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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第七話







―――長門SIDE―――

 お~、やっぱ首って人体の中で一番弱いて本当だな。

 まぁそれは置いといて。

 ……やっぱ少女と女性は袁術と張勲だった か。

 張勲は好きなキャラやから感動もんだな。

「き、貴様何者だッ!?」

 ちぃ、人が好きな原作キャラに会えた感動してんのにうぜってぇ奴らだな全く。

「おめぇらに名乗ったて意味ねーだろ。どーせ今から死ぬんだしな」

 そういうと俺は袁術を抱え、張勲の元に行 く。

「御嬢様ッ!!」

「七乃ぉ~、恐かったのじゃ~」

 二人が抱きしめあう。

「フン。どうやら貴様はこの場を見ていないのか?」

 文官っぽい男が右腕を上げると三十くらいの兵が俺に槍を向ける。

「どおぅぅりゃあぁぁぁーーーッ!!!」

 そこへ焔耶が軍勢の後ろから攻撃を仕掛け る。

「な、何だッ!?」

「後方からまた単騎での攻撃ですッ!!」

「な、何ィッ!?」

「おいこら、よそ見すんなよッ!! 首が飛ぶでッ!!」

「なッ!?」

 一瞬の隙をついて、文官の首をもぎ取って地面に血の雨が降り、血の池となる。

「焔耶ッ!! 残りは兵士だけやッ!! 叩き潰せッ!!」

「おぅッ!!」

 そして、少女と女性が見守る中、百名程度の軍勢は壊滅状態になる。

 そこへ、南陽から砂埃と共に新たな軍勢が来た。

「あ、零じゃッ!!」

 袁術が『紀』と書かれた牙門旗を見てはしゃいでいる。

「『紀』?………あぁ紀霊か」

「ーーーッ!? 何故紀霊さんを知っているんですかッ!?」

 七乃がつかみ掛かるように俺に問う。

「まぁ三国志を見たからな」

「三国志?」

「後で教えるよ」

「美羽様ッ!! 七乃ッ!! 二人とも無事かッ!!」

 現れた部隊から一人の女性が叫びながらこちらに来た。

「おぉッ!! 二人とも無事であったか。……ん? お主らは誰だ?」

 黄蓋のようなボンキュボンのお姉さんが話し掛けてくる。

「零、この二人は妾達を救った命の恩人じゃ」

「おぉそうでしたか。儂は紀霊。美羽殿に仕えておる」

「俺は姓は王。名は双です」

「そうじゃ。妾達も名乗ってはおらんかった のぅ。妾は袁術、真名は美羽じゃ。南陽大守をしておる」

「お、お嬢様ッ!? 真名も言うのです かッ!!」

 張勲が驚いてる。

「何を言うのじゃ七乃。王双は妾達を助けてくれた。それに何やら王双は面白そうじゃから のぅ」

「お、お嬢様~」

 ………袁術てこんな性格だったか?

「それなら俺も真名は長門だ」

「私は魏延。真名は焔耶だ」

「おぉそうか。ほら七乃も言うのじゃ」

「………お嬢様がそこまで言うのであれば。私は張勲、真名は七乃です」

「ところで長門と焔耶。何故南陽に?」

「ん? いやぁ、そろそろ路銀も底を尽きそう だったから美羽の元で客将でもしようかと思ってたんだよ」

「成る程のぅ。ならやってもいいが、その代わりに条件があるのじゃ」

「条件?」

「うむ。まぁその事は城に戻って言うのじゃ」





「先程は真名を言えなかったな。儂の真名は零じゃ。受けとってくれ」

「ありがとうな零。俺は長門だ」

「こちらこそ。私は焔耶だ」

「さて、真名の交換も終わったところで条件をなんじゃが……妾達と鼠退治をしてほしいの じゃ」

「鼠退治……だと?」

「お、お嬢様。まさか………」

「そのまさかじゃ。妾は今が好機とみておる」

「………どういう事だ?」

 俺は七乃に尋ねる。

「あ、はい。御覧の通り、お嬢様はまだ幼少のため政治の全てを理解しきれてません。そこへ自分の腹を満たす事しか考えてない文官の韓胤や武将の雷薄達がお嬢様を人質にして我々を脅しているのです」

