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星河の覇皇
第六部第五章 処刑その五
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「そして我々ですか」
「いや」
 だがマールボロはここで首を横に振った。
「我々はその勢力には入らない」
「何故ですか」
「今わしが言っているのはサハラの者の間でのことだ。我々は彼等から見れば異邦者、そして侵略者だ」
「それはそうですね」
 秘書官はやはり機械的な声で答えた。
「第三勢力は北方だ。ティムール連合だ」
「ティムールですか」
「うむ、彼等がその第三の勢力だ」
「今の国力ではとても第三の勢力と言える状況ではないと思いますが」
「確かにな、今のところは」
 マールボロはここで思わせぶりに言った。
「だがこれからはわからないぞ」
「国力の発展ですか」
「それもあるがな。今彼等は大規模な軍拡を行っているそうだな」
「はい」
 それは事実であった。
「規模としては倍程度に増やすようです。現在の十個艦隊から二十個艦隊に増設するつもりかと」
「徴兵だけでなく傭兵達まで集めているようだな」
「はい、シャイターン主席が彼の実家や妻の実家の力も使ってそれを行っています」
「シャイターン家か」
「そうです、彼の弟である法皇フラームが信者達にも呼びかけているようです。北に集えと」
「信仰まで使うか」
 マールボロはここでやや不快な顔をした。彼は信仰と政治を一緒にすることを好まないのだ。
「ですがそれによりかなりの義勇兵がティムールに集まっております」
「そして急激な軍拡を支えている、か」
「元々北方の艦艇は優秀です。そしてそこに精兵が加わればかなりの戦力になるかと」
「そうだな。彼等にはこれまで以上の警戒が必要だ。ハサンやオムダーマンが控えている今の状況で動くとは思えぬがな」
「はい」
 それは大方の者が予想していることであった。そしてそれは事実であった。
「他に何か報告することはあるか」
「いえ」
 秘書官は首を横に振った。
「ならばいい。休んでくれ」
「わかりました」
 彼は敬礼をして部屋を後にした。彼が立ち去った後マールボロは執務室の豪華なソファーに座る男に顔を向けた。
「どう思うか」
「ティムールのことですか」
 その男タンホイザーは彼に顔を向けて応えた。
「うむ。私は彼等を油断ならない存在と見ているがな。先程の話でもそれはわかると思うが」
「そうですね」
 彼は考えながらそれに答えた。
「私は政治のことはあまり興味はないですが軍事のことだけを見るとあのシャイターンという人にはかなりの能力を感じますね」
「卿もそう思うか」
「はい、あのモンサルヴァート閣下ですら勝利を収められることができませんでした。その能力はかなりのものかと」
「そうだな、それはわしも同じ考えだ」
 マールボロは我が意を得たと思い頷いた。
「これからのあの国を考えるとかなりの脅威になるだろうな
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