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勇者番長ダイバンチョウ

作者:sibugaki
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第11話 強敵襲来!その名はイインチョウ?

 人は嫌な事をされると自然と不機嫌な気持ちになる。それは誰もが必ず持つであろう感情の一つであった。人それぞれにもよるが、誰しも嫌な感情を抱く条件として挙げられる事とすれが、それは目の前に自分を殺せる条件を用意される事だろう。
 そして、轟番は文字通り不機嫌な心境でいた。彼にとって不機嫌となる要因は二つある。一つは喧嘩の最中に突如として横槍を入れられた事。もう一つはその横槍を入れて来た奴がこちらに対し敵意を向けている事。
 この二つが挙げられた。今、番はバンチョウ、そして番トラと合体して巨大ロボットダイバンチョウとなっていた。全長約30メートルの巨体を誇り、古き良きバンカラ風の外観をした風貌を象っている。その外見は言うなれば番その物と言えた。
 そのダイバンチョウが彼の住む町を瓦礫の山へと変えようとした諸悪の根源を駆逐しようとしていた真っ最中だったのだ。
 彼としては町の防衛かつ喧嘩を楽しむ為、この二つの意味が込められていた。番にとって喧嘩は三度の飯と同じ位に好きな行事の一つだ。
 言葉的に言えば三度の飯より~と言った方がしっくりくるが、番にとって母の作る飯を無碍にする事など考えられない。そう言った彼なりの常識があるのだ。
 そして、喧嘩を行うのは番にとって自分自身が昨日よりも強くなる為の通過儀礼に過ぎない。その大事な喧嘩を邪魔されるのは番にとってとても不機嫌になる要因であると言えた。
 その喧嘩を妨害してきた輩は現在番が喧嘩を行っていた相手との間に割って入るかの姿を現した。突然サイレンを鳴らし現れたパトカーが変形し、現在の位置に陣取っている。細身のボディで象られているが決してやせ細っている訳ではない。整えられた成人男性を模したボディをしている。右手には大型拳銃がもたれており、その銃口がダイバンチョウに向けられている。
【何だてめぇは?】
 ドスの利いた声でダイバンチョウは目の前で銃口を構えている不埒な輩を睨み付けた。そいつの大きさは全長でも約5~8メートル程度の大きさしかない。バンチョウとほぼ同じ身長だ。それに対し、ダイバンチョウはそれの約2~3倍近くの大きさの30メートルはある。大人と子供ほどの身長差があるにも関わらず、目の前のそいつは全く動じる様子は見られない。
 目の前のそいつは尚も微動だにせずに銃口を構えたままだった。
【さっきも言った筈だ。お前達は宇宙法を違反した。貴様達は即座に逮捕し、宇宙裁判を受けて貰う!】
 さっきも言っていたが番にはちんぷんかんぷんだった。そもそも番にはそいつの言っている宇宙法と言う法律が分からなかった。確かに番は今までバンチョウと共にこの番町でひたすら暴れ回りゴクアク星人達と戦っている日々を送っただけの気がする。
 その前と言えば喧嘩に明け暮れる日々ではあったが、絶対に犯罪になるような事までした覚えはない。少なくとも喧嘩のせいで警察の厄介になった事は何度かあるが、それ以上の犯罪は犯した覚えがない。
 その自分が、宇宙法違反とは心外この上ない。
【さっきから何訳の分からない事言ってやがる! 宇宙法だの何だのさっぱり分からねぇよ!】
【そうか、どうやら貴様はバンチョウ星人と地球人が共同しているが故の事なのだろうな】
 意味深な事を呟きながらもその視線は未だにダイバンチョウへと向けられている。
 と、其処へ突如としてダイバンチョウとイインチョウの双方に爆発が起こった。背後で手持ち無沙汰だったブソウ星人が奇襲を仕掛けてきたのだ。
 残っていた武器を全てつぎ込んで倒そうと言う魂胆だったのだろう。
