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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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旧友とお菓子

「お久しぶりですね、先輩」

指定された店の前にいたのは、俺と関わりの深い一人の少女。

「久しぶり、レナ」

しっかり物のお姉さん、目の前の彼女を一目見て判断するとそんな感じだろう。実際は正反対だが。身長は俺より頭一個小さく、この世界で唯一自分で容姿を変えられる髪を、ロングヘアーで伸ばしている。

「一体何の用だ?メッセージにも、ただ集まれとしか書いてなかったんだが?」

「集まれ、じゃなくて集まれますか?、ですよー。それじゃ、私が来るのを強制してるみたいじゃないですかー」

「大差変わらんだろうが」

ひどいなーと言いながらも笑っている彼女は、昔からこういう細かいところでうるさい。それが、彼女の美点でもあり欠点でもあるのだが。

「立ち話もなんなんで、どうぞ」

レナが店の扉を開けて中へと勧めてくる。レナは生産職プレイヤーで、ここは彼女の店だ。レナの後に続きながら、ここに来てから、一言も喋っていないシリカを先に中にすすめる。
そこでようやくレナがシリカに気づいたようだった。

「ええっ!先輩がかわいい女の子連れてる!!何時の間に!?」

「やっと気づいたのか。それに、最初っからいただろうが」

「先輩。犯罪はいけませんよ、こういうのは両者の同意があってこその・・・」

「違うからな!!今の俺のパーティメンバーだから!」

レナとこんなバカなやり取りをするのにも慣れた。

「な~んだ、早く言ってくださいよ。だから先輩は・・・」

「お前の勘違いだろうが。ちょっとは話を聞け」

「今のねぇ・・・。で、彼女は?」

今までの応酬についていけなくて、固まっていたシリカに向き直る。

「彼女はシリカ。さっきも言ったが俺の今のパーティメンバーだ。メンバーって言っても、俺とシリカしかいないけどな。あと、この前オーダーメイド頼んだのは、彼女のだよ」

俺は《今の》というところを強調して言った。

「シリカちゃんかー、よろしくね!こんな先輩だけど根はいい人だと思う・・・から」

「おい、何だその間は!さらに思うだけかよ!」

ここでやっと処理が追いついたのか、シリカがはじめて口を開いた。

「あ、よろしくお願いします。えっと、あの、レナさん?」

「あー、私の名前はセレーナ。先輩が言ってるようにレナでいいよー。みんなそう呼んでるし。あと、敬語もいらないよー」

「そうだぞ、こいつに敬うところなんて無いから」

「ちょ、先輩、ひど!少しは後輩に対する優しさって物があっても」

「ふぅん、お前にやさしさねぇ・・・」

「何ですかその表情は!!」

いや、別に?ナンデモナイヨ?
レナの説明に茶々を入れつつ、話を元に戻そうとするが・・・

「いやー、同年代の同姓ってこの世界中々いないからねー。シリカちゃんは歳幾つ?」

いても、知り合う可能性かなり低いし、と続けて。

「14ですけど。レナさんは?」

「私は15だよ~。そだ、フレンド登録しよっか!」

等と女子二人で盛り上がってしまって、どうにも戻りそうに無い。というか、話に混ざれない・・・。
しばらく混ざれそうにないし、これから話すことは長くなりそうなので、何かつまめるものでも作るか。

「菓子でも作ってるからなー、奥借りるぞー」

「あー、ご自由にー。それでシリカちゃん。それの着心地とか、見た目とかどう!?なんか不満があったらすぐ言ってね!いつでも直すから!もちろん代金は先輩持ちで・・」

不穏な会話をしていたので、とっとと撤退することにする。もうこの店にも何度も来ているし、中の構造は全部わかっている。
彼女は、主に見た目重視の装備を作る事をモットーにしているプレイヤーだ。
《装飾》というスキルを使って、既知の装備をカスタマイズして、見た目をカッコ良くしたり、かわいくしたりして売っている。
なので、最前線ではあまり知られていないが、中層ではなかなかの知名度を持っているらしい。俺の装備も彼女に頼んでるところが多いし。
調理台に向かって何を作るか考える。短時間で作れて、そこまで重くない物だと・・・よし、決めた。材料は、《リトルリザードの爪》と《エクトホーンの粉》に・・・今の手持ちでは、あれが足りないか。
雑談している二人の元に戻り、レナに声をかける。

「レナ、手持ちか倉庫に《虹彩放つ羽根》ないか?」

「《虹彩放つ羽根》?あったと思うよ。あれ見た目いいし、装飾しやすいしねー。ちょっと待ってて」

レナが倉庫にある方へと歩いていく。あれが無いと、何で代用するかな・・・

「そんな素材何に使うんですか?」

シリカが聞いてきた。まあ、羽は普通の素材アイテムだしな。

「料理の調味料に少しね。甘すぎない甘さを出すにはあれが一番だしね」

「甘さって・・・素材に味があるんですか?」

「基本的に素材には全部味有るぞ?見た目が見た目なのは、食べたこと無いけど・・・。ちゃんとした食材アイテムじゃないから、それらで作ってもスキル値は上がらないけどな」

自慢じゃないが、素材アイテムはほとんどのものを食べたことがある。ある程度は自分でも記憶しているし、一度食ったことがある味はすべて記録してる。だから、今欲しい甘味に適任なのが何なのか分かる。

「ありましたよー。私たちの分もお願いしますね、先輩」

シリカと話し込んでいると、レナが戻ってきた。彼女から材料を受け取り、レナに手を上げてながらキッチンに戻る。
まずは、爪を刷って・・・それに粉を塗して・・・それで・・・
5分位して、目当てのものができた。見た目も悪くないし、我ながらいい出来だと思う。
簡単に皿に盛り付け、二人のところへ戻る。

「完成したぞー」

「ありがとです、先輩!さすが私たちの中で唯一、料理スキル持ってただけはありますね」

すぐにレナが待ってましたとばかりに食いついてきた。

「まあ、色々作らされたし。俺が作れないようなものまで、簡単に要求されてたしな」

興味単位で作ってみたらよくできたから、レナにも渡そうと思って持ってきたのがそもそもの原因だったような。結局、いいほうに転んだからよかったけどさ・・・

「それはご愁傷様です。で、なに作ったんですか?」

「マカロンだな。短時間で作れるもので、今手持ちから作れるのが、これ位しかなかった」

「ふぇ!?マカロンですか?」

シリカも興味津々になって聞いてきた。現実世界では身近にあったお菓子だけど、この世界ではレシピとして見つかっていない食べ物だしな。
俺は、手にしていた皿をテーブルに置いて、さらにアイテム欄にストックしてる飲み物を数種類出す。

「さて、召し上がれ。飲み物は好きなの飲んでくれ」

俺たちは簡単なお茶会を始めた。  
 

 
後書き
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