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気合と根性で生きる者

作者:康介
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第二話 ギフトゲーム

 
前書き
 まず、この場をお借りして最初に一言。

 お気に入り登録していいただいた2名様、本当にありがとうございます!!

 今回、ちょっと勝がチート臭しますが、決して馬鹿みたいなチートという訳ではありません。

 それでは、本編の方をどうぞ。 

 
「ジン、だっけ。悪いけど、僕はここから別行動を取らせてもらうよ」

「えっ? そ、それは困ります! せめて、黒ウサギが戻ってくるまでは――」

「ごめん。僕はもうそろそろ限界なんだ――空腹が」

 へっ? と不思議そうな顔をするジンと、言い終わると同時に鳴る勝の腹の虫。どうやら、勝は相当空腹のようだった。

「それくらいなら。元から何処かの店で何かを食べながらお話をしようと思っていたので」

「ありがとう。恩に着るよ。それで、御二人はどのお店がよろしいですか?」

 砕けた口調から一変して、飛鳥と耀に話し掛ける時は敬語に。この切り替えの早さは賞賛に値するものだった。

「そうね――あのお店にしましょう」

 飛鳥が選んだのは、〝六本傷〟の旗を掲げるカフェだった。全員その店で異論は無い為、すぐにその店のカフェテラスに座る。

 すると、注文を取るために店の奥から素早く猫耳の少女が飛び出てきた。

「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」

「えーと、紅茶を二つと緑茶と抹茶を一つ。あと軽食にコレとコレとコレと」

「ニャー(ネコマンマを!)」

「はいはーい。ティーセット四つにネコマンマですね」

「? あぁ、耀さんの猫の注文ってことですか。猫の言葉がお分かりになるとは、羨ましい限りです」

「いえいえー。そんな大層な事じゃありませんよ。私は猫族なんですから。これくらいは出来て当然なんですよ」

「いえいえ、コミュニケーション取れるだけでも羨ましいですよ。僕なんて、顔を見られた瞬間に逃げられるんですよ?」

「あはは。またまた御冗談を。そんな穏やかそうな顔をしているのに動物が逃げるなんて考えられませんよ」

 などと、その後しばらく四人は猫耳の少女と会話をしながら注文を取り、猫耳の少女がそれを再確認にして、店の奥に戻っていった。後は注文したものが出てくるのを心待ちにしながら、お互いに関係を深めるための雑談をするのみだったのだが――

「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュ〝名無しの権兵衛〟のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 品の無い上品ぶった声がそれを台無しにした。振り返ると、2mを越える巨体をピチピチのタキシードに包む、逆立ったくすんだ金色の髪をした男が居た。

 この明らかに嫌味な男は、不覚なことながらもジンの知り合いだった。

「僕らのコミュニティは、〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド=ガスパー」

「黙れ、この名無しめ。聞けば、新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ――そうは思いませんか、お嬢様方とその付添いの――」

 ガルドと呼ばれた人物は言いながら、その巨躯を四人が座るテーブルの空席に勢いよく腰を下ろそうとしたが、勝の姿を見た瞬間に言葉を失うと同時に、思わず身震いをしていた。

 ガルドをそんな状態にした当の本人――勝はと言えば、ただニコニコと無邪気な笑顔を眼鏡越しに作っていただけなのに・・・・・・ガルドにとっては、それが何よりも恐ろしく感じられた。

(な、なんだ・・・・・・? このガキ、一体何をしていやがる?)

