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俺様はフリードリヒ大帝

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第六話 「クロプシュトック侯事件 ~軍務省爆破事件~」

 
前書き
あのヒトが戦死なさいます。 

 
クロプシュトック侯事件 ~軍務省爆破事件~

クロプシュトック侯爵領 周辺星系
討伐軍 旗艦 オットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵

クロプシュトック侯爵領に到着するまえに通過した大規模な小惑星帯で待ちぶせにあった。この星系を通過する船舶のために小惑星帯には指向性ゼッフル粒子を使って大きな穴が開けられている。小惑星帯を迂回する航路があるが2日は余計にかかる。腹心のアンスバッハ准将が安全のために迂回を提案したが私は小惑星帯を直進する航路を選んだ。それがまずかった。小惑星帯の真ん中に到達した時に突如襲撃を受けた。

「賊軍に引けを取るわけにはいかぬ。応戦しろ!ファイエル!! 何が起きたのだ!?アンスバッハ。」
「賊軍は小惑星帯を通過中の我が軍の先頭と末尾の艦にを砲火を集中しております。我が軍を小惑星帯内部に閉じ込める魂胆でしょう。我が軍は3万隻の大軍です。この小惑星帯では身動きが取りづらいのです。」
「クロプシュトックめ!!」

『反乱をおこしたクロプシュトック侯爵討伐の命を受けたオットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵は3万隻の私兵艦隊を率いてクロプシュトック侯爵領に赴いた。だがクロプシュトック侯爵領の本星に到着するまえにクロプシュトック侯爵の私兵艦隊に待ちぶせされ5000隻を失う結果となった。
 クロプシュトック侯爵の艦隊は艦隊を3つに分けて小惑星帯の衛星に潜んでいた。2つの部隊がブラウンシュバイク公爵の私兵艦隊の先頭と末尾を攻撃し出口と入口を封鎖してしまった。そしてもう一つの部隊が衛星を盾にするようにブラウンシュバイク公爵の旗艦を執拗に攻撃したのである。』

討伐軍 旗艦 オットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵

「閣下、我が軍後方にある小惑星帯の出口と入口が機雷で封鎖されました。また我が軍の先頭と末尾の撃沈された艦艇が邪魔になって身動きが取りづらくなっています。我々はのせられたのです。」

「何としても突破するのだ。多少の犠牲はやむを得ぬ。」

クロプシュトック侯爵領 ウィルヘルム・フォン・クロプシュトック侯爵

「侯爵閣下。ブラウンシュバイクが罠にかかりましたぞ。小惑星帯に閉じ込めることに成功しました。」
「ブラウンシュバイクめ。かかりおったか。ブラウンシュバイクの旗艦を討ち取ればこちらのものよ。」


『ブラウンシュバイク公爵の艦隊が予想外の苦戦を強いられているころ帝都オーディンでも容易ならざる事態が発生していた。オーディン郊外で大規模な火災が発生したのである。』

帝都オーディン ノイエ・サンスーシ宮殿 近衛兵司令部 オフレッサー上級大将

オーディン郊外で大規模な火災が発生した。これでノイエ・サンスーシ宮殿周辺を警備している警察はオーディン郊外に行かざるをえない。オーディンに駐留している軍も一部とはいえ大火の鎮火に行かざるをえないだろう。

「この火災は明らかに罠だ。ノイエ・サンスーシ宮殿の守りを固めよ。襲撃があると思え!」

「はっ!」

帝都オーディン ノイエ・サンスーシ宮殿 フリードリヒ4世
 クロプシュトックの反乱を起こせばオーディンの警備が厳しくなるのは当然。フェザーンの思惑はなんだろう?そこへ来てオーディン郊外で大火が発生した。クロプシュトックの反乱やオーディン郊外の大火等の対応のために帝国軍首脳部が招集される。それが狙いか?
「オフレッサーよ。もしやフェザーンの狙いは帝国軍首脳部ではないか?」
「と、おっしゃいますと?」
「クロプシュトックが反乱を起こし、オーディン郊外で大規模火災そして皇帝暗殺の可能性。これだけおきれば一連の事件の関連性を探るために帝国軍首脳部が招集される。そこを狙った爆弾テロがあるのではないか?」
「な、なるほど。直ちに軍務省に警告を発します。」
「急げ!」

『オフレッサーが軍務省に警告を入れるとほぼ同時に事態が動き出す。一連の事件の対応を協議すべく軍務尚書、統帥本部総長そして宇宙艦隊参謀総長と参謀など帝国軍の主だった面々が急遽招集された。』

帝国軍 軍務省所属のさる少佐
 メルカッツ提督率いる艦隊が地球教本部を破壊した時には茫然とした。地球は母なる星。宇宙の中心であって然るべき星なのだ。その地球の中心とも言える地球教団本部を爆撃し装甲擲弾兵が蹂躙した。生き残った地球教団の幹部は殆どいない。信じるべきものを奪われた私は暫くの間無気力になってしまった。だが数ヶ月前に地球教総大主教の代理と名乗る男が接触してきた。地球教団は叛徒共の領域に逃げることができたらしい。その代理を名乗る男は私に信徒としすべきことをせよと言った。軍人の私が信徒としすべきことは地球教団の本部を破壊した軍の中心を破壊して報復することだ。
 クロプシュトック侯爵が反乱を起こし、オーディン郊外で大規模火災そして皇帝暗殺の可能性が囁かれ叛徒共の艦隊がイゼルローン要塞に向かっている。これだけ事件がおきれば帝国軍首脳部が招集される。そこを狙うのだ。私は対応を協議するために軍務省の大会議室に出頭を命じられた。そこには軍務尚書エーレンベルク元帥、統帥本部総長シュタインホフ元帥を筆頭に帝国軍の首脳部が集まる。その大会議室を爆破すれば暫くの間帝国軍は身動きがとれなくなる。


