海戦型さんのつぶやき

 
つぶやき
海戦型
 
ぶっちゃけ
『鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか』……もう略して鐘まちにしてしまえ。

実は鐘まちにてお気に入り登録件数と小説内容の一部を連動させるプロジェクトをこっそり計画してます。本筋には大して絡まないんですが、今の所22人も集まってます。この人数がどう扱われるのかはティズが合流してからになるんですが……まぁ、そんな感じです。その時が来たら改めて発表しよっかな。

自分で言うのもアレだけど結構突拍子もないことするので、失敗した時はせせら笑ってください。
 
海戦型
 
祈るように
致命的なまでの誤字脱字を発見すると、いつも祈るように願います……どうか家に帰って修正するまで誰も読みませんように!と……っ!

ガラケーじゃその場で修正出来ないからいつも生き地獄ですわ。 
海戦型
 
あれ?
アンケートの内容をちょっと修正したら、回答件数が0に……アンケートの回答結果自体は残ってるようですが、バグですかね? 
海戦型
 
了解です
それなら改めて報告は必要なさそうですね。 
N.C
 
ありましたね
自分もなったので、確か報告した覚えがあります。 
海戦型
 
なるほど
初期からあったんですね……実害はないみたいですが、これって一応管理人さんに伝えた方がいいんでしょうか。もう誰かが報告した後だったらいいんですが。 
八代明日華/Aska
 
うーむ
新しいアンケート、として処理されてるんでしょうかね。機能実装初期からあったバグ(?)ですよね……。 
海戦型
 
いつもどうでもいい話ですけど
このサイトで一番最初にブレイブリーデフォルトのタグを手に入れるのは私だ!と前からどうでもいい野望を抱いていました。というわけで、「鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか(旧名『記憶喪失が想い人を待つのは(ry』)」が日刊ランキング5位、日刊話別14位、更新作品ランキング6位を頂きました。

考えると純粋なクロスオーバーはこのサイトでは初めて投稿しますね。割と見切り発車なのでこれからどうしようか考えてるところもあれば、オチや展開のいくつかは決めていたりします。二次創作ではおふざけばかりやってたけど、今回はちょっと気合の入れ方が違うような気がします。
久しぶりに、自分を見つめ直す機会になればいいな。

……あ、アンケートまだ実施中です。ティズへの愛が溢れる人はぜひ参加してください。 
海戦型
 
どうも
ありがとうございます。
まぁ、ダンまちの皮を被ったブレイブリーデフォルトと言われても言い訳できない内容なんですが(笑)
前々からなんかやりたいなと思ってて、偶然ダンまちみつけて、没にしたブレイブリーデフォルト二次と連結させたような作品です。世界設定をどこまで混ぜるかが凄く悩ましいです。
 
八代明日華/Aska
 
おー
おめでとうございますー。

ダンまち、一回読んでみたいんですけどねー。金がない。 
海戦型
 
最近
執筆が余ったプリントの裏とかにするものになってきました。このままだと全部手書きになりそうでちょっと不安です。 
海戦型
 
初めて真面目なアンケート
クロスオーバー創作「記憶喪失が想い人を待つのは間違っているだろうか」の展開について、アンケートを取っています。興味のある人はぜひお答えいただけると嬉しいです。期間は……人の集まり次第では早々に切り上げたりダラダラ伸ばしたりしますが概ね1週間くらいです。 
海戦型
 
ひょっとして→不向き
オリジナルのファンタジー小説の設定や続きを考えている途中、ふとある事に気付きました。
考えてる世界にポーションとかエーテル回復アイテムの類がない。あっても即効性の物は毒消しとかしかない。で、なぜないのか考えてみたんです。
すると自分でびっくり、「そんな都合のいい物あるか」という結論でハナから排除してました。魔法で回復とかその手の方法はまだわかるんですけど、きずぐすりとかグミとかポーションとか、薬品的な干渉で傷がふさがるとか意味不明だから排除ォ!と、昔の私は考えてたようなのです。

いや、今も割と同じことを考えてるかもしれません。そんな都合のいい物あるか、と。
頭が固いのかな……それとも視野搾取なのか……しかしよく考えればポーションなんて無きゃ無くても物語は成立するんだからなくてもいいのか……それに、イザとなれば最後の切り札のサクマ君(オリキャラ)に頼めばポーションくらい作ってくれる!スマホ片手に作ってくれる!

なんだ、よく考えたら何の問題もありませんでした。ホッ…… 
海戦型
 
カップ焼きそばは焼きそばとは違う
ちょっと前から気になってたんですけどね。最近ダンまち流行ってじゃないですか。で、ダンまちの主人公と言えばベル君です。で、うちの二次創作のIS小説に出てくるオリキャラ。ベルーナって言うんですけど、略してベル君なんですよ。

ええ、そうです。完全な偶然ではあるんですが、見事に被りました。しかも髪の色もちょっと似てるしショタキャラ(?)被りまで……危うく「もしもベル君がベル君だったら」とかいう短編書きたくなるくらいに気になってました。基本的にキャラの名前なんて他人と被っても構わないとは思ってるんですが、アダ名まで似てしまうと流石に気になります。

あー……間違ISの続きを書く纏まった時間が欲しい。人生で一番忙しいと思っていた時期より更にしんどいのでもー色々とアレでコレです。ソレです。つまりはそういうことですね、ハイ。 
海戦型
 
あっ……
しまった。ルームアウト・メリーの続きを投稿した連絡をするのを忘れてました。いや、投稿時間に合わせようと思ったんですけど色々ありまして。

というわけで、久しぶりにメリーさんが帰ってきました。うちのメリーはハイスペックですので小手先のトラップで撃退するのは不可能だったり。今回はそんなメリーさんが関わったとある事件の顛末です。お暇がありましたら流し読みしてもらえると嬉しいです。
さて、明日はいろいろとあるので今日はこれにて。しからば!
 
