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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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無印編
  第二十九話 決戦   ★

 部屋に光が差し込んでくる。
 瞳をゆっくりと開き、ソファから立ち上がる。

「時間かい?」
「ああ、そして今日で全て片がつく」

 立ち上がった俺を見上げるアルフに静かに告げる。

 このジュエルシードの戦い。
 その戦いも今日で幕を閉じる事になるだろう。

 そして、なのはとフェイトの戦いも今日が最後だ。
 どんな結果になろうと二人が共に笑顔でいれるように俺は進むだけだ。

 外套を手に持ち、玄関に歩きはじめる。
 その少し後ろをアルフが静かについて来る。

 鍵を閉めて、家の結界も張る。
 まだ人々が動き出すには早すぎる時間だ。
 だがこの時間ならなのはももう家を出ているころだろう。

 赤い外套をこの身に纏う。
 それだけで準備は出来ている。

「行くぞ」
「ああ」

 地を蹴り、家の屋根から屋根へ飛びながら駆ける。
 アルフも俺に並走するように駆けている。

 その途中、走るなのはを捉えた。
 アルフに視線を向け、頷き合い、なのはに合流し、なのはと並走する。

 なのはも俺達と並走しながら笑顔で頷く。
 この場にいる誰にも言葉はない。
 ただ視線を合わせるだけで十分だ。

 そして辿り着いたのは海鳴公園。

 この時間でここにいるのは俺達だけ。

 朝日が昇り切っていない水平線を見つめ、なのはが大きく息を吐く。

「ここならいいね。出てきてフェイトちゃん」

 凛としたなのはの声。
 それに応えるかのように風が吹き、木々が揺れる。

 そして、呼び人の到着を告げるかのように風が収まる。

 俺達が振り向くと

「Scythe form.」

 街灯の上に立ち、静かに鎌を持つフェイトがいた。

「フェイト、もうやめよう。
 あんな女の言う事もう聞いちゃだめだよ。
 このままじゃ不幸になるばっかりじゃないか。だからフェイト」

 アルフの懇願にもフェイトは静かに首を横に振る。

「だけど、それでも私はあの人の娘だから」

 明確な否定。
 退く事を拒否する明確な意思。

 ならばここからは俺達の出る幕はない。

「なのは、ここからは俺達は手を出さない」

 俺の言葉に応えるように一歩前に踏み出して、バリアジャケットを纏い、レイジングハートを握る。

「私とフェイトちゃんのきっかけはきっとジュエルシード、だから賭けよう。
 お互いが持ってる全てのジュエルシード」
「Put out.」

 なのはの言葉に、ジュエルシードがなのはの周りに浮かび

「Put out.」

 フェイトの周りにもジュエルシードが浮かぶ

「それからだよ。全部それから」

 なのはがレイジングハートを構え、フェイトも静かにバルディッシュを構える

「私達の全てはまだ始まってもいない。
 だから本当の自分を始めるために、始めよう。
 最初で最後の本気の勝負!」

 思いをぶつけるための本気の戦い。

 お互いの周りに浮かんだジュエルシードが輝き、お互いの相棒の中に収まる。

 それが戦いの始まりの合図となった。

 なのはとフェイト、共に地を蹴り、空に舞い上がる。
 そんな二人を見つめながら

「ユーノ、アルフ、協力して最大領域の結界を張れ」
「最大領域?」

 ユーノとアルフに指示を出すが、俺の指示の意味が分かりづらかったかユーノが首を傾げている。

「いくら時間が早いとはいえ一般人に見られんとも限らん。
 その中でフェイトとなのはの戦いを阻害する事のないように可能な限り広い領域を確保したい」
「わかった」
「あいよ」

