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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第14話 THE LUST 3/4
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 ──ん? 『掴む』……?
 そのキーワードを反芻して勇美はある案を思い付くのであった……断じて思い付かなくて良かったものであるが。
「今のはかわされましたが、次はこう行くとは思わない事ですよ。どこまで上空からの攻撃に対処出来ますか?」
 それがこのスペルの強みだったのである。今立っている地上から遥か上空からという、距離の置かれた場所からの、単純だが効率の良い攻撃を前に二人はどう動けるかという事だ。
 その事を確かめる意味も込めて、ドレミーは再びリモコンの操作をしたのである。
 そして、またしても要塞からアームが伸び、二人を捕らえようと蠢き始めたのだ。
「捕まるものですか」
 言って勇美は再度そのアームの捕捉から逃れるべくその身を翻して攻撃をかわした。だが、今度のアームは少し引くと再度勇美に狙いを定めてきたのである。
 それは他でもない、ドレミーのアームの操作に先程よりも手を加えたからに他ならなかった。そして、今度こそ勇美を捕らえようとまたしても狙いを定める。
 次の瞬間、アームは一気に勇美に迫ったかと思うと、ガシッとしっかりとその手の形を握りしめたのである。だが、残念。勇美はそれをまたも巧みに避けていたのだった。
 これは、勇美が依姫との修行の元に得られ、また天宇受売命のその身のこなしを神降ろしを借りる事で彼女自身も肌で覚えていったという、鍛錬の賜物なのであった。
 ドレミーはその事は知らないが、少なくともこうして避けられ続けては、彼女ばかりに狙いを定めるのは得策ではないという結論に至ったのだ。
「仕方ありませんね、これでは埒が明かないというものです。なのでター……」
「きゃあっ……!」
『ターゲット変更』。そうドレミーが言おうとした所を勇美の悲鳴で遮られてしまったのである。
 見れば、彼女はその場で転んで尻餅を突いていたのであった。それによりミニの和服から生足が投げ出されて際どい事となっていた。
 勇美はこの旅でも普段幻想郷で過ごす時と同じようにミニ丈の和服を身に纏っていたのだった。つまり、この服はここまでの勇美の旅を支えた掛け替えのない頼もしい相棒であったのだ。
 些か旅には向きそうもないこの服装で彼女がここまでこれたのは、勇美の潜在能力か、それともこの服が意外にも機能的に優れた代物という事か。
 それはともあれ、勇美が今遭っている現状は、彼女が転んで地面に倒れてしまった事に他ならないのであった。
 彼女は、敵の猛攻に堪らず対処しきれずにしくじってしまったという事だろうか。
「いったあぁ〜い!」
 いや、どうやらそれは違うという事が、このあざとい喋り方から想像出来るだろう。
「……」
「……」
 勇美のその余りにもわざとらしい振る舞い、もとい演技には鈴仙とドレミーは閉口するしかなかった。
 そして、
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