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鉄槌と清風

作者:deburu
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25部分:24:夜天の守護者2


24:夜天の守護者2

 桃色の魔力光りに包まれる中、青い大盾がその一部を引き裂いている…圧力に押されているのかその足は地面に食い込んでいるのが判る。
 更にそれで止められない衝撃が、桃色の盾に弾かれ…金色の盾に止められ、金の半球に触れる頃には威力もなくなっている。

 受け止めている方には長く感じた時間…実際には数秒だろう…が、過ぎ、ゆっくりと桃色の魔力光が晴れていくと、最前衛で受けた良彦は荒い息をあげ、なのは、フェイト少し疲れたように息を吐き出し、アリサ、すずかはほっとしている。
 一瞬の安堵から反転、アリサが

 「あんた達、いまのなんなのよ、もうっ!」

 吼える。
 そんななか

 「(こちらエイミィ、そっち大丈夫?)」

 3人に念話、アリサ、すずかへの説明は視線でなのは、フェイトにぶんなげて

 「(一応皆無事だけど、アリサとすずかがなんか結界内にいる、安全区域まで退避させてくれ、後なんで連絡無かったんだ、今まで?)」

 良彦が答と疑問を投げかける。

 「(ごめんねー、結界にジャミング成分もあったらしくて、貫くのに時間掛かったんだ)」

 「(なら仕方ない、早い所退避よろしく、なのはとフェイトが困ってる)」

 オープンチャンネルの念話で言っているものだから、説明に苦労しているふたりが、ならてつだえ、見たいな視線でみてくるが、無視。

 「(うん、直ぐ転送するね、暴走予想まで結構短いから気をつけて)」

 「(了解)」

 念話は終わり、なのはとフェイトが、アリサ、すずかに安全な場所に移動するから、と伝えた所で、ミッド式の魔法陣が二人の足元で輝いて転送していく。

 「みられちゃったね」

 「そうだな」

 「説明、ちゃんとしないと」

 なのは、良彦、フェイトが呟き。

 「(ユーノ君、二人のこと頼めるかな)