 結界についてはこれでいいとして、なのはとフェイトはというと空を翔け、真正面からぶつかり合っている。

 策もなにもなく正面から戦いたい気持ちもわかるがお互い高い能力を有しているのだ。
 このままでは決着がつかない。
 そのうち魔法の撃ちあいに変わるだろう。

 そして、この戦いはなのはが勝っても負けてもこの事件自体に対して問題はない。
 だが、なのはの思いをフェイトにしっかりと伝えるためにも勝ってほしいのが俺の本音だ。

 フェイトがこのままでは決着に時間がかかると感じたのか距離をあけ

「Photon Lancer」

 四発の魔力弾を展開する。
 その光景になのはも杖を握り直し

「Divine Shooter」

 同数の魔力弾を展開する。

「ファイア!」
「シュート!」

 そしてお互いに放たれる魔力弾。

 フェイトの魔力弾は弾速重視
 なのはの魔力弾は追尾性重視といったところだろうな。

 なのははフェイトの魔力弾を掠めるようにかわし、フェイトはなのはの追尾してくる魔力弾を防ぐ。
 フェイトの防御している隙に、なのはは次弾を用意しており

「っ!」
「シュート!!」

 放つ。
 しかしフェイトも防御すれば次弾を用意されるのがわかっている。

「Scythe Form」

 即座にバルディッシュを鎌の形状に変え、向かってくる魔力弾を薙ぎ払い、かわし、間合いを詰めてくる。

「あっ!」
「Round Shield」

 フェイトの鎌をシールドで受け止めるなのは
 ぶつかり会う盾と刃。
 その最中フェイトの背後から一発の魔力弾が迫る。
 先ほどなのはが放ち、フェイトがかわした一発だ。

 これが当たればよいのだが、フェイトも感知能力が高い。
 すぐに魔力弾に反応し、シールドを張り、魔力弾を防ぐ。

 だが当然のことだが、なのはの誘導魔力弾四発でも破れなかったフェイトのシールドを魔力弾一発では破る事は出来ない。
 しかしその一瞬でフェイトはなのはを見失う。
 明らかな隙

「Flash Move」
「せええええええ!!!!」

 その隙にフェイトのさらに上に舞い上がったなのはが加速魔法と重力加速の恩恵を受け、凄まじい勢いでデバイスを叩きつける。

 魔力が激しくぶつかり合い、凄まじい光を放つ。

 その中から離脱しようとするなのはに

「Scythe Slash」
「はああっ!!」

 フェイトの鎌の一閃
 それをなのはは辛うじてかわし、リボンの一部が切れる。
 なのはもフェイトと近距離戦では勝つのが難しいとわかっているのか離れようとするが

「あっ!」

 なのはの目の前にはフェイトの魔力弾が浮かび

「Fire」

 バルディッシュの声と共に放たれる。

 だがそれを防ぐなのは。

 空という領域で一瞬にして切り替わる攻防。

 そして、再び間合いをあけ向かい合う二人。
 戦いが始まってこの短時間の激しい戦闘ですでに二人に息は荒い。

 再び向かい合うなのはとフェイトの二人だが、共に息が荒い。
 それにしてもこうして改めて眼にすると空の戦いとは厄介なものだ。
 自分の周り上下左右あらゆるところから攻撃が来る可能性があるのだ。
 しかも、なのはとフェイトの二人ぐらいのレベルになれば、高い飛行能力を有しているのでフィールドを広く使える。
 もっともこのような戦い方は室内戦のような限られたフィールドでは難しい。

 機会があったら室内での戦い方なども教えることにしよう。
 それは置いとくとしても

「なのはも戦い方がうまくなったな」

 なのはの戦闘能力の向上が凄まじい。
 なのはにしろ、フェイトにしろ、共に天才なのだろう。
 まったくもってうらやましい才能だ。

 さてここからどうでるかな?




side フェイト

 距離を一旦あけ、バルディッシュを構えたまま、目の前にいる相手を見つめる。

 初めて会ったときは魔力が強いだけの素人だったのにもう違う。
 速くて、強い。

 手加減なんてできる相手じゃない。
 違う。
 そもそも迷ってたら落とされる!

