第五部第二章 狩りその一
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狩り
マウリアはその独特の文化を長年に渡って保持している。文明は受け入れてもその根幹となるものに変化はない。それはかってのインドの文化をそのまま残しているのだ。
マウリアの文化は他の国々の文化とは大きく違う。香辛料を多量に使った料理に独特の化粧や服装、丸みのある建物が有名であるがそれだけではないのだ。
マウリア文化もまた宗教と密接な関係がある。多くの文化がそうであるように。
インドで最も勢力の大きな宗教はヒンズー教であった。かつてのバラモン教にインドの風習等を取り入れたこの宗教は極めて独特な宗教観を持っている。
輪廻転生の思想に想像、調和、破壊のサイクル。多くの神々に魔族。それ等が混在しているのだ。
かっては仏教にも影響を及ぼした。仏教はこの時代においてもマウリアでは大きな勢力ではない。連合においては大きな勢力であり続けてもだ。
このヒンズー教は今も残っている。そしてマウリアの主要な宗教であり続けているのだ。
所々に神々を祭った寺院がある。その中にはそれぞれの神の像が置かれている。
その中の一つヴィシュヌの寺院。マウリアにおいては三大神の一人であり創造神ブラフマー、破壊神シヴァと共に篤く信仰されている神である。
ヒンズーの教えはそのまま残っているが細部はやはり時代と共に変わっている。それは神々への信仰にも関係している。
このヴィシュヌに対する信仰でもだ。かつては最も広く信仰されていたが今は違う。この時代で最も信仰されているのはこのヴィシュヌでもシヴァでもない。ブラフマーなのである。
かってはその創造神という位置から理解され難く半ば忘れられた存在となっていた。時にはヴィシュヌやシヴァよりも下位に考えられていたこともある。だが教理が深く研究されるにつれその信仰が復活したのだ。
今ではブラフマーの地位は回復された。それどころかヴィシュヌやシヴァよりも上位であるという考えまであった。
この三柱の神々への考えは複雑である。創造、調和、破壊、この三つのいずれかに重点を置くかで考え方が大きく変わってくるのだ。かってのヴィシュヌとシヴァの勢力争いもここにあった。
どの神がより高位にあるか、という問題はどの神話でもある。ギリシア神話においてはゼウスとポセイドン、ハーデスは兄弟でありそれぞれ天界、海界、冥界を支配している。世界を三分しているのだ。だが兄弟であり、世界を分割統治しているからといって仲が良いわけではない。むしろその逆だ。
北欧神話においてもそれは同じである。今では違うが雷神であり農耕の神であるトールは嵐と戦の神オーディンの息子とされていた。これはオーディンを信仰する戦士階級によるものであった。かってトールは北欧において主神であり、またオーディンの正妻フリッ
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