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鉄槌と清風

作者:deburu
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74部分:72:披露宴(海鳴)


72:披露宴(海鳴)

 ミッドチルダでの結婚式から、1ヶ月と少し、地球は日本の海鳴で良彦とヴィータの結婚式と披露宴が行われる。
 場所はバニングス家の営業する結婚式場の一箇所だ、ヴィータの戸籍は、士郎の伝手と管理局…主にレティ、リンディ…の協力で良彦と同じ年齢という事にしてある。

 ミッドでは古代ベルカ式だったので、此方では神前結婚式だ、したがって良彦は八坂家の家紋…丸い円の中、羽を交差させた感じ…の入った紋付羽織袴。
 ヴィータは白無垢に角隠しである。

 参加者は、高町家一同、八神家一同、ハラオウン家一同、アリサ、すずかとなる。

 特に珍しい事も無い神前結婚式…まぁ、新郎新婦がぱっとみで、小学生にしか見えないのは珍しいが…はつつがなく進み、披露宴である。
 まずは、式の格好のまま、主賓席に座る良彦とヴィータ…角隠しは外しているが。

 司会のマイクの位置に立つのは、これぞ執事と言う格好をした老人、アリサの執事である鮫島だ。

 「では、不肖鮫島、良彦様、ヴィータ様の披露宴の司会を勤めさせていただきます、最後までよろしくお願いします」

 綺麗に一礼し挨拶、そのまま続けて。

 「最初に高町士郎様からの挨拶でございます」

 その声を聞いて、スーツを着込んだ士郎がマイクの位置に移動する。

 「こんにちは、高町士郎です、八坂君の親代わりという事で挨拶させてもらいます」

 この結婚が嬉しいのか、笑顔のまま語り出す。
 良彦の幼い頃のことや、いかに自らが受け継いだ武術を修行し続けているか、ヴィータと付き合うようになって無茶が減った事なども話題だ。

 「その二人の結婚をとても嬉しく思っています」

 そう締めくくる。
 鮫島と交代し

 「では、友人挨拶を…最初は月村すずか様、お願いします」

 「はい」

 ドレスアップ…薄い紫のワンピースドレス…したすずかが、マイクの前に立つ。

 「ヴィータちゃんも良彦君も、知り合ってもう11年くらいいだよね、ヴィータちゃんとははやてちゃんの家で始めてあって…」

 良彦との学校での話しや、ヴィータとはやてが図書館に一緒に言った時の話しなどを続ける。

 「だから、そんな二人が結婚する事が嬉しくてたまりません、おめでとう二人とも」

 そう締めくくる、席へ戻る、もう一度鮫島がでてきて

 「では、続いて、アリサ・バニングス様」

 「えぇ」

 続いて出てくるアリサ…薄い黄色のサマースドレス…は、マイクの前に立ち。

 「結婚おめでとう、二人とも、私ももう11年来の付き合いだけど、貴女達が婚約した時は驚いたけど、納得もしたわ」

 と、まぁ地球にいる人から見ても婚約前からもう結婚しろよ、とか思われていたらしい事をミッドの事は言わずに言ってくる。

 「というわけで、ようやくきちんと結婚して、こっちは落ち着いた気分よ、おめでとう」

 素直に言わない所がアリサらしかった。
 再び鮫島が登場し、場所を交代する

 「では、ヴィータ様のお色直しでございます、皆様暫し歓談をお楽しみください」

 そういって、ヴィータをつれて、アリサ、すずかが会場を出て行く。
 ヴィータが居なくなった良彦の場所に、小中の頃の仲の良かった男子が集まってくる。

 口々にお祝いと、コップに酒を注いでいくのだ、それを断るわけにも行かず飲み干していく良彦。
 返杯もしているが、多勢に無勢、良彦の飲む量はどんどん増える。
 少し酔いが廻ってきた所で、会場の扉が開き、スポットライトが当てられる。

 そこに居たのは、薄っすらと化粧をして、所謂十二単…春夏の明るめの色、薄い素材の物…を着た、ヴィータだ。
 それを見て、ぽかーんとする良彦…良彦には衣装類は一切どういったのものを着せるか聞かせていない。