 やるしかない。
 覚悟を決めバルディッシュを掲げる。

 だけどアレには時間がかかる。

 その時間を稼ぐために準備をする。

 いくつもの魔法陣があの子、なのはの周りに現れては消えていく。

 これで大丈夫。

 動かなければこっちの準備ができるし、動かれても時間は稼げる。

「Phalanx Shift」

 フォトンスフィアを展開する。
 その光景になのはが動き出すけどもう遅い。

「え? え?」

 先ほど設置したライトニングバインドに拘束されている。

 これを受ければなのはもただでは済まないかもしれない。

 でも退けないから

 私は詠唱を紡ぎ始めた。




side 士郎

 フェイトの周りに魔力弾とは違ういくつもの魔力球が浮かぶ。

 展開された魔力球の数、魔力からいってもフェイトの最大の魔法だろう。
 さらに魔法の行使に時間がかかることもちゃんと理解しているようで魔力球を構成する前に拘束用のトラップも設置していた。

 つまりはこれを耐えきればなのはに分があることになる。

 それにしても先に決着をつけにきたのはフェイトの方か。
 まあ、これは仕方がないともいえる。
 なにせ管理局の存在があるのだ。
 下手に戦いに時間をかければ、もしなのはを倒せたとしても管理局につかまってジュエルシードを全て失う可能性すらあるのだ。

 多少無理を通してでも短期決戦でいきたいのは当然だろう。

「ライトニングバインド。
 まずい、フェイトは本気だ」
「援護しないと」

 その光景に動こうとする二人だが

「だめ!!」
「よせ。手を出すな」

 なのはと俺の言葉に動きを止める。

「だけど、フェイトのアレは本気でまずいんだよ」

 アルフが心配そうになのはを見つめる。
 確かに凄まじい魔力の猛り。
 どれほどの威力があるかは魔法が門外漢である俺では判断し難いところではある。
 しかしそれ以前に

「なのはとフェイト、二人が覚悟を決めた本気の勝負だ。
 下手な手出しをすれば心残りが出来るだろ。
 それに」

 改めてなのはを見つめる。

「なのはは諦めも絶望もしていない。
 なら俺達がするのは見届けることだ」

 なのはの瞳には絶望などない。
 拘束されてもフェイトをしっかりと見据える強い瞳。
 もし瞳が揺らいでいたら手を出したかもしれない。
 だが今のなのはに手を貸す事は侮辱でしかない。

「なのは、手を貸さなくても大丈夫だな」
「うん! 平気!!」

 俺の言葉にもフェイトから目を逸らさずしっかりと応えて見せる。

 さて、なのはは防ぎきれるかな。
 そしてフェイトは

「アルカス・クルタス・エイギアス。
 疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。
 バルエル・ザルエル・ブラウゼル」

