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星河の覇皇
第五部第二章 狩りその二
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た。ラーンチもである。
「この閣議で話したいことだが」
 彼は閣僚達を見回しながら言った。
「連合の観艦式についてだが」
 一同はそれを聞きやはり、という顔をした。彼等もそれについて考えていたのだ。
「諸君はこれについてどう思うか。これで連合はおそらく彼等の力をこの銀河に誇示するであろうが」
「それだけではないでしょう」
 クリシュナータの側に座る男が言った。見れば頭にターバンを巻いた老人である。マウリア首相クベーラ=ムルワーラである。
「おそらく彼等は今後その力を背景に対外政策を積極的に行っていくものと思われます」
「何故そう思う?」
 クリシュナータはあえて彼に尋ねた。
「彼等の国力を考えますと。やはり連合の力は強大です。伊達に人類の約八割を擁しているわけではありません。それで以って一気に銀河を制圧することも考えられます」
「それはどうでしょうか」
 だがここで異を唱える者が現われた。
「ん!?」
 妙齢の女性である。マウリアの服に身を包んでいる。その容姿は艶やかでありまるで古代の女神の彫刻の様である。マウリア外相ヴァティ=エルールである。
「連合は今頃銀河を統一しようと考えているとは思えませんが」
「外相がそう考えられる根拠は何ですかな」
 ムルワーラは問うた。
「若しそうならば今までにそうした動きがあってもおかしくはありませんでした。一千年もの時間があったのですから」
「それまで連合は内部でのまとまりに欠けましたからな」
 ムルワーラはそれに対して答えた。
「ですからしなかったのです。言い換えるならば出来なかった」
「それは軍事においてですね。少なくとも経済や政治においては違いました」
「それはそうですが」
 ムルワーラは反論されてやや顔を曇らせた。
「その証拠に我々は今もこうして独自の勢力を持っております」
「文化や風習の違いも大きかったな。それに考え方も」
 ここでクリシュナータが言った。
「はい。ですがそれだけではないでしょう。実際に連合は今まで我々に対して自由貿易協定も連合への参加も呼び掛けたことはありません。連合内での会談にも一度も呼ばれたことはありません」
「サハラの会合には何度か出席していたがな」
「はい」
 クリシュナータに答えた。
「それよりも彼等の関心は国内でのことでした。そしてそれは基本的に今後も変わらないでしょう」
「外相はそう見ているか」
「はい。ですが例外もあります」
「例外!?」
 そこにいた全ての閣僚が彼女の言葉に目を向けさせた。
「はい。まずはエウロパに対してです。彼等の間には長年に渡る敵対関係があります」
 それが為に人類はこの銀河で多くの勢力に分裂したようなものであった。連合とエウロパの対立は国連を瓦解させ、そして今の人類の勢力地図を作
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