海戦型
 
否定する勇気、やり直す勇気
や、やった……とうとうブレイブリーセカンドをクリアしたぞ!!これで未クリアゲームの一角が落ちる……!というわけで、ちまちま続けていたブレイブリーセカンドをやっとクリア出来たのです。

まだやり込み要素はいろいろと残したままではありますが、ストーリーは全部回収したので。万一まだクリアしていない人が見てしまった時のために具体的な話は避けますが、全体的な印象を……

JPとレベルが上げやすくなったのは有り難かったです。魔法もボストスクリプトの登場で凄く自由度が上がったし、新たなアスタリスクもそれぞれ使いごたえがあってよかったですね。デフォルトでは明かされなかった情報や新要素、残された謎から意外な真実までかなり詰め込まれた内容でした。予想通りの所もあれば意表を突かれた部分もあり、概ね満足です。
ただどうやら続編の事を結構考えているようで、物語中で様々な謎が残されたり最後に盛大な伏線を匂わせたりという演出が散見されました。最初の作品で平行世界、次の作品で未来と過去、では次は何をするのでしょうね?うーん、気になります。

ま、それはさておきそろそろ……第三次スパロボαをクリアせねば!もう放置しすぎて埃被ってるけど、IS二次更新のネタ集めも兼ねて改めてやり直したいのです。主人公のシナリオもまだトウマとクォヴレーしか回収してないし。嗚呼、自由が遠い……。 
海戦型
 
果てしなく小説と関係ないつぶやき
最近の国会答弁凄いですね、もう。安倍政権いよいよ理屈もクソも無くなってきてますよ。野党にヤジ飛ばした次の国会では「人の話は黙って聞いてください」ってアンタね……もはや常識も正当性もないというか、アレが日本の代表かよと頭を抱えたくなります。
安保法案通したいのはよく分かりましたが、あれじゃ国会が話し合いの場であるという前提を無視しようとしているとしか思えません。意見はコロコロ変わるわ総理は出しゃばって聞かれてもいないことをペラペラしゃべるわ、感情的になったかと思えば「こんな簡単なことも(野党と国民は)分からないんですか?」と完全にナメくさった態度。そして主張の根底にあるのが「自民党は選挙で勝ったから自民党が正しい」です。そもそも野党って与党では拾いきれない国民の要求とかを国会に反映して調合性を図るための存在なんですけど、どうも安倍総理は国会=一方的な発表の場という認識がおありのようで。

しかも憲法解釈の変更を根拠とした安保法案も滅茶苦茶です。あれだけたくさんの憲法学者が「違憲だろ」と言っているのに、菅官房長官に至っては「10人くらいは合憲派がいるからいいんだよ!」と、とうとう民主主義の否定を開始しました。これで法案が通ってしまったら(多分通らないとは思いますが)いよいよ日本の民主主義制度に疑問を呈さなきゃいけない所です。

まぁ安保法案が必ずしも間違っているとは言いませんし、アメリカの圧力もあるにはあるんでしょう。ですがそれにしたって現状の政府が民意を反映しているとは、私にはとても思えません。
日本って、本当に民主主義なんですかね?いつの間にか民主主義(笑)になってません? 
海戦型
 
と言うより
政治的無関心というやつが進み過ぎたと言いますか……どこの政権どこの政治家も似たようなことばかり選挙で叫ぶものだから一般国民にはいまいち違いが解らない部分があると思います。

で、結局誰がなっても最終的には失敗するのが近年の首相のお約束。そりゃ無関心にもなります。
 
りふとむ
 
追加でもう一言
戦後、投票率が右肩下がりなのに合わせるかの様に政治家の質も右肩下がりしているかと思います。
まだ、昭和の頃までは善かれ悪かれ一定の質はあったのですが、平成に入り、それらの層が抜けて行く過程で一層酷くなったかと。

ま、政治家の質が悪いって事は、裏を返せばソレを選ぶ国民の質が落ちたという事でもあるんですけどね…… 
海戦型
 
政府も野党もグダグダですよ
未だかつてこんなに低レベルな国会答弁があっただろうか、って感じです。まぁ国会はブーメランの名手が多かったりするので突っ込み始めるとキリがないんですが、民主党の皆さんツッコミがお下手。ちゃんと答弁できてるのが共産党くらいという……で、問題はそんな低レベルな争いの結果が国を左右しちゃうことですから、もうどうすりゃいいのやら。
 
キリエ
 
どっちもどっち
審議拒否で逃げるのも同レベルなんで、政権側だけ責めるのもアンフェアかな。いつもの事だし自民も野党の時やったけど 
りふとむ
 
まあ、野党も相当酷い結果なんでしょうね…
明らかに足元を見透かされているんですな。
『コイツら売国奴だから、まともに相手する必要ねーわ。適当な事言ってりゃよし』位に見てるのは間違いないかと。
 
海戦型
 
並び替え
ちょっと面倒でしたが、短編集の話が投稿順でバラバラだったので続き物を並び替えて№順に並べました。
ちなみに、あと1万文字くらいで新作が書き上がります。
しかし、並び替えって本当に面倒ですね……でもこの並び替えシステムの利便性を向上させると代償がデカいといつか管理人さんが言ってたような気がします。人間気が付いたら文明の利器に頼りすぎているもの。偶には独力に頼らねばいけませんね。 
海戦型
 
朗報です
それは有り難いですね。並び替えを手動でやるのまではいいですけど、気が付いたら同じ番号が2,3個並んで順番がこんがらがることもあるので。
……さっきと言ってること違うじゃないというツッコミはご勘弁を。 
肥前のポチ
 
確かに面倒ですね
修正を入れたいと常々思っていましたから
並び替えの件は考えてみます。 
海戦型
 
ホラーいわんこっちゃない
ひょっとしたら初めてかもしれないホラーテイストな作品に挑戦中。例によって短編ですが、今までは本格的なホラーなんて書いてないんですよね。KillinGirl Nightはホラーよりサイコが強いし、俺馴外伝もなんかホラーとは違う気がします。
ルームアウト・メリーも元々は都市伝説だったけど、あれはホラー部分を全面に出す内容ではなかったし。今度は最後までホラーで通したいなぁ。という近況報告でした。

ちなみに日曜は田植えの手伝い………なんでや。小説書かせてよ、時間ないんだから。 
海戦型
 
やりたいアイデアはあるけどさ
書いてる時間はないんですよね。本当に悲しいことに。
牛歩でスパロボの二次創作(非公開)を書きながらIS二次の更新準備を進め、気晴らしに没ストーリー追加しながら一次創作の誤字や展開を修正しつつアイデアを溜める……全部一斉にやってる訳じゃないですけど、今の活動を纏めるとそうなります。他にも色々と考えてはいますが……その合間にゲームやってると……PCの前に座った時点でもう体力が持たずに書けないなんて日も最近珍しくありません。嗚呼、ゼノクロとスプラトゥーン買いたい。

これもぜんぶ朝6時起きと満員電車ってやつが悪いんだ。しかし負けない。まずは手始めに昔に書いた短編のルームアウト・メリーの続きでも書きます。 
海戦型
 
ひまつぶしpart.8
 
 無剣雄大という男は、骨董品(アンティーク)をこよなく愛する男である。
 オルゴールや置物、昔の小道具、皿や壺などの陶器類――彼の狭い部屋には、それらを飾る家具まで置いてあり、それは確実に生活スペースを侵食しつつある。
 いずれは一軒家を持って盆栽をする夢を持ちながらベランダでミニ盆栽に毎日水をやってるほどに、その趣味への入れ込みは本気だ。

