく質問しました。
しかし、ネット小説なんてよっぽどひどい内容でもない限り叩かれるどころか感想すら貰えないのが世の常。回答はノーでした。逆を言えば、私は今まで大きく叩かれるほどの派手な間違いは冒してこなかったということなのかもしれません。

で、話を戻しますが……「叩かれる」という言葉には多分に「否定的質問」が含まれています。何故かと言えば、内容的に面白くない場合はコメントすら残されませんが、面白さを台無しにする要素がはっきりしていたら人はそれに触れるからです。つまり元凶と思われる部分をピンポイントで叩いてきます。

叩かれる原因というのは大半が作者のせいです。これは疑いようのない事実ですね。知識不足、描写不足、設定不足、説明不足、エンターテインメント性を余りにも軽視した強引で独り善がりな物語展開。内容に不足や無理があるのなら、それは全て書いた作者に起因する問題です。
しかし、こういう時に往生際の悪い作者というのがいます。「次に説明する」とか「今度書く」と言い出したり、自分なりに作品に潜ませていた想いを説明して納得してもらおうとする人です。

はいそこ、「それで解決すればそれでいいんじゃないの?」とか思ったでしょう。
でも駄目なんです。では何が駄目なのか。
それは、本文を通して作者の意図や描写が分かりやすく説明されていないことが駄目なのです。

仮に無理のある展開や設定に意図があったとします。仮にキャラクターの言動に作者なりの理由があったとします。仮に……仮に……なにか論議に上がった時に自分の主張を正当化する準備があったとします(反論できなくて問題を先延ばしにした人は言うまでもなくアウトですよ)。
でも、作品内には伏線や次回の展開、キャラが何かを考えるそぶりを見せるなどの「何かに繋がりそうな描写」を潜ませる隙はいくらでもある訳です。そして大抵の読者さんたちはそれを目ざとく感じとり、「何かあるんだな」と考える余地が生まれます。何かあるのなら作者さんがいつか語る筈。だから今は態々聞かなくともいいか、と読者は思えるのです。

じゃあそれがなかったら?当然読者は置いてけぼりをくらいます。言ってしまえばルールを破って不意打ちをするようなものです。後になって説明されても納得しがたい場合が多いです。ここで素直に反省できればそれでいいのでしょうが、大抵の場合は反省できてないから何度も叩かれるケースが多いです。

理由や展開というのは、作者の頭の中にあるだけでは意味がないのです。相手に、読者に伝わらなければどんなに設定を練ってもどんな理由付けをしても何の意味もないのです。全てを明かさなくともいいから、ほんの少しの「手がかり」か、或いは読者を納得させるだけの「本文内での説明」をきちんと用意すれば、ネガティブな質問は激減するか消滅するでしょう。

文字は相手にこちらの意志を伝えるためのツール。だから有効活用しないのでは「意味がない」。……という初歩的な話でした。 
海戦型
 
私としては
それは、ほんの少しの「手がかり」、に該当するものだと考えてます。話の流れの中にある小さなずれというのは、隠してるつもりであっても読み込んでいる読者の心には必ず引っかかります。その引っかかりを覚えても、その時は引っかかりの意味が分からないし重要だとも思えないので流してしまうのです。そして後になって、「ああ、そういうことか!!」と。

これ、私は得意じゃないのでやれる人が羨ましいですね。
そして断言します。隠しても分かる読者にはバレます。でも、読んだその時点で「小さな手がかり」にはまだ意味を持っていないから「気のせいかな」とあっさり流れてしまう訳です。

ちなみにこれは後で回収すること前提の話ですよね。
意図がありますし、何より「後で納得できるようにする文章努力」が不可欠です。この要素が欠けたら成立しません。というか、後で意味を持たせる為のものを配置するなんてことを考える人は、読者の納得できないような露骨に不自然な隙は作らないものです。つまり「読者置いてけぼり」という事態が発生しないので、説明云々とは別の話です。全然苦しむ必要はないと思います。
 
Cor Leonis
 
反論のようで反論になっていないただの言い訳
 叩かれるような面白みのない作品はそもそも感想なんてもらえない、というのはまさに真理ですよね。感想を書く側がお金を貰っているならともかく、わざわざ面白くもない作品に時間を費やして感想を書こうとは中々思えませんから。
 また、書く側としても批判ばかりじゃまずいかな、という思いが働くので何とかして褒めるポイントを探そうとするんだけど、テンプレみたいな言葉しか浮かばずに結局感想自体諦める、みたいなことってよくあります。



 で、本題の方。仰っていることは概ね同意なんですが、反論……というか、「こういうこともあるんだよ!」みたいな苦しい駄作者の言い訳を一つ。

 伏線を張る場合に、必ずしも海戦型さんが言うところの「何かに繋がりそうな描写」を潜ませる必要はないと思うんです。これは私がたまにやる方法なんですが、物語の流れの中に、読者が気付くか気付かないか程度のほんのちょっとズレた言動を入れて、それをそのまま流すんですね。で、最後まで読み終わってからよく見ると、それが伏線だったと気づいてもらえるような感じです。

 この場合、大事なのは読者に気付かれない微妙なズレ加減と物語のテンポを落とさないことなので、それを補完するために何か意味ありげな描写を挟んでしまうのは完全な悪手なんです。……まあ、これはこれで、読者に見つかって白日の下に晒されてしまった時点でアウトなんですが。

 ともかく、海戦型さんの仰るとおり、文章は相手に情景や感情、意思を伝えるツールです。ただ、それをあえて「伝えない」ことで、ちょっとした謎を物語に仕込んでみるのも面白いテクニックで、時にはそういうこともなきにしもあらずなんだよ……という、まさしく往生際の悪いCor Leonisの言い訳でした。 
海戦型
 
ふと思う
このサイトで二次創作を読んでいる人って、多分殆どがアルカディアとかハーメルンとかそういう大きい所でも二次創作読んでるんじゃないかな。もしそうだとしたら、暁からよそへ行った場合はともかく、よそからこっちに来たときには「この小説もう向こうで読んだわ」ってなって、評価もせずに放っておかれているのでは……。

私はここで活動している割にはハーメルンの方でよく小説を読むんですよ。だからあちら側で見たことのある小説がこちら側に来ても評価されてない光景をちょくちょく見ます。しかし、上記のようなメカニズムがもし本当にあったとしたら……これは何というか、暁って評価を得る上では予想以上にガン不利なのでは?

などという事を勝手に想像しつつ、今日も暁で趣味に走る海戦型でした。オチなし。 
海戦型
 
今日は調子が悪いので
気晴らしに妄想スパロボカスタム機を晒してみたり。

ラーズアングリフ・バイソン

・「あちら側」の機体。ラーズアングリフ最大の欠点である俊敏性の欠如を補うために脚部をランドリオンのように4脚にしようという狂ったコンセプトで改造された機体。Fソリッドカノンを発射しても衝撃を吸収できるように「細さ」と「強度」を両立させる+コスト削減を目指した結果、従来の足二本とフィルギュア一機とH系フレームをキメラ改造してバーニアを各所に取り付けるというという恐ろしい設計をしている。
4脚による従来以上の安定性を得た結果上半身の重量に余裕が生まれたので、ファランクスミサイル二門とFソリッドカノン二門が両立できる構造に機体が改造された。更にソリッドカノンを三連射出来る改造ソリッドカノンに変更したことで特機さえも破壊できる火力を備える結果になった。(理論上Fソリッドカノンを一気に6連発発射できる)
なお、このソリッドカノンは重量と反動の関係で没になった代物であり、流石にこの反動を4脚構造で全部逃がすのが難しかったのか背中に負担軽減用のテスラドライブを装着している。つまり、詰め込み過ぎた結果リーゼと同じ結末を迎えたということである。なお、4脚+キャタピラ+バーニアの機動力を生かすためにOSは見るも無残な改変が施されており、その操作性はラドム博士が無言でサムズアップする域に達してる。
なお、接近戦に関しては4脚の前足にヤケクソ気味にロシュセイバーが二つ内臓されているが、4脚の前足で接近戦をする時点で人型機動兵器のありとあらゆるモーションデータが適応不可なので変態的な操作が求められる。整備性は作った本人でないと近づくのも嫌なくらい悪く、過剰すぎる火力のせいでコストパフォーマンスは最悪なので事実上作った本人の専用機である。

地形適応 空B 陸S 海A 宙B
移動力7 運動性115 装甲1700 タイプ陸海 修理費はグリフの2倍
(グリフに比べて移動力と運動性が上昇し、陸がSに。代わりに宙と空の適応を落として装甲減です)

武装

ヘビィリニアライフル
リニアミサイルランチャー(※Pゲージが低いのでこの二つを装備するとカツカツ)
内臓ロシュセイバー
マトリクスミサイル
ツインファランクスミサイル(通常ファランクスより2マス前方に長い)
DFSC(ダブルフォールディングソリッドカノン)
殲滅砲撃(←段数一発、射程6の最強技)

ちなみに「バイソン」の名前の由来はソリッドカノンを両手に構えた時の姿に由来します。説明通り操作性が壊滅的で、キョウスケも黙って首を横に振るレベル。「天才」の技能なしには扱えません。

