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ソーセージ

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第二章


第二章

「何か違うわよね」
「これはこれでいけるかも知れないがな」
「ええ、新しい味じゃないわね」
「これじゃあ普通に魚肉ソーセージに思われるな」
 欣也は茹でられたそれをフォークで取って食べながらだ。そのうえで言うのだった。
「あまりよくないな」
「そうね。これは没ね」
「ああ、止めておこう」
 魚のソーセージは斬新さと違和感から没になった。そして次はだ。
 牛や豚をミックスしてみた。羊や鶏もだ。そうして作ると。
「変わらないな」
「っていうか普通にお店で売っているものよね」
「ああ、それと同じだな」
「そうね」
 こう二人で言い合う。食べてみるとまさにそうだった。
「これじゃあな。何も変わらないな」
「新しいソーセージでも何でもないし」
「やっぱり駄目か」
「ええ、残念だけれど」
 こうしてミックスも駄目だった。そしてだ。
 欣也はここで他の国の料理にも目を向けた。その見たものは。
 美代子の前に出すとだ。彼女はまずその目を点にさせてから言った。
「これドイツ料理?」
「いや、違う」
 すぐにこう断った。
「スコットランド料理だよ」
「つまりイギリスね」
「そこの料理だけれどな」
「それで料理の名前は?」
「ハギスな」
 それだというのだ。見れば何か内臓の中にだ。挽肉やら野菜やらが詰められている。それを見れば僅かにソーセージに見えなくもない。
「それだよ」
「ハギスね。美味しいの?」
「さてな。作ってはみたけれどな」
 それはわからないというのである。
「どうなのかな」
「全部食べてからわかるのね」
「レシピ通りには作ってみた」
 そうしたというのである。
「食べてみてそれでヒントか何かにしよう」
「そうね。それじゃあ」
 こうして二人で食べてみる。美代子はまず一口食べてみた。そうしてそれから述べた感想は一体どういったものかというとであった。
「まずいわね」
「まずいか」
「ええ、まずいわ」
 そうだというのだった。
「食べてみるといいわ」
「そうか。それじゃあ」
 妻に促されて彼も実際に食べてみた。その感想は。
「どう?」
「まずいな」
 彼もこう言った。
「これはかなりな」
「そう思うわよね、やっぱり」
「ああ、まずい」
 また言った。
「はっきり言って店には出せない」
「そうよね。スコットランドの料理よね」
「郷土料理な」
「向こうの人はこんなものを食べてるの?」
「イギリスの料理はまずいとは聞いてるけれどな」
「それでもここまでまずいと」
 典子もかなり言う。言わずにはいられなかった。
 
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