暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
氷世界への片道切符
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ぇ、とカグラは激しく思ったが、言わなかった。

再び硬直するカグラの前で、変わらずに翅を羽ばたかせながらレンはあははと笑う。

「まぁ、キリトにーちゃんはともかくとして、リーファねーちゃんには今からやることは見て欲しくないってのもあるかな」

えぇ、とカグラもこれだけには賛同した。

「彼女には、見せる訳にはいきませんね。………これから行う、血みどろの戦いを」

「…………そうだね」

次いで、少年は重いため息を吐き出す。

「まぁったく、少しは休憩って言葉を知らないのかね〜?ついさっき、とびっきりの大技をやったばかりだってのに」

「レン、大丈夫なのですか?私が全て相手をしても………」

言いかける巫女装束のインプの言葉を、レンは片手で制し、チッチッと人差し指を立てて振った。

「これは僕が言い出したことだよ?手伝ってもらうのはありがたいけど、僕が休んでいる間にカグラが一人で戦ってるなんて、僕には耐えられない」

「し、しかし────!」

カグラは翅を震わせることを中断し、ふわりと舞い上がる緋袴の端を無視して叫ぶ。

「あなたの身体はもはや限界なんですよ!?一時の休憩も与えられない脳は疲れきり、ニューロンの伝達速度は著しく減衰しています!今のレンは、過剰光すらもろくに投影できないほどにまでボロボロに擦り切れているんですよッ!!」

カグラのその叫びは、微風に乗って彼方まで木霊になって消えた。

しかし、その叫びを向けられた本人は、何の反応も示さなかった。ただ、ぴたりと羽を止めて空中に静止した。

そして、振り返る。

ボロボロの笑顔を浮かべた顔で、振り返る。

()()()()()()()()()()()

「────────ッッ!!!」

その笑顔に、カグラは途端に何も言えなくなった。

なぜだろうか。否、そんなものは愚問だ。

答えはもう、わかっている。

わかってしまっているのだから。

少し押しただけで、脆くも壊れてしまいそうなその笑顔の裏に潜む、巨大すぎる覚悟に打ちのめされたのだ。

ああ、とカグラは思う。

この少年は、本当にマイのために死ぬつもりなのだと。自らの身体が滅びようとも、自らの精神が砕かれようとも、執念であの真っ白な少女を救おうとしている。

───結局は、同じなのか?

そうカグラは思う。

彼女は、今はなきあの世界の神に仕えていた時に、見ていた。

マイと呼ばれるあの少女が関わったプレイヤー達が、崖から突き落とされるように、面白いほどに墜ちていく姿を。

彼らは皆一様、カグラの神速の抜刀術と心意技の前に手も足も出せずに敗北した。しか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