パイロットはパルヴァレフ・パヴリチェンコ軍曹。「天才」は持ってません(技術屋としては変態ですが)。ロシア系銀髪美女で、戦闘外では人懐っこい後輩気質。あだ名はパルちゃん。「あちら側」では先輩二人と連邦軍で戦っていました。元々性格が臆病だったため優しい先輩二人にほぼ依存する形で戦ってたけど、二人は戦争終盤で戦死してしまいます。

先輩の一人はアーリィ軍曹。弱冠20歳でエースに上り詰めた男です。が、外見年齢が小中学生並みで髪が桜色というおおよそ軍人に見えない人でした。言動も子供っぽく、子供呼ばわりされて激怒し上官に手を上げて2階級ほど降格させられています。空中戦に関しては本当に天才的で、「あちら側」ではアサルトドラグーンシリーズの可変機を愛用していました。
戦争終盤ではシルヴェルヴィントの同型機を一騎打ちで仕留め、その後に逃げ場を失った空で敵の無人機軍相手に獅子奮迅の戦いぶりを見せますが、機体が限界を迎えて撃墜されます。終生撃墜数50機オーバーという歴史的なパイロットでした。

一人はショウゴ曹長。軍需関係の会社に勤める父の伝手で教導隊の訓練を見た結果、カイやカーウァイにあこがれてPTマスターへと突き進んだ男です。アーリィとは同期で、格闘戦が専門。アーリィが暴走した時に抑える役をしているうちに苦労人ポジションが板についた哀愁漂うパイロットです。乗機はゲシュペンストMk-II・タイプS(あちら側ではゲシュペンストが正式採用されたためにそれなりに数があった。性能はコストの関係で若干ながらデチューンされている。後に軍縮に引っかかって真っ先に姿を消したためシャドウミラーも殆ど所持していない)。
戦争終盤では空をアーリィに任せ、自分はパルちゃんと共に「こちら側」のドルーキンに当たる機体と戦っていたけど、パルちゃんを生かすために無謀な接近戦を挑んで撃墜されてしまいます。なお、彼の行動はきっちり活路を開き、パルちゃんはドルーキンタイプを撃墜したのち、アーリィが空中戦力を引き受けている間に友軍と共に離脱しました。

終戦直後は英雄的な姿に賞賛を受けた二人ですが、ご存じのとおり「向こう側」では加速度的に連邦軍の腐敗が進んだため、愛する先輩二人の切り開いた未来が腐っていくのに耐えられなくなったパルちゃんはシャドウミラーに参加し、副隊長クラスに上り詰めます。
なお、死んでしまった先輩二人には未練タラタラなのかレモンに頼んで二人の戦闘データを完全移植した量産型Wシリーズをこっそり作って貰ったりしています。


……という妄想でした。ちなみに「こちら側」に来たパルちゃんがこっちではまだ生きてる二人と遭遇してものすごく葛藤しながらも潜入任務を続け、最終的に裏切ってどうにかこうにか二人に勝利するもトドメを刺せないまま大泣きしている所をシュウに拾われて3人仲良くクロガネルートまで想像しました。 
海戦型
 
敢えて言うならパ改造?
マリオン博士は求める戦闘機動の為に必要な物を詰め込むキワモノスタイルなのに対し、パルちゃんの改造方法は出来る事を出来るだけ詰め込んで最強を目指すゲテモノスタイルです。

というか、二足歩行を四足歩行に変更するってラドム博士も受け入れてくれるかどうか微妙じゃないかな……(今更) 
ノブヤス
 
これなんてマ改造超えた何か?(白目)
海戦型さんのラーズアングリフ・バイソン、大変興味が湧きました!
マ改造博士が見たら、背後から「面白い発想ですわね」と恐ろしいほどの笑顔を浮かべて出てきそうな感じがした…。 
海戦型
 
久々に
「現実だってファンタジー」に新たな顔ぶれを投下しました。
いつも変な小説ばっかり投稿してますが、今回は王道な感じで。戦争だらけの世界で兵士として生きていた少年がコンピュータと一緒に「失われた青空」を見に行くお話です。お暇がありましたら見に来てね。
2話構成で、後編は明日投稿です。

以下、どうでもいいこと。
                            
最近、色々と考える事はあるんですが手を付けているのは1つ2つ止まり。これから仕事の所為で一つに絞ることになるであろう事を考えると、お金払ってでも時間が欲しいですね。かといって安定した収入の望めない「小説家」の道に行く訳にもいかないので、致し方なしか……。

それはそれとして、何気に私のデビュー作である「何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス」が全然終わる気配ないんですよね。現在話数が150、合計文字数が約78万……こんだけ書いてもまだ中盤って、まとめ下手か。挙句、最近は優先順位が低いせいで更新が月一に低下しています。

というか、改めて見ると臨海学校篇だけで30話ぐらい使ってるじゃん……。多分だけどアイデア全部突っ込んだら夏休み篇が終わるまでで40話オーバーしますね。アイデア膨らませ過ぎた……!どうしようこれ、完結する頃にはジジイになってるかも。 
海戦型
 
小さな発見
このサイトの小説は話数の設定を後から弄るのがかなり手間な仕様です。具体定期に言うと、例えば小説設定でページNoが10設定のものと11設定のものの間に後から一話追加しようとした際、10以降もしくは10以前の全ナンバーを1ずつ手動でずらさなければ追加した話を「11」にして綺麗にそろえることが出来ないんです。

で、ここからが本題なのですが……ずぼらな私は話を追加するに際してページNoを重複させて話を投稿しました。このサイトの仕様では例えページNoがいくつ重複していようが話としては普通に投稿されるのです。若干重複した話の前後が起きますが、とにかく重複させても問題ないものと私は思っていました。

ところが今日になって、実はこの重複が大きな問題を孕んでいることを発見したのです。話のページNoが10,11,11,12といった重複具合で並んでいる場合に発生するのですが、通常の閲覧ページから「次ページ」で順番に閲覧していくと、二つの11のうち片方をスルーして進んでしまうようなのです。

という訳で泣く泣く全部ずらしました。
え、「お前が変な投稿の仕方してるから悪い」って?
………そりゃ否定はできませんけど。 
海戦型
 
ですよね……
ご丁寧な説明ありがとうございます。前にも掲示板の方でそのような話を見た記憶があります。
中々万人に都合のいい答えというのはないものですね……願わくば解決策が見つかることを期待します。見つからないならそれこそ不便さを受け入れて活動すればよいことですしね。 
肥前のポチ
 
なろうのような投稿スタイルにすれば解決するんですんですが
不評だったのでやめました。
今、いろいろと模索中なので解決策が見つかるかもしれません。
今年の課題ですかね。
なろうみたいにすると一回公開すると非公開できないので削除するしかありません。
これが並び順を狂わせない重要な行為だと私は思っています。
でも、これが嫌だという人が多いために計画が頓挫してしまいました。
編集や削除の度に並び替えを行うのはサーバに負荷がかかるんですよね。
投稿機能を2つ用意して選ばせるのも手かもしれません。
両方を交互に使うと意味がないですけど。
結局、どちらの不便さを許容するかだと思います。
 
海戦型
 
私もまさかでした
ちなみに私は一時期、定期的にページNoを10くらい飛ばして投稿することで調整を楽にする作戦をとっていました。が、最近はあんまり投稿をしてなかったせいでやらかしちゃいまいたね。 
N.C
 
確かにそうですね
自分もあとから話を挿入して順序を入れ替えることがあるんですが、手動でずらさないと数字が重複するのでそれが嫌で大量に話数を生成して調整する方法を取ってました。よろしくないやり方だと思って今はやってませんけど。
しかし、まさか手動でずらさないとそんな弊害があるとは思いませんでした。 
海戦型
 
近況報告が流行らしいので
流行に乗って近況報告を。
4月から社会の狗として働くことが決まったんで小説書くペースが落ちるかもしれません。
まぁ、かもしれない程度ですけど。 
海戦型
 
ぎゃーす
「俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか」の新話が昼に投稿されましたが、あれは書きかけのものを間違って投稿したものです。つまりミスです。今になって気付きました……。

どうもスマホから小説編集をチェックすると、例えPCで「下書き」保存していようが公開条件が勝手に「公開」になる仕様があるようです。そういえば前にも一度やってしまったような……とほほ。 
海戦型
 
遙か遠きツイートの地から
八代明日華さんがツイッターで私の妄想小説のファンアートを書いてくだすってる、と知り合いからメッセージが届きまして慌ててPC立ち上げました。ツイッターとか全くやってないんで暫く気付かなくてすいません……。

ギルティーネちゃんのイラスト、可愛かったです。
あんな短い文章から拘束衣のデザインのイメージを纏めてくるとは思いませんでしたねー。細かい事を言うとネタバレしちゃいそうなので多くは喋れませんが、あのイラストがそのまんま正規デザインでもいいかなと思うぐらいには嬉しかったです。

この場を借りて感謝を。


ついでにここからはちょっと雑談を。

『満願成呪の奇夜』というタイトルまで覚えていたのもちょっとびっくりなんですけど、この小説は世界観からも分かる通りダーク・ファンタジーの方向を目指してます。まだどこまで続けるかも決めてないので詳しい話はしませんが、そんな感じです。
タイトルの由来は割と単純で、この小説の構想を妄想した時に「万象の奇夜」という曲を聞いていたからです。ベルセルクとか好きな人にはぜひ聞いて欲しい名曲ですね。あの歌の世界観は何度聞いても圧倒されます。

