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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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最深部

<ゾーマの城>

「♪ゾー(マ)さん、ゾー(マ)さん、お~鼻が長いのね、で~もね、○○○は、短いのよ~♪」
童謡『ゾウさん』をアレンジして歌うリュカ。

「え、リュカちん?…ゾーマの○○○を見た事あんの?」
「ある訳無いじゃんそんな物!でも性格が悪そうだから…きっと短くて被ってて早いよ!しかも未使用だと思うね僕は…」
「なるほど…でも、もしかしたら俺等みたいなイケメン好きかもしれないぞ…しかも受け!だから未使用な粗品(ソチン)でも問題なかったのかも………俺等、行かないほうが良くね?」

少しずつ大魔王の妖気が強くなって行く最深部…
大魔王の気配がする方へ歩を進める一行。
そんな状態にも拘わらず、ふざけた歌とふざけた会話をしながら、2人の父親は怯む素振りも見せはしない。
まだまだ若いアルル等にとっては、プレッシャーをはね除けてくれる2人の父親に感謝しているのだ。

「リュカさん、オルテガさん…大魔王ゾーマが美女かもしれないという選択肢は無いのですか?」
大魔王の妖気にあてられ、本当ならば気絶しそうになっているウルフなのだが、リュカとオルテガのお陰で自我を保てている。
だから思わず2人のふざけた会話に混ざってしまうのだ。

「何言ってんだよウルフ…声だけなら以前に聞いた事があるだろ!野太い濁声のオッサンボイスだったじゃん!」
「でも声だけですよ…姿は見た事無いのですから、選択肢を減らすのはどうかと…」
「そうだぜリュカちん!大魔王…と名乗っている程の奴だ。声だけは迫力を付けておいて、実際は美少女かもしれないぞ!ワザとボイスチェンジさせてるのかもしれないぞ!!」
冗談半分のウルフの発言に、本気で考え込む2人の父親…

「う~む…言われてみればそんな気が……………こうしちゃいられない!早く美少女ゾーマちゃんに逢わないと!…さぁみんな、スピードアップだ!」
「おー!」
勝手な妄想で、粗品(ソチン)変態野郎から美少女へ格上げされた大魔王ゾーマ。
そんなゾーマに早く逢おうと、リュカとオルテガだけが走り出す!
他の者は誰も走り出しはしない…何故なら、あの2人が先行してくれるのは大助かりだから。
ゾーマの下へ辿り着いたら、既に2人に倒されていた…と言うのが理想だから。



だが、そんな儚い理想は直ぐに打ち砕かれ、真っ暗な闇の中に佇む2人の姿が目にはいる。
「あれ?父さん…お義父さん…どうしたんですか、そんな所に佇んで。美少女ゾーマちゃんは居なかったんですか?」
「いやね…真っ暗で進めなくなっちゃてさ…ゾーマちゃんは恥ずかしがり屋なのかな?」
「…そうかもしれないですね」
『絶対違うよ馬鹿!』と面と向かって言うと面倒な事になるので、軽く受け流すティミー…

「リュカ殿…ここはレミーラで明るくしてみてはどうですか?」
「おう、なるほど!流石ラング…気が利くねぇ!では早速、レミーラ!」
折角ティミーが有耶無耶にしようとした話題だったのに、ラングストンが率先して面倒な状態に引き戻そうと試みる。

「どれどれ…美少女はどこかなぁ?」
リュカの魔法で照らし出された広い空間に向け、オルテガの美女を見逃さないウルトラ・アイがサーチする。
「ほう…随分と面白い魔法を使う者が居る…」
だが、そこに居たのは美少女とは程遠い、厳つい顔をした1体の魔物の姿だった。

「…………あれ?………美少女ゾーマちゃんは何処だ?」
「び、美少………ゴホン、何を訳の分からん事を言っている…ワシはゾーマ…大魔王ゾーマ様だ!」
調子を崩されながらも、どうにか自分のペースに持ち込もうとする大魔王ゾーマ。
「キサマらはワシを討伐する為に、ここまで来たつもりだろうが…それは違う!ここはキサマらが生贄として奉られる祭壇。素晴らしい生贄として、悲痛な叫びをあげてもらうおぞ!!」
ゾーマはリュカとオルテガにペースを乱されぬ様、些か早口で決め科白を言い終えると、まだ奥へと続く闇の中に姿を隠し、変わりに2体のモンスターをアルル達の前へ登場させた。

「ぐぅあぅぁあぁ…ゔぁ………」
1体のモンスターは大柄なドラゴンの様な姿のモンスターで、ほぼ全身は骨のみで構成されている。
しかし所々に腐った肉片がこびり付いており、何らかの大型モンスターのゾンビ状態の様だ。

「兄者…今少しの辛抱ですぞ!憎き勇者共に復讐してやるのです!」
一緒に現れたモンスターは、以前見た事があるモンスターで、アルル達が表の世界で倒した『魔王バラモス』とよく似ている。
「あれ?お前の事…どっかで見たことがあるような…誰だっけ?」
「え!?何リュカちん…あんな奴の事知ってんの…趣味悪!ナンパするなら可愛い()を選ぼうよ…」
「しねーよ、あんなブスをナンパなんて!そうじゃなくて、何処かで見た記憶があんの!美女の事じゃ無いから、今一思いだせ無いんだよ…」

「ふ、ふざけるな!俺様はキサマらに倒された魔王バラモスの弟、バラモスブロス様だ!」
あまりにもふざけた会話をする2人の男に、顔を真っ赤にしてブチ切れる『バラモスブロス』…
「バラモスブスぅ~?わざわざ言わなくても『ブス』なのは判ってるって」
「おいおいリュカちん…今コイツ、お前に押し倒された…って言ったぞ!力ずくは良くないな…しかも趣味が悪い!」
「だから違うって!あんなブスを押し倒「うるさ~い!!」
性懲りもなくふざけたトークを続けるリュカとオルテガに、大声で怒声を浴びせるバラモスブロス。

「いい加減にしやがれ!俺様の名は『バラモスブロス』だ!バラモスブスじゃな~い!…それから押し倒されたんじゃ無い…倒され殺されたんだよ!!そして兄者は、こんな姿になってしまったんだ!」
100%ワザと言っているリュカとオルテガに対し、本気で怒り狂うバラモスブロス…
半ベソを書きながら、隣のゾンビを指差した。

もう完全にリュカ・オルテガペースである…



 
 

 
後書き
本当はどうなのか知らないけど、私の中では兄弟という設定です。
でも思考が似ているリュカとオルテガは、完全に他人ですのでお間違えなく。 
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