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至誠一貫
第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十五 〜再始動〜
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?」
「ああ、何だ?」
「孫堅さんの軍勢が、会稽郡に集結しているようですねー。此所からなら、会稽は近いですよね?」
 風の言葉に、睡蓮は不敵な笑みを浮かべた。
「へえ、流石は歳三が誇る謀将だな。勘づかれたか」
「風は何事にも一流なだけですからー」
 そう言って、飴を舐め始める風。
「反乱の兆候を、察しておられたのですか?」
「いや、こりゃ俺の勘って奴さ。郭嘉」
「勘ですか……」
 稟は首を傾げる。
「睡蓮様の勘働きは、人智を越えていますからね。理解出来なくても仕方ありません」
「はうあっ! ひ、飛燕さま!」
「おいおい、ひでぇ言い方すんな。飛燕は」
 明命は慌てているが……あの様子では睡蓮の奴、言われ慣れているな。
「か、勘だけで軍を動かされたのですか?」
「おうさ、徐庶。それが俺のやり方だし、それで間違い起こした事はねえからな」
 実際、その通りにはなっているのだ、これでは誰も文句は言えまいな。
 ……ただ、軍師泣かせでもあろうが。
 まだ面識はないが、この調子では周公瑾もさぞ、苦労している事であろう。
「では睡蓮、長沙への援軍はすぐに出せるという認識で良いのだな?」
「当たり前だ。兵を集めるだけなんて馬鹿な真似しやがる奴は、うちの軍にはいねえよ」
「わかった。彩、愛紗、鈴々、星、紫苑は直ちに出撃準備にかかれ」
「御意!」
「愛里と桜花(士燮)は糧秣の準備を。稟と風は、言わずとも良いな?」
「勿論ですよ、歳三様」
「ぐー」
「お、おい、風! 軍議中に寝る奴があるか!」
「ああ、それ寝たフリですから大丈夫ですよ。桜花さん」
 ともあれ、いろいろと動き始めたようだな。


 数日後。
 次々に入ってくる報告は、全て凶報ばかりであった。
 反乱は長沙郡に留まらず、桂陽郡や零陵郡、武陵郡にまで広がっているとの事。
 無論、劉表とてただ手を拱いていた訳ではなく、重用する蔡一族や、本来北方の守備に当たっている文聘らを向かわせたようだ。
「紫苑。実力の程はどうなのだ?」
「はい。……文聘は、守備には定評がありますが、攻撃は未知数ですわね。蔡瑁らは水戦はそれなりに戦いますが、陸戦となると不得手としか言えませんわ」
「ふむ。兵の質は?」
 重ねて問うと、紫苑は微笑んだ。
「ふふ、もし歳三様が手勢一万を率いて戦えば、間違いなく壊滅するでしょうね」
「ほう。それ程か?」
「ええ。勿論、水戦ならば話は変わってきますが」
「なるほど、いずれにせよ質はあまり多くを望めぬ程度という事か。それでは、賊相手でも苦戦を強いられるな」
「そう思いますわ。……そして、また罪もない庶人が苦しむ事になります」
 長沙郡でも、多くの人命が失われたと聞く。
 紫苑にとっても、他人事ではない。
 何とかしてやりた
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