あと、なんでつぶやき小説でやっているのかという根源的な疑問を呈されましたが、これも単純です。つぶやき小説って個人的には投稿小説より居心地がいい環境なんです。投稿してしまうと評価が気になるので、決して点では評価されることのないここが私にとっての良い環境なのです。

せっかくだから私がツイッターにいない理由も。

言葉は間違った時にすぐに言い直せるし、言いたいことが伝わらなくてもその場で色々言い換えることが出来ます。それに対してツイッターのようにネット上で相手の返事を待たなければいけないコミュニケーション手段というのは、どうしても本当に自分の伝えたい部分が伝わらない場合というのがあるんです。そこをムキになって説明しようとしてしまう自分が嫌なのでやってません。他にも色々と思う所はあるのですが、要約するとツイッター向いてないなぁと思うのでやりません。以上です! 
海戦型
 
全裸はいけませんな
最低でもネクタイと靴下くらいは着けておきましょうよ。知人から聞いた紳士の正装です。
ちなみにファンアートを貰ったのは人生で初めてです。わぁい。 
八代明日華/Aska
 
ふえぇ
まさかお目通しいただけるとは……こちらこそありがとうこざいます。

つぶやき小説だったのはそういう理由があったのでありますな……何にせよ続き全裸待機の姿勢は変わりませぬ(オイ 
海戦型
 
妄想物語6
 
 呪法師の使役する呪法(ブードゥー)は、永い時をかけて様々な体系が考えられてきた。

 最初期は直接的な光源となる『熱』と、炎の道筋を操作する『地』の二属性が考案され、これが呪獣を一気に追いやる基礎的な戦闘力に繋がった。その後、負傷者をより効率よく治療するための『流』の属性が開発され、『大地奪還』の後期になると補助武装を生産するための『錬』と薪をくべる燃料としての『樹』が開発された。

 これが現在の大原則となっている『五行式』の原型となった。『五行式』完成までの過程で『三行』、『四行』、『六行』などいくつかの大原則が提唱されたものの、最終的に最も真理に近いとされた『五行式』が現在の呪法の基礎理論となっている。

 基本的な呪法師が使用するのは、『熱』、『地』、そして『錬』だ。
 『熱』での光源確保、直接攻撃。
 『地』での足場操作、退路の確保。
 『錬』による既存の物質の性質変更。
 それらを使いこなして、今も呪法師は戦い続けている。

 そして呪法に欠かせないもう一つの原則がある。
 それは、『触媒原則』だ。

 例えば『熱』の呪法を使うならば、その触媒となる『熱』――火や高温の物質が必要だ。この熱を呪法によって爆発的に増大させたり、付近で同性質を持った熱を操ることが可能となる。この『操る属性と同性質の物質』が自分の周辺になければ、呪法というものは成立しない。

 触媒を基に、遠くの物質に『呪い』で干渉する。
 この『呪いの力』こそが呪獣の肉体を真に崩壊させる要であり、呪法の神髄だ。

 実際にはこの属性の一角を不得意にしていたり、残る二つの属性を上手く活用する戦士も存在する。だが、どちらにしても大抵の呪法師はある装備を『触媒』として標準的にある装備を持っている。


 それが、『銃』。
 大陸における戦士の象徴――呪法師の気高い誇りの体現だ。

 トレックはその銃を今一度念入りに確かめていた。

(『人喰いドーラット』が本当に従順なのか分かったものじゃないからな。最低限、自分の身を護る準備はしておかなきゃならない……)

 『大地奪還』以降、今からおよそ700年ほど前に開発された呪法師専用武具は、トレックの手上でずっしりとした重みと共に横たわっている。

 回転式拳銃『タスラム』――装弾数八発、『錬』の基本触媒である金属で構成され、内部に込められた弾丸は発射することで火薬が爆発し、『熱』の触媒にもなる。グリップは『樹』の触媒になる木材が使用されている。
 更に、片手で運用できる武器であるが故、空いたもう片方の手を大地で触ることで『地』の呪法を使用することも前提とされている。最後の『流』に関しては使いこなせる術者が極端に少ないために要素が省かれているが、拳銃は装備としてのサイズと重量が極めて軽いために本人のスタイルに合わせて副装備を持つことで幾らでもカバーが可能だ。

 シリンダーの回転を確認し、八発の弾丸を装填したことを確認し、ジャキリ、と子気味のいい音をたてて弾倉を収めたトレックは腰のホルスターにそれを差し込んだ。撃鉄は流石に引いていないが、銃が手元にあるだけでも丸腰とは随分違う。

 腰の近くに置いておいた鍵束を拾い上げたトレックは、ごくり、と生唾を呑み込んで馬車の奥の扉を見る。この奥に自分のパートナーになる女が待っているのだろう。話によるとこの先にいるのは死人の肝を喰らった女で、しかも現在拘束されているらしい。教導師は「余程の事がない限り命令には従う」と言ったが、トレックの言う事を聞いてくれる保証はどこにもない。

(話の分かるだけの理性的な女性ならいいなぁ……)

 叶わぬ願いとは思いつつも、儚い願いだと自覚するトレックは扉の鍵穴に鍵を差し込み、回した。
 内部でガチャリ、ガチャリと数度金具の音が鳴った後、扉はゆっくりと奥に開かれていく。

 とても、人がいるとは思えないほどに暗い空間だった。

 罪人を輸送するための牢であるが故、この中は扉が開かれない限り一切の光が入らない。すなわち、一切の加護を約束されない根源的な恐怖の空間。呪獣が入る隙間はないが、この空間には大陸の民にとっての『救い』が完全に排除されている。

「人間のいていい空間じゃない」

 自然と、そんな声が漏れた。彼女は道徳的には大きな罪を負っているかもしれないが、こんな空間に閉じ込められるほどの罪を果たして犯したのだろうか。光のない空間に短期間いるだけでも、大陸の民は途方もない不安に駆られる。それを、ギルティーネという女は護送中ずっと味わっていたのだろう。

 牢の中を良く見渡すと、陰に隠れたままの最も奥の部分に人影を見つけた。


 それが本当に女性なのか、一瞬トレックは確信が持てなかった。

 鉄の床に膝をついて座り続けるその人間は、拘束衣によって両手を胸の前で交差するようにベルトで固定され、両足は床から伸びる枷によって縛られ、その顔は鉄仮面のような拘束具を被せられている。これでは光どころかこちらの声が届いているかも曖昧で、扉が開いた今でも微動だにせずそこに鎮座している。
 
 痛々しい姿だが、同時に拘束された獣のようで不気味だ。
 近づいた瞬間に襲われるのではないか――そんなありもしない想像を掻きたてられるが、もう試験まで時間に余裕がない。トレックは彼女の拘束具に近づき、慣れない手つきで錠前に一つずつ鍵を通して解除していく。

 最後に残された鉄仮面に後ろから手をかけたとき、彼女の首が微かに上へ動いた。

「ッ!!!」

 突然の動きに驚いたが、しばらくして頭が拘束具を外しやすい角度になっている事に気付く。彼女にとっては慣れたことなのかもしれない。戸惑いながらも首の後ろにある鍵を解除すると、仮面が後ろから開いて中に纏められていた黒髪がぱさり、と落ちた。ほぼ無理やり押し込まれていたのか、くしゃくしゃに乱れている。
 「髪は女の命」。そんなことを言っていた母親を思い出し、少しだけ彼女を気の毒に思う。取り合えず拘束を完全に解いたら持参の櫛でも貸してあげよう――そう思いながら仮面を外す。仮面内部には更に猿轡が噛まされていた。喋る事さえ罪人には許さない、ということだろう。外してあげると、唾液が糸を引いて床にぱたり、と落ちた。

 同時に、完全に拘束が解かれたことを確認した彼女はゆっくりと立ち上がり、こちらを見た。

 『人喰いドーラット』は、トレックの想像を絶するほどに、美しかった。
 触れれば砕ける硝子細工なのではないかと疑うほどに整った顔立ち。
 病的なまでに白い肌のなかで、桜色の唇だけが彼女の血色を感じさせる。

 眩さに細められた蒼緑(ターコイズブルー)の眼光が、はっきりとトレックを捉えた。

「………………」

 彼女は、口を開かない。ただじっと、こちらを待つように無言で見つめ続けた。
 彼女に見とれていたトレックは、やや遅れて正気を取り戻す。

「あの……もう聞いてると思うけど、今回の『実地試験』で君のパートナーをすることになったトレック・レトリックだ。よろしく」

 コミュニケーションの基本は挨拶と握手。トレックはギルティーネに対して手を差し出した。
 しかし、ギルティーネはそんなトレックをまるでいない人間であるかのように無視し、牢屋の端に置いてあるトランクを開き、その場で拘束衣を脱ぎ始めた。

「………はいっ?あのぉ………えっ?」

 するすると服が落ち、染み一つない芸術品のような少女の裸体が晒されているという理解の範疇を越えた現実に、トレックは頭がフリーズした。こちらに背中を向けているとはいえ、いきなり男性の前で裸になる女などいるものだろうか。こちらが見ていることなどお構いなしにトランクの中から下着や法衣を取り出して着こんでいく姿を呆然と眺めていたトレックだが、遅れて自分が覗きに近しい破廉恥な事をしている事実に気付く。