 そしてそんな雄大が密かに抱く野望の一つに――刀剣のコレクションがあった。
 『剣法(グラディレックス)』、別名ソードシステムがこの世に現れて以来、旧来の美術的な刀剣類として扱われていた「実剣」への注目度は徐々に下がりつつある。
 理由は言わずもがな『剣法』の存在によって刃物と人の距離が精神的に近づいてきたことと、実剣という存在を過去の物とする風潮が出現しているからだ。
 ようするに、将来的にはソードシステムが普及するのだから実体としての剣は必要ないという帰結になる。
 これによって今まで個人で後生大事にされてきた剣が次々に市場に売りに出され、今現在実体刀剣類の収集には最高の環境が揃っていたりするのだが、それは割愛して。

 要約すれば、その実態刀剣類をこよなく愛する男の一人が雄大だった、ということになる。
 そして、彼は自分の世界に入ると猛進的な行動力を発揮するときがある。
 そう、例えば今がそうである。

「も、持って帰ってしまった……!」

ハッと気が付くと、雄大はその棺桶に収まった魅力的な剣を自分の賃貸住宅の部屋まで持って帰っていた。
しかも、入れ物の箱があれば価値が上がるという骨董品趣味知識のせいで棺桶ごと。
なんと2メートル近い巨大な棺桶を抱えたまま周辺の目を避けるルートを辿って、ここに至るまで誰にも気づかれることのない完璧なスニーキングを成功させていた。
 いくら日が沈みかけた時間帯とはいえ、監視カメラまでもを躱して家まで持って帰るとは恐ろしい男である。

「だだだ大丈夫かなコレ窃盗とか不当取得とかいろいろ問題に問われるかいや話を聞いた限りでは元の持ち主は既に所有権を放棄していると考える事が出来る訳でつまり俺が取得しても問題はないと考えることが可能だけど落し物は交番に届けた方が……ああっ、もう!何で統舞のいう事を素直に聞いてなかったんだあの時の俺は!!」

 めくるめく面倒事の予感だ。
 そもそもどう見ても持って帰ってはいけなそうな貴重品を好奇心の赴くままに家に持って帰った時点で雄大の立場は限りなく泥棒か置き引きに近い所にある。これは訳ありの品らしいからひょっとしたら外の世界で悪い曰くや犯罪証拠になるような事情を抱え込んでいる可能性もある。

 改めて桶の中を見ると、シンプルながら瀟洒な装飾が施された剣が横たわっている。
 刃渡りからして1,5メートル程度だろうか。剣としてはそれなりに長い西洋剣だ。
 雄大はどちらかといえば曲刀趣味だが、この寛雅(かんが)な剣を見ていると不思議なまでに惹きつけられた。とても美しく、優美で、しかし過度な飾りっ気のない姿はとても魅力的だった。剣の持ち手近くには碧い宝石のようなものが嵌め込まれており、それが剣の魅力をより高めていた。

「でも、やっぱりマズイか。後後になって統舞に殺されるハメになるのも嫌だし……うん、調べるだけ調べて、明日に違剣審査会の詰所にでも持って行こう。不良から押し付けられたってことにすれば嫌疑は及ばんだろう」

 若干希望的観測の混ざっているが、そう考えることにした。

「しかし、ちょっと汚れてるなぁ。装飾の隙間にも埃が入り込んでるみたいだし……」

 この手の物を見るとついつい綺麗にしたくなってくる。きっとこの剣は磨けばさらに美しくなるはずだ。あまり触るのはよくないと分かっている、分かっているが……好奇心が一度働くとうずうずしてしょうがない雄大にそれ以上欲求を抑える事は出来なかった。

「えっと磨き用のヤスリに油に綿棒にティッシュに……他に何か使えそうなものあったっけ?」

 いま手元にある限りの整備に使えそうな道具をかき集めた雄大は、風呂場のスペースを使って剣の手入れを開始する。今は手元にないが、この手の品は扱った経験がある為、手慣れた動きで汚れを落としていく。手入れがされてない割にまったくサビがないのを奇妙に思ったが、構わず磨く。

「結構汚れちゃってるんだなぁ……こんなにキレイなのに、何で誰も拭いてあげなかったんだろう?」

 磨けば磨くほどに輝きを取り戻す西洋剣に夢中になった雄大は、その後もひたすらに剣を手入れし続けた。思ったより大きかったためにその手入れには数時間を要し、全てが終わった頃には午前3時になっていた。

「じ、時間はかかったけど……見よこの美しさ!違剣審査会に渡すの嫌だなぁ……一定期間持ち主が現れなかったら所有権移って来ないかなぁ……」

 電灯に照らされて眩い輝きを放つ剣を名残惜しそうに見つめた雄大だったが、流石に疲労がピークに達しつつあった。剣を抱え込んだままのろのろと布団に向かい、剣を抱いたまま寝転がる。真剣だからうっかりすれば自分が斬れるのだが、その辺を考えてか雄大はその刃をそっとバスタオルで包んで布団の横に置いた。

「……なぁ。君は違剣審査会行きと俺の所にいるの、どっちがいい?」

 とうとう剣に質問し始めた。いかん、これは眠らねば。そう思った雄大は、アホな質問を忘れてそのまま爆睡してしまった。


 = =


「ん………あ、もう朝か」

 カーテンの隙間から差し込む光を見て、反射的に時計を確認した。8時……何かやることがある時間でもないが、しいて言うなら朝の体力作りをやり損ねている。とっとと食事を済ませて筋トレしよう――そう思って体を起こそうとした雄大は、不意に自分の身体が妙に重い事に気付いた。

「……夜更かししすぎたかな?」

 体調管理がなってないぞ俺、と自分を叱咤する。今日は剣を違剣審査会に届けにいく用事もあるんだからしっかりしよう。そう思って改めて体を起こす。
 すると、不思議なことに毛布が異様に体に絡まってくる。なんだこれは。最近の毛布は人の身体に自動でくっつく機能があるんだろうか。そんなアクティブな機能は聞いたことがないが……。

「何でこんなに毛布か絡むんだ?取り敢えず退けてみるか……」

 ぺいっと毛布をどける。
 その毛布の奥に、信じられないものがあるとは露知らず。

「…………………え?……………お、女の……子?」

 透き通りように白い肌。メタリックな印象を受ける銀髪。柔らかい四肢は親を求める子供のように雄大の身体を抱きしめ、その暖かな体温と共に、女性特有の不思議な香りが余計に頭を混乱させる。

「………ふみゃ……………ふあぁ」

 小猫のような奇妙な声をあげながらも未だに眠りこけている少女は、全く見覚えのない紛うことなく初対面。そんな少女が、何故か、人の家の人の寝床で人に絡みついて眠っている。
 しかも――よく見たら、彼女は何も着ていない。一糸まとわぬ絹のような肌がむき出しの全裸で……で………、……………。

