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黒子のバスケ 無名の守護神

作者:stk
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第七話 練習試合

「黄瀬!ちょっと来い!」
えっ?
黄瀬くんだけ参加なの?
同じキセキの世代のはずなのに差別はひどくない?
「監督?僕は?」
「オマエもアップをしとけ。後半から出すぞ。」
「はい。それでは身体を温めてきます。」
「行ってこい。」
さーてと。
どうやって暖めようかな。
ジョギングが普通なんだろうけど入り口に黄瀬くんのファンが集結して外に出れそうにない。
それならどうやればいいかな?
「水野。ちょっと待て。」
「何でですか?」
「チェンジだ。」
えっ?
まだアップをしていないのですけど。
そしてまだ前半だよ。
問題はないけどね。
「わかりました。」

「海常。メンバーチェンジです。」
「後は頼む。」
「任せてください。森山先輩。」
SGの森山先輩と交代させてくれたのは僕を信じてくれているからかな。
それなら期待に答えないといけないよね。
「水野。11番のマークにつけ。」
「はい。」
クロちゃんなら何回もマークをしているから楽勝だよ。
だってクロちゃんを見失ったことは一回もないもん。
だから簡単なはず。
「水野くんでも僕に気づくことは出来ないと思います。」
「勝手に言っててください。」
そう言えば黄瀬くんに「キセキの世代を倒す。」って行ってたし。
それ相当の自信が有るんだろう。
「キセキの世代の名にかけて火神には打たせないから。」
「絶対にパスを通して見せます。」
「試合を再開します。」
誠凛には勝たせないよ。
だってキセキの世代が二人もいるのだから。
「クロちゃん、無理だよ。僕は知っての通り2つの才能がある。シュートブロックそして伊月先輩と同じ才能(イーグルアイ)を持ってるんだぞ。」
「たしかに水野くん僕より力があります。でも一人でやるバスケには限界が来ます。」
「クロちゃんは一人ではなにもできない。だからチーム全体でのバスケに拘る。だから勝てない。」
クロちゃんに回ってきたボールをボクはカットして直ぐ様空いていた笠松先輩にパスを回した。
「パス役はシューターにボールをひたすら回せばいいのだよ。」
「それは違います!」
?
パスしか出来ないならパスを回すしかないのになにを考えているんだろう。
クロちゃんの考えることはわからないな。
「水野くんは所属するチームの雰囲気にすぐに溶け込みます。だから今はそう思っているだけです。」
「それはそうでしょ。そのチームに会わせるのが最適。なら僕は海常のやり方に合わせる。間違っているかい?」
「誠凛に戻って来てから考えてください。」
教えてくれてもいいのに。
「水野!」
クロちゃんの背後にボールがあった。
そしてアウトサイドには日向先輩がいる。
「マズイ。」
「遅いです。」
こうなった場合は最初からクロちゃんではなくシューターを狙う。
そしてそこでボールを取ればいい。
「シュッ。」
「打たせるかぁぁぁぁ。」
僕は走ったちからを利用して高くジャンプをした。
ボールを取るまでには至らなかったが落とすことには成功した。
「アウトオブバウンズ。白ボール。」
「ナイスカット。」
カットは成功したけどあまりよくはないよ。
だってボールを出しちゃったんだから。
「水野くん。無理をしてませんか?」
「無理を?」
「今の動きはいつもの水野くんの動きではなかったです。」
そう言えば助走もつけたのに全然飛べなかった。
でもやることは変わらない。
「そうかもしれないです。でも僕はこのチームを勝利に導く誓ったんで多少の無茶は勘弁願いたいです。」
そう言って僕はボールを持っている日向先輩とクロちゃんの間に入った。
こうすることでクロちゃんにパスを出す確率は低くなる。
「伊月。」
「おう。」
ヤバッ。
話していたせいで伊月先輩の動きを感知できなかった。
二人で攻めこむ気だ。
これじゃあクロちゃんをマークしていても意味がない。
「行かせねーですよ。」
僕はすぐさま日向先輩のボールをとりに向かった。
「もともと伊月にパスを出す気じゃねーよ。」
やっぱり。
と言うことはクロちゃんからマークを外すことが目的か。
パスをクロちゃんのいる方に出された。
僕は反応が遅れたためとることはできない。
「水野っち。大丈夫っスよ。」
そこには走り込んできた黄瀬くんがいた。
「ありがとう。助かったよ。」
ってもういないよ。
本当に足が早いよね。
「フェイダウェイかよ。」
待って。
そう言えばさっき火神がやっていたよね。
コピーするのはやっ。
「ナイショッ。」
「あんなヘマはもうしないでほしいッス。」
「分かってるます。」
「誠凛。タイムアウトです。」
タイムアウト使うの早くないか?
まだ第1Qだよ。
「水野っち。戻んないとダメッスよ。」
「そんなの分かってますよ。」
それにしても25対12なんて。
まずまずかな。
「なんだこのていたらくは。お前ら!」
えっ?
結構抑えたんだけど監督は不満なのかな?
「水野。お前がいながら12点も取られたぞ。分かっているのか。」
「すみません。ですが監督。そろそろ向こうのペースが落ちる頃です。」
「どうしてそんなことがわかる。」
そりゃ~。
「11番。黒子テツヤんは大きな弱点がある。」