「……って、着替えるなら着替えるって言ってくれよ!?」

 慌てて牢屋の外に飛び出したトレックは心臓を押さえて大きく息を吐き出す。本当に、何を考えていたんだろうか。女の子の裸を舐めまわすように観察するなど、どう低く見積もっても紳士のするべきことではない。

「よ、予想外の事態に弱い自分が恨めしい……というより、あの子に羞恥心とかはないのか?」

 罪人となったことで羞恥心を受ける事に慣れてしまったのかもしれないが、当のこっちが慣れていないので勘弁してほしい所だ。牢屋の奥からは布のこすれ合う音が収まり、ちゃきり、と何か硬いものを装備したような音がした。

 やがて、牢屋の中からギルティーネが現れる。その片手にはトランクとは違う細長いケースと、さっきうっかり置いてきてしまった鍵束が握られている。しまった!とトレックは頭を抱える。

 ――「君は罪人の管理を任された」と、あの教導師は言ったではないか。なのに罪人に鍵を預けてどうする!
 自己嫌悪と眩暈に頭を抱えそうになったトレックの手を、突然ギルティーネが持ち上げた。
 
「えっ、な、何だッ!?」
「…………………」

 ギルティーネは何も言わずに指でトレックの掌を開く。真っ白な肌からは想像も出来ないほどに暖かい感触。ギルティーネは開いた手に自らを拘束する鍵の束を置き、すっと手を引く。そしてギルティーネは細いケースを持ち上げ、その鍵穴をトレックの目の前に突き出して再び停止した。

「………俺が開けろ、ってこと?」
「…………………」
「でも、鍵束持ってるんだから自分で開けられたんじゃ……」
「…………………」

 ギルティーネは首を縦にも横にも振らず、声を一切発することがない。最初はこちらとコミュニケーションをとる気がないのかと思っていたが、今の彼女は確かにこちらの瞳を覗き込むように見つめている。

 いくらなんでもおかしい。呪法師という確かな立場にいる以上、自分から名前を名乗らないこと自体が異常なのだ。無口な人間はいるが、それでも最低限はかならず言葉を交わす。しかし、目の前の少女はまるでコミュニケーション方法が『欠落』しているような――

(――『欠落』……?)


『彼女の『欠落』は余りにも大きすぎる』

『君なら誰も埋められなかった彼女の『欠落』を埋められる……そう判断されたのだ』


 教導師の残した不吉な言葉がリフレインされる。
 あれはトレックでなければいけないなどと言われるほどに他の『欠落』持ちと相性が悪いという事かと思っていたが、もしも彼女のこの態度そのものが『欠落』の結果なのだとしたら、彼女の『欠落』とは――!!

 もしもトレックの予想が当たっているならば、これはもう相性云々の問題ではない。

 それは人として、余りにも致命的な『欠落』だ。


「ギルティーネ・ドーラト……君はまさか。『言葉がきけない』のか!?」


 ギルティーネは、その言葉を肯定も否定もしなかった。
 何故ならば――答えるという行動が、彼女からは『欠落』しているのだから。


 = =

『欠落』は絶対的なものです。『欠落』の根源である呪いが消滅しない限り、彼女が声を発することは絶対にありません。
ちなみにこの世界の技術力は部分的には18世紀前後くらい。 
海戦型
 
やっとヒロイン出せました
色々と謎や設定を詰め込んだ禁断の決戦兵器です。説明通り「実は喋る」みたいな要素は排除してます。
ちなみに名前の由来は「ギロチン」と、病人にトドメを刺すリトアニアの死神「ギルティネ」。 
八代明日華/Aska
 
来た! 無口(?)系ヒロイン来た!
これで勝つる!( 
海戦型
 
妄想物語5
 
 契約の日に「しばし待て」と言われ。

 契約後も「しばし待て」と言われ。

 試験当日の朝も「しばし待て」と言われた。

 しかし、流石にもう「しばし待て」とは言われないだろう。なにせ、既に待つ時間がないのだから。

「レトリック準法師、こちらに来い。お前が待ち焦がれた愛しのパートナーに会わせてやろう」
「ありがとうございます」

 ローレンツ大法師の演説染みた激を飛ばされてすぐ、試験担当の教導師がトレックに声をかけた。
 本音では「やっとかよ」とか「遅すぎる」とか、或いは「これ以上待ったら試験受けられない」と愚痴を漏らしたい気分だったが、ここはぐっと堪える。無駄に心象を悪くするより今直ぐ件(くだん)のパートナーと今回の試験について打ち合わせをしなければならないからだ。

 教導師はトレックを連れ、現場の馬車置き場に到着した複数の大型馬車のうちの、最も小さなものの前に連れてくる。あまり見覚えのないタイプの馬車だ。平均的なものに比べて飾り気が少なく、どこか重厚な印象を受ける。

(そこはかとなく、嫌な予感……)

 教導師が鍵を片手に馬車後方に回る中、トレックはずっと移動中に隣の生徒から聞いた単語が離れないでいた。――『人喰いドーラット』だ。資料によればそれが自分がコンビを組む相手であり、関わらないことをおすすめされた人物でもある。

 そんな恐ろしい二つ名のある人間と自分が組むという事実も肩を重くさせるが、同時にトレックはサンテリア機関側がこちらにドーラット氏の情報開示をギリギリまでしなかった理由を少しだけ理解した。要するに、評判が悪いと分かったらこっちが断固として奨めを断る可能性があったからだ。

(しかし、この馬車の中にいるのか?ローレンツ大法師の説明を聞かせもせずに?………絶対おかしい。そもそも唯の危険人物なら試験参加資格がなくなる筈だし、逆に危険な訳でなければ普通の生徒と一緒にさっきの説明に参加してたはずだ)

 状況からしてこの馬車に乗っているのは一人だけだろう。つまり、態々一人だけ別に移送し、今もこうして閉じ込められていなければならない事情があることになる。そこまで特別扱いしなければいけない呪法師などいるだろうか。

 しばし考えた後、ひとつの可能性に思い至ったトレックは馬車の側面を見る。
 トレックの想像通りならば、そこに見覚えのあるエムブレムが刻まれている筈だ。それはどちらかと言えば当たって欲しくはない想像なのだが、残念なことにトレックは予想通りのものを見つけた。

 扇のように翼を広げた一羽の鳥。その頭部はまるで羽がないかのように曲線で描かれている。

(禿鷹のエムブレム……やっぱりこれ、司法機関『断罪の鷹』の護送車じゃないか……!!)

 呪法教会には複数の機関が存在するが、あくまで教区機関の体制を取っているサンテリア機関以外――つまり教会の内部機関は全てが動物のエムブレムを掲げている。そして、禿鷹のエムブレムは罪人の護送、裁判、及び有罪判決者の管理を担当する『断罪の鷹』の掲げるそれだ。

「――レトリック準法師、来い」
「……分かりました」

 馬車の後方から掛かった声に、トレックは拳を握りしめながら答えた。

 トレックが来たことを確認した教導師は、鉄枠でがっちりと固められた馬車の扉をゆっくりと開ける。ギギギギ、と鉄の擦れる音をたてて開かれた馬車内には、更にもう一つ固く閉ざされた牢のような扉が設けられている。

「『断罪の鷹』の所有する馬車とは皆こんな物なのですか?………まるで罪人を運ぶ護送車のようですね。いや……あるいは俺のパートナーは本物の罪人ってことですか」
「………何の事かな?」
「ギルティーネ・ドーラット………なんでも『鉄の都』では『人喰いドーラット』と呼ばれているとか?」
「……………まぁ、一先ずは中に入りたまえ」

 教導師の男は一瞬だけ目を細め、馬車の中へとトレックを誘った。
 内部にある腰掛けにトレックを座らせた教導師は反対側の腰掛に背中を任せ、改めてこちらを見た。

「まずは少々驚いた、と言っておこう。こちらからは一切情報を明かさなかったにも関わらずそこまで知っているとはね。案外、独自の情報網でも持っているのかな?」

 つまり、こちらが何も知らなければ完全に騙して丸め込む気だったのか――そう内心で毒づきながら、トレックは敢えて感情を殺し、素っ気ない返事を返す。今度は適当に誤魔化されるわけにはいかない。

「………しがない学生の噂話も馬鹿には出来ない、それだけです」
「『鉄の都』と『朱月の都』は余りにも距離が離れている。こちらとしたことが、現実の距離は情報の距離とタカを括りすぎたようだ」

 どこか感心したような声をあげる教導師に、トレックは内心で歯噛みした。

 これ以上下手な嘘を突かれるのは我慢ならないために、トレックは敢えて知った風な口をきいた。実際にはまだ断片的な情報と推測を組み合わせただけの情報だが、向こうは一応こちらが多くを知っているのだと騙されてくれたらしい。今度は相手一人、会話のペースを握って上手く言葉を選べば、今度こそ情報を得られる筈だ。

「しかし機関も思い切ったことをする。呪法師の『取引』に関する話は制度として勉強しましたが、まさか学生の内にこんなにも直接的に関わるとは思いませんでしたよ」
「特例なのだよ。この奥にいる彼女はな……我々としても判断に困ったが、一応は害なしと判断せざるを得なかった」

 カマかけで情報を引きずり出す。トレックは『断罪の鷹』のエムブレムを掲げた馬車の中に相手がいる事から、「相手は司法取引の類で表に出る許可を得た罪人である」と推測したが、現状ではまだハッキリとした事情が掴めない。
 あちらは顔色からしてそれほど急いでる訳ではないようだ。ならば婉曲に、まだ探りを入れられそうだ。

「害なし、ですか……どうもこちらの噂とは事情が少し違うらしいですね。所詮噂は噂ですか」
「それはそうだろう。流石に人間の生き胆を貪り喰らったのなら問答無用で牢獄行きだよ」
「………ッ!!」

 今、とんでもない情報が零れ出た。

(ちょ、ちょっと待って……『人喰い』って比喩的な意味じゃなくて食人文化(カニバリズム)的な意味かよッ!?そんな話聞いてたら確かに断固話を断るわッ!!)

