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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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魔界の兄弟

<ゾーマの城>

「え?…じゃ、そいつ…ネクロゴンドで倒した『バラモス』なの!?あの魔王バラモスの成れの果てなんだ!…あはははは、ちょ~うけるぅ~!前より弱そうになってんじゃん」
ブチ切れ顔を真っ赤にして叫ぶバラモスブロスに対し、腹を抱えて笑いながら兄貴(バラモスゾンビ)を馬鹿にするリュカ…

「ようリュカちん。以前の姿って、こっちのブスと同じなんだろ?だとしたらどっちも弱そうだぜ!こんな弱そうな『ブス』と『骨』しか部下が居ないなんて、ゾーマも大したことはないんだな!?」
更には主人である大魔王ゾーマまでをも馬鹿にし、バラモスブロスの怒りを増大させる。

「ふ、ふ、ふざけるなぁぁぁぁ!!!」
絶叫と同時に、もの凄い勢いで襲いかかってきたバラモスブロス!
しかし、そんな攻撃は難無く避けるリュカとオルテガ。
「ぐぁあうぁ…!」
だが突如、弟のバラモスブロスを止め、アルル達と間合いを取らせるバラモスゾンビ。

「な、何故止める兄者!?」
「ぐぁ…れ、冷静さ…う…失う…と……ま、負け…………ぅ…ぅ……や、奴等…それ…狙…い………」
しゃがれた声で途切れ途切れに呟くバラモスゾンビ。
以前の経験から、リュカのやり口を理解しており、(バラモスブロス)を窘める。

「何だ…骨だけでスカスカだから脳みそもスカかと思ったら、前の事は憶えてんのね…」
やれやれと言った表情で肩を竦めるリュカ…
それを合図にアルル達が身構える。
バラモスブロスも冷静さを取り戻し、リュカとオルテガを無視して攻撃態勢に入った。

「では兄者、同時に行きますぞ!」
先制してきたのはバラモス兄弟!
バラモスブロスがウルフ・マリー・カンダタ・モニカに攻撃を仕掛け、バラモスゾンビがアルル・ハツキ・ラングストンに激しく襲いかかってきた!

リュカ・オルテガは、即座に後方へ下がり傍観を決め込む。
なお、リュカは妻のビアンカと怪我人のティミー、更にはルビスを抱き抱え…オルテガも妻のアメリアと、アメリアに抱かれていたラーミア・ミニモンを抱き寄せ退避する。
どうにも思考回路と行動が同じになる2人の男…



「おい、リュカちんの子供は優秀だなぁ…」
襲いかかってきたバラモスブロスに対し、即座にイオラ(一般のイオナズン級)で抗戦したマリーを見て、ティミーの事共々感心するオルテガ。
「ありがとう。でもそう言うオルテガっちの娘さんだって、この冒険で立派な勇者になったんだよ。ちょっとヒステリーな所があるけど…」
バラモスゾンビの攻撃を、勇者の盾で一手に引き受けるアルルを眺め、リュカが感慨深く思い出に浸る。

「リュカちんには感謝してる…アルルをこんなに立派な女性にしてくれた」
「違うよ…アルルは最初から立派なレディーだったよ。…もし誰から力添えしたのなら、それは僕ではなく息子のティミーだ。…コイツもアルルのお陰で成長出来たしね」
周りを見渡せば、中ボスクラスの敵と戦闘中で、ノンビリと会話をしている状態ではないはずなのに、互いに良い父親を醸し出している2人…



一方そのころ…
バラモスブロスと激闘を交わしているウルフ達は、バラモスブロスの激しい炎に悩まされていた。
ウルフも『フバーハ』を唱える事が出来るのだが、ティミーのそれより効果が薄く、随時マリーが賢者の石で回復していないとカンダタ・モニカが一方的にやられてしまうのだ!

