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勇者番長ダイバンチョウ

作者:sibugaki
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第2話 漢だ! 根性だ! ダイバンチョウだぁっ!

 ゴクアク星人。
 全宇宙を震え上がらせる宇宙のならず者集団の事である。彼等は全宇宙中を駆け回り、星と言う星に来ては悪事を繰り返す正真正銘の極悪集団なのである。
 そして、そのごくあく星人が次のターゲットと定めたのが言わずと知れた地球であった。
 だが、その地球に攻め込んだ三体のゴクアク星人達がズタボロになって逃げ帰ってくると言う事態が発生してしまい、全ゴクアク星人達が驚いたのは言うまでもない。
 そんなゴクアク星人達の集まる場所。それはこの宇宙の何所かにあると言われている小惑星が集まる場所。別名【極悪惑星帯】と呼ばれる惑星の集まりこそがゴクアク星人達の本拠地だと予想されている。
【と、言う訳なんですよ! 組長!】
 襲撃に来たゴクアク星人三人組みがズタボロの状態となり揃って跪き、組長と呼ばれる者の前に居た。
【まさかあの宇宙の暴れ者と呼ばれたバンチョー星人が……しかしそれだとしても、天下のゴクアク連合がたかが辺境の星一つまともに征服出来ずに逃げ帰るなどと知れればそれこそ前代未聞。我等の名は地に落ちる事間違いないぞ!】
 組長の悩みは正にそれであった。ゴクアク連合と言えば泣く子も盛大に泣き叫ぶと言われる程恐れられている超極悪な宇宙人の集まりなのだ。そのゴクアク連合が辺境の星の侵略に失敗した等と言うのが知れてしまえば忽ちゴクアク連合が今まで築き上げてきた偉業が音を立てて崩れてしまう事態になってしまう。
 なんとしてもそれだけは避けたかったのだ。
【ふん、たかがバンチョー星人如きに何を恐れる事がありますか組長!】
【おぉ、お前はゴウリキ星人! お前が行ってくれるか!】
【無論です。バンチョー星人などこの俺様の腕一本で捻り殺してきて見せましょう!】
 自信満々にゴウリキ星人は答えた。その巨体は正にバンチョウの約数倍はある。全身を超鋼鉄合金で身を固め、そのパンチの威力は10kmの隕石を軽く砕く程だとか?




     第2話 漢だ! 根性だ! ダイバンチョウだっ!!




 空は快晴絶好の洗濯日和。そんなある日の番町内にある轟宅の横にある車庫にて、番は一人苦い顔をして一台の軽トラを睨んでいた。
「で、もう一度聞くぞ。お前は何者だ?」
【何度も言っただろうが。俺はバンチョー星人って言って、この星を頂に来たんだよ】
「要するに、てめぇもあのゴクアク星人とか言う奴等と同じ侵略者って事だな?」
 番が話していたのは轟宅所有の軽トラに乗り移ったバンチョー星人改めバンチョウとである。
 前回、この番とバンチョウの活躍によりゴクアク星人三人組を見事撃退するに至ったのだが、それで二人の仲が深まる事は決してなかったのであった。
「もう一度言うぞ。今すぐ家の軽トラから出てけ! そしてこの地球からも出て行け!」
【断る。この星はたった今から俺の縄張りにする事にしたんだ。その手始めとして、この軽トラとこの家は俺の所有地にさせて貰う】
「勝手な事抜かしてんじゃねぇ! 第一、軽トラのてめぇがどうやってこの家を乗っ取るつもりなんだよ?」
【そ、それは……その……色々とあれしてこれすればどうにかなんだよ】
「さっぱり意味分かんねぇぞそれじゃ」
 全くであった。とにもかくにも、番としてはさっさとバンチョウをこの軽トラから追い出したい次第であり、バンチョウとしても早くこの家を乗っ取り、退いてはこの番町を手中に収め、最終的には地球を征服し、自分の縄張りにしたいと言う願望があるのであった。
 しかし、現状では番と協力しなければ変形出来ない有様であり、例え変形出来たとしてもその場合のパワーはかなりダウンしてしまう。
 これでは即座に撃墜されてお陀仏である。
 お互い二進も三進も行かない状況なのであった。
 そんな時、突如町の真ん中辺りで巨大な振動音が響いた。
「また奴等か!?」
【懲りない奴等だ。また追い返してやる!】
 こう言う時は息ピッタリの様で。早速番は軽トラに乗り込み振動のあった現場へと急行した。
 しかし、古来より勇者物と言ったらカッコいい車が多かったのだが、今回は何と軽トラとは、正直冴えなかったりするのは作者だけの考えなのだろうか?




     ***




 現場へ急行してみると、其処には巨大な大型異星人が暴れまわっていた。まるでゴリラをそのまま大きくしたみたいな外見である。
【あれは、ゴウリキ星人!】
「何だそいつは?」
【奴はとにかくパワーだけは物凄くあるんだ。この前みたく簡単には行かない相手だぜ】
「へっ、上等だぜ。相手が強ければ強いほど、喧嘩も面白いって奴だぜ」
【そいつは同感だな。お互い気が合うじゃねぇか】
「るせぇ!」
 どうやら二人共喧嘩が好きなようである。そんな感じの会話を織り交ぜながら一台の軽トラックはゴウリキ星人の前までやってきた。
【番、男チェンジだ!】
「おう! 男チェンジ!」



 説明しよう!!