 瞳を閉じ、力強く詠う。

 紡がれる詠唱
 そして、開かれるフェイトの赤い瞳
 魔力球の輝きが増し、雷を帯び、フェイトの右腕が静かに振りあげられた。

「フォトンランサー・ファランクスシフト―――」

 振りあげられた腕が振り下ろされる。

「―――撃ち砕け、ファイア!!」

 フェイトの周りに浮かぶ魔力球から放たれる無数の魔力弾。

 その無数の魔力弾はなのはに叩き込まれた。
 だがなのはに魔力弾を叩き込んでも、フェイトは手を緩めず次々に魔力弾を放つ。

 魔力弾を放つフェイトの顔が苦痛に歪む。
 無理もないアレだけの魔力行使。
 消費する魔力だけでなく、制御する精神力、どれもかなりの負荷だ。

 それにしてもだ
 アレだけの魔力弾を一人に叩き込むって結構オーバーキルのような気がする。
 どちらかというと一対多の状況で敵の殲滅の方が有効的に使えそうだ。

 と魔力弾を打ち終わったのか、フェイトが息を荒くしながら、周りに浮かぶ魔力球を自身の左手に集束させる。
 アレだけの攻撃をしてもなお油断はしないか

 なのはの方を見つめる。
 アレだけの攻撃だ。
 耐えきれるかどうかは正直微妙だと思う。

 ゆっくりと煙がはれる。
 そこには鮮やかに輝く桃色の魔法陣。
 なのはもレイジングハートも健在であった。

 さすが砲撃が得意な砲台だけあってか、なのはの防御力は高いな。
 アレだけの攻撃を受けてほぼノーダメージである。

「ったは~、撃ち終わるとバインドってのも解けちゃうんだね。
 今度はこっちの」
「Divine」

 レイジングハートを握り直し、構えるなのは
 なのはの声に応えるかのようにレイジングハートの先端に魔力が集まり

「番だよ!」
「Buster」

 放たれるなのはが得意とする砲撃魔法。

「はあああ!!」

 それを撃ち払わんとフェイトの左手に集束していた魔力球が放たれる。
 ぶつかり合う魔力と魔力。

 だが拮抗は一瞬。
 フェイトの魔力球はなのはの砲撃に呑み込まれる。
 フェイトが慌ててシールドを張り、なのはの砲撃を防ぐが

 これはフェイトの失策だ。

 なのはとフェイト、共に高い能力を有しているが戦い方はかなり違う。
 なのはは誘導型の魔力弾と威力の高い砲撃を駆使する遠距離型だがその中でもいわゆる砲台だ。
 対してフェイトは砲撃から近距離まで幅広くこなす全距離対応型だがスピードを活かした戦闘を得意としている。
 そして、フェイトのようにスピードを上げる機動性重視型になるとどうしても防御は脆くなる。

 魔力が万全の時ならばまだしも今のフェイトは先ほどの魔法で酷使しているのだ。
 しかし酷使されたその状況でフェイトはなのはの砲撃を耐えきった。

 もっとも外套やシールドを張っていた左手などはボロボロだし、かなり息が荒い。

 その時、フェイトの顔を照らすほどの桃色の光が輝く。
 その光は当然なのはのモノ

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション」

 紡がれる今までよりもさらに大きな魔法陣。

「Starlight Breaker」

 その魔法陣に集まる魔力……って

「自身だけじゃなくて周囲の魔力まで使う気か」

 ずいぶんと器用だな。
 器用である点は褒めてやりたいところではあるのだが……浮かぶ巨大な魔力の塊。
 アレはさっきのフェイトのよりまずくないか?

 フェイトもアレを撃たせてはまずいと思ったのか動こうとする。
 だがいつの間に準備したのか

「くっ、っ!! ば、バインド!」

 フェイトの手足を拘束するなのはの拘束魔法。
 フェイトがもがくが外れはしない。

「これが私の全力全開―――」

 振り下ろされるレイジングハート。

「―――スターライトブレイカー!!!」

 そして放たれたた巨大な魔力砲撃。
 それはフェイトを呑み込み、海面にぶつかり巨大な水柱を上げた。



 非殺傷設定とはいえ、フェイトが大丈夫なのか、若干不安だ。

 ゆっくりと収まる砲撃。
 そして、レイジングハートから自身を冷却するように蒸気が吐き出される。

 だがやはりこれだけの魔法は、なのはにとってもかなりの酷使だったようだ。
 なのはの足元の羽は輝きが安定せず、なのは自身の息もかなり荒い。

 対するフェイトはアレの直撃を受け、意識を失ったのか、海に落ちていく。

「フェイトちゃん!」

 慌ててフェイトを追い海に飛び込むなのは
 この勝負なのはの勝ちだな。
 俺もフェイトの事が心配なのですぐにでもそばに行きたい。
 だが俺にも役割がある。

「クロノ、準備は?」
「ああ、いつでも尻尾は掴める」

 虚空に向かってつぶやいた言葉にモニターを表示し、返事をするクロノ。
 フェイトの母親、プレシア・テスタロッサの事はクロノに任せれば大丈夫だな。

「ユーノ、足場を作る準備とアースラへの転送準備を頼む」
「え? う、うん。わかった」

 外套から取り出すように鞘に収められた一振りの刀を投影し、握る。
 ユーノは俺の意図までは理解できなかったようだが、何か目的があるとわかったのか、何も聞かず頷いてくれた。