 危うく表情が崩れそうになったのを必死で堪えながら、自分自身に落ち着くよう促す。
 噂通りではないと教導師は言った。つまり、別に本当に人間の生き胆を貪ったという訳ではないのだろう。相手に不審がられる前に、どうにか情報を聞き出す。

「……それで、上の扱いはどうなってるんですか?」
「ああ、随分苦心していたよ。何せ――喰われた相手は別の要因でほぼ即死状態だったからな。生きているならともかく、死体の場合は罪に問いにくいからな。目撃者の中にはショックで心的外傷を負って使い物にならなくなったのもいるし……」
「―――………」

 トレックの頭の中で、四つん這いになりながら自分の腹を切り開いて小腸を加える恐ろしい化物のような女のイメージが浮かび上がる。……今、自分の表情筋が盛大に引き攣らせずにポーカーフェイスを維持しているという奇跡をトレックは自覚した。

 非常に認めたくない現実が見えてきた。
 どうやらおおよその予想通り、トレックはこれから凄まじいまでの訳あり呪法師と組まされるらしい。ギルディーネ・ドーラットの情報をトレックに伝えなかったのは、知れば絶対にこの話に乗ってこないからだ。当然だろう、人間を喰った女と誰が好き好んでタッグなど組みたがるだろうか。

「噂を信じ込んだ連中が彼女に手を出しては返り討ちに遭って余計に怪我人が増えるものだから本当に困ったよ。結局は彼女を拘束するために元老院で『過剰防衛』という罪を法で作ってもらい拘束する形で『保護』する事態にまでなった」
「保護の方が本音ですか」
「当然だ。それに、彼女も呪法師であり続ける事を望んでいるようだしな」

 トレックの頭の中で、自分に馬乗りになって血が滴る拳で殴りつけてくる鬼の如き女のイメージを思い浮かべた。トレックは、あの時に怪しいと思ってパートナーの話を断っておけばよかったと心底後悔し、ちょっぴり泣きそうになった。

 しかし――逆を言えば相手は恐らく呪法師として崖っぷちで、この試験には是が非でも合格したいと考えている筈だ。最初にこの話が持ち上がった時、「タイミング」というワードがあったということは、向こうにも差し迫った事情のようなものが存在すると考えるべきだろう。

 何の事はない、相手もパートナーを選んでいられる余裕がないのだ。だとしたら、最低でもこの試験の間は協力して物事に当たれるかもしれない。それに、司法取引の類を持ちかけられるという事は、それだけ教会にとって手放しがたい能力を持っているとも考えられる。

 散々な情報ばかりだったが、僅かながら光明が見えてきた。
 今はなるだけ深入りはせず、無難な疑問だけ消化するべきか。

「………それで、今になってどうして俺とタッグを組むなんて話になったんです?」
「能力は十二分。生活態度も基本的には問題ない。指示にもある程度は従順だ。しかし……君も知っての事とは思うが、彼女の『欠落』は余りにも大きすぎる。身分も身分だし、このまま埋没させるわけにはいかなかった……そこで上がったのが君の名前だ」

 全然無難ではないワードが二つほど飛び出したが、もう思考は後に回す。本人に聞けば分かることだ。

「自覚はないかもしれないが、君は特殊すぎるのだよ。どんな『欠落』を持つ誰であっても状況に適応し、柔軟に物事を運ぼうとする。人間の心の相性を形に表すとしたら、君は粘土のようにどんな形にも張り付き、決して反発しない」
「………その分気味悪がられていますがね」
「そう自分を下卑するな。君なら誰も埋められなかった彼女の『欠落』を埋められる……そう判断されたのだ。めでたいことだろう」

 愉快そうに微笑んだ教導師は、鍵束をトレックに手渡して護送車の奥を指さした。

「私が関わるのはここまでだ。これより君は彼女の『管理』を全面的に任されることとなる。この馬車の鍵、内部の牢屋の鍵、彼女自身にかけられた複数の錠、全てその鍵束に対応している。余程変な事や下品なことを要求しない限りは君の指示に従うから、しっかり手綱を握りたまえ」
「えっ――」
「では、所定の時間に遅れないように行動する事だ」

 軽くトレックの背中を叩いた教導師はそそくさと馬車を後にし――その場には、知ったかぶりをした結果余計に現状が分からなくなったトレックと、鍵の束だけが残された。

 ――知った被った俺が悪いとは思いますけど……管理って何すか。


 = =

きっと後で書き直す気がします。
それはそれとして、台車の話書くべきかどうか迷ってます。 
海戦型
 
なんと
ちょっぴり休載しているうちに全裸の人が……風邪をひかせてしまったら大変なので続きに取りかかります。
この世界のブードゥーは厳密にはリアルなブードゥーとは別物なんですが、世界観を考えた時に自然と『ブードゥー』という力がしっくりきたので……っと、これは余談でしたね。 
八代明日華/Aska
 
このシリーズ本当に好きです
 特にブードゥー教のネタが入ってる辺りが! まさかブードゥー系のネタを使う作品に出会えるとは思わなかったので感動しています……! ありがとうございます。ありがとうございます。

 続き全裸待機してますね( 
海戦型
 
台車の台車による台車の為の台車
 
 台車――それは、神秘の物質。

 黄金比と呼ばれる究極の造型で構成された一枚の板を、まるでこの世の流転を表すような4つの車輪が支えるその様は、奇跡的なバランスの元に成り立つこの世界の基盤そのものであるかのように美しい。しかして、世界は人の力で動かすことが出来る……そんなメッセージを象徴するように、敢えて板には取っ手が装着されている。直角の板とは違って美しい曲線を描き、敢えて人工物だけの世界などあり得ないというメッセージが添えられているかのようだ。更には取っ手という覇権を握るに相応しい者が現れないとき、取っ手は板とともに新たな主を待つよう折りたたんでひと時の休息に移る。
 そして、台車とは運ぶもの。それは物質を、魂を、時間を、空間を、森羅万象をあるべき場所へと運び続けるためのノアの方舟そのもの。

 一説には台車はこの地球が誕生したと呼ばれる64億年より更に以前から造形物として存在する、宇宙そのものの原型だとする学説もあるが、真偽のほどは定かではない。また、台車は地球の生物や現在の地球人類の進化に深く関わっており、嘗て地上に栄えた恐竜たちが滅んだ理由は台車の禁忌に触れたことが間接的な原因であることがジュラ紀の地層の調査で示唆されている。

 また、台車の存在が神のモデルになったことは昨今一般常識として国際的に知られている。聖書等における神のお告げとは、台車の力に触れて宇宙真理の一部を得た存在がそのメッセージを「神のお告げ」と捉えたとするのが最有力な通説だ。また、台車の存在を最も強く残す宗教は仏教であり、「大乗仏教」や「小乗仏教」の「乗」というのが台車に乗るかどうかの議論であるという事実は宗教学者の間では余りにも有名な話である。

 近年では相対性理論で有名なアインシュタインの原理が台車からモチーフを得ているなど、台車の持つ可能性は今もなお人間に多大な恩恵を齎している。しかし、台車の恩恵を正しく理解しない存在から見ればこの台車の語る真理とは道具でしかなく、原子爆弾を初めとする大量破壊兵器を生み出す人類の蛮行を生み出してしまう結果になったことは誠に残念でならない。

 さて、先ほど少し触れたが台車の真理的な部分を人々に伝える際に重要視されるのが台車という形状が表す移動エネルギー、すなわち加速の力が重要な解釈ポイントになっている。加速とはつまり停止や停滞がない事を表し、加速こそが宇宙の始まりであるビッグバンと宇宙の終焉であるエントロピー終焉を端的に表す究極法則であり、この法則に触れた者は現在、過去、未来という字空間を超越した発想や思考を得ることが出来る。
 また、これは未だに研究中の分野だが、車輪が回るガラガラという不思議な振動が知的生命体の持つ固有アストラル波長と一致しているという仮説が存在する。もしもこの仮説が立証されることになれば、全ての人類が加速のエネルギーの正しい在り方を理解し、世界から無用な争いが消え去る日が来るであろう。

 そして忘れてはならないのが、加速のエネルギーとは宇宙の終焉をも突破する無限の可能性を秘めていることだ。残念なことにこの無限の可能性を正しく観測できる存在は、この世界のどこかに存在するオリジン台車と同位体の台車に乗った人間、すなわち理論上の世界にしか存在しない「台車男」のみである。
 そしてオリジン台車が人類の手に届かない宇宙の中心部に存在するという公算が高く、現在の人類の文化レベルでは同位体を作り出せる確率が0,0000000000000000000000500103%である以上、これを製造することが不可能に近いことは数値を見るに明らかだ。また、オリジン台車に迫る行為とはすなわち恐竜の冒した禁忌に匹敵する行為であることが古くから示唆されている。西暦1999年のノストラダムスの大予言も、当時のノストラダムスが「西暦1999年の技術力において初めてオリジン台車の同位体を製作しうる可能性が人類内部で誕生する」という仮説を加速エネルギーの中から受け取ったことを起点としていることからも、これがイカロスの翼以上の危険性を孕んでいることは明らかだろう。