 「(アルフもお願い)」

 「(でもフェイト…)」

 「(アルフいこう、3人が集中できる方がいいよ)」

 「(……わかったよ、3人ともきをつけなよ)」

 「(ありがとう、ユーノ君、アルフさん)」

 アリサ、すずかはバックアップの二人に頼み。

 「とはいえ、まずはこっちを片付けないとな、もういっちょ気合入れて」

 良彦が、もう一度気合を入れなおす。
 其処に割ってはいる声。

 「もう諦めろ、少年、少女達…我は主の望みを意識あるうちに叶えたい」

 「望みって、なんだよ?」

 「主が望んだのは、この悪い夢のような世界の消去、守護騎士達を苦しめた者たちの消去」

 「はっ、はやてが本気でそんな事とぞむとは思えないな…それに、夜天の守護者、お前はなんでそんな顔してるんだ」

 「覚醒の時主が望んでいたのはただそれだけ、私は道具としてそれを叶えたい、それだけのためにいる」

 言葉と共に地面が割れ、数十本の触手のような生物が顔をだし、それに驚いた3人が巻きつかれる。

 「ぅ、ぁ…じゃぁ、なんでそんなに悲しそうな顔してるの、道具ならそんな顔しないよ」

 締め上げられながら反論するなのは。

 「これは主の悲しみ、私のものではない」

 そんな言葉に、フェイトが

 「バルディッシュ、ジャケットパージ」

 『イェス・サー』

 バリアジャケットをソニックフォームへと変化させる、その時の余剰魔力で、自分となのはを捕らえていた触手を消滅させる。

 「道具なら、なぜ泣いてるの、貴女には心があるんでしょう?」

 「私の思いは守護騎士と主のモノだ、私自身のものではない」

 「うそ、いってんなよ…俺は知ってるぞ、お前が喜びも悲しみも、全部判る事を、リトが知ってるぞ」

 「……リ、ト…そうか、少年は」

 一瞬良彦を見て、本当に一瞬だけ、顔が綻んだ気がする。
 が、次の瞬間それもまた消え。

 「我は魔導書、闇の書の主の願いを叶えるだけだ、そのための道具に過ぎない」

 そう繰り返し、それを聞いたフェイトが

 「この…駄々っ子!」

 掛け声と共に、消えるような加速…ハーケンフォームから繰り出される鎌の一撃が守護者を襲うが、目の前でシールドに弾かれ、驚いた一瞬で。

 「お前も永遠の夢で、静かに眠れ」

 『吸収』

 金色の光りに包まれながら、空間に解けるように消えてしまう。

 「フェイトちゃん?!」

 「くっ、フェイト…ゼピュロス」

 『貫き』

 自分の周りに風の結界を張って触手を引きちぎり、なのはの隣まで一気に移動。

 「(エイミィさん!)」

 「(今、確認中…フェイトちゃんのバイタル…健在、闇の書の内部空間に閉じ込められたみたい)」

 「なら、はやてたたき起こせば出せるかな、いけるか?」

 「うん、フェイトちゃんを、はやてちゃんを助ける…そして、レイジングハートが言ってる…泣いてる子を救ってあげてって…だから!」

 覚悟も新たにした所で…結界内に火の手があがる、地面から真っ直ぐに上へ向かう炎。

 「暴走前に主の願いをはたしたかったが、もう余り時間がないようだ」

 それをみて、夜天の守護者は呟く。

 「なら、その残り時間もらおうか!」

 ダンッ、と空を踏み込んで、夜天の守護者と距離をとり、海の方へ飛ぶ。

 「(なのは、街から引き離すぞ)」

 「(うん、わかった)」

 なのはもその言葉で、直ぐに海の方へ飛んでいき、それを追うように飛ぶ夜天の守護者…ブラッディダガーや、誘導弾が二人を何度も襲うが、それを避け、シールドで弾き、自分達から攻撃せずに距離をとる。
 その途中