全裸の女性に、抱き着かれて、眠って、えっと、あれ。……意味わかんない。

「…………どわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?」

 脳の許容限界を突破した事態に、雄大の頭はオーバーヒートした。
  
海戦型
 
ひまつぶしpart.7
 
「その啖呵……ウチのチームに所属してないのが残念でならねえな。お前等はどちらかというとアウトローの臭いはするんだが……いいぜ、ここは退いておいてやるさ」

 意外にもあっさりと引き下がられ、統舞と雄大は顔を見合わせた。
 態々徒党を組んで仕掛けてきたのだから、ここで引っ込んでは逸れこそメンツが立たない物と思っていたが、ミスター木刀は存外にこの戦いに乗り気ではなかったのだろうかと疑問を抱く。

「おいおい、仕掛けてきておいてそれかよ!そんなにあっさり帰るんなら最初から仕掛けて来ないでほしいぜ……」
「まぁな。俺も偶には乗り気じゃない事をしなきゃならん事があるってわけさ。お前らを襲撃したのは……その、なんだ。近くにいたから取り敢えず難癖付けたら子分が顔を知ってたってだけだし」
「行き当たりばったりにも程があるだろ!やめろよそういう迷惑なの!」
「ヤダね。俺たち不良だし」
「……至極まっうなようでいて全く反省のない返答だな。一瞬関心しかけた自分にちょっと腹が立ったぞ」
「まぁそう言う訳で。お前らとっとと帰るぞ~!ノビた奴らの回収忘れんなよ~?」
「へいっ!!……って、ええっ!?マジで帰るんすか!?」
「帰って7時から始まるヒムラ動物園見ると俺は決めた!」
「リーダー、もう7時過ぎてます。あとヒムラ動物園は明後日の放送です」
「馬鹿お前こういうときは理由はどうでもいいんだよ。いいか?俺はだな……」

 といいつつ壁に立てかけてあった謎の箱――棺桶のようなサイズだ――を木刀でこんこんと突く。

「何かと理由をつけて謎の眼鏡野郎に押し付けられ『中央集剣都市』内部に運び込むよう依頼されたこの箱からとっとと離れたいの!!」
「はぁ……確かに、簡単な割にはやけに気前のいい客でしたね。しかも箱は絶対に開けてはいけないとか運び込んだ後は適当に捨てて良いとか怪しさ大爆発でしたもんね」
「だろ!?だからこの箱の置き場所に困ってウロウロしてた時にあいつらを見つけた時に適当に難癖付けて箱を押し付ける大作戦を思いついて実行したものの失敗したからナチュラルにその場を去って誤魔化そうとしたところをお前が掘り返すからいけないんだぞこのヴォケェェェェエエッ!!」

 ぱかーん!と木刀で殴り飛ばされる説明好きの子分。口は災いの元、と言っていいのだろうか。

 『中央集剣都市』の物流は、都市内の流通管理局という部署が全てチェックを行ってから内部に運び込まれる。
 つまり、あの棺桶のような箱はそのチェックをすり抜けた違法入荷物ということになる。
 この都市は特殊だ。入る者は勿論捨てるゴミも徹底的に処理が為され、『剣法』に関するありとあらゆる痕跡を外に漏らさないシステムになっている。
 その禁を破れば、たちまち都市内の治安維持部隊『違剣審査会』に取り押さえられて提訴されることだろう。
 逆を言えば、このウッドロウという連中は違剣審査会をすり抜けられる密入ルートを確保していることになる。
 ただのギャング紛いが出来る事とはとても思えなかった。
 が、それ以上に統舞には気になることがあったりした。

「というか、適当に捨てていいのなら文字通り適当に捨てておけばよかったんじゃ……?」
「いや、ここって実はギリギリでウッドロウの縄張りの外なんだよね。明確な区分ないけどね」
「ないのかよッ!そこはハッキリさせておけよッ!!」
「まぁそう言う訳だから。バッハハ~イ!」

 ミスター木刀はへらへら笑いながら、立剣製定された剣としてはかなり異例である木刀を肩にひっかけたまま一直線に路地裏へ歩いていく。呆然とその背中を見送った子分たちは、釈然としないものを胸に残しつつも慌てて親分の後に続き、怪我人も回収してぞろぞろと帰っていった。

「……………」
「……………」

 結果、棺桶のような箱と二人だけが取り残される。
 一方的に喧嘩を売られ、一方的に帰られる。
 争いが終わるのはいいことの筈なのに、何となく釈然としないものが胸に残る二人だった。

「無事に終わったな。しかし……箱の中身は何なんだろうな?俄然気になるんだが!」

 無剣雄大という男は好奇心が旺盛な男である。
 しかも怖いもの知らずで躊躇いがなく、厄介そうなものごとにも積極的に首を突っ込んでしまう節がある。そのことを良く知っていた統舞は、雄大に釘を刺した。

「言っておくが開けるなよ、あの箱。厄介事になるのが目に見えてるし、俺まで厄介事に巻き込まれたんじゃ適わん。いいか、絶対に開けるなよ!開けたら………時と場合によっては殺すかもな」
「フリって奴か?」
「違うわ!極めて本気の脅しだわ!……ったく」

 統舞は嫌そうな顔をしながら足早にその場を立ち去っていく。

「お、おい統舞。そんなに慌ててどこ行くんだ?」
「厄介事に巻き込まれる前に逃げるんだよ。俺の厄介センサーがその箱にビンビンに反応してんの!」
「何っ!?そんなセンサーが実戦投入されていたなんて……知らなかった!」
「物理的センサーじゃなくて第六感の話だよ!本当お前のマジボケに付き合ってると疲れるな!……わぁったらお前もさっさと帰れよ?ダチが面倒事に巻き込まれるのも、ダチに面倒事持ち込まれるのも俺が御免だからな!」

 それだけ言うと、統舞はそそくさと帰ってしまった。
 付き合いの悪い友達だ、と雄大はぼやく。
 そもそも違法品と言ってもまさか爆弾の類ではあるまいし、細菌兵器なら木製棺桶なんかに入れたりもしない。
 精々が内部でちょっとばかり規制を受けている小物類でも入っているのだろう。生物が入っている気配もない。

 怪しい薬や密輸武器という可能性もないわけではないが、それならそれで通報が必要だ。
 興味半分義務半分。雄大は一先ずその箱の中身を改めることくらいはしてもいいだろうと思い、箱に手をかけた。
 蓋はピクリとも動かない。注意深く観察すると、蓋には無数の釘が打ち込まれていた。

「釘って……今時こんな原始的な封のしかたをするなんて変わっているというか何というか………フンッ!!」

 力任せに板を引き剥がす。
 ……普通の人間ならばバールでも使わなければこじ開けるのは難しいが、雄大にそんな常識は無かった。

「さて、御用改めの時間ですよー……って、これは……?」

 雄大は、その桶の中に入っていた予想外な物体に目を丸くした。

「これは……剣、か?……運命力の結晶体としての剣でなく、『実剣』?」
  
海戦型
 
SAOでふと思ったこと
その一。

『ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消去され、同時に――諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』
「いやゲームオーバー以前に無理だろ」