 決して、勝は臨戦態勢を取っている訳でもなければ、ガルドに対して敵意を向けている訳でもない。ただ好意的な笑みを浮かべているだけだ。

 その筈なのに、ガルドにとっては・・・・・・そう。まるで、生存本能が働くかの如く頭が「この男は危険だから早く逃げろ」と言ってきているような感覚。

 背中は既に冷や汗のせいで、まるで水を掛けられたように濡れていた。それと同時に、足が震えてきていた。

「・・・・・・? 何かお話があるのであれば、隣のお席にどうぞ」

「――ッ! あ、あぁ。――それでは、お言葉に甘えて失礼」

 いきなりその少年に助け船を出され、ガルドは無意識の内に驚愕してしまったが、すぐに元の表の顔に戻ると、先ほど勢いよく座ろうとしたのを改め、ゆっくりと席に着いた。

「では、僕たちはまだ貴方の事を知らないので、自己紹介をお願いしてもよろしいですか?」

「おっと、これは失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ〝六百六十六の獣〟の傘下である」

「烏合の衆の」

「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!! 誰が烏合の衆だ小僧ォォ!」

 ジンに横槍を入れられたのが相当頭にきたのか、ガルドの顔は怒りで先ほどとは全く別の――いや、根本的な違いがあった。

 口が耳元まで大きく裂け、肉食獣のような牙と先ほどまでの温厚そうに見えた目は激しい怒りのこもったギョロリと剥かれた瞳になり、それがジンに向けられる。

 それを見て、ガルドという男の本質を悟ってしまったのか、勝は「はぁ」と小さく誰にも聞こえない溜息を吐き、話を片耳で聞きながら今後の方針について考える事にする。

(現状から考えて、僕が今コミュニティに入るメリットは・・・・・・安全に生活が出来ることと、情報を無所属より安易に手に入れる事が出来ること、くらいかな。箱庭に来たばかりの初心者同然の今の状態なら、その情報を手に入れるメリットは大きい、けど――)

 ガルドの話を流して聞いてみれば、どうやらジンのコミュニティには、縄張りを主張する上で大切な旗印が欠損している上に、名前まで奪われているという最悪の状況下にあるようだが、同時に数年前までは東区画最大手のコミュニティとのこと。

 一見にしてみれば不利な事この上ない状態ではあるのだが――この世界は土地の利権すら賭けてゲームをする場所である。元々がそのような大規模なコミュニティであったとすれば、所持している領地は――今は残っていないとしても、取り戻した時の利益は莫大なものになるだろう。

 更に、その領地にもし希少な金属の鉱脈などがあるとすれば――領地として、これ以上のポテンシャルは他に無いと言っても過言ではない筈。その鉱脈から取れた金属を売るもよし、加工して武器として使うもよし、だ。

 最初のことを考えれば、確かに辛い部分はあるのだが――後の利益を考えれば、これ以上に美味しいコミュニティは、他にはないのかもしれない。

 最終的にその〝名〟と〝旗印〟の両方を取り戻した日には――恐らく、東区画最大手のコミュニティとして、再び名を連ねる事になるだろう。

 聞くところによれば、その〝名〟と〝旗印〟は〝魔王〟と呼ばれる天災のようなものに奪われ、更にそのせいで今のジンのコミュニティからは人員まで減っているらしく、更に人員がいなくなったがために、今はジンがリーダーをしなければいけなかった状況ということらしい。

 この場合、再起復興の目途は立つことが出来ないに等しい。〝名〟と〝旗印〟はともかく、人員不足という部分においては、流石にどうしようも出来ない。いや、一番大事な人員が居ないからこそ、悪循環に嵌って〝名〟と〝旗印〟の両方を取り戻せないでいる。

 そこでようやく、勝の心中で自分たちが呼び出された合点がいった。

(つまり、一番大事な人員を補給するために僕たちを呼び出して、現状を打破しようと考えたのか・・・・・・)

 この絶望的な状況から後の利益を得る為に一体どれだけの時間を要するのか――勝には、想像がつかない。

(コミュニティの件は保留にして、まず自分にどんな恩恵が宿っているのかが問題だよね・・・・・・)

 それによって、これからの方針は大分違ってくることになる。

 正直に言えば、今このコミュニティに入るには普通の力ではなく、圧倒的な力が必要になってくる。それが無い者は、きっとコミュニティにとって足手纏いになる。

(力があれば、後を見越した上で一時の安全も相まって入りたいけど――僕にそんな力、宿っているとは思えないんだよね・・・・・・)

 先ほど幻獣を捕らえられたのは、単に強力な薬をナイフの刃に付着させ、運良く気配を悟られずにナイフを投擲して掠める事が出来たからだ。真正面からの戦闘になれば、自分の戦闘能力は幻獣を捕らえた時の一割も出せないと言っていいほどの貧弱な力になる。

(体術の心得はあっても、獣相手にそんなもの効くわけないし、未知の力を持った修羅神仏にそれで通用する訳がない。薬の力が仮に通用したとしても、薬は有限な上にこの世界で材料が採れるかも怪しいし――更に言えば、ナイフでそんな修羅神仏に傷を付ける事が出来るかどうか・・・・・・)