【ギャハハ! くたばれ、宇宙警察の犬も辺境の宇宙人も纏めて灰になっちまえぃ!】
【おのれ……】
 静かに、だが確実にイインチョウの口から怒りの篭った言葉が発せられた。その刹那。電光石火の速さでイインチョウは持っていた銃口を即座にブソウ星人に向けた。
 轟音と共に数発の光弾が発せられる。その矛先は迷う事なくブソウ星人の両手、両肩に取り付けられた武装を破壊していった。
【お、俺様の武器が!】
【警告した筈だ。抵抗した場合は、実力行使に移ると―――】
 その光景はまるで、無感情の機械が行う精密な作業にも見得た。
 イインチョウが持っていた銃で今度は武装星人の胸に取り付けられていたガトリング砲を破壊し、次に両手両足を粉砕し、逃げる事も抵抗する事も出来ない状態に仕立て上げてしまったのだ。
【ひぎぃっ! た、助けてくれぇぇぇ!】
【宇宙法第35状、宇宙に生きる者は無闇に他の惑星に侵略してはならない! 貴様はこの法律を違反し、更に抵抗の意思がある行為をした。よって、宇宙法に基づき貴様には厳罰を下す!】
 そう言って、イインチョウの銃口がブソウ星人の眉間に押し当てられる。どうする事も出来ないブソウ星人は先ほどの威勢が良い時とは打って変わり助けてくれと連呼して泣き叫んでいる。
 心底情けない光景であった。
 そんな情けないブソウ星人の哀願など全く聞き入れる気などないかの様に、イインチョウは銃のトリガーに指を掛け、
躊躇なくそれを引き絞った。
 ダーーン!
 一瞬、その音が響き、それ以降は静寂が辺りを支配した。
 ブソウ星人は微動だにしなかった。弾痕はブソウ星人の頭部から右に顔一つ分ずれた場所に着弾していた。だが、その時には既にブソウ星人は気を失っておりそのまま動かなくなってしまった。
【貴様を裁くのは私ではない。宇宙裁判所だ!】
 銃口を上げ、動かなくなったのを確認し終えると、今度は再びダイバンチョウへと向き直ってきた。
【今度は貴様の番だ! バンチョウ星人】
【へっ、俺を其処で伸びてる奴と同じと思ったら大間違いだぜ! この落とし前、きっちりつけて貰うからな!】
 腕を鳴らし、やる気満々なダイバンチョウがイインチョウと対峙し、構える。それを確認したイインチョウもまた、臨戦態勢をとった。
 最初に口火を切ったのはダイバンチョウだった。相手が銃を持っているので無闇に突っ込めば確実に狙い撃ちされる。となれば最初に相手の出鼻を挫くのが先決だった。
 とばかりに、最初にダイバンチョウは右足を大きく振り上げた。その際に履いていた下駄が勢い良くイインチョウ目掛けて飛んでいく。
 下駄を飛ばした後、そのまま右足を地面に押し当て、下駄の後ろにピッタリとくっつくようにしてダイバンチョウは距離を詰めた。
 一方で、イインチョウは飛んできた下駄に向い光弾を当て、下駄の進路を大きくそらした。
 そらされた下駄はイインチョウの右頬付近を掠めて飛んで域、後方のビルに激突しそのまま制止した。その直後には、既にダイバンチョウがイインチョウの目の前にまで迫っていた。
 互いの距離は3メートル程度しかない。狙い打つ事はまずできない。
【飛び道具なんざ使いやがって! 男なら素手で喧嘩してみやがれってんだ!】
 啖呵を切り、ダイバンチョウがイインチョウの持っていた銃を叩き落とし、そのままイインチョウの両肩を掴んだ。このまま得意の接近戦に持ち込めば殆どダイバンチョウが負ける事はまずない。
 そう、今まではそれで通じていた―――
 気がつくと、何故かダイバンチョウが地面を背に倒れていた。
 反対にイインチョウはこちらを見下ろす形で立っている。
【な、何だ? 何が起こったんだ?】
 全く以って理解不能だった。さっきまで自分が組み付いていたのに、まるでコントでも演じてるかの様な錯覚を番は感じていた。
【貴様が素手で戦えと言うからそうして見たぞ。これで満足か?】
 目の前ではイインチョウが腕を叩きながら呟いている。心底むかつく言動に番の額には青筋が浮かび上がっていた。