「くそっ…魔法で援護攻撃をしてもらえないから、結構厳しい戦いだな!?」
「な、何言ってんだいカンダタ!遥年下の2人が、私達の為に頑張って防御と回復を行ってるんだよ!文句ばっか言ってないで、さっさとぶっ殺しちまいな!」
既に尻に敷かれているカンダタに、元女海賊のモニカが強烈な叱咤を叩き付ける。

「んなこたぁ言われなくても分かってらい!敵が見た目以上に素早いから、ちょっと愚痴っただけだろが!」
魔神の斧を振り回し、少しずつだがダメージを与えるカンダタとモニカ。
時間はかかりそうだが、バラモスブロスを追い詰めている。


バラモスゾンビと死闘を繰り広げるアルル等は、以前のバラモスより格段に強さを増した敵に辟易していた。
「ほ、骨だけのクセに何でこんなにパワーがあるの!?」
バラモスゾンビの攻撃を勇者の盾で受けながら、悲鳴に誓い叫びをあげる勇者アルル。
「ぐ…す、すいませんねぇ…骨だけの身体の為、隙間があって攻撃があたらない事があるんです…本来ならもう既に、力強い攻撃など出来ないハズなんですけど…ゾンビだから痛みがないのですかね?」
防御に徹し皆を守るアルルに、軽い口調で謝るラングストン…だが表情は口調程軽くない。

「きっと身体を狙ったんじゃダメなのよ!ラングストンさん…頭を集中的に狙いましょう!」
ヒット&アウェイで攻撃を繰り返すハツキが、リュカの教えに沿う様に戦い方を思考する。
アルルが攻撃を一手に引き受ける戦法も、彼女が最も強力な防備を装備していた為、前回のバラモス戦でのリュカの代わりをしてもらおうと、ハツキが提案した物なのだ。

「よし!ハツキ殿…参りますぞ!」
「OK!」
ここからハツキ・ラングストンの怒濤の攻撃が始まる。
ハツキが勢い良くバラモスゾンビの右こめかみに蹴りを入れると、左側頭部にはラングストンの剣撃が降り注ぐ!
だがバラモスゾンビも守りを固め、そう簡単には倒されない。

「…チャンス!?」
攻撃が止みフリーになったアルルが、チャンスとばかりにギガデインの詠唱に入る。
だがそれはアルルの焦りから生まれた、悪手の一手だった!

防御を解き、ギガデインを唱えようとした瞬間、バラモスゾンビが自らの太い肋骨を何本かアルルに向けて勢い良く吹き飛ばす!
完全に無防備状態だったアルルは、呪文を唱える前に強烈な攻撃に身を晒してしまう…
まさに絶体絶命のピンチに、またもや颯爽と現れたのは彼氏で天空の勇者なティミーだ。
自らの天空の剣で身を守りながら、アルルへ襲い来る複数の太い骨を、一身で受け彼女を守った!

「きゃぁ…ティミー!!」
「うぐっ…アルル!!」
自らの身体を盾とし愛しいアルルを守ろうはとしたが、飛んできた骨の数が多すぎて全てを防げなかったティミー。
何本かがアルルの身体に突き刺さり、大量に出血をしている…また盾となったティミーにも、アルル以上に骨が突き刺さり、かなり危険な状態へと陥ってしまった。

ハツキとラングストンは、アルルとティミーに時間を作る為、より一層の攻撃を続行する。
なんとかトドメを回避した勇者2人は、互いに寄り添い突き刺さった骨を抜くと、ベホイミで傷口を治療し合う。
「ティミー…ゴメン…私…」
「謝らないで。アルルを守るのが僕の使命なんだ!…それよりアルル…まだギガデインは使える?」
アルルの傷口を治療し、頬を伝う涙を拭いながらティミーは小声で状況を確認する。

「ギガデイン…? うん…まだ2.3回は唱えられるはずだよ」
「じゃぁ僕の言う通りに魔法を唱えて…」
ふらつきながらアルルと共に立ち上がり、後ろから抱き締める形でバラモスゾンビに立ち向かうティミー…
ずっと彼女の耳元で最後の手段を伝えている。

そして2人の男女はバラモスゾンビに近付くと、互いに左手を絡めた状態で天に翳し、力強い瞳で叫ぶ。
「さぁ、僕と一緒に…………」
「うん、アナタと一緒に…………」



 
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