 不安要素は山というほどある。考えればいくらでも出てきそうなほどにある。

 しかし、ここで立ち止まっていては、現状打破はおろか現状維持すら難しくなっていく。

 こうなってしまえば、何処かのコミュニティを隠れ蓑になんとか力を付けていくしかない。単身で行動するには、あまりにも危険と不安の要素があり過ぎる。

(せめて、新しい毒を開発出来るのなら――)

 自分の戦闘能力は、今の何倍にも上げる事が出来る。

 勝の得意な戦闘方法が奇襲と暗殺である以上、毒というものに頼るのは自然なことではあるのだがしかし、勝はそれではダメだと一人で首を横に振り考えを改める。

(毒が効かない相手が出てきた場合の対処方法が無ければ、僕がこの中で最初にリタイアしてしまうじゃないか!)

 そう。毒が効かない相手が出てきた場合、勝に返し手となる切り札は既に残っていないのだ。ナイフを当てるなどは実力の問題なので置いておくとしても、毒が効かないとあっては、毒で相手を倒すという作戦そのものが破綻してしまう。

(せめて、返し手となる恩恵や技術があれば――)

 とはいっても、勝の長所といえばその影の薄さとナイフ投擲の精密性のみ。ほとんど関係は無いかもしれないが、口癖の「気合と根性」なるものも長所とはいえた。

 しかし、どう考えてもこれだけでは、修羅神仏に太刀打ちするには役不足にも程がある。せめて後一手、切り札となるものがあればよいのだが・・・・・・すぐにその一手が見つかるような、都合の良いことはない。

(これはもう、コミュニティに所属したあとに考えるしかないのか――?)

 未知の者と戦う警戒と相手の平均的な実力、特性の勘繰り。終わることの無い未知への予想を、勝は溜息を吐いて諦める。

(これはもう後に回そう。相手の実力も特性も、見て見ないことには分からない。もしかしすれば、コミュニティに入る事によって打開策があるかもしれないし・・・・・・)

 後はもう運任せ。大体、ガルドの話からしてこの下層コミュニティが修羅神仏に挑戦するのは、恐らく当分先の話である。今はその打開策をゆっくりと練っていき、日々の努力を怠らなければそれでいい。

 そう結論付けて、思考の海に溺れてしまっていた意識を現実に戻すと、なんと目の前にテーブルというものが存在していなかった。

 まさかと思い地面を見てみると予感は的中。見事に、料理が地面にぶちまけられ、その中に椅子の残骸らしきものも混じっていた。

 これでは食べられない。ただでさえ空腹の時に馬鹿みたいに思考して空腹が増したと言うのに、ご飯はお預けときた。

 普段温厚な勝は、飯を食えない事に対する恨みは人一倍どころか十倍以上に強い。

 その為、こんなことをした犯人捜しを真っ先にするのは当然であり、辺りをキョロキョロと何気なく見回していると、全員の視線がある一点に集中していることに気付いた。

「・・・・・・耀さん、一つお聞きしていいですか?」

「・・・・・・何?」

 何やら上半身が虎の何者かの上に、春日部耀はその腕をホールドしながら乗っていたが、今はその状況説明よりも飯を台無しにしてくれた犯人探しの方が先だった。

「もしかして、この飯を台無しにしたの、そこの虎ですか?」

「うん」

 犯人が一瞬で見つかった。それと同時に、再び「グゥゥ~」と腹の虫が鳴り、勝は額に青筋を立てながら訊く。

「そこの虎、解体(ばら)して食べても良い?」

『えっ?』

 耀と飛鳥、ジンだけでなく、その場に居た全員が思わず声を上げる。勝の温厚な見た目と似合わない言葉に、皆が驚いているのだ。

「だから、そこの虎を生きたまま包丁入れて火炙りにして食っていい?」

 その言葉に、虎は顔面蒼白になり、耀は少し戸惑いながらも場違いなことを答える。

「お、お腹壊すと思う」

「そうか。見た目も不味そうですよね。残念」

 この言葉はつまり、食べてもいいと言っている様なものだった。しかし、勝も腹を下すのは嫌なのか取り出していた折り畳みナイフをポケットに収め、不機嫌そうにもともと座っていた椅子に座り、そのままガクッと肩を落とす。

「朝飯また食えなかったどうしてくれるんだあのクソ虎解体して臓器と毛皮抉り取って市場で捌いちゃろうか?」

 ブツブツと勝は恨みと怒気と殺意の籠った声でずっと愚痴を言い続けていた。その恨み言が恐ろしいがあまり、虎はこの場から立ち去るまでずっと顔面蒼白になりながら震えており、他の店内の客ですら勝と一定の距離を保ち続けていたという。

