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101番目の舶ィ語
第十六話。魔女の代償……
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けどね」

「やっぱりそうなのかな?」

「本当ならモンジ君には戦ってほしくなかったんだけどね『神隠し』」

「確かに、戦いた……くはないなぁ」

『神隠し』とされてるが、あの夢は。
とても優しくて、穏やかで、気持ち良かった夢だからな。

「戦っても、勝てないと思うもん。『神隠し』っていうのは昔から『いる』と思われている、妖怪とか伝説レベルに近いロア。『魔女』みたいに弱点がいっぱいあるようなモノじゃないものね」

『魔女』であるキリカが勝てないと言い切るからには、勝率はかなり低いんだろう。
勝てないと言い切ったキリカは、俺の為に頭をひねって対策を考えてくれている。

「『神隠しのロア』が確実に存在しているから……先に倒す方法かぁ……うーん」

キリカが頭を悩ませるのも無理はない。

「一之江の時みたいになんとかする方法は?」

「『神隠し』は攻略出来ないんだよ。解決方法っていうのがないから」

「く、口説くとか」

「あははっ! モンジ君なら出来るかもしれないけど。でも、夢の中のモンジ君はそれが幸せになっているんだよね? しかも、自分の事を忘れている状態で」

「うぐっ、確かに……」

「口説けるかもしれないけど……『この世界』の事を忘れているモンジ君が、果たして『この世界』に連れて帰ってこれるかな?」

そう。忘れていたら、そもそも戻りたいとも思えない。
思えないから、知らない世界に回帰したいなんて思うわけがないんだ。

「うーん、どうしたらいいのかな?」

「まあ、その鍵が彼女なのかもしれないね」

「うん?」

意味有りげに呟いたキリカは風になびく髪を押さえながら、俺の顔をまじまじっと見つめた。
……何かを知っているという感じに。
そして、その時、俺の脳内に浮かんだのは。
今日いきなり去ってしまった少女の姿で。

「……そう、だな」

音央は何かを知っている。
そう思えてならなかった。



2010年6月3日。午後10時。一文字家、疾風の部屋にて。

帰宅して夕飯や風呂を終えた俺はベッドに横になって天井を見上げていた。
思い起こすのは、音央の事ばかりだ。

『ごめん、あたし、先に帰るね』

悲しそうな、辛そうな顔をして去っていった音央。
一文字の中学時代からの友人で、いつも元気な明るい少女。
そんな彼女に、あんな顔をさせてしまった。
それがどうしても……気になって仕方がなかった。
どうして、あんなに寂しそうな顔をしていたのだろうか?
どうして、あんなに苦しそうな顔をしていたのだろうか?
どうして……俺に謝ってきたのだろうか?
どうして……。

「考えろ! 遠山金次」

尋ねれば、話せば解る、なんてい
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