キリトは即座に否定した。

「そりゃたしかにナーヴギアのバッテリーはゲーム機のそれとは思えないほどの大容量だし、信号素子を脳から拾ってるのはギアのマイクロ波だ。だから理論上は電子レンジの原理で脳を破壊することができる……けど」

一旦間をおいて、キリトはクソ真面目な顔でこう続けた。

「例えばだけど、電子レンジのマイクロ波は血管内の血液を沸騰させることは出来る。でも例え1000キロワットくらいまで出力を上げたとしても、その中に一瞬手を突っ込んだだけなら怪我したりしない。沸騰させるまでに時間がかかる。つまり、外部でナーヴギアを引っこ抜けば高出力マイクロ波で脳を破壊する暇なんかないぞ?」
『…………大出力マイクロ波ならば』
「人間の血液を0,1秒にも満たない時間の内に沸騰させるのはいくらナーヴギアでも無理だ。というか、そこまでの大出力となると本格的に軍事兵器の類になるぞ?」
『……………』
「……………」
『……………諸君に最後のプレゼントだ。アイテムストレージを確認したまえ』
「まさかのスルー!?」

須郷が真実に気付くまであと2時間半。



その二。

「お兄ちゃん、あのね……すごく、すごく言いにくいんだけどね……?」
「……?」
「その……ナーヴギアって、SAOが続いていた間はずっと取り外せなかったの」
「それは……まぁそうだろうけど」

SAOから帰還して以来、スグの様子がいつにもましておかしい事にキリトは疑問を抱いていた。
……それにしても、2年ぶりに現実世界に戻ったせいか、妙に涼しい気がする。

「で、でね?ナーヴギア被ったままずうっと放っておくと、頭がムレたり老廃物が溜まったりして、皮脂の所で細菌が繁殖しちゃうの」
「……確かにそうだな」

髪を洗わないと人の頭は途轍もない異臭を放つものだ。長時間放置したらそうもなる。
……そういえば、そんな不衛生な状態が続いたら……?

「身体は細心の注意を払えば拭いたりも出来るけど、髪の毛だけはどうしようもないからって……お医者さんが……お医者さんが……!!」

なんだろう。
なにか。
とてつもなく。
嫌な予感が、する。

「頭皮の皮膚病を防ぐためだからって、お薬でお兄ちゃんの髪の毛を、全部抜いちゃったの……!!」

その言葉を聞いて暫く、キリトは状況が呑み込めなかった。
困ったように頭を触り、そこで漸く妙に涼しく感じていた理由を知り、絶句した。
髪の毛が――ない。

その日、SAOプレイヤーたち(特に女性プレーヤー)の魂の慟哭が全国の病院に響き渡った。



その三。

「アスナァァーーー!!」
「キリト君!!」

キリトは須郷の凶刃を退け、とうとう最愛のプレイヤーとの再会を果たした。

「……って、キリト君、だよね?」
「あ、当たり前だろ!正真正銘俺だよ!」

だがアスナが一瞬疑ってしまうのも無理はない。何故ならば――

「き、キリト君。今身長何センチ?」
「え?ええっと……なんか寝てる間に妙に伸びちゃってさ。多分190㎝くらい?」
(で、でかぁぁぁーーーッ!?)

ちょっと前まで身長同じくらいだったのに……全然印象変わっちゃったなぁと複雑な気分になるアスナだった。



以上、こっそり溜めていたアイデアでした。ちなみにその二は救済ルートをピクシブに投稿してたりしますので、気になる人はピクシブにて「SAO ハゲ」で検索してみてください。 
海戦型
 
答えはきっと心の中に……
世界の茅場さんが超次元的センサーを用いて周囲の人間の行動を予測するラプラスデモン的コンピュータをナーヴギアに積んだうえで、あの顎固定ベルトをぎゅっと締めてしまう機能があるならばフライング的に脳を蒸し焼きに……我ながら言ってることが滅茶苦茶ですね。
謎は謎のままでいい。そういう教訓なのかもしれません。 
八代明日華/Aska
 
でも
 あごの部分にロックかかるらしいですけどね……でも挿絵見る限り形状が……うーん。 
海戦型
 
茅場驚異の科学力……?
内部でゲームオーバーになったら確かに殺せると思うんですが、ナーブギアの形状的に引っこ抜かれたらそれで終わりそうなんですよね……その辺は個人的SAO七不思議の一つです。 
八代明日華/Aska
 
一だけは
十秒使うんじゃなかったでしたっけ?

あ、でもだとしたら外そうとしたときの説明がつかんのか……ロック解除に十秒使うのか? 
海戦型
 
ひまつぶしpart.6
 
 気勢を削がれた集団ほど脆い物はない。少なくとも雄大を相手にするには練度と数が足りない。
 
 誰かの息をのむ音が聞こえる。今までよその集団や気に食わない相手に見境なく喧嘩を仕掛けてきた怖いもの知らずの集団が、初めて遭遇した「怖いもの」だった。

 一方、雄大とは反対方向へ駈け出した統舞もまた不良相手に戦いを挑んでいた。但し、素手の戦いではなく彼なりのやり方で。

「何が舞だぁ!余裕ぶっこいてんじゃねぇぞぉぉぉぉぉぉッ!!」

 唾を撒き散らしながら眼前に迫る剣を前に、静かに唱える。

「立剣製定(レジスレート)――」

 呼応するように、掌に刻まれた神秘数列(ステグマータ)が輝きを増す。
 見えざる力、運命力という実態を持たない武器を体内から抽出する。
 運命よ、現世へと固着せよ。因果の定めに従うままに、我が力にして刃と成れ。

「――踊れ!神楽舞(かぐらまい)ッ!!」

 叫びと共に統舞の両手に朱色の柄に金の鍔の両刃剣が握られる。
 立剣製定された剣の銘は、有剣者自身や周囲が勝手に名をつける。
 統舞の剣の銘は母から受け取ったものでしかないが、その名は誇りに思っている。
 神楽舞という名が、自分のやるべき戦い方を示してくれたから。

 掴んだ双剣を、静かな動きでぴたりと目の前の不良に定められた。
 だが、目の前の相手に見せつけるように立剣製定するような真似は、不良たちからすれば「おりこうさん」のやることでしかない。不良は統舞の動きなど気にも留めずに己の剣を振り下ろした。

「ハッ!!気取ってなぁに中二病みてぇに叫んでんだぁ!?しかも素人丸出しの二刀流とかマジウケルんだけどぉ!まさか自分が本気出せば何でもできると思っちゃってるイタイや………つ?」

 次の瞬間、するりと統舞が不良の横をすり抜けた。
 さっきまで目の前にいた筈の統舞の一瞬の踏込と気が付けば逸らされている剣先に、事態へと追い付いていない頭が混乱する。