【野郎、調子に乗るんじゃねぇ!】
 即座に起き上がり、今度は右拳を放った。まどろっこしい事はなしだ。一発殴って終わらせる。そのつもりで放ったのだ。
 すると、イインチョウは身を翻し、ダイバンチョウの右拳を薄皮一枚でかわす。そして、細い腕を絡ませててこの原理でダイバンチョウを円を描くようにして放り投げ、再度地面に叩き付けた。
 ズシン! 辺りに振動が響き渡る。激しく地面にうちつけられた際に起こった振動がそれだったのだ。
【ぐぅっ! な、なんて奴だ……俺の攻撃を悉く返してきやがる!】
 再度起き上がり、イインチョウを見入る。今までの相手とは桁違いにこいつは強い。そう番は判断出来た。今まででは腕っ節の強い敵はそれなりに居た。だが、此処まで戦いに精通した奴はいなかった。正確に言えば今までの敵は荒削りでごり押しな連中ばかりだったのに対し、このイインチョウはまるで精錬された無駄のない動きをしている。恐らく、番が最も苦手としているスタイルを持っている。
【気は済んだか?】
【冗談じゃねぇ! 天下無敵の喧嘩番長が顔に泥塗られたままで終われるかってんだ!】
 最早意地の戦いだった。その後も、ダイバンチョウは何度も何度もイインチョウに勝負を挑んだ。だが、その度に悉く軽くあしらわれてしまった。まるで子供が大人にからかわれているかの様な光景だった。
 しかも、相手はダイバンチョウよりも二回り近く小柄なのだ。
【くそっ、こうなったら―――】
 起き上がったダイバンチョウは、背中から木刀ブレードを抜き放った。
 本来なら素手の奴相手にこれを使うのはやぶさかではないのだが、止むを得ない。
 抜き放った木刀ブレードを両手に持ち、そのまま怒涛の勢いで走りイインチョウ目掛けて迫る。
【これでどうだ! 超必殺! 男の修正脳天叩き割りぃぃぃ!】
 渾身の必殺技をイインチョウ目掛けて振り下ろした。ダイバンチョウの奥の手でもあり同時に幾多の敵を葬ってきた決め技でもあった。
 今度こそ倒した。番はそう確信を持てた。その確信が打ち砕かれるのはそれから間も無くの事だったのだが。
【甘い!】
 一言、そう叫んだ直後の事だった。イインチョウは何と、自分目掛けて放たれた木刀を両手で挟み込むようにして押さえ込んでしまったのだ。
 俗に言う白刃取りの要領だ。そして、そのまま再度ダイバンチョウを地面へとたたきつけてしまった。
 再度振動が辺りに伝わり、ダイバンチョウは大の字に横たわりそのまま動けなくなってしまった。
【ぐっ……うぅ……】
【これで分かっただろう。いい加減大人しくしろ】
 木刀ブレードを投げ捨て、イインチョウは倒れたダイバンチョウにそう言い放った。最早、ダイバンチョウには既に立ち上がる気力も抵抗する気力も失せてしまっていた。
 それを見て判断したイインチョウはダイバンチョウに近づく。イインチョウの目的はダイバンチョウ、そしてブソウ星人の逮捕だ。こうして両者が動かなくなったのだからこれで安易に逮捕が可能となった。
 後はダイバンチョウを拘束し、輸送隊が到着した際に引き渡せば事が済む。
 そんな折、番はふと目の前にあるビルを見た。ダイバンチョウが下駄を放ち、そのまま外れて激突したビルだった。そのビルが今にも崩れ落ちそうなまでに傾いている。そして、その真下には小さな少女が泣きじゃくりしていた。
【やばい! あそこに逃げ遅れた子が!】
【何!?】
 番が咄嗟に叫ぶ。その声に反応し、振り返る。そのイインチョウもまた、ビルの下で泣きじゃくっている少女を発見する。
 このままではあの少女は上から降って来るビルに押し潰されてペシャンコになるのは明白だった。
 急ぎ其処へ向おうとしたが、ダイバンチョウは情けない事に動けなかった。
 先の先までイインチョウに散々投げつけられたダメージが今になってダイバンチョウに響いてきたようだ。
 駄目か、クソっ! 情けねぇ!!