「お、お客さんー? ご注文通り、特大シチューとパンをお持ちしましたけど――」

 虎が立ち去って数分後に、先ほどの猫耳少女がそう言いながら、右手にはテーブの半分くらいを使いそうな大きなシチューの皿が、左手にはそれの半分くらいの大きさのパンの入った皿が、それぞれ直されたテーブルの上に置かれていく。

 それを聞いて見た瞬間、勝の先ほどまでの恨みと怒気と殺意の籠った独り言が嘘の様に消え、ニッコリと満面の笑みを猫耳少女に向けて、次の瞬間にはガツガツと料理を食っていく。

「・・・・・・美味しい。これで今日も生きていける・・・・・・!」

 いや、お前は一体どんな環境で生きてきたんだ、とツッコミを入れたいカフェに居た全員だが、先ほどの勝の恐ろしさを見ては易々その様なことを言える筈がなかったのだった。










 結局、黒ウサギと十六夜が戻ってきたのは勝が料理を平らげたのとほぼ同時であり、その際に〝フォレス・ガロ〟とギフトゲームをすることになったと知ると、「な、なんであの短時間に〝フォレス・ガロ〟のリーダーと接触してしかお喧嘩を売る状況になったのですか!?」とか、「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」とか、「準備している時間もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」「聞いているのですか四人とも!!」と、よく息切れしないな、と思う程にまくし立ててきた。

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

「どういう心算と言われると、解体して肉は焼き、血液と毛皮は売り、臓器は闇市に流すつもりでした。資金稼ぎにはもってこいだと思ったのですが、何か問題でも?」

「黙らっしゃい!! というか、勝さんは何でいつもいつも物騒なことばかり言うんですか!?」

「弱肉強食の定理に従っているだけです」

「もう黙らっしゃい!!」

 飛鳥、耀、ジンの三人はまるで口裏を合わせた様な言い訳を言い、勝はそれとは別に物騒なことを連呼するものだから、さすがの黒ウサギもウガーッとウサ耳を逆立てて激怒していた。

 と、それをニヤニヤと笑っていた十六夜が止めに入る。

「別にいいじゃねえか。見境なく選んで喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

「い、十六夜さんは面白ければいいと思っているかもしれませんけど、このゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ? この〝契約書類(ギアスロール)〟を見てください」

 黒ウサギの見せた〝契約書類〟は〝主催者権限〟を持たない者達が〝主催者〟となってゲームを開催するために必要なギフトである。

 そこに記されるのは、ゲーム内容・ルール・チップ・賞品などであり、〝主催者〟のコミュニティのリーダーが署名することで成立する。黒ウサギがしめす賞品内容とは――

「〝参加者(プレイヤー)が勝利した場合、主催者(ホスト)は参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散する〟――まあ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるものを、わざわざ取り逃がすリスクを背負ってまで短縮させるんだからな」

 ちなみに、飛鳥達のチップは〝罪を黙認する〟というものであり、これは今回だけでなくこれ以降もずっとそれに従わなければならないということだ。つまり、こちらが負けてしまえば、ガルドの罪をこちらから立証する機会は永遠に失われてしまうのである。

「でも時間さえかければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心の子供達は・・・・・・その、」

「いや、逆にお考えください。肝心の子供達が、連れ去られたその日に殺されているからこそ、時間を短縮して短期決着を着けなければいけないのです。これ以上、被害を出さない為にも」

 ここで勝が珍しく話題に乗って口を開く。もしかしたら、これが初めて彼がまともに会話した時なのかもしれないが、今重要なのはそこではない。彼の言っていることが、一理あるというところが、重要なのだ。

 いくらジン率いる〝ノーネーム〟や公衆が先ほどのガルドの罪を、飛鳥のギフトにより喋らされたのだとしても、それが決定的な証拠になるわけではないのだ。何せ、死体は全てその部下に食われ、証拠と言う証拠が無いのだから。

 それに、あのカフェテラスに居た人物はほんの数十名である。そんな数十名に聞かれた言葉がギフトの力によるものだというのであれば、正直に言えばこちらの分が悪い。飛鳥のギフトには、行動を強制させるような力も宿っているので尚更である。

