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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第四話
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運命はお先真っ暗だ!

 僕のブーツが荒々しく床に砂埃を舞わせて忙しく動くけど、すぐ後ろから迫ってくる赤鬼(ミノタウロス)が踏み抜くたびに五階層全体を揺らしてると思わせるほどの振動と悪魔の足音のハーモニーを奏でて僕を誘っている。
 ばっと振り返ると猛々しい二本の角の付け根あたりにある双眸がこんなことを語りかけてきた気がした。

 さあベルよ、俺と一緒にあんなことやこんなことをしようじゃないか。

「ふざけるなああああああああああああああああああ!!!!!!! 」

 ダメだ、もうおしまいだ! 僕の人生運命とか以外にも思考回路そのものがおしまいしちゃってる!! Lv.1の下級冒険者たる僕が歯も立つわけないじゃないか! 
 自分の命の危機なのに、こんな理不尽な状態に対して何だか腹が立ってきた。もう思考が滅茶苦茶なせいで、僕は第五階層のどこにいるのかすらも把握できていない。というか今日は調子が良くて、この調子ならと魔が差して足を伸ばしたばかりの地形だ。解るはずも無かった。

 でも、そんな僕にも僥倖が訪れた。階段だ! 上り階段が僕の目の先にあるぞ! しかも上り階段! ミノタウロスに遭遇しておいて何だけど運が良い! 第四階層より浅い階層なら僕は慣れ親しんでる、体で覚えた道順でこのまま逃げ切るぞ!!
 わずかな希望が見えた瞬間にみるみる体から体力があふれ出てきて、エネルギー全開で猛ダッシュする。
 あと五秒もあれば階段に着く! そんな瞬間だった。

 その階段から女の子が駆け下りてきたのは。
 
 流麗な黒髪を背中の中ほどまで伸ばしていて、急いで駆け下りてきたから髪がなびいている。くりっとした大きな目に小さな鼻、薄い桜の唇と細いラインを描く体。女性の象徴はまだなりを潜めているけど、それは女の子の外見年齢的に考えてまだ成長していないからだろう。
 将来大人になった姿を楽しみにしてしまうほどの美少女だ。それも、超可愛い系の黒髪美少女。

 やった! 僕にも素敵な出会いがあったんだ! いやちょっと待て僕の今の状況忘れて何冷静に女の子を観察してるの!? 

「キミ────」

 ミノタウロスに追い掛け回されている事態に巻き込みたくない。非常に口惜しいが、その可憐な顔は完璧に覚えた。ダンジョンを無事に抜け出したら是非一声を……じゃなくて! 早く逃げてくれ!! と叫ぼうとしたが、僕の喉がひくりと痙攣して声を発せ無かった。

 なぜなら、その少女の後ろから赤銅色の猛々しい二本足が見えたから。
 階段から駆け下りてきた女の子とばっちり目が合い、そして叫びそこなった僕の代わりに鈴が転がるような声で叫んだ。

「私と同類だ!! 一緒に逃げよう!!」

 ばっと翻って向かって左に方向転換してあっという間に駆けていく女の子の背
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