 目を瞑り、少女が押し潰される光景を見ないようにした番。だが、ビルが崩れ落ちる音が突如として止んだ事に疑問を感じ、視線を再びビルへと向けた。
 其処には、巨大なビルを体全体で支えて必死に少女を守ろうとするイインチョウの姿があった。
【あいつ―――】
 番の目の前では、必死に巨大なビルを押し退けようとしているイインチョウの姿があった。
 だが、ビルはイインチョウの倍近くある。とても押し退けられる大きさじゃない。それに、下手に下に落とそうものなら周囲への被害も相当な事になるだろう。
 その為、その場から動けずに居たのだ。
【い、いかん……流石に、無理があったか】
 イインチョウの両足が震えているのが見える。支えられる限界の重量を超えていた為だ。徐々に膝が地面に近づき始める。
 下では、そんなイインチョウを見上げながらも、逃げられずに居る少女が居た。何とか彼女を逃がさなければならない。
 しかし、一体どうやって?
【しっかりしやがれ!】
【むっ!】
 声と同時に、ダイバンチョウもまた駆け寄りビルを持ち上げた。だが、ダメージが相当残っているのか普段の力は出せず、良くてこうしてビルを支える程度の事しか出来なかった。
【貴様は―――】
【へっ、マッポの癖に良い根性してるじゃねぇか。気に入ったぜ。俺も手を貸してやるよ】
【変わった奴だな、お前は】
【は?】
 ふと、笑みを浮かべてきたイインチョウにダイバンチョウは疑念を投げつけた。
【私はこんな状況なんだ。逃げる事だって出来ただろうし、後ろから奇襲をする事も出来たんじゃないのか?】
【何言ってやがる! そんなのはチキン野郎のする事だ! 俺は逃げも隠れもしねぇし、後ろから奇襲なんて絶対にやらねぇ! それが俺の喧嘩道だ!】
【喧嘩道……か。相変わらずだな、お前は】
【ん? お前口調変わってないか?】
【な、なんでもない】
 はぐらかして見せたイインチョウ。その時の番には、このイインチョウが誰かに似ているような気がした。だが、確証はない。それに、今はどうやってこの子を逃がすかが最重要だったりする。
【くそっ、おい其処のガキ! さっさと逃げろ! でねぇとぺしゃんこになっちまうぞ!】
【止せ、彼女は怖がって動けないんだ! 無理にそんな事を言ったら返って危ないぞ!】
【じゃぁ、どうしたら良いんだよ?】
 互いを見やり、良い案はないかと模索する両者。そんな時だった。動けない少女の元へ別の誰かが駆け寄ってくるのが見えた。
 シルエットからして女性だった。そして、その女性は番の良く知る人物でもあった。
【なっ、美智!】
 それは紛れも無く美智だった。どうやら付近で逃げ遅れた人達を助けていたのだ。その美智が、その場で泣き崩れていた女の子を抱き抱えて頭を数回優しく撫でて落ち着かせてくれた。
「もう大丈夫だよ。すぐに安全な場所まで連れて行ってあげるからね」
 そう言って少女を抱き抱えてその場から走り去ろうとする美智、その近くには例の喋る救急車が停車していた。
【美智さん、早く僕に乗ってください! 此処は危険ですよ】
「うん、今行くよ!」
 頷き、救急車へと駆け寄る。だが、その時だった。
【うおぉぉぉぉぉ! 死ねぃ、二人纏めて死ねぇぇぇい!】
 突如として、気絶していたブソウ星人が目を覚まして、身を起こしてきたのだ。更に、腹部が開き、其処から大型ミサイルが発射されたのだ。
 大型ミサイルはそのままイインチョウの背中に直撃し、激しい爆発と振動が伝わってきた。
【ぐはっ!】
【イインチョウ!】
 ミサイルの直撃を受けて、倒れるイインチョウ。それと同時に巨大なビルの重量が一気にダイバンチョウに圧し掛かっていた。
【ぬぐおぉぉぉ! お、重てぇぇ! くそ、こんなの本来なら大した事ねぇってのによぉぉぉ!】
