暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
氷世界への片道切符
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し皆が皆、真っ白な少女を殺そうとするその瞬間にカグラの刀の前に飛び出し、少女を守るために死んだ。
そして、その全員が言うのだ。自らの血で真っ赤に染まった手を、まるで祈るように掲げながら。
よかった、と。
涙を流しながら言うのだ。
滝のような涙を流しながら、満足そうにその命を散らす。
その光景を、カグラはうんざりとするほどの間見てきた。
かつてカグラが己が剣を捧げた主は、その光景を見ながら、さも楽しそうに哄笑しながら言ったものだ。
見てみろ、アレは魔女だ。人の心を惑わし、地の底まで貶める悪魔だ、と。
それを否定するわけではない。あの光景を見てしまった身としては、否定などできるはずもない。
しかし目の前で笑みをたたえる少年は、そんな呪いなど、跳ね除けてしまうような気がしてならない。
言葉では言えない。しかし、感じるのだ。
この少年は、これまでの者達とは何かが違うと言うことが。
「来たよ!」
カグラの長い思考は、レンの鋭い叫びで霧消した。
急いで首を巡らすと、右斜め後方の彼方から物凄い速度で飛来する物体が見えた。視界の端で、レンが手を動かそうとするのが見える。
それを左手で制し、カグラは右手を左腰に差している相棒《
冬桜
(
とうおう
)
》の柄に添える。
「ふっ!」
鋭い呼気とともに、神速の一閃が放たれる。
それだけで、彼我の距離は明らかに刀の範疇を越えていたにも関わらず、飛んできた物体はにわかに速度を失って落下し始めた。カグラはすでに鞘に収めた相棒から意識を外して、目を凝らす。
落下していく物体は、パッと見たら
長槍
(
スピア
)
のようなものだった。しかし、槍にしては先端が平べったすぎる。
槍という武器は本来、カテゴリとしては刺突武器となる。あんな平べったさならば、どちらかと言えば斬撃ダメージを与えるだろう。
しかし
薙刀
(
グレイヴ
)
と言えば、それも違うかもしれない。その刃部分の形状が、とても片刃のそれではなくて両刃のそれなのだ。
「
戟
(
げき
)
………ですか」
戟。
それは、あまり耳に馴染みのない武器の名称だ。少なくとも、ドラ○エとかの王道RPGではあまり登場しないだろう。しかし、三国志などの大昔の中国に関する本にはよく登場する。
複数の種類があるが、二人の前方を落下していく戟は一般的な矛の性能を持ったものらしい。
その柄を、地上から伸び上がった影ががっしりとキャッチした。
そして、その後を追うように出現する二つの影。
戟を空中で掴み取ったのは、漆黒の金属鎧を全身に装備したウンディーネ。額の鳥をかたどった額宛の下から、鋭い眼光を覗かせる。
空中を流れるかのごとき滑らかさで飛翔してくるのは、薄手のノースリーブジ
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