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星河の覇皇
第六部第五章 処刑その四
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まで軍人でしかありません」
「貴方が望まれなくとも」 
 アッバースはここで小声で呟く様に言った。
「サハラがそれを望んでいるのなら違うでしょうね」
「何かおっしゃいましたか」
 それはアッディーンにはよく聞こえなかった。思わず問うた。
「いえ、何も」
 アッバースはそこで誤魔化した。
「独り言です。気にしないで下さい」
「そうですか」
 彼はそれ以上聞こうとしなかった。そして話を変えた。
「では今後についてお話しましょうか」
 話を戦いに向けることにした。アッバースもそれを受けた。
「はい。次の侵攻計画ですね」
「ええ。まずはここに全艦隊を移動させようと考えているのですが」
「戦える全ての艦隊をですね」
「そうです。それから軍を然るべき勢力に進めようと考えております」
 彼はここで三次元地図を開いた。開かれた地図から惑星達が浮かんできた。
「まずはここに戦力を集中しまして」
 ムワッハドの首都星系を指差す。
「それからですね。兵を実際に向けるのは」
「何処に向けるべきと御考えですか」
「ううむ、まずは」
 アッディーンは地図を見ながら考え込んだ。それから口を開いた。
「ここでしょうか。そしてそこから」
「ふむふむ」
 アッバースは頷きながらその話を聞いていた。そして彼等は今後のオムダーマンの南方侵攻計画について軍事及び外交の両面から話を進めていった。

「南方でオムダーマン軍の動きが顕著なようだな」
 その話はサハラ全土に伝わっていた。それはエウロパが占拠、移住を進めている北方でも同じであった。
 総督であるマールボロはそれを執務室で聞いていた。秘書官が報告を続ける。
「はい、彼等はムワッハド連合及びその周辺国をその勢力圏に収めました。そしてその国々はオムダーマンに併合されることが決定しております」
 男の若い秘書官である。彼はいささか機械的な口調で報告を続ける。
「そうか。ではオムダーマンは南方にかなり攻め込んでいるな」
「はい。既に三分の一程をその領土としました。そしてその間の損害は皆無に等しいです」
「多大なる戦果だな。普通に戦っていてはこうはいかない」
 マールボロは顎に手を当ててそう答えた。
「外交もかなり駆使しているようだな。まずは軍を向けてそれで戦意を萎えさせそこで外交交渉を開始する」
「はい、最初はそれで南方に侵攻しました」
「ゲリラ戦には政戦両略で攻めるか。それも慎重に進みながら。巧みとしか言いようがないな」
 素直に賞賛の言葉を述べた。
「そうですね。確かに普通に軍事力のみで攻めるとかなりの損害を出しているでしょう」
 秘書官はやはり機械的な口調であった。
「そして彼等は今どうしている」
「ムワッハド連合の首都星系に戦力を集結させているようです。その
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