 弱気な事を言いつつも必死にビルを倒さないように支え続けるダイバンチョウ。だが、そのダイバンチョウへもまた大型ミサイルが発射され、ダイバンチョウもまた後方へと跳ね飛ばされてしまった。
【あぁ、美智さん!】
 救急車の目の前で、ビルが重力に従い真下へと落下してくる。まだ、ビルの真下に居た美智達はそれを見上げてしまった。
 猛スピードで落下してくる数十トンもある岩石の塊。とても人間の速さでは逃げられないと悟ったのか、美智はその場にしゃがみこみ少女を強く抱き締めて目を瞑った。
【美智さん! 美智さぁぁぁん!】
 そんな美智と少女に向い喋る救急車が走ってきた。突如、救急車の姿が変わる。が、その途中でビルは地面に激突し、激しい振動が当たりに伝わった。
 その後で聞こえてきたのは、ブソウ星人の笑い声だった。
【ははっ、はははははっ! 馬鹿め、俺達に逆らうからこうなるんだ! 思い知ったか? はははっ!】
 大声で笑い出すブソウ星人。だが、その直後、よろけならもダイバンチョウとイインチョウが身を起こしてきた。両者とも、憤怒の表情を浮かべていた。
【てめぇ、よくも……よくも……】
【貴様……許さん!】
 その怒りは直後、形になった。ダイバンチョウとイインチョウの両者の拳がブソウ星人の胴体を刺し貫いたのだ。本来なら逮捕すべき対象だと言うのに、その命を奪ってしまったイインチョウ。やがて、動かなくなってしまったブソウ星人を前にして、イインチョウは一人項垂れてしまっていた。
【イインチョウ……お前―――】
【私は、宇宙警察失格だ。逮捕すべき犯人をその手に掛けてしまうなどとは……私はまだまだ、未熟者だ】
 そう言うや否や、即座にイインチョウは元のパトカーへと変形し、走り去ってしまった。
 その姿をただ静かに眺めるダイバンチョウ。
【そうだ、美智は?】
 ふと、瓦礫の下に視線を映す。瓦礫の大きさはパッと見ただけでも数十トンはありそうだ。例え生きていたとしても五体満足は難しい。
 頼む、美智。生きていてくれ!
 祈る思いでダイバンチョウは瓦礫を退かそうと手を伸ばした。
 すると、突如瓦礫が持ち上がりだした。徐々に瓦礫を押し退けていき、中から現れたのは全く見知らぬ姿をしたロボットだった。
 外観の風貌から察するに先ほどの救急車だと言うのが見て取れた。
 そして、その救急車の両手には、美智と先の少女が持たれていた。
【美智! お前……】
【美智さんが、僕に勇気をくれました。そのお陰で、僕もこうして変形が出来たんです】
【そうか、良かったな】
 そっと、ロボットは美智と少女を安全な場所に下ろす。そんなロボットの肩にダイバンチョウが手を置いた。
【お前、名前はないのか?】
【僕に名前はないんです。名前を付けられる前に此処に来たものでして】
【そうか、だったらお前は今日から『レスキュー番長』だ!】
【レスキュー番長……はい、有り難う御座います!】
 喜び、レスキュー番長はダイバンチョウの手を両手でしっかりと握り締めて言った。
 こうして、また一人新しい仲間が出来たのだ。だが、同時にとてつもない強敵が現れてしまった。
 これから先、あのイインチョウはきっとダイバンチョウを狙って幾度も襲い掛かってくるだろう。
 果たして、ダイバンチョウはあの強敵、イインチョウの猛攻を如何にして掻い潜っていくのだろうか?
 



     つづく 
 

 
後書き
次回予告


「何ぃ、茜が恋をしただってぇ!?
んで、相手は誰だよ? はぁ、自分の学校のテニスプレイヤー?
おいおい、お前スケ番の意地は何所行っちまったんだよぉ?」

 次回、勇者番長ダイバンチョウ

【恋するスケ番。乙女のハートは超合金!】

 次回も、宜しくぅぅ! 
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