暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
近付く者達
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
隠れて走る(ハイド&ラン)を繰り返しながら、リラとミナは最下層である第一階層エンジン室から第七階層まで注意深く進んでいた。位置的には、船尾から船首方面へ向かっている。

幸い今のところエンカウントはしていないが、しかし油断のならないこともまた事実である。《索敵》スキルを取っているミナはサーチに集中させ、リラは油断なく得物(グレネード)を構えながら無音で進む。

「…………リラちゃん」

「……なに?なんかあった?」

誰もいない客室は、異様に声が響く。できるだけ声を低めたつもりだったのだが、出た声は予想以上に響いた気がして心臓が一足飛びに高鳴る。

それを悟られないように、一歩後ろを歩いてマップウインドウと睨めっこするミナを睨む。

この船《セントライア》は、一応システム的にはダンジョン扱いになっており、踏破マップ型ダンジョンだ。クエスト開始時のマップデータはまっさらであり、当然簡易マップに記されるものは自分の存在した場の情報だけとなっている。

船内のロビーやらにもマップはあるにはあるのだが、それらは客用なのであり、関係者以外立ち入り禁止な場所は書かれていない。なぜ二人が会場に移動するNPC達から離れ、明らかに客向けではないエンジン室をまっすぐ目指せたかというと、それはただ単に前回このクエストに参加した際に覚えていただけの事だ。もっとも、その時のマップデータも逃走という形でクエストを終わらせた時にリセットされてしまっているのだけれど。

「二時の方向約二百。《死体》がある」

「数は?付近に他に何かある?」

ん〜、とおとがいに人差し指を当て、マップウインドウに鼻がつくほど顔を近づけるミナ。

「近くには……何もないね。数は、えーと…………いち、にぃ……じゅうさん!?」

「べぶっ!!」

変な声が口元から漏れた。

注意深く、という原則すら通り越して少女は勢いよく首を巡らせる。

「はっ、はぁ!?十三!?嘘でしょ!」

「あ、いや……これ、違う。十四……十五………十六…………」

「……どういう、こと…………?」

困惑に眉根を寄せるミナの目に、それに負けず劣らず眉根を寄せる自分の姿が揺れていた。

「これ……リラちゃん…………。移動しながら、殺されてる……」

「ん、んな………」

戦法としては、あるにはある。

ネットゲームでの非マナー行為。通称《トレイン》の亜種といえば分かりやすいだろうか。

広いエリア、できれば何か視界を遮るものが多い場所だといい。そこでMobを多く引っ掛けてしまった時、とにかく全力で後退しながら待ち伏せ(アンブッシュ)からの奇襲、後の逃走を恒常的に仕掛け、相手の総体的なHPをがりがり削っていく戦法である。

しかしそれは、奇襲と
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