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魔法科高校の有能な劣等生

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過去追憶編
  逆らえぬ定め

 
前書き
前回の続きです。 

 
「此処に居たんですか零様?」

俺はその知っている声に振り向いた。
その声は昔から変わらずこれからも変わりそうに無い声、ジイやの声

「どうかしたのジイや?」

「旦那様がお呼びです。」

その返答は予測出来ていた。
最近、俺の家、無月家は慌ただしい。
理由は単純だ前の当主、無月 焔がお亡くなりになったからだ。
亡くなった原因は毒、毒殺で殺されるのは今の時代珍しいが死んでしまわれたのならしかたのない事

「分かった、すぐに行くよ。」

そう言って俺は歩き出す。
向かうのは勿論、ジイやの言っていた旦那様、俺の父親だ。
名を無月 閻魔
無月家に置いて最強の魔法師、先代の当主が亡くなった今、最も無月家で権力を持っている名の通り閻魔大王
扱う魔法は無月家最強と言われている重力変化と魔法相殺
どちらも無月家しか扱う事が出来ない禁忌の魔法
故に扱える魔法師も今、現在の所は閻魔しかいない。
俺はそんな父親を嫌っていた。
何時も上に上がる事しか頭に無く利用出来る物は何でも利用する。
それが自分の妻で在っても、、、、、、、、、、、、、、、

「遅いぞ零」

「申し訳ありません父上」

俺は目の前の中年男に頭を下げ詫びる。
あれが俺の父親、無月 閻魔
元々、閻魔と言う名は過去に魔法として名乗りを上げた無月家の英雄的存在
父上はその名を継いでいる。
力量、才能、頭の良さ全て完璧な所は似ているかも知れないがこの人は別物だ。
昔、母上から聞いた事が有る。無月家の英雄無月 閻魔は人を愛し絆を愛し憎しみを愛に変える力を持った存在だと
が、それは目の前の無月 閻魔にはけして当てはまる事は有り得ない。

「座れ」

「はい」

お互いに短く手短にがモットー、そこは似ている。
それ以外は全く似ていいないし似たいとも思わない。

「零、お前は俺の息子だ」

「はい、誇り有る無月家の時期当主無月 閻魔の息子です」

「解っているならいい。
零、お前に話が有る。この無月の将来に関わる話だ」

何時も真剣な閻魔の顔は更に固くなる。
ここから話す事はどうやら閻魔の言った通り重要な話なのだろう。
俺にはどうでもいい話だが、俺は聞く事にした。
どんな話だったとしても聞いても俺はそれに従うしかない。
なら最初から受け入れ話を聞く方がまだマシ、そう俺は思った。

「お前は才能が有る実力も有る。
正に転生の才能を持っている私のようにな」

「有難う御座います」

「お前も何時かはこの無月家を受け継ぎ無月を守って行かねばならん承知しているな?」

承知などしていない。やりたくもない。聞きたくもない。
こんな話を聞いても俺は何も変わらない。変えられない。
人が作ったレールを歩いて行く方が俺にはお似合いだ、言われた事はやり言われそうな事もやるそうやって生きてきた。

「承知しております。
私はいずれこの無月の家督を継ぎ無月家を守ります」

守る気など有りはしない。
家督など継ぎたくもない。
継いでも何も変わらない周りから妬まれるだけだ。
だが、俺は人の作ったレールの上でしか生きていけない。
そう自分でも解っているからこそ今の俺は成り立っている。

「うむ」

どうやらご機嫌は取れたようだ。
俺は顔には出さぬよう心の中で安堵する。

「これから話す事はお前次第の事だ。
心して聞け」

「はい父上」

そう返事をしたが俺はその話を聞きたく無かった。
何故なら大体、話の内容は理解出来るからだ。
どうせ無月家に関わる重要な話だろう。そんな話を聞いても俺には何も出来ない。

「まず、零よお前は何歳になった?」

意外な、質問だった。
息子の誕生日を覚えていない?
いや閻魔が覚えている筈が無い、人の血をが流れていない人間には必要の無い事だろう。

「今年で12で御座います」

後、1ヶ月もすれば俺は12歳となり歳を取る。
が、俺は別に歳を取る事を嬉しいとは思わない。
歳を取るという事は死期が早まるという事、歳など取りたくもないが時は止まらない。
ならそれに従うしかない。俺にはそれしか出来ないから。

「うむ、お前も立派になった」

「有り難きお言葉です」

俺はよく嘘を付く。
嬉しくもないが嬉しいと嘘を付き自分に何の利益も無いのに有難うと嘘を付く。
俺は嘘を平気で云う嘘つきだ。

「零、結婚する気は無いか?」

「け、結婚で御座いますか?」

今日は意外な事が多すぎる。
歳は聞かれるは結婚の話が出て来るわ、この男、正気か?

「うむ、縁談の話が来ておる。
無月と交流を深めたいと言って聞かん一族がおってな」

「その一族とは?」

無月と交流を深めたい?
そんな一族、正気では無い閻魔と同じ位に頭が逝かれている。
無月の一族は他の魔法師の一族に嫌われている。
理由もこれまた単純、魔法を打ち消す能力を持っているからだ。
魔法師にとって魔法は無くては成らない力、それを無力化する無月の遺伝的能力は正に悪魔そのもの
そんな一族と交流など深めようとしたら他の一族に嫌われる。

「お前も知っているだろうナンバーズの中でも指折りの一族、一条家を」

「はい、存じております」

まさか一条家とは思いもしなかった。
流石の俺でも顔が歪み唖然している所だが、なんとか平常心を醸し出し冷静に対応している。

「一条程の力を持った一族なら交流を深めていても問題ない。
逆にこちらとしては得も利益も有る」

得、利益?
俺は心を無にした。
やはりこの男の頭の中にはそんな事しか頭にないのだろう。
理解していた筈だった、なのに心が痛む。
俺は、まだ心を感情を殺しきっていない?

「お前には一条家の娘、一条風華と結ばれ無月家を大きくしてもらいたい。
お前は私の息子だ、理解出来るな?」

「、、、、、、、、、、、、、、、はい」

答えたく無かった無言を貫きたかった。
でも俺にはそんな事は出来ない。
拒否権など俺には存在しない有るのはyes、その一択しか無いのだから。
 
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