 男チェンジとは番とバンチョウの体内にある男エネルギーが同調しあう事により車形態から男形態へと変形する事なのである。
 尚、この男チェンジはバンチョウ単独でも行えるが、その場合最大パワーが50パーセントダウンしてしまうのである。




【バンチョウッ!!】
 変形を終え、巨大ロボットとなったバンチョウがゴウリキ星人の前に現れる。
【現れたな? バンチョー星人! このゴウリキ星人が貴様をスクラップにしてやる】
【舐めるんじゃねぇぞこの筋肉ゴリラ! 喧嘩はがたいじゃねぇって事を教えてやるぜぃ!】
 即座に互いに拳を放ちあった。だが、ゴウリキ星人の方がバンチョウよりも三倍近く大きい。即ち腕のリーチも三倍近くあるのでバンチョウのパンチが届く前にゴウリキ星人のパンチがクリーンヒットしてしまった。
【ぐわっ、何てパンチだ! 目の前がクラクラしやがったぜ!】
【見たかバンチョー星人。貴様の虚弱なパンチなど、このゴウリキ星人様の前には蚊が刺した程度にも利かないんだよ!】
 勝利の雄たけびの如く声高々にそう宣言するゴウリキ星人。ハッキリ言ってむかっ腹が立った。
【舐めやがって! 今度こそ!】
 そう言い、今度はバンチョウが飛翔する。そして、急降下からのキックをお見舞いしたのだ。
 しかし、そのキックもゴウリキ星人の堅い体に阻まれてしまい有効打にはなっていなかった。
【か、かてぇ~。何て堅い体してんだこいつはぁ】
【もう終わりか? だったら今度はこっちの攻撃を受けてみろ!】
 そう言ってゴウリキ星人は巨大な腕で平手打ちを放ってきた。まるでバンチョウが玩具の様に宙に巻き上げられてしまった。クルクルと空を回転し、そのまま地面に激突してしまうのであった。
【づっ、何て奴だ。このバンチョウがまるで玩具扱いかよ!】
【馬鹿な奴だ。俺達ゴクアク連合に逆らうからこうなるんだよ。そろそろてめぇを醜いスクラップにしてやらぁ】
【へっ、腕も駄目、脚も駄目だから勝ちってかぁ? 舐めるんじゃねぇよ。男の武器はまだ有るんだぜぇ!】
 そう言うと、いきなりバンチョウがロケットの如くゴウリキ星人に向って来た。
 何をするのかと警戒していたゴウリキ星人は面を食らう羽目となった。
 猛烈な痛みと共にバンチョウはゴウリキ星人の額目掛けて突撃してきたのだ。
 そう、俗に言う頭突きであった。
【ぐおぉぉぉ! 頭が、頭が割れるぅぅぅ!】
【ざまぁみろ! これぞバンチョウの必殺技『超ぱちぎ』だ!】
【お、おのれこの蚊トンボがああああああああああ!】
 相当頭に来たのか、片手で額を抑えつつ、もう片方の手でバンチョウを地面に叩き付けた。そしてそのまま仕切りに地面に向かい平手打ちを放っているのだ。
 バンチョウの体が徐々に地面にめり込んでいく。
【ぐぅぅ……負けて溜まるか! 男の喧嘩ってのはがたいだけじゃねぇ! 根性と、魂がなけりゃ、その喧嘩に勝利なんてありえないんだよぉぉぉぉ!】
 最早立ち上がる事さえ不可能かと思われていた矢先に、バンチョウが両手を使いゴウリキ星人の腕を持ち上げて跳ね返したのだ。
 その光景に更にゴウリキ星人の苛立ちは募る。
 正にそんな時であった。
 後方からパッシングが聞こえてきたのだ。振り返ってみれば、こちらに向かい一台のデコトラが走ってきているのだ。
 それも、荷台の方にはデカデカと【喧嘩最強】と書かれているかなり痛々しいデコトラだったりした。
【あ、あれは爺ちゃんのデコトラ! 何でこんな所にぃ?】
(番、あれと合体しろ! 良く分からないが、あれを使えばこいつを倒せるのかも知れねぇぞ!)
【んな無茶苦茶なぁ! まぁ良い。こうなりゃ毒を食らわば何とやらだ、行くぜぇ!】
 覚悟を決めたバンチョウは大空へと飛翔する。それに呼応し後ろのデコトラもジャンプした。
 バンチョウとデコトラが互いに一直線上に並んだ時、番は叫んだ。
【根性合体!】
 番の目が炎を帯びたように燃え上がる。それに呼応し、バンチョウとデコトラが合体を果たした。
 その姿は番その物であったと言える。
 ボンタンに長ラン。ゲタに学帽。そして背中には喧嘩最強と書かれている。
 そして、その大きさはゴウリキ星人とタメを張れる程に巨大になっていたのである。
【な、何だそれは?】
【そんなに知りたきゃ教えてやるぜ!】
 番の怒号と共に、その巨人は動いた。



”喧嘩一筋十数年!
 女にゃ弱いが喧嘩は最強!
  男+男は【漢】!
   漢の中の漢、その名は、ダイ!バン!チョォォォォォウ!”



