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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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過去と天災

「二人って、どこで出会ったんですか?」

お茶会の途中でシリカが聞いてきた。

「そりゃ《藍椿》だよ。シリカちゃん」

「藍椿・・・?」

「って、先輩から何も聞いてないの?」

シリカとレナから別々の意味合いを持った視線を向けられる。まあ、今日シリカを連れてきた目的はそれだしな。

「ここで話そうと思ってな。レナだって、知り合い全員に教えてるわけじゃないだろう?」

「そりゃそうですけど。先輩がパーティ組んでたから、つい・・・」

「ま、それもそうか。俺が説明するから、抜けてるところあったら、その都度お前が付け足してくれ」

「りょーかいです」

シリカも、興味を示してくれたところで、俺は話し始めた。

「藍椿は、俺が前に入っていたパーティの名前でな」

藍椿は、ある日突然結成されたパーティで、俺やレナもそこに入っていた。今思い返せば、いつも、リーダーだった彼女に振り回されていたが、不思議と抜けたいと思ったことは一度も無かった。

「へぇ、いいギルドだったんですね」

「違う違う。藍椿はギルドじゃないんだよー」

「一応、それが俺らの活動目標だったしな」

藍椿はギルドではない。パーティの結成理由が、ギルドに負けないパーティを作る、というものだったからだ。まあそれは名目で、ほとんど彼女の思いつきでの行動が多かったけど。

「実際、ギルドになった方が色々楽でしたけどね」

「そこは暗黙の了解だったし。それに、俺らが言ったところでラウ姉は折れないし、曲げないだろ」

「ああ~、確かに」

「ラウ姉って誰ですか?」

俺らが苦笑しながら言うと、シリカは聞いたことが無い人名に引っかかったのか、聞いてきた。
名前はラウ。俺らからはラウ姉と呼ばれていたプレイヤーは、本当にすごい人だった。

「ラウ姉は、・・・・・・・天災かな」

シリカの頭の上に?が出るのと、レナが思わず吹き出したのはほぼ同時だった。

「天・災・・?天才じゃなくてですか・・・?」

「ええ、そんな人でしたよ」

藍椿のリーダーにして、無茶難題の提案者、それがラウ姉だった。いつも、常人からは考えられないような事を提案しては、周りの意見も聞かずに実行に移す。さっきも言ったように彼女は本当に天災そのものだった。

「嵐の様な人だったよな・・」

「リオンさんがいなかったら、どうなってたんでしょうね・・・?」

「さてな。考えたくもない」

そして、もう一人。
リオンは唯一ラウ姉を止める事ができる人だった。現実でのラウ姉の彼氏にして、ストッパー。俺らからすれば、いつも頼れる兄の様な存在だった。たまに、ラウ姉の提案に悪乗りして止められなくなったこともあったが。

「いや、意外と悪乗りするほうが多かったか・・・?」

あの天災を止められる人がいなかったと思うと、正直ゾットする。それだけ、彼女の普段の暴走っぷりはやばかった。そして、確実にそれと同じくらいラウ姉は俺に深い影響を与えていた。

「4人が全員自分の役割わかってて、うまく回ってましたからねー」

「4人?」

「うまく回っていたかどうかは別として、藍椿は俺ら4人だけだったんだよ」

「え、たった4人で・・・?」

藍椿では一人一人が自分が得意なことを生かして、うまく回っていた。ラウ姉が毎回予想の斜め上を行く話をし、それを元に俺が作戦を立てる。リオンさんが戦闘での圧倒的な実力を見せ、レナが作戦に必要なアイテムを集めと戦闘時の的確な支援を行う。これが藍椿での役割分担だった。

「たった4人で、凄いんですね・・・」

「実際かなりギリギリなところも結構あったしな」

体力がイエローゾーンに陥ることは日常茶飯事、大体一人当たり20対1くらいの比率の数の敵をさばくこともしばしば。無茶してばかりのパーティだったが、実際、無茶に付き合っているのが楽しかったってのも事実だ。

「あれ・・・どこかで藍椿って聞いたことがあるような・・・」

まあ、悪名に近いものも結構立てたし、それなりに悪目立ちはしていたから、どこかで聞いたこともあるのだろう。

「それにしても、よく先輩がパーティ組みましたよね」

話がひと段落すると、今度はレナが話しかけてきた。

「俺のは成り行きだ。ピナ、そのシリカの膝の上の小竜だが、それの蘇生を手伝ってから組むようになってな」

「でも、それだけで先輩が組み続けるとは思わないんですが?もしかして、シリカちゃんのこと、好きになっちゃいました?」

さすが、昔組んでただけのことはある。適当な理由ではごまかせんか。

「俺のうっかりでとある秘密を知られてな。初めに組んだのはその理由だが、それからは別に普通だぞ?」

「秘密?あー、先輩がいろいろやってるのに、攻略組についていけてるのと関係あります?ま、私にも教えてくれるなら別にかまいませんけどねー。あと、さっきのはスルーですか?」

さすがに鋭い。洞察力とか、こいつも十分攻略組としての十分な素質はあるんだがなぁ。

「私は無理ですよ、先輩。レベルが全く足りませんし。レベル上げの作業がほんとめんどくさいですし」

それには同意。だがレナよ、なぜおれの考えていることが分かる?

「何時からの付き合いだと思ってるんですか、先輩」

へいへい、そうですか。

「あ!」

突然、シリカは飛び上がると、俺らの方を指差した。

「藍椿ってあの、不思議なメッセージじゃないですか!」

不思議なメッセージ?んー、とくに覚えてないんだが・・・。
レナの方に視線を向けてみるが、彼女も思い当たらないらしく、首をかしげている。

「10層のボス部屋に書いてあった、あのメッセージですよ!!」
 
 

 
後書き
SAOのアニメもフェアリーダンス編に入りましたねー。
OPも気に入ったし、なかなか面白かったです
あと、須郷の小物っぷりが凄まじかったですねww
感想とか待ってます!! 
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