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ニュルンベルグのマイスタージンガー

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第一幕その十七


第一幕その十七

「では騎士殿」
「はい」
「このシクトゥス=ベックメッサー、今ここに誓います」
 これは彼に対してだけでなくあらゆるものに、とりわけ芸術に対して誓った言葉だった。少なくとも彼自身はそう信じていたものだ。
「記録係となって物言わず厳格な審判を致します」
「わかりました」
 ヴァルターもまたそれに頷く。
「間違いは七つまで」
 そしてこのことも彼に告げた。
「七つまでは許されますがそれ以上は許されません」
「それもわかりました」
「それでははじめさせてもらいます」
 こう言って記録席に向かう。
「それでは」
 またコートナーが言う。今度は立ち上がって。
「騎士殿」
「はい」
「宜しいですね」
 言葉はさらに謹厳なものになっていた。
「それで」
「わかりました」
「それではです」
 コートナーは立ち上がったまま言葉をはじめた。
「まずマイスタージンガーの大節は中節からなり一定の規則を持っています」
 歌のことを言うのだった。マイスタージンガーの。
「そして」
「そして」
「一つの中接は同じ旋律を持つ二つの小節となり」
 次はそれであった、
「一つの小節は若干の詩句を連結するものとします」
「いつも聞いてもなあ」
「だよな」
 徒弟達はコートナーの言葉を聞きながら顔を見合わせ言い合うのだった。
「難しいよな」
「一回聞いたら絶対に覚えられないよな」
「全くだよ」
「詩句はその終わりに韻を持ちます」
 しかもまだあるのだった。
「その後に終わりの節が来ますがこれは数詩句の長さでしかも小節とは断ります」
「よく覚えてるよ」
「本当に」
 また徒弟達は顔を見合わせて言い合う。
「そこまでな」
「覚えていられるものだよ」
「固定の旋律を持ってはならずマイスターの歌曲はこれを全てかかる規則によるバールを持ちます」
「全てですね」
「そうです」
 ヴァルターの問いにも答える。
「新しい歌を作る時は綴りは四個以上」
 この決まりもあるのだった。
「他人の旋律を犯さないならばその歌は師匠の誉れを得ます」
「さあ、騎士殿それでは」
「こちらに」
 ここで徒弟達が席をマイスター達の前の中心に置くのだった。
「お座り下さい、ここに」
「そしてここでお歌い下さい」
「そこでですか」
「そうです」
 また彼等に対して述べるのだった。
「どうぞここで」
「歌曲の会の習慣です」
「それでは」
 そしてヴァルターもそれを受けるのだった。
「座らせて頂きます」
「はい、そういうことで」
「御願いします」
 これで話は決まった。ヴァルターは席に座った。するとすぐにコートナーが記録席に向かって言うのだった。
「歌い手が着席しました」
「わかりました」
 ベックメッサーもそれに応えて言う。
 
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