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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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第一次総力戦

 
前書き
一応断っておきます…
勿論『天空の城ラピュタ』の名シーンをオマージュしておりますよ。
でもあくまでオマージュですから!
パクリとか言わないで!! 

 
<ゾーマの城>

「さぁ、僕と一緒に…………」
「うん、アナタと一緒に…………」
ティミーはアルルを後ろから抱き締め、互いの左手を絡め天高く掲げ、バラモスゾンビに真っ直ぐ向きながら声を合わせて呪文を唱えた。
「「ミナデイン!」」

ティミーとアルルの魔法力が合わさり、巨大な雷撃がバラモスゾンビに向けて突き刺さった!
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ………………!!!!!」
丁度のタイミングでバラモスゾンビから離れたハツキとラングストンであったが、その強烈な雷撃の威力に更に吹き飛ばされてしまう。
「きゃあ!」「うわぁ!」

そして跡に残ったのは炭となり崩れ落ちるバラモスゾンビの姿…
「あ、兄者ぁぁぁ!!」
かなり離れて場所でウルフ等と戦闘を繰り広げていたバラモスブロスが、(バラモスゾンビ)の崩れ去る姿に動揺し、戦闘の手が止まってしまう。

それを見逃すウルフ等ではない!
防御に専念していたウルフがベギラゴンを、回復に専念していたマリーがメラゾ-マをそれぞれ唱え、カンダタとモニカに攻撃の最大チャンスを与える!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

バラモスブロスの断末魔の悲鳴。
最後まで兄…バラモス(バラモスゾンビ)に手を伸ばし続ける弟。
彼等には彼等の兄弟愛があったのだ…
殺される側の人生に、初めて考えさせられるマリー…
勝利を納めたにも拘わらず、喜ぶ事が出来ない。

そんな彼女の心が痛い程解るウルフは、悲しそうな目でマリーを見つめると優しくキスをし慰める。
「さぁ…今は仲間の心配を…」
そして小声で呟き、マリーをバラモスブロスから遠ざけた。


ウルフ・マリーを始め、カンダタ・モニカやハツキ・ラングストンが放心状態で立ち尽くすアルルとティミーの側へと近寄った。
「大丈夫ですかティミーさん!?」
先程受けたバラモスゾンビの攻撃が完全に治療しきれておらず、各所から血を流し呆然としているティミーに声をかける。
「あ…ああ、僕は何ともないよ…でもアルルが怪我を…すまないがウルフ君。ベホマで回復してもらえないか?」

見るからにティミーの方が怪我が大きいのに、それでもアルルを優先する。
ウルフも慌てて言われた通りにしようとするが…
「ティミーさんが治してあげた方が良いのでは?」
と、義兄に気を使い出来る男を見せつける。

「出来ればそうしたいよ。アルルは僕が守るんだから…でも、もう魔法力がないんだ…本来ならもっと大勢で唱えるミナデインを、2人で使用したから魔法力が底を尽きたんだ…」
「そ、そんなムリをして…アルルは大丈夫?」
ウルフに代わりハツキが慌ててアルルにベホイミをかける。
「ま…魔法力を一気に使いすぎて…つ、疲れた…」
ハツキのベホイミで傷を癒されながら、既に魔法力がなくなった事を伝えるアルル…
心身共に疲弊している様子だ。

「おいおい…中ボス如きに全力出し切るなよ………まだ一番厄介なのが残ってるんだぜ!どうすんの…勇者2人がその様で?」
寄り添いへたり込むアルルとティミーに、呆れ顔で近付いてきたのはリュカ…
最終局面だと言うのに、力配分を怠る若い子供等にちょっと困り気味。

「すみません父さん……でも、あの兄弟は強敵でしたよ。僕等も全力を出さないと、とてもじゃないが倒せなかったですよ」
「全力って…お前等だけだろ…全力だったのは?全力ウサギですかお前達は?」
ドラゴンの杖でティミーの頬をグリグリ突きながら、未熟者を叱咤する!