あのあと僕はどうすればいいか監督に打診した。
「このままやっていてください。」と言っただけなんだけどね。
僕は一旦ベンチに下がった。
コート内では予想通り均等は崩れ海常が誠凛を突き放していく。
誠凛はクロちゃんがいないと強豪校に通用しない。
ならどうするかは明白だ。
クロちゃんの才能(ミスディレクション)成長(レベルアップ)させればいい。
そうすれば強豪校やキセキの世代に通用してくるであろう。
「水野。あれはどういうことだ。」
「えっ?」
僕にも分からない。
どうしてクロちゃんが黄瀬くんのマークを?
普通に考えれば抜けるはずがない。
でもなにか嫌な予感がする。
でももう黄瀬くんが向いちゃったし。
僕の考えすぎかな?
いや違う。
あのクロちゃんの手の動き。
まさか。
「監督。すぐにディフェンスを指示してください。」
「お前ら!ディフェンスだ!急げ!」
多分黄瀬くんはボールを取られる。
耳をすませてみると。
誠凛のベンチから
「採るのよ。」
と聞こえてきた。
予想通りだったみたい。
黄瀬くんはボールをとられた。
そしてすぐに反撃が始まり黄瀬くんも戻ろうとした。
そして大きく手を回した。
その手は黄瀬くんの隣にいたクロちゃんは叩き、クロちゃんは倒れた。
クロちゃんの頭から血が流れていた。





おまけ
「お前ら。授業を始めるぞ。」
「起立。気をつけ。礼。」
「そこ。寝てるのは誰だ!」
水野っち。
不味いッスよ。
この時間は監督の日本史なんすから。
「そこは誰だ。」
「水野くんです。」
「水野か。黄瀬!昼休みに職員室に来るように伝えておけ!」
「了解ッス。」
水野っち。
監督を怒らせたら大変なんスよ。
練習メニューが激化するなどあるんスから。
「いい加減起きろ!!」
「かんとく~。練習試合で勝つから見逃して~。せめてもう少し~。」
「駄目だ。自分の世界に入ってやがる。だが黄瀬!聞いたな。負けたらどうなるかこいつに教えておけ。」
「了解ッス。」
水野っち。
寝言であんなこと言えるなんてスゴいな。
「それでは授業に入るぞ。」

「失礼します。武内先生はいらっしゃいますか?」
「水野か。入れ。」
「失礼します。」
まさか監督の授業で寝るなんて。
僕の人生で一番ヤバい経験かも。
「水野。今日の練習だがお前は笠松のシュートブロックをしろ。」
「えっ?」
「言ったことがわからなかったか?」
「言ってることは分かるのですが、居眠りの罰はないのですか?」
罰のことで呼ばれたのだと思ったのですけど。
「お前以外なら罰を与えていただろうが、お前が海常(うち)にいる期間は短い。なら罰をやらせる時間を他のことに使った方が海常(うち)成長(レベルアップ)に繋がると考えられるだろうが!」
「はい。」
「それにお前は授業中に「勝つ。」と宣言したがお前を出すかは分からないぞ。」
「そんな~。」
じゃあ海常に来ても誠凛の今の実力を計ることができないじゃん。
「だがもし出た場合は宣言通りかってもらうからな。」
「はい。任せてください。」
「オレからは以上だ。」
「失礼しました。」
よかった~。
罰は無しだって。
職員室を出ると笠松先輩がいた。
「おい水野。お前はよくもやってくれたな。」
「?」
「これを見てみろ。」
笠松先輩から渡された紙は練習メニューだった。
よく見ると全てのメニューが昨日の三倍になっていた。
「お前が授業中に寝たからメニューがキツくなったじゃねぇか。」
先輩が殴る体制を作っていた。
そしてやっぱり殴られる。
「シバくぞ。」
「もうシバかれてます。」
「まあお前も面白いことを監督に宣言したらしいな。オレも楽しみにしておくからな。」
「了解です。」
ヤバい。
もう二度と授業中に居眠りはしない。
僕は心にそう誓った。
練習試合頑張んないと。 
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