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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第14話 THE LUST 3/4
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「でも、現に……」
 何も起こっていない。再度勇美がそう言おうとした所にドレミーが入って来る。
「確かにそう思うのも無理はありませんよね。そんなあなた方にいい事を教えてあげましょう。『上をご覧になって下さい』」
「上……?」
 そうドレミーに言われるままに上を見上げた二人は驚愕してしまった。
 そこには確かに存在していたのだ、ドレミーのスペル発動の証が。
「これは……」
「何て巨大なの……」
 勇美と鈴仙は口々にドレミーのスペル発動により生み出された産物に驚きの言葉を上げていく。
 それは、丸い機械のような外観をした蒼いカラーリングの要塞であったのだった。そして、その規模は直径十メートルには及ぼうかという程だった。
 そして、二人がそのような大それた存在に気付けなかった理由。それはこの要塞が宙に高く出現していたからである。二人はスペル発動による現象が目の前で起こるものと思っていた為に意表を突かれてしまったのだ。
「こんなスペルも存在するんですね……」
「ええ、でも幻想に生きる私達ですもの。こういうのも受け入れていかなければいけないのでしょう」
「そう、ですよね」
 その事実を、まだ幻想に住まう者としては新参の勇美はしみじみと受け止めるのだった。
 取り敢えず、今やるべき事はこの要塞がどう出て来るか動向を確かめるまでである。
「さあ、どう来るのでしょうか?」
「まずはそれを見定めなくてはいけませんね」
 二人とも言い合って、今しがた現出した要塞へと注意を向ける。さて、弾丸が来るかレーザーが来るか。
 そのような状況の元、ドレミーはスペルカードとは違う物を手元に取り出したのである。これは一体何だろうか。そう思い勇美はその物に対して注意を向けた。
「リモコン?」
 それが勇美が導き出した答えであった。縦長で様々なスイッチが付いているその物体は、正にリモコンそのものであったのだ。
 そして、ドレミーはその物体のスイッチの一つを押したのである。
 その瞬間、事は起こったのである。ドレミーのそのリモコン操作に呼応して、要塞の一部がパカリと開いたのだ。
 続けて、そこからマジックアームのような物が一気に伸びて来たのだった。更にそれは地上にいる勇美へと飛び掛かって来た。
「危ない!」
 だが、その進行を易々と受けてあげる勇美ではなかった。彼女は迫って来たアームを悠々と避けてみせたのだった。
 そして、アームはその手のひらを宙で握り絞める事となり、再び元の位置に格納されていく。
「ふう……間一髪でした」
 無事に攻撃を避けた勇美は、やれやれと一息を吐いた。そして彼女は思う。
 ──中々に効率的な攻撃だと。このアームで相手を掴んで上空へ持ち上げ、床に叩き付けるなり弾丸の標的にするなり様々な戦法が取れるなと感心した。
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