「ウサギ?……今一意味が解りませんが、僕等だけではないですよ全力だったのは!ウルフ君もマリーもいっぱいいっぱいで、もう魔法力が尽きかけていますから!」
「え!?べ、別に私は(モガ!)「そうなんですよ!俺もマリーもへとへとです!」
急に話を振られたマリーは、素直に元気である事を伝えようとするが、義兄の魂胆に気付いたウルフが、慌てて彼女の口を手で覆い、もう戦えない事をアピールする。

「はぁ!?何だお前等…ふざけてるのか?ここまで来たのにゾーマ討伐を諦めるのか?」
「諦めませんよ…でも約束しましたよね。『最後くらいは僕も戦闘に参加するよ!』って言いましたよねリュカさんは!?」
疲れ切りへばってはいるが、それでも力強い口調でリュカに詰め寄るアルル。
「う………い、言った…言ったよ…でも………ねぇ…」
ここに来て、やっとティミー等の魂胆に気付いたリュカ…
『ゾーマとの戦いはタイマンでやれ!』と、皆が目で訴えている。

「ず、ずるい!何で僕一人で戦わなきゃならないんだ!?」
「今まで碌に戦わなかったからです!」
言い切ったのはハツキ。
「ハ、ハツキぃ~…そんな事言わずに一緒にがんばろ!?」
「ムリで~す!私、リュカさんの愛人を辞めてから、体力が落ちたみたいで、もうへとへとで~す!」
笑顔で突き放されるリュカ。

「カ、カンダタはまだ戦えるだろ!?お前嘘吐くとぶっ飛ばすぞ!」
「いやぁ~戦いたいのは山々なんだけどよぉ…さっきの戦闘で骨をやられちまって…だからムリッス!」
「テメー…後で憶えてろ!………ラングは平気だろ!?」
「いえ。私も先程の戦闘時、アルル殿とティミー殿が放った雷撃の影響が出てまして、体中が痺れております!諦めやがって、大人しく一人で戦ってきてください!」

「くっそ~………ビ、ビアンカ~……みんなが苛めるよぉ~!」
ビアンカの胸に抱き付き、哀れに泣くフリをするリュカ…
「よしよし可哀想に…でもね、偶にはみんなの為に一人で戦ってきなさい!私は早くグランバニアへ帰りたいのだから、アナタが最後はキメて来なさい!いいわね!!」
どうやら味方は居なかった…
本当は強いのに、自らは強くはないと信じ、戦闘を避け続けてきたツケを今更支払わされている…それが現状のリュカという男だ!

「くっ…嫁も敵か!………オ、オルテガっち!一緒に戦ってくれるよね!?だってオルテガっちはゾーマを倒す為に、一人でここまで来たんだろ?だったら………」
最近出来た親友に、慌てて縋り付くが…
「すまんなリュカちん。俺もお前の戦いぶりを見てみたいんだ!一人の戦士として…」

「な………何で僕が……戦士じゃないし……普通、王様ってこう言う事しなくていい役職だよね?…何で僕が………」
「諦めてください…僕だって王子だけど、前線で戦ってますよ!」
「お前は自ら戦いに身を投じてるじゃんか!」
口を尖らせ、何時までも納得しない国王陛下。

「うっさいオッサンね!いい加減に諦めなさいよ…ゾーマちゃんが奥で待ってるわよ…さっさと行け!」
「オッサンじゃない!イケメンお兄…つか、マリーはお父さんと呼べ!もしくはパパ!」
「一人で行ってゾーマを倒してきたら元の呼び方に戻したげる……ほれ行けって!!」

仲間や家族等に無理矢理一人で戦いに行かされるリュカ…
ビアンカに両手で背中を押され、アルル・ティミーに剣で突かれ、他の者には言葉で追いやられ…
渋々、大魔王ゾーマの下へと歩を進める。
リュカの上にはレミーラの光源が付き纏い…少しずつラスボスの姿が見えてくる…

そして最終決戦へ………



 
 

 
後書き
みんな(リュカを除く)の心は今一つに!
でも最終決戦へ赴くのは、その除かれた1人だけどね。 
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