 まぁ、結構重量はあるのだろうがそれを感じさせない歩み、普段と違い楚々としたそれで、席へ付く。

 「どうしたよ、おい、良彦?」

 「うおぅ…わりー、見とれてた」

 「っ、何言ってんだ、ばかっ」

 「だって、普段と別人だぞ、その格好…それに化粧も」

 まぁ、酔ってる良彦は回りに人がいることをほぼ忘れているのだろう、普段人前で言わないレベルで褒める。
 そして、周りの人間はそれをにやにやと、眺めているのだ。

 「つか、一寸だまれ、皆きいてんだろが」

 「……おおぅ」

 言われてようやく気付いたか、周りを見渡す良彦、そして

 「みるな、おれんだ!」

 と、言い切ったのだ。

 「良彦?!」

 「いかん、良彦君が、暴走してるぞ」

 士郎が叫び、恭也、美由希が立ち上がると同時。
 良彦、士郎、恭也、美由希、4人の姿が消える、更に次の瞬間には、士郎と恭也に腕を抑えられ、美由希に胴をつかまれた良彦が、会場の真ん中に現れる。

 良彦が『音貫き』から、近くにいたかつての級友を投げようとしたのを、神速で3人が割って入った結果だった。

 「予定よりはやいが、良彦君も着替えだ、この場は任せた、なのは」

 「うん、わかった」

 士郎がそういって、良彦を連れ出す、そのさいシャマルとはやて、セプトに視線を送っていった。
 視線を受け取った3人は、後を追いかける。

 新郎控え室で、開放された良彦は、シャマルに酔い冷まし…一種の毒抜きに近い…の魔法を使ってもらい、正気に戻った。

 「…うぁ、俺何やってんだ」

 「馴れない酒を飲みすぎて、感情が暴走したんだろう、というか、独占欲が結構強いんだな、良彦君」

 「すいません、士郎さん、恭也さん、美由希さん…止めてくれてありがとうございます」

 「まぁ、可愛い嫁を独り占めしたい気持ちはわかるがな」

 「あはは、珍しいもの見たって事で、良いよ」

 士郎、恭也、美由希は、苦笑しつつ許してくれる。

 「所で、俺の着替えって?」

 「それはやね、これなんよ」

 はやてが取り出したのは、白い胴着に青い袴、八坂流の胴着だった。

 「結婚式で、これを…?」

 「良彦君の父さんの時は、それの上に羽織を羽織ってね、おじいさんと戦って勝って、君のお母さんとの結婚を許してもらったんだよ」

 「実際戦うんは、むりやけどな、こっちの羽織を羽織って、まぁ、おじいさん、お父さん、お母さんに報告の意味でやな」

 「判った、ンじゃ着替えるわ」

 まぁ、着慣れたものだ、着替え自体は早い、その上に、青い羽織を纏う、背中には八坂の家紋入りだ。
 そして、会場に戻る途中、新婦控え室の方から同じような格好をしたヴィータと鉢合わせる。

 視線ではやてに問いかけると。

 「どうせなら、あわせた方がええやろ、ヴィータも八坂流つかえるんやし」

 とのこと、どうやらあの後で、連れ出したようだ…そして会場内は、級友による一発芸大会中だった。
 一気飲みは普通、手品や一寸したイベントを行っていたらしい、主役が居なかったのに余り気にしない辺り大物ぞろいである。

 で、会場の扉が開き、良彦とヴィータ…こちらは羽織と袴が赤だった…が入ってくると、視線が集まる。
 皆そのある意味で結婚式で珍しい格好に、一瞬驚くが、修行バカの良彦らしいと、納得してくれた。

 その後、良彦を巻き込んでイベントが行われ、仕掛けなどがあったのか、罰ゲームを受ける事に。
 ヴィータへの告白と、キスを強要されたりしたが、逆にそれを照れなく行う良彦、酔いが冷め切ってなかったらしい。

 地球でもミッドでも夫婦となった二人、それを祝ってくれた皆の気持ちが心地よい二人だった。
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地球側での結婚式と、披露宴です…良彦暴走は、まあ飲みすぎです。

次回は何かしらのイベント…ヴィータ妊娠発覚とか、108部隊への出張教導とか、そういったのを書こうかなと思います。
 
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