第六部第五章 処刑その四
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数は三十個艦隊です」
「防備はどうなっているかな」
「本土から増援の艦隊が向かっているようです。その数は詳しくはわかりませんが」
「オムダーマンによくそこまでの余裕があったな」
「再編成し旧ミドハド、サラーフの兵にも艦艇を回せるようになったかと。その兵力を向けていると思われます」
「そうか。それなら納得がいく」
彼は頷いてそれに応えた。
「それを考えるとオムダーマンの軍事力はかなりのものになっているな」
「はい」
秘書官はそれに対して頷いた。
「それは間違いないでしょう。今の時点でオムダーマンには五十個艦隊を動員できる国力が備わりつつあります」
「五十個かい」
「はい、そして南方を制圧したならば七十、いえ八十に達するかと」
「ついこの前まで八個艦隊程だったがな。国力の伸張が鰻上りだ」
マールボロは素直に感嘆の言葉を漏らした。
「このままいくと南方はほぼ間違いなく完全に掌握するだろうな。問題はそれからだ」
「といいますと」
「それによりサハラの勢力は完全に三つに統合されるということだ」
マールボロはここで壁にかけられているサハラ全土の立体地図に目をやった。
「まずはそのオムダーマンだ。西方と南方を掌握する、な」
「はい」
「そして東方のハサン。その属国も合わせるとやはりサハラで最大の勢力となるな」
「そうですね。ただ彼等は現状に満足しておりますから積極的には動いておりませんが」
これはハサンが連合やマウリアとサハラ各国の交易の中継により多大な利益をあげているからである。むざむざ利益のもとを潰すような者もいない。オムダーマンや北方も彼等を仲介として連合やサハラと交易を行っている。本音では彼等と直接交易をしたいが地理的な状況がそれを許してはいない。
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