 我々は恐らく永遠に答えには辿り着けないのだろう。
 しかし、辿り着けないのならばそれが台車の意志であり、この世界が正しくある事の証左なのだ。

 だが、もしも。

 もしもこの世界にオリジン台車の同位体に乗る「台車男」が現れたとしたならば――それもまた、台車という絶対真理が必要として生み出した存在なのかもしれない。

 人類史には何故か頻繁にこの「台車男」が救世主として登場する伝承が多く散見される。これは解読不能とされたイースター島の文献にも登場し、文献内で唯一台車男の部分のみが解読された事からこの文献は旧宇宙における知的生命体が残した台車と台車男に関する重大な謎を書き記したものであることは想像に難くない。

 なお、「台車男」の「男」とは日本語における男性の事ではなく、救世主を表す古代台車語の「オトゥーウェグ」を日本語に直した際に付けられた当て字として大和朝廷誕生以前から存在したものである。そのため実際には「台車男」には女性も含まれるとするのが一般的な見解である。
 
 「台車男」。それがどのような存在なのか、現状の人類では答えに辿り着くことが出来ない。

 この答えが明らかになるのは、人類がもっと台車による加速エネルギーの真理を理解してからの事となるだろう。


 ~ ダイシャール・D・スゲダイスキー著『運命の車輪』-688ページより抜粋 ~
  
海戦型
 
(特に理由はないけど何となく)勝った!
昨日何故か猛烈に絶不調で全く筆が進まなかったのでこんなの書いてました。
いつか台車教の教祖になるために明日からも頑張ろうと思います(真顔) 
八代明日華/Aska
 
くっそww
相変わらず最高ですね…… 
海戦型
 
【ネタ】××・オンライン
 
 VR技術の急速な発達によってゲームの世界に極限のリアリティを表現できるようになった時代。
 ある会社によって、人類史上初のVRMMO(仮想現実世界における多人数同時参加型オンライン)RPGが販売された。それまでの消極的なVRゲームとは一線を画す、既存のあらゆるゲームを越えた圧倒的なボリュームを誇る大冒険。日本全国のゲーマーたちがその歴史的瞬間の生き証人になろうとこぞってゲームを買い占めた。

 そう、歴史上誰も見たことがない史上最高のゲームが、始まろうとしていた。

『リンク・スタート!!』



 = =



 この日、キリトはさっそくこのゲームを開始していた。

 このオンラインゲームは所謂『探索ゲー』である。広大なフィールド内に散らばったリソースを回収したり、あちこちに存在する原生生物(モンスター)を倒したり、アイテムを収拾したり、見晴らしのいい地形を発見して登録するなど、その行動の自由度は半端なものではない。

 同時に、遠い場所で活動を続けるために各地のセーフポイントを発見したり、拠点となる街の設備や問題を解決するなど、『開拓ゲー』としての側面も持っている奥深いゲームだ。キリトはβテスト時から既にこのゲームのあちこちを移動してみたが、拠点の街でさえ構造を把握するのに24時間かかるレベルで大きさが半端ではない。

 そう、キリトがこのゲームに抱いた感想は「とにかくスケールがでかい」。この一言に尽きる。

 βテスト時でさえ舞台となる大陸を散々駆け回ったプレイヤーたちだったが、そのフィールドの広大さやサブクエストの量の多さに忙殺され、結局大陸の半分ほどしか確認することが出来なかったぐらいだ。しかもスタッフ曰くこの大陸よりも更に巨大な大陸をあと4つ用意しているらしい。キリトは今でもゲームディレクターが「惑星一個作りました。遊んでください」とどっかの雑誌で言っていたのが忘れられない。

 しかも、βテスト段階ではサブクエストやメインシナリオ、ボスの配置などが大幅に伏せられた状態での冒険だったため、これから大陸にどんな冒険が待っているのか全く予測がつかないというワクワクもあった。こればかりは発売まで伏せ続けたスタッフに流石だと言いたい。

「さて……そろそろポイントに到着するな」

 マップで座標を確認したキリトは周囲開けた場所に移動し、そこで厄介な敵の存在に気が付く。
 反射的に岩陰に隠れたのが功を奏したか、向こうはまだこちらの存在には気付いていないようだ。

「ノービス・ルプスか………嫌な場所に居座ってるな」

 ノービス・ルプス。ルプス属に分類される、小型恐竜のような四足歩行の原生生物だ。ノービス・ルプスのサイズは5メートル前後とかなりの威圧感だが、他のルプス属の中には10メートルを越える種類も存在する。大陸の原生生物の中でも足が速く、性格は好戦的。視界に入ると即戦闘に突入するが、特別に強いと言う訳ではない。

 この時点で既にその辺の雑魚を狩ってレベリングしたキリトはLv.4。対してノービス・ルプスのレベルはおおよそ3~4程度。ソロで十分対応できる範囲だ。
 キリトは周辺を素早く確認し、乱入されそうな生物がいないのを確認すると背中のアサルトライフルを手に握った。現在のキリトの装備はアサルトライフルとナイフの二つ。これは全プレイヤーが初期状態で装備する構成だ。

 このゲームにはクラスが存在し、最初はアサルトライフルとナイフを装備する「ドリフター」から始まる。ここから経験値を得ていくことで更にクラスが派生し、どのクラスへ進んだかによって大きく装備品が変わってくる。
 今の所キリトが目指しているのは、「ドリフター」から派生する上位クラスの「コマンド」。なんとこのクラスは男の浪漫である『二刀流』だけでなく『二丁拳銃』まで使えるという浪漫の塊のようなクラスなのだ。男キリト、特に『二刀流』には凄まじく惹かれてしまった。

 では他のクラスは浪漫がないのかというとそうでもない。「ドリフター」から派生するクラスは他にも二つあり、アサルトライフルはそのままに男の浪漫の一つ『大剣』を装備できる「アサルト」と、これまた男の浪漫である『ビーム大砲』とナイフで立ち回る「フォーサー」がそれだ。

(まったく……このゲームの開発者は浪漫を解しすぎだろ。どのクラスになるかで何度もスレが大荒れになったぞ……)

 いや、下らないことに気を裂かれている場合ではない。この大陸には「巡回型」というあちこちを動き回っている生物もいる以上、キリトが今隠れている場所もずっと安全ではない。意を決したキリトは、あらかじめアーツを使用する。

『クロムアーマー』

 胸元に手を掲げてそう唱えた瞬間、全身をうっすらとした光が包みこむ。これは一定時間物理防御力を上昇させるアーツだ。このゲームではアーツが通常攻撃以外の『必殺技』のようなもの。一度使用すると再発動までにリキャストが必要だが、防御は早めに上げておいた方がいいというのがキリトの経験則だった。

「……よし、行くぞ!!」

 一気に駆け出したキリトはナイフを抜き、こちらに反応しきれていないノービス・ルプスに向かって突き出した。突撃のモーションを自動で検知したシステムが、再びアーツを発動させる。

「スリットエッジッ!!」
『グギャアアアアアッ!?』

 ナイフアーツ『スリットエッジ』。敵の側面に命中させると必ずクリティカルになる、初手でよく使われるスキルだ。最初の一撃を成功させたキリトは焦らずにルプスと距離を取り、アサルトライフルでHPを削っていく。
 しかし、ルプスもただではやられない。少しずつしかダメージの通らない銃撃に耐えながら、身をかがめて突進してくる。

『ギャオオオオオッ!!』
「クッ!!」

 なんとか身を翻すが、カスってダメージを受ける。『クロムアーマー』の加護のおかげで大きなダメージには至らなかったが、直撃すれば体勢が崩れてやりにくくなるので過信は禁物だ。突進が命中せずに減速したルプスの姿を捉えたキリトは再びルプスに肉薄し、ライフルを振りかぶる。

「アサルトハンマーッ!!」

 再びアーツ発動。ハンマーのように振るわれたライフルの銃底が、ルプスの足を猛烈に殴りつけた。突進の直後で踏ん張りが利かなかったのか、これに足を取られたルプスは転倒する。
 このゲームで転倒は非常に強力な体勢異常だ。転倒させれば相手は暫く動けないし、弱点も突き放題。転倒状態の相手に対して威力が増加するアーツもあるし、狙ったタイミングで転倒させれば相手の大技を強制中断させることも出来る。
 当然、この千載一遇のチャンスをキリトが逃すはずもない。素早くルプスに銃口を向けたキリトは、更にアーツで畳みかけた。

「こいつでトドメだ!ファイアグレネードッ!!」

 ライフルに備え付けられていたグレネード発射機構から射出された弾丸は、動けないルプスに命中して大爆発を起こした。

 ややあって、キリトの視界の端に原生生物の討伐を完了したというメッセージが表示される。
 経験値とドロップアイテムを回収したキリトは、ポリゴン片となって消えていくルプスを通り過ぎて、やっと所定の場所へたどり着いた。

