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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#6
SILVER CHARIOT 〜Crescent Knight〜
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後方へと押し退けられる二人の女性。
「〜♪」
 その脇を曲線のように緩んだ瞳で少女が通り過ぎる。
「おっと」
 押し退けられ微かに蹈鞴を踏んだ二人の女性を、
ピアニストのように細い指先を揃える手が優しく受け止める。
「失礼……女性を邪険に扱うなど、許される事ではありませんが、
今は緊急時なのです」
「ッッ!!」
 そっと振り向かされた先、先刻の男性に勝るとも劣らない
中性的な風貌の美男子が瞳を覗き込んでいた。
「許してやって戴けますか?」
 爽やかだが、その裡に陶然となるような甘い響きを持った声。
「ハイ……」
 そっと肩を抱かれて神秘的な双眸に惹きつけられたCAは、
そう応える以外選択肢をなくした。
「なんてこった!! してやられたッッ!!」
 目先の操縦室の中から、
耳慣れた初老の男性の声が花京院の耳に飛び込んできた。
 女性から手を離し花京院が操縦室に脚を踏み入れた瞬間、
夥しい量の鮮血の匂いがまず彼の鼻孔を突いた。
 デジタル化した複数の計器と、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイに
周辺空域の情報が集約表示されたグラスコックピット。
 ソレら最新鋭のコンピュータに拠って統括された操縦室内は、血の海だった。
 機長以下副操縦士に当たる2名まで、天井を仰ぐような体勢で殺されていた。
「舌を抜かれてやがる……あのクワガタ野郎、
既にパイロット達を殺していやがったのか……」
 大空での人々の安全を守り、快適な旅を提供するコトに日々従事する者達の、
余りにも理不尽な死に、無頼の貴公子はその口元を軋らせる。
「酷い……!」
 その彼の傍らで、黒髪の少女も黒衣の中で握った拳を震わせる。
「どんどん降下しているな……自動操縦装置も破壊されている。
このままでは、この機は墜落するぞ」
 その両者を後目に、初老の男性がデジタル表示された高度計を見ながら
沈着な声で言う。
 その次の瞬間。
「ぶわばばばばばばばばばあああああああああああああ
ははははははははははははははは――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!」
 背後から、けたたましい狂声。
「何!」
 無頼の青年が振り向いた先。
 先刻、己のスタンドをバラバラにされて絶命した筈の老人、
灰の塔(タワー・オブ・グレー)』 の 「本体」 がフロアを這い擦るようにして
操縦席内に入り込もうとしていた。
「あ、頭と舌が真っ二つに断ち割られてるのに!
なんて生命力、いいえ、精神力!?」
 その今際の際までおぞましいスタンド本体の執念に、
流石少女も嫌悪感を露わにする。
「ブワロォォォォォォ!! ヴェロォォォォォォォ!!
儂は事故と旅の中止を暗示する 『塔』 のカードを司るスタンド!!
貴様等はD
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