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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第六話 人の証、物の証
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/Victor

 ニ・アケリアに訪れるのはそう珍しいことではなかった。10年前までは。どちらの「ミラ」であれ、ここが拠点だったのは間違いないからな。

 変わらない。乾いた風に、土と風の精霊術で構成された家々。細々とした商いで生計を立てる村人たち。


「マジでド田舎な。もっと変なとこだと思ったのに」

 アルヴィン、期待外れだったのは理解できるが、せめて朴訥と言ってやれ。村人に聴こえない距離で。

「でも、人がゆったりしてて、のどかで、すてき……です」
『時間がとろ〜んって流れてる〜』
「ありゃ、人形姫は気に入ったご様子? 意外だね」

 全くだ。エリーゼにはもっと忙しない印象があった。レイアほどではないにせよ、明るいというか積極的というか。

「雪ん子はどうよ。何か感じたりしてるか?」
「……ふぇ? わたし?」
「そ。上から下まで髪も衣装も真っ白だから、雪ん子。気に入らねえなら別の考えるけど」
「い、いい! それでいい! うれしい。あだ名つけてもらったのハジメテ。あ、村に感じてること、だったよね。えーとえーと。エリーとは反対になっちゃうけど、なんかピリピリする。研ぎ澄まされるっていうのかな、こういうの」
「へー」
「とにかくだ」

 益体のない話は誰かが切らないと終わらない。

「四大精霊を呼び戻す術と、マクスウェルを呼び戻す術。それを執り行うには巫子の助けが要るという。その巫子をまずは探すぞ」

 フェイリオがひょこひょこと、道で何かの作業をしていた老人に、一番に声をかけた。

「あのー、すいません。イバルって人に会いたいんですけど」
「お前さんたち、イバルの知り合いかね。奴ならマクスウェル様のお帰りが遅いからと探しに――」

 ガササササ! ダン!

 ……噂をすれば何とやら。梢を大きく掻き分ける音と、すぐ近くに人間くらいの重量が落下、着地した音。

「おおイバル、帰ったかい」
「うむ! 近辺は見回ったが、お姿はなかった。もしやすれ違いになっているのかと思ってな。それにもっと先を探すには装備が不十分ゆえ、一端帰還した」

 何というか、すまない、イバル。アルヴィンとエリーゼに会った時には大いに動揺したのだが、今君を見ても何の感慨も湧かない。

「このお人らがお前に会いたがっとったぞ」

 イバルは腕組みをして、怒ってるみたいな顔で私たちを振り向いた。エリーゼがビクついて私の後ろに隠れてしまったではないか。

「何の用だ。俺には使命があるゆえ、用件は手短にすませよ」

 短気。とっさに浮かんだ第一印象である。

「ミラと四大精霊の行方を知っている。教える代わりに協力を仰ぎたい」
「なっ…!? 貴様、一体何者だ!」
「ミラと縁浅からぬ仲とだけ言ってお
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