 名乗り終えた後、何故か周囲から桜の花びらが舞い散る演出が見れた。
 そして、背中の喧嘩最強と書かれた文字をゴウリキ星人に見せながら自信満々に名乗る我等が勇者。
 その名も勇者番長【ダイバンチョウ】である。
【な、何がダイバンチョウだ! 今度こそスクラップにしてやるぅぅ!】
 再度突撃を開始するゴウリキ星人。そんなゴウリキ星人にダイバンチョウは真っ向から挑んだ。
 互いにレスリングで組み合った時の様な状態となる。
 焦りを見せたのはゴウリキ星人であった。
 必死に力を込めて前に進んでいると言うのに一向に前に進まないのだ。
 只、空しく自分の両足が地面を掘るだけで終わっている。
【どうした、てめぇの馬鹿力はそんなもんか? だったらこのダイバンチョウの力を思い知れぇ!】
 掴んでいた腕をそのままにダイバンチョウが思い切り回転しだした。それを受けてゴウリキ星人もまた高速で回転していく。
 竜巻で例えるなら、ダイバンチョウが目であり、ゴウリキ星人が外側であった。
【必殺! 台風16号投げぇぇぇ!】
 何とも地味な必殺技と共にダイバンチョウがゴウリキ星人を投げ飛ばした。
 それを受けて数十メートル飛ばされた後に、地面に叩きつけられるゴウリキ星人。
【ぐぅぅぅ、な、何てパワーなんだ】
【すげぇ、これがダイバンチョウのパワーか!】
 ゴウリキ星人は勿論、番自身も驚きまくっていた。
【隙だらけ、これでも食らえ!】
 突如、ゴウリキ星人が大きく口を開くと、その中から極太のミサイルが発射された。そのミサイルは真っ直ぐにダイバンチョウ目掛けて突っ込んできている。
【野郎、飛び道具とは汚い奴だぜ! 漢に跳び道具なんざ要らねぇ! 男の飛び道具はガン飛ばしだけで充分だぜぇ!】
 避ける素振りも見せず、その場で仁王立ちするダイバンチョウ。突如、ダイバンチョウの両目が光り輝きだす。そして、其処から高出力のレーザーが発射されたのだ。
 そのレーザーはミサイルを貫通し、その後ろに居たゴウリキ星人を吹き飛ばす程であった。
【な、何だ今のは! レーザーか?】
【これぞ漢の必殺技! その名もメンチビームだ!】
 何所かで聞いた名前だが、其処は気にしないで貰いたい。とにかく、ダイバンチョウになってから飛び道具まで装備されているとは、正に至れり尽くせりであった。
【ゴウリキ星人! それだけの力を持ちながら悪事を働くその腐りきった根性! 気に入らねぇぜ! その曲がり切った根性を、このダイバンチョウ様が叩き直してやる!】
 怒りの雄叫びを挙げるダイバンチョウ。すると、背中から一本の柄が姿を表す。それを掴むと、一切迷う事なく抜き放った。
【一意専心、木刀ブレード! 一撃入魂!】
 抜き放った木刀ブレードにダイバンチョウの魂をこめていく。すると、ダイバンチョウの目が炎の様に燃え上がり、それに呼応し木刀ブレードの剣部分もまた真っ赤に染まって行ったのだ。
 その光景にただただゴウリキ星人はたじろぐだけであった。
 その木刀ブレードを手に持ち、ダイバンチョウはゴウリキ星人目掛けて大地を走る。物凄いスピードで走る。フェラーリも真っ青な位にまで走る!
 走る!走る!走る!とにかく走る!
 そして振り上げた。
【超必殺! 漢の修正脳天叩き割りぃぃぃぃ!】
 腹の底から叫び、それと同時にゴウリキ星人の脳天目掛けて木刀ブレードを叩き付けた。それと同時にゴウリキ星人の体は瞬く間にペシャンコになってしまい、只の残骸と成り果ててしまった。
【漢の修正、これにて終了! これに懲りたらもう根性の曲がった事するんじゃねぇぞ!】
 捨て台詞を残し、ダイバンチョウは戦場を後にした。その光景は正しく地球を守る最強の勇者誕生の瞬間でもあった。
 強いぞダイバンチョウ! 凄いぞダイバンチョウ!
 君こそ、正しく地球の守り神、勇者番長なのだ!




     つづく 
 

 
後書き
次回予告




「どうやらバンチョウの他にもバンチョー星人は地球に流れ込んでるらしいな。なにぃ? 工事現場の大型ドリルタンクが暴走したぁ!?
こりゃぁ喧嘩の匂いだぜ。その喧嘩、この俺が買ったぁ!」


次回、勇者番長ダイバンチョウ


【喧嘩終われば今日からダチ公! 男の鉄則に常識は無用!】


宜しくぅぅ! 
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