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八条学園怪異譚

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第五十二話 商業科の屋上その十五

「もうね、短いスパッツ穿いてるから」
「あの半ズボンサイズのよね」
「そう、だからね」
 見えないというのだ、スカートの下は。
「夜は冷えるから穿いていてよかったわ」
「そうよね、私もなのよ」
「少しでも寒いとね」
「スパッツ穿かないと」
 冷えて仕方がないというのだ、スカートは女子学生の制服でありトレードマークだがそれでも少し寒いと冷えるのだ、下が開いているからだ。
 だからだ、二人は秋の夜に備えてなのだ。
「穿いてるからね」
「冷えないわよね」
 そういうことだった、そして。
 そのうえでだ、二人でだった。
 梯子を昇る、まずは聖花からだった。
 梯子に手をかけてそのうえで一段一段昇っていく、ある程度の間隔を置いて愛実も昇る、そうしてなのだった。
 二人で貯水タンクの頂上に来た、だがそこは。
 ただの貯水タンクの上だ、何も変わりはなかった。それで愛実はそれではという顔でこう聖花に言うのだった。
「じゃあね」
「次は、よね」
「そうね、空手部の道場ね」
「あそこね」
 こうしてそこに行くことになった、だが。
 屋上での話は終わった、二人は貯水タンクから降りてミレッラ達のところに戻ってそのうえで泉のことを話した。
「空手部の道場に行きます」
「次はそうします」
「わかったわ」90
 ミレッラは微笑んで二人に応える。
「それじゃあそういうことでね」
「はい、けれどあと少しですね」
「学校の怪談場所は減っていますし」
「あとは何処かですね」
「泉が何処か」
「案ずるな、あと少しだ」
 泉に辿り着くのはというのだ。日下部の言葉だ。
「君達が目指す場所に辿り着くのはな、そして」
「そして?」
「そしてっていいますと」
「君達は泉を見つけたらどうする」
 そのこともだ、日下部は二人に問うたのである。
「その泉を」
「えっ、どうするかって」
「それは」
 そう問われるとだ、二人は。 
 戸惑った顔でだ、こう日下部に答えた。
「別にこれといって考えてないです」
「私もです」
 こう答えるのだった、二人共。
「実はどうも」
「見つけることだけ考えてて」
「そこから先は」
「どうするかとは」
「そうか、考えていないか」
「はい、特に」
「これといって」
 このことは二人共だった、愛実も聖花も泉を見つけることだけを考えていてそこから先は何一つとしてだったのだ。
 だからだ、二人はこう言うのだ。
「見つけても本当に」
「どうするかとかは」
「泉は封印出来る」
 ここでだ、日下部は二人にこのことを教えた。
「それもな」
「えっ、封印出来るんですか」
「そうなんですか」
 二人もそのことを知って驚きの声をあげる、だが。
 何処かで聞いたか読んだかの知識を思い出してだ、こうも言うのだった。 
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