「で、でももし負ける様な事があれば、更に被害者が増える事に・・・・・・」

「あ、もし負けたら僕はこのコミュニティに入らず、ソロでコミュニティ作るから」

「はいィ!?」

「というか、僕はこんな無意味なゲームに参加する気なんて端からありませんよ? あんな雑魚で箱庭の水準を測るなんて無理そうですし、何より面倒事に巻き込まれたくないというのが本音です。あと、あんな雑魚にも勝てないのであれば、このコミュニティの未来なんて期待できませんから」

 穏やかな顔と裏腹に毒を吐きまくる勝。しかし、これはある意味ほとんどの確率で勝がコミュニティに入る事を意味していた。何故なら、先ほど春日部耀はあの虎を難無く組み伏せていたのだから。

 そのことを知らない黒ウサギだからか、妙に焦ったような顔をしてオドオドとしながら、十六夜の方を期待するような目で見るのだが――

「あ、俺は参加しねえよ?」

「当たり前よ。貴方なんて参加させないわ」

 フンと鼻を鳴らす二人に、黒ウサギは慌てて二人に食ってかかる。

「だ、駄目ですよ! 御二人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ。いいか? この喧嘩は、コイツらが売った。そしてヤツらが買った。なのに俺が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ」

「あら、分かっているじゃない。大体、私はあのような外道に後れを取るつもりはないわ」

「・・・・・・。ああもう、好きにしてください」

 丸一日振り回され続けた黒ウサギに、既に言い返す体力も気力も残っていなかった。

 失う物は一つの可能性に満ちた人材。しかし、この二人であれば何とかやってくれるだろうとそう思い、黒ウサギは肩を落とすのだった。










「おんしらが望むのは〝挑戦〟か――もしくは〝決闘〟か?」

 目の前の着物風の服を着た真っ白い髪の少女がそう言った刹那、目の前が光り輝き思わず全員が目を瞑る。

 そして、目を開けた瞬間――その世界は今まで居た世界とはまるで別のものへとなっていた。

 十六夜、耀、飛鳥、勝が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔――そして、水平に太陽が廻る世界だった。

「・・・・・・なっ・・・・・・・・・・・・!?」

 余りの異常さに、四人は同時に息を呑んだ。

 箱庭に招待されたときとはまるで違うその感覚。言葉に出来ない御技に、感動を覚えると同時に驚愕や一分の恐怖を抱く。

 遠くに見える空には星がただ一つ。緩やかに水平に回り続ける白い太陽のみ。

 まるで宇宙と星の誕生のような奇跡の顕現。

 そんなものを見せられて唖然と立ち竦んでしまうのは、いくら最強の問題児でも仕方がないことだった。

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は〝白き夜の魔王〟――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは試練への〝挑戦〟か? それとも対等な〝決闘〟か?」

 先ほどの馬鹿みたいな行為をしていた少女と、似ても似通わないその覇気は、まるで底無しの穴を連想させた。

 先ほど馬鹿みたいな行為をしていたというのは、ギフト鑑定をしてもらおうと、下層から上層まで名を広く知らしめている大規模商業コミュニティの〝サウザントアイズ〟で、問題児四人のギフト鑑定をしようとその支店の前まで行ったのだが――その前まで来た瞬間に白夜叉(十六夜曰く和装ロリ)は店から飛び出て黒ウサギに(性的な意味?)で襲い掛かったのだ。

 しかし、すぐに黒ウサギに投げられて十六夜に足で受け止められるという醜態を晒したのだが――本人は全く気にしていない様子ときていた。これを、馬鹿みたいな行為と言わずに何と呼べばいいのやら・・・・・・。

 話しは戻るが、白夜叉の測り切れないその実力。予測も出来ない未知の力の顕現。目の前に居るだけで、まるで重力操作を受けている様なこの感覚。

(あぁ、これだ。僕が求めていたのは、この底の見えない者との対峙! そして、その者への挑戦と底の深さを認識すること! それでも底が見えなければ――あぁ、何て楽しいことだ! それこそがまさに、僕の求めていた答えそのものだ!)

