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蒼穹のカンヘル
四十五枚目
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す。

彼女は逃げ出した。

が、扉が開かない。

壁に背をつけ、へたりこむ藍華。

「ぐるる…」

「やだ…やだよぉ…たすけてよぉ…誰か助けてよぉ!!!」



「何してんのさかがりィィィィィィ!?」

突然、竜が吹っ飛んだ。

蹴り飛ばされたのだ。

蹴り飛ばしたのは……姫島ヴァーリだった。

ヴァーリは壁まで吹っ飛んだ竜の下へ行くと、背中を踏みつけた。

「ねぇ何してんの? ねぇ? 謡から聞いて飛んできたけど何してんの? なんで桐生さんいじめてるの? 追い詰めてんの? 篝そういう趣味なの? ねぇ?」

「げふぅっ!? 待って待って! ちょっと脅かそうとしただけだって!」

「それでなんで漏らすまでやってんの?」

「なんか興がのっちゃっ…」

「逆鱗ひっぺがすよ?」

「ぴぃ!?」

今度は首を踏みつけた。

「げふぁぁ!?」

「いいからさっさと人に戻りなさい」

「その前に退いて…」

「は?」

「はい戻りますぅ…」

竜の姿が縮み、やがて小柄な少女の姿になった。

「重い重い重い!? 首に体重掛けないでぇ!?」

「反省した?」

「しました! した! したから退いてぇ!?」

じたばたと暴れる少女の上からヴァーリが退いた。

そしてヴァーリが指を鳴らすと、ギザギザした何かが出てきた。

隣には板状の石まである。

「篝。正座」

とギザギザの板を指差した。

「え?」

「は?」

「はい……」

少女が大人しく正座した。

そして膝の上にきっちり石板を乗せる。

さらにはどこかから取り出した手錠を嵌めギャグボールを噛ませた。

そこでようやく、ヴァーリが藍華の方を向いた。

「とりあえずシャワーに行きましょうか」













篝が石抱きの刑に処されて一時間後。

ヴァーリと藍華が戻ってきた。

「うー! うー!」

「どう? 篝を許す気になった?」

「許すから外したげてよぉ!?」

「らしいよ篝」

ヴァーリが指を鳴らすと、石板とギザギザの板が消えた。

「むぐぅっ!?」

突然下の板が消え、足を打った篝。

「はいこれ」

ヴァーリがとてもいい笑顔で藍華に鍵を渡した。

「手錠とギャグボールの鍵。許すんだったら貴女が外して」

「あ、はい…」

篝の後ろに回り、手錠とギャグボールを外した。

「篝。何か言うことは?」

「モウシワケアリマセンナンデモシマスカラユルシテクダサイ」

綺麗な土下座だった。

「って言ってるけど桐生さんどうする? 篝をFA○Kする?」


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