「さて、あとはここにデータプローブを設置したら今日は終わりでいいか……」

 腰に装着させていた近未来的なデバイスを弄ったキリトは『データプローブの設置』を選択する。その瞬間、フィールドに突如として大きな金属製の筒のようなものが出現した。6メートル近くあるだろうか、筒は地面に対して垂直に立つように三脚のようなパーツでがっちり固定されている。

 キリトが実行ボタンを押すと、筒の先端が開いて地面にビームが照射され、筒はゆっくりとビームの超高熱で溶かされた大地へ沈んでいく。
 この金属の筒はデータプローブといい、この大陸の周辺情報の調査、スキップトラベル(ワープ機能のようなもの)、更には設置したプレイヤーに地下資源の採掘という報酬を与える機能まである貴重なアイテムだ。これを設置することもプレイヤーの重要な任務の一つなのだが――設置を終えて気が緩んだキリトは、背後から来る地響きに一瞬だけ反応が遅れる。

「――?なんだこの地響き……原生生物の群れじゃないな。むしろもっとでかい敵が接近しているような………」

 首を傾げながら振り向いたキリトを待っていたのは――全長20メートルを越えようかという超特大の大猿だった。


『グウオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』


 とんでもない巨体の喉から発せられる特大の威圧に、キリトはさぁっと顔を青ざめる。
 上半身に四本、下半身に二本の計六本の腕を備えた凶悪な猿(マシラ)の瞳が見下ろしてくる。

 これは、多分『シミウス』というゴリラに近い種類の原生生物だ。それは知っている。βテスト時に割と街の近くをうろついている『ジュニア・シミウス』のせいで苦労させられた。思いっきり振りかぶった手から繰り出される強烈な鉄拳の威力と範囲が凄まじく、集団で倒すのが安牌だと結論された敵だ。

 だが、βテスト時にはこの辺には出現しなかったし、こんなにも巨大な個体は出現しなかった筈だ。

「まさか………製品版の追加要素か!?くっそ、よりにもよってこのタイミングで!」

 連戦はキツイが、出会ってしまった以上は走って逃げるのは無理だろう。原生生物の足の速さとしつこさは半端ではない。故にキリトは既に臨戦態勢に入り、『クロムアーマー』で再び防御力を上げつつ敵の正体を探っていた。

 このゲームでは、敵の名前とレベルは相手を注視すればアイコンとして表示される。

 そこで、キリトは自分の眼を疑う狂気の表示を目にする。


『【オーバード】縄張りハイレッディン Lv.81』


『Lv.81』


『 レ ベ ル 八 十 一 』


 現在のキリトのレベル、4。

 目の前の非常識のレベル、81。

 そのレベル差――77。

「……ここ、拠点の街のすぐ近くなんですけど……周りの原生生物、レベル高い方でも10くらいなんだけど………えっと、出る所間違えてない?」

 直後、縄張りハイレッディンのパンチ一発でキリトのアバターは粉々に砕け散った。
 装備品とかクロムアーマーとかそんなもん関係あるかと言わんばかりに、一撃だった。

 

 その後、無言でゲームをログアウトしたキリト――現実世界での名は和人――は、ナーヴギアを脱ぎ捨てて自分の部屋の窓を開き、外に向かって叫んだ。


「………………絶対バグッってんだろコレぇぇぇええええええええええええええッ!!!!」


 この日、一人のプレイヤーの一撃爆散と共に、この『ゼノブレイドクロス・オンライン』の真の恐ろしさの一つが明るみに出るのであった。


 = = 

 なんとなく書きたかったんや。 
海戦型
 
変な夢見たので
なんか某笑顔の絶えない動画サイトで全然知らない海外ホラーゲームの実況動画を見る夢をみました。妙に鮮明に覚えてるんでメモします。

話の冒頭は、なんか主人公が(たぶん小学生くらい?)部屋の中でおばあちゃんと遊んでるんです。
ところが突然玩具の一つのぬいぐるみが動きだし、どこで手に入れたのかカミソリみたいな武器でおばあちゃんの首筋を斬り裂いてしまいます。なんかこの辺で実況が「何とか助かって欲しいなーって傷ですけど致命傷なんですよねー」みたいなことを言ってました。ひでぇ。

そして目が覚めると……主人公はおばあちゃんを切り裂いた憎きぬいぐるみの姿に。ここから操作が可能になります。後ろに自分の家(ぬいぐるみなので扉を開けられない)、道の左右はひたすら広がる畑、道の先には崖にかかったボロ橋と更に先に見える大きな家。日本じゃなくて欧米諸国っぽい。主人公はしょうがなしに橋を渡って家にいこうとします。

しかしそこに立ち塞がる玩具の敵。緑色の蜘蛛のぬいぐるみみたいなのが橋の取っ手の両端に足をひっかけてこっちを妨害してきます。ぬいぐるみは小蜘蛛を嗾けてきて、主人公はそれを迎撃するんですが……なんと私、コメントを打ち込むのに夢中で全然その辺をちゃんと見てませんでした。しかも夢なせいかコメントは全部謎のエラーで消えるし。

で、なんやかんやで多分倒した後の主人公は大きな家の部屋に上がり込みます。滅茶苦茶荒れていて、あちこちに動かない玩具の姿も。ここで主人公は包丁とかチェンソーを拾って周囲をぶち壊せるようになるんですが、その中にポツンと大きなぬいぐるみがあります。明らかに周囲の物と違って、しかも額が切れて血が流れている弱った感じのぬいぐるみです。実況で「このぬいぐるみを破壊しちゃうとバッドエンドです」みたいな声が入ります。

そしてぬいぐるみの前で一定時間停止で場面が暗転。自分の身体が人間に戻ると同時に、目の前のぬいぐるみが母親の姿に。傷は見当たりません。とりあえずこの場所を脱出しようと部屋の外に出て、暗いから電気をつけると……別の部屋の前に複数の人影が!……と思ったらなんだかのんびりした三世帯家族が現れます。

彼等はこれから行く場所があるんだと玄関近くの物置きらしい場所の扉を開きその中へ。そこにもう一人、家族ではなさそうな臆病そうな女性が現れます。「じゃ、じゃあ私はこっちから帰りますんで……」と何故か家族の方を悲しそうな目で見ながら女性は裏口へ出て行きます。ふと気が付いて玄関の外を見ると、崖の上にかかっていた橋が落ちています。

主人公は家族に「この(物置の)先に行ったらどうなるんです?」と質問します。すると家族のうちおじいちゃんらしい人が柔和な微笑みで「ずっと遠くへと続いているよ。終わりがないくらい、ずっとずっとね」と答えました。その時主人公は多分、本能的にその戸棚の先がこの世ではないことを悟ります。
母親はいまいち分かっていないのかのんきに玄関から外に出ようとしますが、橋が落ちているのに気付いてびっくり。なんか普通の反応すぎて和みました。

奇妙な事に、三世帯家族は楽しそうに戸棚の中へ入っていき、入った後も孫がはしゃぐ声が聞こえます。そんな中主人公は家の中に「戦車砲の砲弾」らしいものがぎっしり箱に詰まっているのを発見します。……興味本位で一本抜くと、滅茶苦茶重い。試しに外の崖に放り込んでみると、何かの拍子に信管が作動したのかドォン!!と音がします。……本物です。

一体あの家族は何者だったのだろう。漠然とした疑問を残しながら、主人公は母親を連れて家の裏口へと向かいます。裏口は崖の下に続いているようですが行き先はわかりません。少なくとも戸棚の道は絶対に家に帰れる道じゃない。そう確信しながら――途中で自分が裸足であることに気付いてスリッパを拝借しつつ――親子は屋敷を後にするのです。


……ってな夢でしたね。

意味は分からないですけど、最後はちょっと切なかったです。おわり。 
海戦型
 
ちょっとだけ
これを基に書いてみようかなぁ、と思ったんですけど駄目ですね。夢の中で見たあの雰囲気は文字に書き起こして表現することが出来ないと思います。小説に仕上げると逆に考えが固定されてしまって、イメージの中の夢と比べて安っぽくなるのが目に見えちゃったんで小説化は止めました。

しかしLIMBOが出てくるのはちょっと意外でした。ええ、昔に見たことがあります。
確かに、夢から覚めてみると「そもそも主人公って本当に生きてるのかな?」とか疑問に思ったりしました。振り返ってみると色々と暗示するようなものはありましたし。ひょっとするとあそこは「辺獄」だったのかもしれません。
ただ、私の見た夢は割と周辺の天気は晴れていまして、昼間で明るかったです。それに蜘蛛もぬいぐるみなので意外と安っぽいデフォルメ蜘蛛でした。決して頭蓋を貫通する刺突を繰り出す恐ろしい巨大蜘蛛ではありませんよ(笑)。 
Cor Leonis
 
なんか
 コレ読んでLIMBOってゲームを思い出しました。あれはホラーっていうより雰囲気ゲーですけど。
 そういえば、そのLIMBOにも大蜘蛛が敵として出てくるんですが、蜘蛛ってキリスト教だと女の嫉妬とか、束縛する母親なんて意味があるらしいです。母親ェ……(とばっちり)