 彼は、この感覚に酔ってしまったのかもしれない。

 溢れ出てくる探究心と好奇心、そして快感。まるで何千年もの間待ち望んで、ようやく出会えた時のような歓喜。全身の細胞が震え、恐怖し、探究心と好奇心を剥き出しにされ、歓喜のあまりの胸の高揚と煮え立つような血液の叫び。

 今、己の全てが彼女を求めていた。底の見えないものの底を確かめるという、無謀極まりない行為――しかし、彼にとってはそれこそが生甲斐なのだ。

 いざ、彼女に挑もうと彼は足を進める為に足に力を入れる。地面を蹴り、彼女に全速力で近づこうとした。そして懐にある折り畳み式のものとは別の毒が塗られたナイフで斬りつけようとした。

 しかし、出来なかった。何故かは彼が一番よく分かっていた。

 まるで地面に縫い付けられているかのように、足が動かないのだ。いや、それは言い訳に過ぎない。出来なかった理由は、もっと他にあるのだ。

(まさか、恐怖で足が動かないのか? そうか。今の僕には、彼女の器量を試すのはおろか、決闘をすることすら出来ないのか――いや、これが当然なのかもしれない。準備も何も出来ていない状態で僕が立ち向かっても、きっと彼女は瞬きの間に僕を絶命、気絶させることが出来る。今は底無しを探究する時ではなく、それを探究する準備の期間なんだ)

 焦る事は無い、と自分に言い聞かせ自身を落ち着かせる勝。いつも通りの彼に戻ったかと思うと、今まで見たことの無いほどの純粋な笑顔を白夜叉に向けた。

「本当なら今すぐ〝決闘〟を申込みたいのですが、今は〝挑戦〟で我慢することにします。僕はまだ、準備期間中なので」

「ほぅ? つまりおんしはいずれこの私に〝決闘〟を挑むつもりなのか?」

「当然。底無しへの探究こそが、僕の生甲斐ですから」

 勝のキッパリとした物言いに、白夜叉は満足したような笑みを浮かべると、パンパンと柏手を打つ。

 すると、勝の目の前に〝契約書類〟が出現した。勝はそれを手に取って内容に目を通すと――

『ギフトゲーム名 〝軍神殺しの番犬〟

 ・プレイヤー一覧 古東 勝

 ・クリア条件 ガルムの無力化
 ・クリア方法 ガルムをどの様な方法でも良いので、十秒間以上行動不能にする
 ・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
 
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
                            〝サウザントアイズ〟印 』

「――さっきのガルムに加担でもしたんですか?」

 不機嫌そうに問う勝に対して、白夜叉は意地の悪い笑みを浮かべて口を開く。

「あやつは新しい遊び相手を欲していた故に、今回このゲームを採用させてもらった。今は用意が無い故、不満があるというのであれば、もう少し難易度の低いものを――」

「それは勘弁。それと一つお聞きしたい。箱庭でのガルムは――強さでいえばどれくらいですか?」

「ふむ・・・・・・どれくらい強いかと問われれば――――うむ。大雑把ではあるが、五桁の外門の魔王並みの実力であることを、この私が保証しよう。何せあやつは、軍神テュールを噛み殺したといわれる――犬種最強の実力者だ」

「なるほど。相手にとって不足なし。実力調査と箱庭の水準を測るにはもってこい、ということですね」

「まあ、そうなるのう」

 犬種最強の実力者。その言葉が、勝の心に劫火を灯した。今までの穏やかな雰囲気はガラリと変わり、構えを取る。完全に、臨戦態勢の状態になる。

「その〝挑戦〟を、喜んでお受けしましょう」

「うむ。頑張るがよい」

 すると、会話の終わるのを見計らっていたかのように、ガルムが目の前へと現れた。

 その巨躯は、今更になって脅威と実感させられる。あの奇襲をした時には、ただ森の中で動きにくく当てやすいだけの体だったが、生憎ここは平原。障害物など無いに等しい場所である。

 森の中と違って動きが制限されない分、こちらのアドバンテージのほとんどが削られたといってもいい。それほどに、勝は平地での戦いが苦手だった。

『貴様は相変わらず、妙な力を発しているのだな』

「それはどうも。良ければ是非、その力の正体をお教えしていただきたいものです」

『このゲームに勝つことが出来れば、その正体もすぐに分かるだろう』

「そうですか。ますます、このゲームに負けられない理由が出来ましたね」

 軽口を交わし、それが終われば沈黙が流れる。両者、まさに一触即発の緊張感に包まれる。これが、本当の戦い。それを経験できると思うと、全身の細胞が狂喜狂乱するのを抑えられない。

 勝の表情が僅かに歪む。それは戦いを出来る嬉しさからか、あるいは狂喜に支配されてしまったからか、それは分からない。

 ガルムの目の前に迫り来る小型のナイフ。刹那のタイミングでそれを避けると同時に、ガルムの体が宙に打ち上げられる。

(――ッ! いつ、ナイフを投擲したのだ!? それに、今の刹那にあの距離を縮めるか!?)