 「(遅れてごめんなさい、アースラも地球上空についたわ)」

 リンディからの念話。

 「(今管制人格を海に誘導中だから、都市部の火災を何とかしてください)」

 「(えぇ、災害担当が向かったからあちらは大丈夫)」

 良彦の頼みに既に手を打っている事を知らせてくれる。

 「(夜天の守護者さんは、頑固だけど、一応話しは通じるみたいなんでこのまま頑張ります)」

 「(つか、はやてに呼びかけながらいくぞ、なのは…さっきまで焦りすぎて忘れてた)」

 「(そ、そういえばそうだった、うん、それもあわせてがんばるよ)」

 それを聞いたアースラでは、エイミィとリンディが困り顔で、仕方ないなと言う呟きをもらしたとか。

 ある程度街から距離をとった海上…良彦となのは、夜天の守護者がお互いに向かい合う。

 「とはいえ、念話だけじゃきつそうだな、攻撃通せるか?」

 「わからないけど、カートリッジも残り少ないし…どうにか」

 悩むなのはに応える声

 『手段はあります』

 「レイジングハート?」

 『エクセリオンモードをお願いします』

 「でもあれは、私が制御失敗したらレイジングハートが壊れちゃう」

 『私はマスターを信じます、マスターも私を信じてください』

 愛機の声に、目を瞑り何かを決意するなのは。

 「わかった、レイジングハート…モードエクセリオン!」

 『イグニッション』

 なのはのレイジングハートが姿を変える、丸かった先端は槍の用に変形し、持ち手も長くなっている。

 「一気に決めるよ、よしくん、レイジングハート」

 「おう、威力ならなのはのが上だしな、援護するぜ」

 『了解、マスター』

 「レイジングハート、A.C.S」

 『A.C.S スタンバイ』

 「ストライクフレーム!」

 『オープン』

 槍の先端から伸びる桃色の刃。

 「なるほど…なら、なのは…先陣は任せろ!」

 それを見て、動き出すのは良彦…夜天の守護者へ、『貫き』による高速移動…途中で2発カートリッジロード。

 「おっしゃー、食らえっ!」

 繰り出すのは、魔力と風を纏った右の拳…それをシールドで防ぎながら、反撃の魔法を放とうとする守護者。
 だが、次の瞬間、目の前が青の光りに包まれる。

 「ゼピュロス!」

 『了解…範囲内魔力掌握、対消滅全力開始』

 良彦の腕の届くであろう範囲、全てが青の魔力光で球形に発光し、両手を翳した良彦の前、守護者の紫の盾を削り取っていく。

 「なのはー!」

 弱まったシールドから手を離し離脱しようとする守護者へ

 『風鎖』

 至近距離…相手の腕へ青い光りとまとわり付く風による、バインド。
 其処へ飛び込んでくる白い影…なのは。

 「レイジングハート、チャージ!」

 『了解』

 腕を上げた良彦のわきの下辺りから、シールドへ突撃…弱っていたシールドを刺し貫いて…先端に集まる桃色の魔力光。
 杖から広がる6枚の翼。

 「エクセリオーン…バスター!」

 『A.C.S』

 超至近、シールドを貫いての直射砲撃…直撃し、もうもうと上がる煙、反動で弾かれる良彦となのは。
 
 「ってー…この威力馬鹿、もう一寸手加減しろよ」

 「全力でいかないと通りそうにないし、しかたないじゃん…でも、これでだめだと…」

 煙がゆっくりと流れ、そこに佇むのは無傷の夜天の守護者。

 「もう一寸頑張らないと、だね」

 『ですね』

 「ま、全然きいてねーってことはないだろうよ、しかし呼びかけに応答はないな」

 一応念話ではやてを呼んではいるのだが、応答は今の所ない。
 じっと二人を見つめる夜天の守護者…その動きが突然変わる、さびたロボットのようにぎぎぎっと言う感じで腕を前に突き出し、焦点の会わない目で二人を見つめている。
 何事か、と思っていると

 「(外の方、管理局のかた)」

 「この声は」

 「「はやて(ちゃん)」」

 「(ぇ、なのはちゃんに良彦君?)」 

 「あぁ、今夜天の守護者と戦ってる」

 「(そうなん?…なら、そのこ止めてくれる、そのこが走ってると管理者権限がつかえへんねん)」

 「止めるって、どうすればいいの?」

 その言葉に答えるのは、ユーノ

 「(なのは、ヨシヒコ、判りやすく説明するよ…相手を魔力ダメージでぶっ飛ばして、全力全開手加減無しで!)」

 「さすがユーノ君、わかりやすい」

 『全くです』

 「つーと、完全になのは向けだな、俺の攻撃じゃ完全魔力攻撃ないし」

 再びレイジングハートを守護者に向けるなのは。

 「それじゃ、よしくん、さっきみたいに動きとめてくれる?」

 「あぁ、その方がいいだろう」

 『マスター、ヨシヒコさんは、風の変換資質をおもちです、バレルショットの強化を頼めれば』

 「えーと、できそう?」

 「風系なら、多分いけると思うぞ…まぁ、ダメそうなら風鎖もあるし」

 「うん…いこう」

 話していると守護者が再び動き出し…二人に向け魔法を放とうとする所を、オレンジのバインドが腕を捕らえ、緑の鎖が体を抑える。
 アルフとユーノのバインド。

 「いまだ、なのは」

 「うん、レイジングハート!」

 『バレルショット』

 レイジングハートの先端から見えない衝撃が走り、守護者を磔のように押さえつける。
 そこへ

 「ゼピュロス…風圧強化」

 『了解、風圧強化』

 守護者下方から接近した良彦が、押さえつける風を強め。

 「いくよ、エクセリオンバスター…フォースバースト!」

 レイジングハート前方に溜められたスフィアから4本の魔力砲撃が放たれ…守護者へ殺到、直撃し…最後にそれら全部をあわせるように一本の太い砲撃が直撃する。
 爆発し煙に包まれる守護者…次の瞬間なかから白い光りが溢れ、金の光りが天に登っていく。
 そこに現れたのは………———。
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対守護者戦は一応終了…一応説明しますと、記憶を継承してからの良彦は基本常に『凪』使用状態でした、演出などで気付いたかもしれませんが^^;
見えなかったのは記憶継承できちんとした『凪』の使い方、演算などを知った為です、今回光ったのは普段以上に『流し』により守護者のシールドを削る為、不可視のほうにまわしている魔力まで『流し』に回したためです、そのさいカートリッジも2発使っています。

次回は、フェイト、守護騎士復活、クロノ合流で、軽く会話辺りだと思います。
 
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