 しかしまあ、夢にしてはえらくストーリーが繋がってますな。ひょっとして、これを小説に仕上げよという神のお告げなのでは……?(チラッチラッ 
海戦型
 
色々と調べた結果……
P唯でさえ古いせいでPCの熱処理能力が限界を迎えていたようです。つまり現状で最大の元凶は熱暴走という訳ですね。電源落ちした直後にPCの裏を触ってみたらシャレにならないくらい熱かったです。とりあえずPCの下にガチャガチャのフタの柔らかい方でも敷き詰めておくことにしました。 
海戦型
 
妄想物語
 
 朱い月が空を蒼く照らし、白き月が天幕を靡かせる世界。

 この世界の中心に、人が多く住まう名もなき巨大な大陸が存在した。


 後に大陸歴元年と呼ばれる遙か昔のその日、この大陸中の全ての人々が『悪魔』に呪われた。


 誰もが何故呪われたのかを覚えていない。ただ、人々が一つだけ覚えていることがある。


 ――人は生きるために悪魔と契約し、その代償として呪われたのだ。


 以来、その大陸で生まれる全ての人間が呪われて生まれ、呪われて生き、呪われて死すようになった。決して例外はなく、赤子から老人までもが必ずその呪いを受けた。

 人々に与えられた呪い――それは、『欠落』。

 ある者は表情が欠落した。ある者は声が欠落した。またある者は文字が欠落した。
 不思議な事に、『欠落』は何故か命に直接達するほどに重篤なものとなる事は決してなかった。ただ、パズルのピースが一欠片だけ失われるように、完成された人間性に一カ所だけ穴が開く。それ以外は人として何も変わりはしなかった。しかし、変わらないからこそ歪みは小さなずれを発生させ、ずれは軋みを起こし、軋みは浸透するように人間の心を蝕んだ。

 呪いを怖れて大陸から逃げ出すための船を出す者もいたが、海は船を出して一刻も過ぎれば激しい荒波と嵐に襲われ、どんなに頑強な船も抜け出すことは出来なかった。

 また、いつしか大陸には理性のない異形の化け物が蔓延るようになり、夜の闇と深い霧に紛れて人々を襲い、喰らった。百鬼夜行によっていくつもの民族が蹂躙され、殺され、滅んで行った。為す術もなく滅ぼされた民族もいれば、勇敢に立ち向かって滅んだ民族もいた。異形は、倒すことは出来ても滅する事は出来ない。火にくべても何度刺突しても、弱るだけで死ぬことはなかった。

 異形は光を浴びると力を弱め、闇に逃げ込む。だから人々は民族の垣根を越えて集結し、一つの巨大なコミュニティを作ることでこの悪夢のような大陸を生き延びることを決めた。異形は人手は敵わぬほど凶悪であったが、光という致命的な弱点を突けば決して逃げられない敵ではなかった。

 人々は団結し、『欠落』した人間なりにあらゆることを考え出した。ある賢人は『月陽歴』で月日の数え方を決定し、またある賢人は全ての種族が使える共通言語を考えた。より効率的に光を発生させる方法を模索した者もいれば、種族内の新たな規律を生み出すために奔走した者もいた。
 『欠落』した民たちは、何故か才覚溢れる者や人一倍働ける者が多かった。人間関係などでは大きな問題を孕んだ『欠落』を持っていても、人の為に働くことで評価を得ることが出来た。

 やがて人々は一つの巨大な都市を建設し、そこを『朱月(あかつき)の都』と名付けた。


 ――それから1000年もの月日が流れた頃、都でとうとう異形を完全に屠る技術が開発された。

 『呪法(ブードゥー)』――呪われた民の用いる、呪術の力。

 大陸の人間は悪魔と契約し、その際に呪われた。その際に得た莫大な呪いの呪力を戦闘に応用するという、常識では計り知れない技術だった。人々はその『呪法(ブードゥー)』の研究を重ね、発展させ、その力を持って都の外を囲っていた化物に戦いを挑んだ。
 後に『大地奪還(ラスタファリアン)』と呼ばれる、大陸の民の反撃だった。

 結果は、圧勝。大陸の民が得た莫大な力は瞬く間に異形を滅ぼし、人々は沸き立った。

 後に判明した事実によれば、異形の化け物たち――後に『呪獣(ザンヴィー)』と名付けられた――は彼等と同じく呪いの力を糧に動いていたらしく、同じ呪いの力をぶつけることで崩壊させることが出来ることが判明した。これに勢いづいた『朱月の都』は、今まで昼間にしか活動できなかった周辺の土地から一気に『呪獣』を追い出した。
 1000年間逃げ続けた民たちの憤怒と憎悪の爆発的な奔流によって『朱月(あかつき)の都』は勢力圏を拡大し、周辺に五つの都を建造した。

 巨大な木々に溢れた『森の都』、火山や温泉の豊富な『熱の都』、肥沃な平野の広がる『畑の都』、鉱脈豊かな『鉄の都』、多くの川や海と接する『潮の都』――特に『鉄の都』と『潮の都』の周辺は1000年ぶりの奪還であり、『朱月の都』は爆発的に発展した。

 『呪法』を開発した学者たちは『呪獣』と戦うための組織――『呪法教会』を設立し、100年の歳月を経て五つの都の大地が持つ力を利用した『五行結界』と呼ばれる巨大な結界を作り出した。この結界は内部に侵入した『呪獣』をたちどころに弱らせ、最終的には消滅させる呪いが込められたもの。
 そう、この空間では人間は闇を怖れる必要がない。人間が安寧できる、人間だけの空間が完成したのだ。

 だが、発展はそこまでだった。『五行結界』が完成した頃、突然『呪獣』の戦闘能力が跳ね上がった。依然として『呪法』の力は有効だったが、それまで呪法に為すすべなく滅ぼされるがままだった『呪獣』たちの中から、一度や二度の『呪法』では消滅しない頑強な個体や、『呪法』を避けるために遮蔽物や人間から奪った盾などの道具を使用する個体が現れ始めたのだ。

 大陸の民は、『五行結界』の外への更なる『大地奪還』を断念した。
 幸いにして『五行結界』の完成によって大陸の民は従来の10倍近い生活圏を取り戻し、得られる資源の量は20倍以上に跳ね上がった。それまで決して豊かとは言えない生活を送っていたほとんどの民たちは、戦うより発展と豊かさを選んだ。

 その頃、民間から『欠落』を持たぬ子供が生まれ始めた。
 完全な人間の誕生――それは、これから訪れる希望に満ちた未来の象徴にさえ思えた。


 ――それから再び1000年近い年月が流れ、大陸歴2137年。

 1000年の刻を経て、大陸の民の団結力は次第に失われていた。『朱月の都』を中心とする六つの都市は利害関係から単なる貿易相手と化し、それぞれの独立した政治体系を確立。全ての都市を繋ぐ『呪法教会』もその思想の違いから度々分裂を起こし、中には『呪法』を私利私欲に利用する犯罪者やテロリストも現れることとなる。
 また、地殻変動によって大陸を覆っていた嵐が一部消滅。大陸の民以外の存在が資源豊かなこの大陸へ次々に入り込むことで様々な文化が流入。これにより思想が多様化。自由な思想は増え、代償として嘗ての団結力と『呪獣』への危機感が薄れていった。

 更に、『呪法』の源泉である『欠落』を持った呪われし民の急速な減少によって『呪法』を扱えない人間が急増。嘗ては10人が10人扱えた呪いの力も今や10人に1人程度となり、『呪法師』の不足が囁かれるようになってきた。
 対して『呪獣』は未だに少しずつ成長しており、近年は短期間ながら『五行結界』の内部でも外同様の戦闘能力を発揮できる個体まで現れ始めていた。今の所大きな被害は出ていなかったが、『呪法師』が減少の一途をたどる現状、事が起こるのは時間の問題だと教会は見ていた。

 内部分裂。敵の活性化。そして戦力の減少。不穏な気配が濃密になってゆく結界の中で危機感を忘れて過ごす人々は、重大な事実を忘れつつある。

 大陸で生まれる全ての人間が呪われて生まれ、呪われて生き、呪われて死す――もはや古臭い教えと笑われるようになったその言葉から、大陸の民はまだ逃れられていないことを。人を呪った『悪魔』と『呪獣』の正体を何も知らないままであることを。

 人はまだ、『欠落』の本当の意味を知らない。


 = =

我ながらもっとほのぼのした話を思いつけよと思う。

※指摘されたところを修正しました。そしてさらっと続き要求された気がします。 
黒猫大ちゃん
 
確かにほのぼのとはしていないかな。
 いや、流石。先を読もうかな、と思う文章ですね。
 気になったのは一か所。

>同じ呪いの力をぶつけられることで崩壊させることが出来るのたこと
 同じ呪いの力をぶつけられることで崩壊させることが出来たこと……かな?

 後、もう一か所。これは実は自信がないのだけど……。

>一度や二度の『呪法』では消滅しない頑強さを得たり、『呪法』を避けるために遮蔽物や人間から奪った盾などの道具を使用する個体が現れ始めたのだ。
 一度や二度の『呪法』では消滅しない頑強さを得たり、『呪法』を避けるために遮蔽物や人間から奪った盾などの道具を使用(したり)する個体が現れ始めたのだ。

 ~たり、~たり。この形が正しい日本語の表現方法だったと思います。
 ……って、これは流石に細かすぎるか。

 それでは執筆、頑張って下さいね。 

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