第五部第二章 狩りその二
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ることになったのだ。そして武力衝突こそないもののその対立は今も続いている。彼等の間には交易なぞ全く無く、あるのは対峙と批判の応酬だけであった。
「まずはエウロパに対して大規模な武力侵攻に出ることが予想されます。そしてそこでかなりの成果を狙うでしょう」
「エウロパの滅亡をか」
「そこまではわかりません」
エルールはそれに対しては首を横に振った。
「ですがエウロパに対してそれなりのことはすると思われます」
それなりのこととは何か、それまでは言おうとしなかった。だがそれだけで閣僚達は顔を引き締めさせた。それ程重要な話であった。
「そうか、まずはエウロパか」
ムルワーラはそれを聞き腕を組んで考えた。
「その時の連合の政権の政策にもよりますが」
「ふむ」
エルールの前置きにも彼等は顔を暗くさせたままであった。
「そしてもう一つは」
閣僚達はさらに尋ねた。
「連合はまだ何かする可能性があるのですね」
「はい」
彼女はそれに対し頷いた。
「今度は資源の問題です」
クリシュナータとラーンチはそれを聞きやはり、という顔をした。
「仮定の話ですが若し他の勢力において何かしらのレア=メタルが多量に発見された場合です」
「レア=メタルですか」
「そうです。それの用途によっては連合はそれを手に入れる為に動くでしょう」
クリシュナータはそれを黙って聞いていた。そして自分と同じ考えなのに驚愕していた。
(まさか私と同じ考えとはな)
だがそれは顔には出さない。ただ話を聞いている。
エルールは話を続ける。真摯なものであった。
「それによっては我々も連合と戦わなくてはなりません。その準備はしておくべきであると思います」
彼女はそう言うと他の閣僚達を見回した。
「皆さんはどう思われるでしょうか」
彼等は何も語らない。連合と対峙するにはそれなり以上の覚悟が必要だからだ。クリシュナータはそれを見ながら憮然としていた。
(ここで誰か言って欲しいが)
彼自身が言うのには抵抗があった。ここは他の者を立てたいからだ。
(いないか)
それが残念だった。彼はそれを見て意を決した。
(やはり私が言おう)
だがここで一人の男が口を開いた。
「外相」
それはラーンチであった。
「国防相、何かお考えが」
「はい」
彼は微笑んで答えた。クリシュナータはそれを見て内心会心の笑みを浮かべていた。
(よくぞ言ってくれた)
ラーンチはそれを知ってか知らずか言葉を続ける。
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