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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第八十七話

 
前書き
袁紹イベント。 

 





「ふぅ……最近、寒くなってきたな……」

 俺は自室の床に作られた掘り炬燵に入りながらそう呟きながらミカンを食べる。

 ちなみに掘り炬燵は真桜との共同製作だ。掘り炬燵は案外、他の皆からの評判も良くそれぞれの部屋に付けられている。

 その代わり、換気はきちんとするよう厳しく言っている。

「ほんま寒いわな……」

「……そう言いつつ酒を飲みながら言うなよ霞」

 俺の向かいには霞が酒を飲んでいた。既に顔も赤くなっている。

 なにせ机には多数の酒瓶があるからな。

「飲み過ぎると早死にすんで」

「ウグ……長門とはまだまだ過ごしたいからなぁ」

 ……んな事言うな、俺も恥ずかしいやろ。

「兎に角、少しは量を抑えろよな」

「しゃあないなぁ……」

 霞は渋々ながら頷いた。その時、月が部屋に入ってきた。

「どうした月?」

「はい、美羽さんが玉座に来てほしいと」

「美羽が?」

 何かあったのだろうか? まぁ命令だから行くしかないな。

「そうだ。月、ほらミカンだ」

「へぅ……ぁーん」

 残り三つになっていたミカンの一つを月に差し出すと月が顔をプルプルと震えながら口を開けて俺はミカンを月の口に入れる。

 ……何だこの生物は? 可愛すぎるぞ。

「長門、ウチもあーん」

「ほいほい」

 霞も月と同様にしてやると嬉しそうにミカンを食べた。

 ……可愛いじゃねぇか畜生。俺は残り一つのミカンを食べて、月に炬燵の換気を任せ霞と二人で玉座に向かった。




――玉座――

「もー我慢出来んのじゃッ!!」

「……何が?」

 玉座に来たら開口一番で美羽にそう叫ばれたが……いきなり何だ?

「麗羽姉様の事じゃッ!!」

「……最近、麗羽さんの傍若無人の振るまいは悩みの種ですね」

 美羽が怒る表情に七乃が溜め息を吐いた。

「「すいませんすいません」」

 斗詩と猪々子が謝る。まぁ二人が悪いわけではないんだけどな。

「それに飲食のツケの苦情、町での奇行に苦情もあるわ」

 蓮華が報告書を見ながらそう言う。

 ……それはヤバイな……。

「……荒療治をするしかないかな……」

「荒療治出来ますかねぇ」

「まぁそこは長門が担当してもらいましょ」

「ちょい待て雪蓮ッ!! 何で俺だッ!?」

『言い出しっぺ』

 ……こんなところで呼吸を合わすな。

「ぁ~美羽?」

「……やってくれんかの長門? 妾もあやつの顔を見て首をはねてやろうかと何べんも思ったのじゃ」

「……美羽の教育上、早めにする必要があるな」

「ですね」

 というわけで袁紹への対処は俺がする事になったがさてどうするか……。

「最近の袁紹で何かあったか? 何でもいいぞ」

 俺は斗詩と猪々子に訊ねた。

「そう言えば……最近、姫は少し……その……お腹回りが……」

「成る程、率直に言えば太ったと……」

「……容赦ないなアニキ……」

 これぐらいわけないな。待てよ……フッフッフ、これはいけるかもな。

「………(アニキの顔が悪人面してるぜ……)」

 となれば実行は明日からだな。




――翌朝――

「ぐお~……むにゃむにゃ……」

 ただ今斗詩と猪々子と共に袁紹の部屋にいるが……。

「……腹丸出しでイビキかよ……」

「アハハハ……」

 まぁいいや、今は……。

「さっさと起きんか袁紹ォッ!!」

「ギャピッ!?」

 俺は袁紹の頬に思いっきり叩いた。よくこうやって母さんに叩き起こされたな。

「な、何ですのッ!?」

「お、一発で起きたか」

 予想では三発くらい考えていたが……。

「貴方は……誰でしたっけ?」

 ………。

「やっぱ斬首でいいな」

「そ、それは止めて下さい長門さんッ!! ほら姫、長門さんですよ」

「長門……あぁ、何かいましたわね。それがこの私に何用で?」

 ……このパツキンクルクルドリルめ。

「いやなに、最近、袁紹が太ったと聞いてな。その手伝いをしてやろうと思ってな」

「なァッ!? 何故それを貴方のようなのが知っているッ!!」

「城内では持ちきりだぞ? そのうち太った袁紹という名が付くかもしれんな」

「なァッ!?」

「「(……喧嘩売りすぎてる)」」

「そこで俺がお前に手を貸してやる。俺の言う通りにすれば痩せる事はもとより、綺麗な身体を手に入れた事で曹操が悔しがるかもしれんぞ?」

「……いいじゃありませんの。やってやろうじゃありませんかッ!! そして華琳さんをドン底に落としてやってやろうじゃありませんかッ!! オーホッホッホッ!!」

 ……チョロいな。

「よし、ならば着替えを済まして訓練所に来い」

「まだ朝食を食べてませんわよ」

「朝食前に運動をすると痩せる効果がある」

「直ぐに支度をしますわ」

 即答かよ……。



「とまぁ今からするわけだが……怪我をしないようにまずは身体をほぐしておくか」

 というわけで準備体操を二人で始めた。なお、斗詩が陰ながら応援している。

 ストーカーと言った奴は出てこい。

「痛いッ!! 痛いですわッ!!」

「……どんだけ身体が堅いんだお前は……」

 時折袁紹の身体からボキボキと音が聞こえるけど……どんだけ運動していないんだ?

 準備体操は半刻ほど続けた。次はと……。

「次は城の周りを二十周だ」

「多くありませんですのッ!!」

「文句を言うなッ!! さっさと走らんかァッ!!」

 俺の叫びに袁紹は急いで走りに行った。ちなみに袁紹の服は蜀の商人が持ってきた体操服だった。

 ……お前は何してんのや北郷?








 
 

 
後書き
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