暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
邂逅する者達
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ているかのような圧倒的存在感。

じわり、と玉のような汗が浮かぶ。それは懇切丁寧に今の状況を説明しているようで、逆に心を焦らせる。

そんな空気の中、半開きのドアが何の気負いもなく開かれ、のんきな声が漏れた。

「ほーるどあっぷ、ほーるどあっぷ〜!手ぇ上げてるよー!」

「レン、それ突きつけられてる人が言うセリフじゃないよ」

何だか酷く頭の悪そうな会話とともに蛍光灯の青白い光の輪の中に躍り出てきたのは、それなりにGGO歴の長い少女達から見ても相当の凸凹コンビであった。

片方は一目で分かるミドルサイズの女性アバター。防具さえも全て剥ぎ取られるこの船内において、その身体を包んでいるのは真っ黒なドレス。腰ほどまである烏色の長髪と、濡れたように光るアメジストのような瞳と合わさり、無骨な鋼鉄製の廊下の中で御伽噺に登場する妖精のような、GGOというゲームそのものの価値観というかカテゴリを根幹からブチ壊すほどの雰囲気を醸し出していた。

武器は腰だめに吊るされている《MP7》。ベルギーで開発されたP90に対抗するためにドイツのヘッケラー&コッホ社が開発した個人防衛火器(PDW)だ。

小型短機関銃にも似て重量も弾倉(マガジン)込みで1.8kgのコンパクトなシルエットは、しかしストックオープン時は全長540mmにもなる。近代銃器における新しいカテゴリであるPDWの特徴として、ヘルメットやボディアーマー程度ならば貫通できる4.6x30mm専用弾薬はこの局面ではかなり有用であると言えよう。

そして戦意がないように見せるためか、頭上に銃口を向けているのはアメリカで開発中であると言われる試作型サブマシンガン《クリス・ヴェクター》。

サプレッサーのようなのっぺりとした銃身(あぎと)から弾き出すのは、威力の高い45口径ACP弾。しかしその反面高反動であると言われていたソレを、トリガーとマガジンの間にあるV字型機構――――《クリス・スーパー》と呼ばれる次世代反動吸収システムをもって高精度連射を実現できるのである。

どちらも実弾火器、しかもその中でも《クリス・ヴェクター》などはレア中のレアだ。黒尽くめ達の所持する銃器は、どうやら組織内での位が高いほど携帯する銃にもランクが高いらしいので、彼女が倒したのは相当上の、それこそ幹部クラスなのかもしれない。

そしてもう片方。

どこかこの状況そのものを楽しんでいるような表情でドアの向こうより顔を覗かせたのは、一言で言ってかなり小さなアバターだった。小さな、と言ったが、体感的には『ちっちゃい』という表現のほうが正しいだろう。

小さな、ではなく。

ちっちゃな――――少女。

肩ほどまで流れる黒髪は、蛍光灯の薄っぺらい光を艶やかに跳ね返している。肌は白を通り越して透き通って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