「な……なんだ、これっ」
「はい残念、隙ひとつ~」

 不良は何が起こったのか分からずにたたらを踏もうとして、その不安定な足をすれ違いざまに蹴り飛ばされた。眼前にコンクリートの足場が迫り、顔面から衝突。脳を揺さぶる衝撃に不良は失神した。
 
「ったく。一回負けたくらいでピーピー喚いて今度は徒党なんて分かりやすい奴等だよなぁ、お前ら。怪我したくなかったら引っ込んでな!」

 忠告のつもりで叫んだ言葉だったが、既に仲間をやられて頭に血が上っている不良相手ではむしろ火に油。精神を逆なでされた不良たちは我先にと口汚く統舞を罵倒しながら突っ込んでくる。
 本当に分かりやすい連中だ、と内心で呆れつつも神楽舞を構え直す。

「テメェ!調子に乗りやがって!」
「ちょっとばかし小手先が器用だからって見下してんじゃねえぞクソがッ!!」
「死ねや格好つけ野郎!俺らがお前みたいなのに負けるかよ!」

 粋がってはいるものの、集団行動の中で親玉に従うだけの下っ端が持つ運命力などたかが知れている。それでも多対一の戦いならば徒党の方が圧倒的に有利だ。不良たちはそのセオリーに従って囲うように統舞に斬撃を繰り出す。
 だが――その刃は決して統舞に届くことはなかった。

「剣之舞、鳥舞の型……なーんてな」

 まるで踊るように緩やかで無駄のない動きと共に、神楽舞が煌めいた。
 捌くように迫り来る刃を打ち払い、受け止め、躱し、囲うように斬りかかった全員の刃を受け流していく。全員の重心を崩して別の方向へ誘導するような合理的効果と、舞を踊るような無駄のない美しさが融合した芸術的な剣裁きが、次々に攻撃を無力化させていく。
 不良たちは自分がどのように攻撃を受けたのかさえ理解が追い付かない。だが、現実として己の刃が相手に届いていないという事実だけはありありとと思い知らされる。こちらの剣筋を上回る速度で行動そのものが潰されていく様に、不良たちは空の底が冷えていくような焦燥を覚える。

 全てを見切った上で集団からイタチのように抜け出した統舞は、そのまま一人の足を引っかけて転倒させながら剣の柄で不良の一人の首筋を強打する。そして、そのまま立て続けに複数名の不良へと剣先を滑らせる。無防備な胴体に煌めく刃が迫り、一閃、二閃、三閃。

「ぎゃあああああッ!?」
「ぐああぁぁぁッ!!」
「い、痛てぇぇぇぇえ!ひ……ひ……人殺しぃぃぃ!!」
「アホかあんたは。俺達の剣はそれが起きないように制限が設けられてるのを忘れたのか?斬ったことはある癖に斬られたことはない性質かよ……呆れたな」

 ソードシステムには殺傷制限規定(ライトオブライフ)というリミッターが設けられているために死ぬことはないが、多少の出血と気絶相当のダメージはぶつける事が出来る。この町で不良集団が徒党を組んでこんな活動をしてるのに大きな事件にならないのは、この殺傷制限規定(ライトオブライフ)があるからといっても過言ではないだろう。
 だが、痛みはある。それがなければ人は成長することが出来ない。
 何故なら痛みは後悔と対策を考えさせる教訓になるからだ。

 この相手の刃を受け流す戦法は、かつて剣がb\脆くなり始めた頃に我流で生み出した戦術だった。
 刃への負担を最小限に相手の体勢を崩し、確実な一撃を加える。沢山の敗北と痛みの中で編み出したのに、心が弱かったせいで少し前まで使う事が出来なかった、統舞なりの"剣之舞"だ。
 痛みに悶える連中を尻目に、鋭い目つきで尻込みする不良連中を睥睨する。相手方の声色は、既に最初の威勢を喪失していた。

「な、なんだよオイ……聞いてねえぞこんなに強いなんて!」
「お前先に行けよ……こいつらに最初に喧嘩売ったのはお前だろ!」
「そ、そうだぜ!大体お前、片方は弱かったとか抜かしてたじゃねえか!!」

 人をそっちのけで内ゲバ出も始まりそうな勢いだな、と統舞は呟いた。
 どうやら集団で行動している所為で自分が斬られるという経験は殆どしたことがないらしく、見るからにその士気は下がっていた。
 唯一リーダー格のミスター木刀のみは相手の行動を見極めるように静かな瞳で状況を観察していたが、子分に激を飛ばすことはしないらしい。あるいはこちらの動きを観察して対策を立てているのかもしれないが、どちらにしろ退く気がないならやることは変わらない。
 不意に、背後から風を切るような音がして反射的にサイドステップで移動すると、先ほどまで統舞のいた場所を猛スピードで不良が通り過ぎて行った。

「うおッ!?に、人間砲弾!?」
「すまん統舞!一人投げ飛ばしたのがお前の方に飛んじまった!!」
「お前の仕業かいッ!!飛んじまったって紙飛行機じゃないんだからな!?気を付けてくれよ雄大!」

 反対側の不良を10名ほどなぎ倒した雄大が悪戯に失敗したようにテヘっと舌を出した。
 お願いだからドジっ子のノリで70キロ近くの重量を投げ飛ばしてくるのは勘弁願いたいところである。素手で有剣者を投げ飛ばすとは、相も変わらず型にはまらない男だ。これで剣を持っていたらどれほど強いのか、少しだけ気になった。

「……さて、もう前回の撃破人数を越えてる訳だけど――どうするよ『ウッドロウ』。これ以上手を出して火傷してみるか?俺はお前らに負ける気はないし、雄大と二人なら負ける可能性もないと断言するぜ?」
「はっきり言っておくが、お前らがまだ実力も弁えずに果敢にも立ち向かって来ると言うのなら、損するのはお前達自身だぞ?……よく考えて運命を選ぶんだな」
「「返答や如何に?」」

その問いにミスター木刀は考えるそぶりを見せ、不敵ににやりと笑いながら返答した。

「その啖呵……ウチのチームに所属してないのが残念でならねえな。お前等はどちらかというとアウトローの臭いはするんだが……いいぜ、ここは退いておいてやるさ」
  
海戦型
 
グチ話
実家には自分の部屋というものがないので、私物の置き場所や静かな環境の確保が難しいです。
というか主に姉。姉がね、凄い煩いんですよ。
音量垂れ流しで刀剣乱舞やってるし、ゲームの音量が無駄にデカいし、注意や指摘をしても絶対的に直す気がない(というか全てにおいて言い訳がましい上に大抵自分に全面的な非があっても棚に上げる)ので面倒くさい。向こうもこちらを面倒くさいと思っているらしいですが、贔屓目に見てもこっちの非は4割を切ってます。
しかも体調が悪くてゲホゲホ言ってるときに限って決して早寝はしようとしません。そんなに家族に咳の音聞かせたいの?と聞くと、寝ても治らないと言い張ります。寝ても治らないなら煩くして良いんでしょうか。というか常に深夜まで起きてるので早寝してるの見たことないけど何を根拠にそんな事言ってるのやら。