 打ち上げられながらの驚愕。ナイフの投擲のタイミングはおろか、相手が近づいている事にすら気づかなかったこの現状。ただ分かったことは、何らかの体術で顎を打たれ、そのまま宙に舞ったことのみ。

(この少年には、一体どんなギフトが・・・・・・!?)

 正直に言えば、あり得ないといいたいところだ。ガルムは神格保有者であり、さらにその洞察力と危機回避能力、身体能力は上層以上の階層を除く誰よりも優れていると自負していたほどだ。

 しかし、この少年は今、ガルムの洞察力と危機回避能力が正常に機能しないほどの身体能力を発揮したのだ。更に、明らかに体重はこちらの方が重く、持ち上げるのすら大変な重さだというのに、その巨躯を宙に打ち上げる打撃の力。

 一体、どういうメカニズムで動いているのだろうか? そう思ってしまうほどに、今の勝の強さは異常なのだ。

『なめるなよ小僧ォ!』

 宙に舞いながらも、勝の首筋を爪で引き裂こうとするが、それは屈むことによって躱され、さらにクラウチングスタートの体勢をとったかと思うと、勝のその姿が消えた。

『――ッ!』

 ガルムへの激しい衝撃。同時に、頭が割れそうな程の激痛が走り、そして今自分が地面をバウンドしながら転がっていることに気付く。

(な、何なのだ。この少年は!?)

 目視することすら許されない速度。自分が何をされたのか分からず、遅れて自分の状態が分かるという、状況認識という情報が遅れて伝わってくるこの感覚。

 しかし、ガルムもそう易々と負けるわけにはいかない。仮にも軍神を相打ったほどの実力、犬種最強と詠われてきた存在なのだ。その誇りが、そのようなワンサイドゲームで負ける事を許すはずがなかった。

 ガルムは五感の全てを使って索敵する。どの方向から、いつやってくるのか。正確な場所特定は出来なくとも、どの方向から来るかさえ分かればこっちのものである。

 全身の感覚を研ぎ澄ませる。風の音を聞き、嗅覚で臭いを探し、目では少年が何処かに現れないかと警戒し、皮膚で敵を感じ取る。

 刹那、その全てに反応があった。目の前に突如現れ、風により臭いを拾い、風の音が乱れ、気配がピリピリ皮膚で感じ取れた。

 今度も数瞬だけ後手に回ったが、今はそれでいい。ガルムはその大口を大きく開き、蹴り技をしようとした足を食い千切る勢いで噛みつく。

「ッ!」

 鮮血が飛び散る。少年の脚部からの鮮血である。ガルムに噛みつかれ、噛み千切られはしなかったものの、その獰猛な犬歯は勝の脚部の奥深くまで食い込んでいる。

(ああ、もう! どういう筋肉をしているのだ、この少年は!?)

 食い千切る勢いで噛みついたはずなのに、その歯は途中で筋肉? により止められ、有効な一手を打てたとはいえ、悪い意味で計算外のこの状況に、驚愕を隠せない。

 このまま足を千切る為に引き摺りまわそう、そう思い足に力籠めようとした刹那、ガルムの脚は自身のその体重を支え切れなくなり、転倒してしまう。同時に、歯を食い込ませていた勝の脚部から、その歯が抜け、自由な状態になる。

「――ッつぅ・・・・・・でも、これで十秒経てば、僕の勝ちです」

『ッ! させるか!!』

 勝に言われ、ガルムは何とか起き上がろうと足に何度も力を入れる。何度も、何度も、何度も力を入れて立ち上がろうと試みるが、どれも立ち上がるどころか、動かすことさえ出来なかった。

 そんな試みを何度もしている内に、約束の十秒が経過する。そしてそれと同時に彼の勝利が確定されたのだった――










(今の攻撃、ナイフに目線を釘付けにさせ、その瞬間に迫りその後の敵の動揺を誘う、か。いやしかし、今の投擲の早さと速度は人間の出せる限界を超えている筈。ならば、眼鏡小僧のギフトの力が、あやつに力を与えているのだとしたら――)

 神格を優に超える力の保有。神霊か星霊などの類の霊格が妥当な線になるが、その可能性を苦笑とともにすぐに否定する。ただの人間が、神霊や星霊になるなどはまず不可能。それも箱庭に来てまだ間もないとくれば尚更である。

 打ち上げられたガルムとクラウチングスタートの体勢を取る勝。ガルムは反撃を試みようとしたようだが、次の瞬間には常軌を逸した神速の蹴りを入れられ地面をバウンドしながら転がる事になる。

(――偶然や技術ではない。やはり、眼鏡小僧のギフトは身体能力に関与する何かなのかの?)

