暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
邂逅する者達
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いて、アラバスタのようなキメ細かさが伺える。長めの前髪の奥から覗く丸っこい大きな瞳はサファイアのような、夜明け前の湖畔のような、静かで無色透明な冴え冴えとした光を放っていた。

一目で分かるような武器、銃器類は携帯しておらず、タキシードの懐にも忍ばせられるサバイバルナイフやコンバットナイフ。あとは超小型の拳銃(ハンドガン)タイプだろうか。ナイフ類は特にそう目立つこともないのに対し、銃を携行したときに限って忍ばせた箇所がすぐに大きく盛り上がるのが、銃を使用する奇襲時の難点でもある。だが実際、キーホルダーサイズのハンドガンも実在するのだ。安心材料にはならない。

―――ん?

「タキシード?」

「なんで?」

リラとミナは同時に首を傾ける。

この船に入る時に起こる服装変更(ドレスコード)は通り一遍に、普遍的に決まっている。女性ならば身体に吸い付くようなシルク地のパーティードレス。男性ならばノリのよく張ったタキシード。どちらも色はツヤのあるピアノブラック。

どちらもシステム的防御能力は目も当てられないような有様だが、しかしその変更現象は絶対的なもので抗いようもないものである。同時にその二着は選択式でなく、性別によってシステムに着させられるものだ。

まぁしたがって、ここまでつらつらと、そして長々と書いて、何が言いたかったのかと言うと。

要するに、少女がタキシードを着ている事などあってはならないのだ。

「なんで、タキシード着てるの?」

主語がまったくないリラの言葉だったが、その対象は一人しかいない。否、一人いれば十分である。

すぐに何のことか察した様子の幼女が、背景に縦線が入りそうな勢いで床に突っ伏すのに対し、傍らの少女が猛烈な勢いで首を突っ伏すし幼女と逆方向にねじる。肩が少々震えていることから、どうやら吹き出すのを僅かに堪えているらしい。

「………………だ」

「「へ?」」

ぷるぷる笑いを堪える少女と別の意味で震えていた幼女の、突っ伏して見えなくなった顔面あたりから、地獄の淵から響いて来そうな黒々とした声が聞こえてきた。

怪訝な声を出した二人の少女の声が聞こえないようなうちに、幼女がはがばっと上体を起こす。

「僕は………男だあぁあああああぁぁぁぁぁぁっっっっッッッ!!!!!!!」

その絶叫は、広すぎる船内にどこまでも反響したとかしてないとか。










すっかりイジけた幼女――――改め少年が、彼自身が仕留めたという黒尽くめ達のリーダーが持っていたという散弾銃(ショットガン)の銃口でガリガリ字を書いているのを尻目に、ユウキと名乗った少女とリラとミナのコンビは空っぽになった艦長室の空っぽの椅子に腰掛けた。こんな時でも豪華な艦長席に堂々と居座る
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