 昔も今と変わらんなぁ……。

「分かった。そういう鼠退治なら任せろや」

 七乃は俺の言葉に涙を流した。

「ありがとうございます長門さん……」

「てかさ、美羽に忠誠を誓ってるのは七乃と零だけなのか?」

「……残念じゃが、儂と七乃以外は美羽様を暗殺するような輩だけじゃ」

 零が俺に詳しく話す。

「そうか……。ならさ七乃、一か八かの賭けをしてみないか?」

「どんな賭けですか?」

 俺は七乃に耳打ちをする。

「……まさに一か八かですね。ですがやってみる価値はありますね。やってみましょ うッ!!」

 七乃は零と美羽に詳しく説明する。

 二人も意気揚々として準備に取り掛かった。

「てか展開早くね?」

『それを言うな。by作者』

 翌日、李豊、楊弘以外の文官、武官が緊急召集された。

 内容は『袁術が病で倒れた。もって後、数日の命。袁術は後継者を決める』と使者が伝え、自分の腹を満たす事しか考えない武官や文官達はウキウキしながら集まった。

 だが、それが彼等の命取りとなった。








「袁術様。ご気分は如何ですか?」

 文官の舒邵(じょしょう)が病のフリをしている美羽に尋ねる。(てかフリに気づいていない)

「うむ……周りが霞んでおる。どうやら妾はもう駄目なようじゃ」

「そんな事をおっしゃらないで下さい殿」

 武将の梁綱(りょうこう)が美羽を励ます。

「いや、妾の身体は妾が一番分かるのじゃ。だから死ぬ前にお主らに頼みがあるのじゃ」

「何ですか? 何でもおっしゃって下さい」

「なら……全員死んでくれ」

『……はい?』

 美羽の言葉に文官と武官の目が点になる。

「じゃからここにいる全員死んでくれと言うておるのじゃ」

 美羽が寝たまま右手を上げるとバタンッ!!と扉が開き、武装した兵士が出て来た。

「ーーーッ!! こ、これはどういう事ですか殿ッ!!」

 舒邵が美羽に詰め寄る。

「てめぇらの企みは全てばれてんだよ」

 美羽の寝ているベッドの近くの柱から俺達が出た。

「舒邵以下腐った文官、武官を全員粛清するのじゃッ!!」

 美羽の言葉に兵士達が舒邵達に矢を向けて 放った。

ヒュンヒュンヒュンッ!!

ドスッ!!ザシャッ!!グサッ!!

「ギャアッ!!」

「ぷげらッ!!」

「あべしッ!!」

 兵士達から放たれる矢に武官、文官達が次々と力尽きていく。

「くそぉ……こうなれば袁術もろとも道連れ だッ!!」

 梁綱は隠し持っていた短剣を出して美羽に斬りつけようとした。

「「美羽様ッ!!」」

 七乃と零が叫んだ。

「そうは問屋がおろすかッ!!」

 俺は美羽が斬りつけられる刹那に美羽を庇 う。

ザシュッ!!

「グッ!!」

 いてーな糞がッ!!

 俺は美羽を七乃達に投げた。

「妾が飛んでる~」

 解説ご苦労さんッ!!

「美羽様、大丈夫ですかッ!!」

「妾は大丈夫じゃ。しかし、長門が……」

「おのれ小僧がッ!!」

 梁綱が短剣で俺に斬りかかる。

 俺は何とか避けて、短剣を持つ右手を斬っ た。

ザシュッ!!

「ぐッ!!」

 ボトッと、右手が落ちて斬られた右腕からは血が噴き出している。

「今度はこっちの番やッ!!」

「ガッ!!」

 袈裟斬りで梁綱を斬り下ろす。

「止めやッ!!」

「グェッ!!」

 倒れた梁綱の喉に日本刀で貫いた。

 勿論梁綱は喉を貫かれて絶命した。

「ふぅ………」

 俺は息を吐く。

「長門ォッ!!」

ドォンッ!!

「ブホゥッ!?」

 美羽が俺にタックルをかましてきた。

「長門、大丈夫かや? 痛いところはないの か?」

 美羽が大阪のおばちゃんのようにマシンガントークをかます。

「美羽、俺は大丈夫や。少し右腕が斬られたけどな」

 二の腕が綺麗に斬られているが右腕が無くなるとかそういうのはないな。

「ふむ、すぐに医師に見せたほうがよかろう。誰か医師を呼んでこいッ!!」

 零が俺の二の腕を見て、そう判断する。

「とりあえずは反乱を抑える事が出来ましたけど、当分の間、文官や武官の数が足りませんね」

 七乃がハァと溜め息をついた。

「まぁ俺も両方回るからガンバ」

「長門さんには感謝しきれませんね。この策も長門さんが考えましたしね」

 無茶苦茶今さらやけど、この作戦を思いついたのは俺。

 てかあんなに上手くいくとは思わんかったけどな。f^_^;

「何はともあれ長門と焔耶のおかげなのじゃ。長門、妾は心から我が袁家に来た事を感謝するのじゃ」

 美羽が頭を下げた。

 むろん、零や七乃、兵士達もだ。

「こちらこそよろしくな美羽」

 俺は美羽と握手した。

「……私……活躍してなかったな……」

 ……頑張れ焔耶。

 俺は焔耶にそう言える事しか言えなかった







 
 

 
後書き
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