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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#6
SILVER CHARIOT 〜Crescent Knight〜
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【1】

 血に塗れたシートに伏した老人の遺骸。
 バックリと断ち割られた額から今も尚鮮血が滴っている。
「破壊」と「災厄」とを司る、殺戮のスタンド 『灰の塔(タワー・オブ・グレー)
 ソノ 「本体」 の、無惨なる最後。
「……このジジイの額には、
DIOの “肉の芽” が埋め込まれていねーみてーだが……」
 鋭い視線で老人の遺骸を見つめていた無頼の貴公子が疑問を呈す。
「『灰の塔(タワー・オブ・グレー)』 は、
元々旅行者を事故や災害にみせかけて殺し、
そして金品を巻き上げていた根っからの悪党スタンド。
金で雇われ、欲に目が眩みソコをDIOに利用されたんだ」
 青年の脇にいた翡翠の美男子が簡潔に答える。
「愚者の末路か……」
 いつの間にか傍に来ていた少女の胸元から、
荘厳な響きを持つ男の声が上がった。
 その刹那。
 突如キャビン内全域を揺らす大轟音。
「!」
「!?」
「ッ!」
「!!」
「……」
 機内窓越しに、大きく撓んだ機体の主翼が眼に入った。
「何じゃ!? 一体!? 機体が大きく傾いて飛行しているぞッッ!!」
 何の脈絡もなく再び来訪した脅威に、ジョセフが瞳を見開いて叫ぶ。
「ま……まさかッ!」
 素早く身を翻し、機内の最先端部まで駆ける祖父をその実孫が追い、
小柄な少女と細身の青年も後に続く。
「お客様どちらへ?この先は操 縦 室(コックピット)で立ち入り禁止でございます」
 清楚な制服に身を包んだC A(キャビン・アテンダント)が、
決死の形相で機内を駆ける初老の男性を呼び止める。
「知っている!」
 そのCAの存在を殆ど無視し、ジョセフは操縦室に続く最後の機内扉に手をかける。
「お……お客様!?」
 まるでハイジャックと錯覚するかのような、初老の男性の強引な振る舞いに
二人のCAが目を見開く。
 ソコ、に。
「……」
 ハイジャック等というイメージとは遙か対極に位置する、
余りにも整い過ぎた風貌の青年が顔を視せる。
「ッッ!?」
 海外の映画俳優やアーティストの来日等で、
美しい男性は見慣れている筈のCA達も想わず息を呑む程の美貌。
(まあ……♪ なんて素敵な男性(かた)……)
 職業柄普段は引く手あまたである筈の彼女達ですら、
眼前の事態も忘れて陶酔してしまう程の圧倒的存在感。
「……!」
 その背後で黒髪の少女が、
何故か過剰にムッとした表情でCA達を睨む。
 しかし頬を紅潮させる彼女達に向け彼が口走った言葉は。
「どきな、(アマ)共……」
 まるで邪魔だとでも言わんばかりに、
青年はCA達を押し退け操縦室へと
その長い脚を踏み入れる。
「きゃあ!」
 短い悲鳴と共に、頬を染めたまま落胆というややこしい表情
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