そして一番嫌なのが咀嚼音。どうも食べ物を食べてるときに口の何所かが開いてるらしく、スナック菓子や煎餅を齧ると部屋にボリボリ妙にでかい音が響きます。この咀嚼音、ばあちゃんに似てる。
あんこなどの入った和菓子系を食べるとこんどはねちゃねちゃと咀嚼音が響きます。この咀嚼音、やっぱりばあちゃんに似てる。
飲み物を飲むと「ズゾゾゾゾ……ゴックン」とやたらでかい音が響きます。……ばあちゃんに似てる。
そして、一度に口に含む量が少ないがために一度始まると比較的長く続きます。PCの設置場所が必然的に姉の行動範囲と重なっているので正直迷惑です。

書いてて一つ発見したんですが、どうやら人間の愚痴には2種類あるようです。
……言っててちょっとスッキリする愚痴と、言ってると余計に疲れる愚痴。私のそれがどっちだったのかは……言うまでもないですね。 
海戦型
 
そこがウチののミソでして
姉は自分の食事音を気にしない根拠として「友達には追われたことがない」と「父と母は気にしてないからお前が気にし過ぎているだけだ」という二つを掲げてくるわけですよ。姉の友達なんてとっくに社会に旅立ってて本当に気にしてなかったのかなんて確認取れませんし、本人は割と本気でパラサイトシングルやる気らしくモテるモテないは全然考えません。ついでに両親は箸の持ち方や食べ方の汚さとかをちょくちょく指摘するんですが、これもまた直す気ゼロ。社会的な見栄えの話をしても自分には関係ないと言い張ります。

そして最も面倒なのが、反論する内容が無くなったらヒステリーを起こして完全に人の話を聞かなくなる事なんですね。で、翌日になってこっちが忘れる頃に向こうも忘れていると。本当に面倒くさい……。 
efh
 
クチャラー対策として。
私は知人が自覚の無いクチャラーだったので、食事のとき口元をメインに録画して再生してあげました。
綺麗に食事する人と対比して。
恋人が目の前でこんな風に食べてたら一緒に食事にでかけられないだろう?と。
つまり恋人が出来ないひとつの要因なんだよと出来るだけ明るく指摘しましたよ。
ちょっとだけマシになりましたが、どうにもガサツな性格のすべてが直るわけも無く……。 
海戦型
 
別に仲が悪いわけでもないんですけどね
自堕落で何にも考えてないんですよねー、ウチのは。パラサイトシングル一歩手前でわがまま言うくせに根本的に甘ったれだったり。
自分の行為が迷惑だと言われても「私は困らない」「そのうち直す」→直そうともしないというパターンが家族内での姉のテンプレです。母が甘やかしすぎる分弟が締めなきゃいけないってどうなんでしょう。 
八代明日華/Aska
 
大変ですな
家も自室はありませんが(子供部屋という区分)、妹とは仲が良いので、あんまりそういうの気にしたことありませんなぁ。HAHAHA!
刹「何でしょう……今の貴方を見ていると物凄く殺したくなってきます……」(じゃきっ
我が生涯に一片の悔い無し! 多分だが!
刹「」(ざしゅっ
ぐふっ
刹「……お騒がせしました」 
海戦型
 
SS:病、薬、そして異邦人
 
 わたしは、死ぬのか。
 アズキは、漠然とした意識の中でごちた。
 剣の道を選んで武芸の腕を鍛え続けた自分が、まさか戦いではなく病で倒れるとは思わなかった。剣に殉ずることが出来なかった己の後悔ばかりが、熱と疲労で鉛のように思い身体へのしかかる。
 乱れる息と、身体をジワリと湿らせる汗。頭の中身を棒でかき回されたような不快感と高熱によって弱り切った身体に、表情が歪む。
 ――まだ、死にたくない。純粋に、叶う事のない願いを女神に捧げた。

 アズキはコマーヌスという土地に住む犬種民族『ケレビム』の民地方領主の娘として生まれた。
 女であるという理由で後継ぎとしては扱われなかったが、剣士の道を選ぶと伝えた時は後押ししてくれた。
 ケレビムは傭兵の多い種族だ。だから剣士になる者は多いが、同時にその鍛錬や修行は厳しい。相手が領主の娘であろうと手心など加えない。何故なら、その剣士に加えられた手心が将来に剣士自身を殺すことを彼らは知っているからだ。
 だがその厳しい修行も無に帰そうとしている。死、という最悪の形で。

 今、この町では『弦月病』と呼ばれる病が蔓延している。
 目元に深い隈が現れることをその名の由来とする弦月病は、ここ1週間ほどで急に領地に蔓延した流行り病だ。
 症状は珍しいものではない。発熱、発汗、食欲不振等々……ありふれた風邪のような症状に始まる。
 ただ、ひとつだけ風邪とは違う点がある。「弦月病は治らない」ことだ。
 最初は唯の体調不良と軽く見ていた領民たちも、1日2日と体調が治らないと不審に思いはじめる。そして、体調を崩したヒト全員が自然治癒出来ていない事が判明した時点で、アズキの父である領主はこれを流行り病と断言した。
 弦月病は緩やかに、しかし確実に患者を弱らせる。次第に深く、そして濃くなっていく隈に比例して、身体もどんどん動かなくなってゆく。もっとも症状が深刻な患者には、風邪の症状以外に痙攣や下痢、激しい吐き気など症状が追加されている。
 ゆっくり、ゆっくり、真綿で首を締めるようにじわじわと確実に命を削ってゆく。

 感染経路を特定しようとしたり、町医者や近隣の町への手助けを求めたりと八方手を尽くしたコマーヌスの領民だったが、調べても調べても原因はつかめないまま今では住民三分の一が病床に伏している。
 体力自慢で有名なケレビムの民とはいえ、そんな状況が続けば死は免れない。現に、子供や老人の中には既に危篤に近い状態まで弱っている者もいる。まだ死者が出ていない事が奇跡的なのだ。そして、奇跡は決して長続きはしない。

「死にたく、ないな……っ」

 堪え続けてきた弱音が、涙とともに溢れ出る。
 有効な治療方法が見つからないまま、死神の鎌がゆっくりと首に食い込んでゆくような生き地獄。
 領地を救う力も知恵もなく、自慢の剣も病には届かない。弦月はいずれ新月となり、光は命の瞬きと共に闇に飲まれる。
 ふとベッドの横を見ると、外は夜になっていた。まるでアズキの体調と呼応するように陰を増していく月を見て、不意に「あれが全て欠ける時に私は死ぬ」と思った。恐らく次の夜が訪れる時には、自分の命も新月となって夜空から姿を消すのだろう。そう思うと、行き場のない恐怖と悲嘆がこみ上げてきた。