帝国軍 軍務省 軍務尚書執務室 エーレンベルク元帥
さてそろそろ大会議室に行かねば。もう皆は集まり始めているだろう。
「元帥閣下、オフレッサー上級大将閣下から緊急通信であります。」
「こちらへ回せ。デスクで受ける。」
そういうとデスクに備え付けられた小型のスクリーンにオフレッサーの顔が映し出された。相変わらずの悪人顔だ。
「元帥閣下、本日予定されている軍務省大会議室での会議にはご注意ください。もし大会議室が爆破され多くの死者をだせば帝国軍は身動きがとれなくなります。参加者全員をボディーチェックと荷物検査を実施すべきです。あるいは皇帝陛下暗殺はブラフやもしれませねぬ。皇帝陛下のお指図であります。」

「わかった至急チェックさせよう。軍務省に詰めている装甲擲弾兵にも命じておいてくれ。」

「は!」

車中 帝国軍 統帥本部総長 シュタインホフ元帥
私はいま軍務省で開かれる会議に出席するために車の中にいる。目の前にはもう軍務省だ。
「閣下。軍務省から緊急通信であります。軍務省を狙った爆弾テロの可能性ありとのことです。至急統帥本部に引き返します。」
「爆弾テロだと!? やむを得ぬ。引き返せ。」

帝国軍 軍務省 大会議室 宇宙艦隊司令部参謀 シュターデン大佐

会議の書類を鞄から出していると大勢の下級士官が会議室に入ってきた。私の周りにいる参加者達に近づいている。私のところにも見知らぬ少尉が近づいてきた。
「大佐殿。失礼致します。エーレンベルク元帥閣下のご命令で会議の参加者全員のボディーチェックと持ち物検査をさせて頂きます。」
「わかった。」


帝国軍 軍務省 大会議室付近の廊下 軍務省所属のさる少佐

 あとすこしで大会議室だ。この廊下を渡りきれば大会議室に到着する。私の鞄には爆弾が入っている。小型だが威力は絶大だ。私の前後には大会議室に向かう将校が歩いている。見ていろ.....
 大会議室に大勢の下級士官が入っていくのが見えた。加えて複数の装甲擲弾兵が大会議室に向かう通路に陣取って封鎖してしまった。しまったバレたか?これでは爆破しても意味が無い。装甲擲弾兵の一人が大会議室に向かって廊下を歩いている将校を呼び止めたた。
「失礼致します。会議の参加者とお見受けします。皇帝陛下のご命令によりこれから皆様のボディーチェックと持ち物検査をさせて頂きます。」

まずい........... 鞄には爆弾がある。爆弾は腕時計を改造したスイッチで直ちに爆破できるようになっている。私のところにも装甲擲弾兵の一人が近づいてきた。

「少佐殿。お体をあらためさせて頂きます。」

ここまでか。これでは爆破しても両元帥を抹殺できない。

「少佐殿!」

だがせめて一矢報いることができれば。腕時計型スイッチに手を伸ばしてスイッチを押す。

「しょう.....」
「地球を我が手に!!」

『その瞬間。軍務省の一角が閃光に包まれた。無名の少佐が持参した爆弾は大会議室を要す軍務省4階の廊下を中心にあたり一帯を吹き飛ばした。幸いエーレンベルク元帥とシュタインホフ元帥は爆死を免れたものの、この無名の少佐が放った爆炎は軍務省の施設を宇宙艦隊司令部、統帥本部、軍務省の将校もろとも炎に包んだ。』


クロプシュトック星系 小惑星帯 討伐軍 旗艦 ベルリン アンスバッハ准将
 討伐軍の艦隊が小惑星帯に閉じ込められてから2日が経過した。小惑星帯に作られた回廊の前後を封鎖された。無線は封鎖されているから援軍も呼べない。もしブラウンシュバイク公爵が戦死されれば討伐軍は瓦解してしまう。

クロプシュトック星系 小惑星帯 討伐軍 旗艦 ベルリン ブラウンシュバイク公爵

 小惑星帯に閉じ込められてから一向に事態は動かない。
「アンスバッハよ。何故手こずっておる。我が軍は3万隻の大軍であるぞ。」
「公爵閣下。我が軍は回廊を渡河するために長大な縦陣形を採用しました。敵軍は薄くなった我が軍を容易に攻撃もしくは突破できるのです。加えて回廊の出入口は機雷原で封鎖されております。機雷原の突破に手こずっている間に小惑星に潜んだ敵艦が我が軍を攻撃し回廊から脱出できません。かつて古代地球にハンニバルという名将がおりました。敵はハンニバルが大ローマと戦ったトレビアの戦いにならったのでしょう。」

「講釈は良い!」

クロプシュトック星系 小惑星帯 討伐軍 旗艦 ベルリン アンスバッハ准将

敵軍の一帯が紡錘陣形でこのベルリン向けて突進してきた。護衛の分艦隊を差し向けるべきだな。
「護衛の分艦隊に連絡。接近する敵の進路を阻め!」

『ブラウンシュバイク公爵がのる戦艦ベルリンを守るために護衛のための分艦隊が戦艦ベルリンを離れたその時、運命という名の流れ弾がブラウンシュバイク公爵座乗する旗艦ベルリンの胴体部、艦橋付近を貫いた。』
 
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