 俺の役割はあくまでなのはとフェイトを守ること
 こうしてフェイトが負けた今、プレシアが先日のように何らかの攻撃をしてくる可能性が高い。
 ならば俺はそれに備えるだけだ。

 となのはがフェイトとバルディッシュを抱き、海から上がってきた。

 なのはの周りに八個のジュエルシードが浮かび、フェイトもなのはの腕から降り、自分で飛ぶ。

 それを見つめながら自分の魔術回路の撃鉄を叩き上げる。

「来た」

 ユーノとアルフが張った結界の上空に魔力が集まる。

 一歩踏み込み、なのは達に向かって弾丸のように飛び出す。

 魔力放出。
 死徒になり魔術回路が増えたことで瞬間的ではあるがセイバーのように魔力放出が可能となったのだ。
 もっとも魔力を消費するし、普段の戦いでは死徒の身体能力で十分なので今回のように長距離の跳躍時にしか使用することはない。

 ユーノとアルフが張った結界を突き破り降り注ぐ雷。それを

「はああ!!」

 手に持つ刀を抜刀し、雷を叩き斬る。

 刀の銘は『雷切』
 雷を斬ったとされる刀にして、対雷の概念武装である。
 前回の攻撃も雷だったから対雷武装をしていて正解だったな。

 空中で体勢を整えるとユーノが足場を用意してくれる。
 さすがだ。

 次弾があるかと思ったが八個のジュエルシードが空に向かって消えた。
 プレシアが転位させたか。
 この隙に

「ユーノ、なのは達を転位させろ!!」
「わかった!!」

 なのはとフェイトの足元に魔法陣が浮かび、二人の姿が消える。
 これで二人の安全は確保できた。

 空を見上げるが次弾はないようだ。

「なぜ、そこまでしてフェイトの手を払うのだ」

 空を睨みながら刀を鞘にしまい、外套にしまうように霧散させる。
 それと同じくしてユーノとアルフも俺のそばに飛んできた。

「ユーノ、頼む」
「うん」

 俺達の足元に魔法陣が浮かび、俺達もアースラに転位された。

 転位先はアースラの転送ポート。
 そこには先に転位したなのはとフェイトもいた。

 二人の無事に安堵していると

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。
 フェイト・テスタロッサ、武装を解除してくれ」

 俺達のそばにやってきたクロノ。
 その手には手枷のようなものも握られている。
 クロノを見つめながら不安そうなフェイトに

「大丈夫だ。
 デバイスを待機状態にすれば取り上げたりはさせない」

 フェイトの頭を撫でながら、優しく伝える。

「……うん。バルディッシュ」

 フェイトの言葉にバリアジャケットは解除され、普段の私服になり、バルディッシュも宝石に戻る。
 フェイトに手枷をつけるクロノ。

「艦長に会わせたいから来てくれ」

 クロノ言葉に従い、皆でアースラのブリッジに移動する。

 移動しながらクロノに

「プレシアの補足は?」

 フェイトに聞こえないように小声でたずねる。

「ああ、成功した。
 もう武装局員が転送ポートから出撃してる」

 クロノの言葉に一安心する。
 プレシアを見失う様な事がなくて一安心だ。

「あと本来なら手錠だけじゃなくて服も着替えてもらって、デバイスもこちらが預かるんだが」
「そこら辺は目を瞑ってくれ。全てが終わるまではせめてな」

 そう、まだ全てが終わったわけじゃない。
 プレシアの位置を掴み、時空管理局員が出撃したが、素直に投降するかは内心微妙だと思っている。
 それにプレシアは有能な魔導師のはずだ。
 そのプレシアを武装局員がどれほどのレベルかは知らないが確保できるのか不安が残る。

 このまま終わってくれる事を願うが、事態はそう簡単には終わらなかった。 
 

 
後書き
第二十九話でした。

そしてつぶやきでも書いていますが、扉絵始めました。
今後挿絵もまた使い始めます。

ちなみに扉絵はにじファン時代からお世話になっている貫咲賢希様から頂いたものです。

それではまた来週に

ではでは 
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