「……誰か、助けてよ。お父さん、お母さぁん……!」
「お父さんでもお母さんでもないけど、君を助ける事は出来るよ。俺にはね」
「え………?」

 突然背後から掛けられた言葉に驚いて振り返ると――そこには、一人の男がいた。
 ケレビムの民ではない。象徴である尻尾と耳が違う。あれはマギムという基本種族のものだ。
 しわくちゃの白衣にとても珍しい黒髪。まだ若いと思われるその表情には深い疲労と、達成感が浮かんでいた。
 何者か、と問いただすよりも一瞬早く、目の前にカップが差し出された。中には淡緑色の液体が並々注がれ、ハーブのような独特の香りが立ち上っている。

「治療薬。作ってみたんだけど……飲むかい?ただしシロップ代わりになるものが手に入らなかったんで死ぬほど苦いけど」
「苦いのを我慢すれば……助かるのか?私も、みんなも……?」
「人数分そろえるのには骨が折れたけどね。おかげで肩と腰が……ま、それは置いておいて。君、苦いの大丈夫?」

 男が何者か、薬らしきものが本物かは判別がつかない。
 だが、目の前のどこか飄々とした男を信用せずにいても、結局死ぬことに変わりはない。
 本当は苦いものは死ぬほど嫌いだったが、アズキは意を決してそのカップを受け取った。

 死ぬほど苦くてそっちで死ぬかと思ったが、次の日の夜には目の下の隈が全て取れていた。



 = =



 翌日のコマーヌス。地方領主の家の客室で寝ていた一人の男が目を覚ました。

「……ん、朝か?くあぁぁ………」

 伸びをすると体がバキバキと音をたて、僅かながら凝り固まった筋肉がほぐされる。
 昨日のハードワークが堪えた。だが、薬を飲ませた患者の様子を確認しに行かねばならない。面倒くさいけどしないのも不義理か、とごちた男は部屋の窓を開け放つ。
 朝の心地よいそよ風と共に、食欲を誘う香りが舞い込んできた。目を凝らすと病人を寝かせていた宿の前で炊き出しが行われているようだった。明るい喧噪を眺め、どうやら様子を見るまでもないようだと考え直した男はどっかりと部屋の椅子に座り込んだ。

 手荷物の中からキセルを取出し、たばこ――はないので代価品の調合ハーブを詰めて火をつける。
 口の中に清涼感のある煙が充満し、ほのかに甘くて刺激のある香りが頭をスッキリさせる。
 ふう、と煙を吹きだした男性は、昨日のことを思い出してため息をついた。

「まったく大騒ぎしてるから何事かと思って調べてれば……水源に魔物の死体が沈んでたとはな。病気の原因はそいつの血液に含まれる毒で、住民のアレは中毒症状。熱を出して脱水症状に陥る人を助けるには当然ながら水を飲ませるし、体力増強と弱った位の事を考えると水気の多いスープなんかが食べさせるには適切だ。そしてその水は汚染されてました、と……そりゃ治療しても治らんわなぁ」
 
 薬を飲むための水の方が原因なのだから、症状が収まる訳がない。
 商業ギルドの一員として薬を売り渡っていた彼は、コマーヌスの住民たちの症状や血液を調べて直ぐに症状の原因に思い至った。まだ元気のある連中に言葉に言葉を尽くして協力を仰ぎ、原因となってる水場を丹念に調べて原因を取り除くことと解毒に必要な薬草類を確保してくることなどを頼んで自分はさっさと治療薬作りの準備を始めさせてもらっていた。

 コマーヌスの住民たちは突然現れた余所者に訝しがったが、「俺は薬師(くすし)だ」と名乗ると手のひらを反して俺の言う事を信じてくれた。

 "よく知らないのだが、この世界では薬師という存在は非常に希少らしい"。
 原因はマギムとか言う種族の医療文化独占にあり、そのために市場に出回る薬は量が少なく値段も高額。医療知識も民間療法レベルを超えるものは全てマギムが独占してるんだそうだ。領主に至っては「どんな報酬も払うから領民を助けてほしい」と頭まで下げられ、非常に居心地が悪かった。そんなに偉い身分になったつもりはないのだが。

「問題は水源に魔物の死体を……しかも長い時間をかけてゆっくりと毒素が染み出すように加工までして沈めた大馬鹿野郎はどこの誰だっつう話なんだが、まぁそっちは俺の専門でもないし。犯人捜しは回復した自警団の皆様方に任せますかね?」

 それにしても寝心地のいいベッドだった。流石領主の客室ともなれば上等なものを使っている。
 こんな所を宿代わりに出来るなんてラッキーだ。しかも治療に必要な薬は原料を全て町の人間に取ってきてもらっているからコストはゼロ。肉体労働だけで高級宿に泊まれるんなら安いものである。

「まぁ、調合の知識なんかを"薬師じゃない"俺が知ってるのはコイツのおかげなんだけどね」

 そういいながら、アームカバーにひっかけてあった薄い板のようなものを指で弄ぶ。
 彼は別に薬師ではない。薬師として認められるには国家資格が必要だが、彼はそもそも資格を得るための身分が存在しなかった。
 この世界には母国戸籍と組織戸籍があり、組織戸籍は偽造が容易な上に罰則が少ない。つまり孤児や訳ありで身分を隠している人間が戸籍を得ようとすると組織戸籍となる。その代りに組織戸籍は法的信頼性が弱いので、国家資格を取る時は母国戸籍か推薦状が必要となる。
 男性はそのどちらも持っていなかった。要するに、藪医者である。

 そしてそんな藪医者を名医にしてこの町の救世主にのし上げた神の如きアイテムこそ、彼の弄る薄い板なのだ。

 彼は不意にその板の表面を指で押す。すると、板は光り輝いて不思議な模様を発した。
 その模様を触り、指を動かした彼はその板を操作して"あること"をした。
 しばらくの間をおいて、突然部屋に何者かの声が響いた。



『おかけになった電話番号は、現在使用されておりません。番号に間違いがなかったかを入念に確認し、もう一度かけ直してください。繰り返します。おかけになった電話番号は………』

「……………俺の生命線なのはいいんだけどさぁ。なんでこの世界の教養とか病気や薬の調合方が調べられる癖に、俺の居た世界に電話はかけられないのかねぇ?調べられるってことはどっかにネットワークあるんだろ?現に俺は現代日本の厳しい荒波に飛ばされてこんな異世界に来てる訳だし………あーあ、考えても仕方ないか。コメと味噌汁が恋しいぜぇ………」

その男――新樹(にき)咲真(さくま)は、彼の居た世界で「スマートフォン」と呼ばれる板を前にがっくり項垂れた。
彼がこの世界に訪れて約半年が過ぎた日の出来事であった。
  

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