 しかし、いくら身体能力に関与するギフトといえど、神格保有者であるガルムをそれ単体で倒すのはあまりに無理がある。人間が神格を倒せるほどの身体能力関与のギフトなど、いくら東側の〝階層支配者(フロアマスター)〟の白夜叉といえども、その事例を聞いたことは皆無だった。

 ガルムが体勢を立て直し、全方向全てに注意を向けている。刹那、勝が再びガルムに向けて蹴りを入れようとするが――その脚部を、ガルムに食い千切る勢いで噛みつかれる。そして勝はお返しとばかりに、恐らく毒が塗られているであろう折り畳み式のナイフをガルムに投擲し、その肌を薄く切りつける。

 しかし、常人であれば今の速度は見えなかっただろう。白夜叉だからこそ、今の行動が見えたのだ。

(今の噛みつきで、足を失わない・・・・・・と? あの軍神の腕すらも食い千切った歯が、人間に通用しないとは――本当にどうなっているのだ? それに、私と同じ星霊の気配を放っている様な・・・・・・まさか、あやつは――)

 ――と、白夜叉の思考を遮る様にして勝とガルムの勝敗が決した。勝が勝利し、ガルムが敗北。

(今は、こやつらの成長を見守ることにしようかの。――これだから、下層というのは面白い)

 と、別方面でやっていたギフトゲーム〝鷹獅子の手綱〟も勝敗が決したらしい。

 白夜叉は期待と嬉しさの笑みを浮かべて、全員をこちらに召集させるのだった――










「では、賞品としてはちと贅沢ではあるが――コミュニティ復興の前祝だ。受け取るがよい!」

 白夜叉からの賞品の贈呈。現れたのは、十六夜、飛鳥、耀、勝と四人分のカードだった。

 コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム〝正体不明(コード・アンノウン)〟

 ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム〝威光〟

 パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム〝生命の目録(ゲノム・ツリー)〟〝ノーフォーマー〟

 バイオレットのカードに古東勝・ギフトネーム〝火事場の馬鹿力〟〝無限の欲求(アンリミデット・デザイア)〟〝均衡〟〝最低制限(ワーストリミット)〟

 それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。

 すると、黒ウサギが驚いたような、興奮したような顔で四人のギフトカードを覗き込む。

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「トレーディングカードゲーム?」

「ち、違います! というか、勝さんだけどうしていつも皆さんと全く別の的外れなことを言うんですか!? このギフトカードは、顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ! 耀さんの〝生命の目録〟だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

「戦略の幅が広がる超素敵アイテム?」

「だからなんて適当に聞き流すんですか! あーもうそうです。戦略の幅が広がる超素敵アイテムなんです!」

 黒ウサギに叱られながらも四人はそれぞれのカードを物珍しそうに見つめる。そして、勝が誰にも気づかれないように、苦笑を漏らした。

(〝火事場の馬鹿力〟に〝無限の欲求〟と〝最低制限〟――僕の本質を表している様なものじゃないか)

 面白みがあるのやらないのやら。全くもって、箱庭というのは底無しの宝箱である。

「そのギフトカードは、正式名称を〝ラプラスの紙片〟、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった〝恩恵(ギフト)〟の名称。鑑定は出来ずとも、それを見れば大体のギフトの正体は分かるというもの」

「へえ? じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 ヤハハと笑う十六夜の横から、白夜叉はその手に握られたギフトカードを覗きこむと――確かに、〝正体不明(コード・アンノウン)〟の文字が記されていた。それ見た白夜叉の表情の変化は劇的なものだった。

「・・・・・・いや、そんな馬鹿な」

 パシッと十六夜からギフトカードを取り上げる。真剣な眼差しでギフトカードを見る白夜叉の雰囲気は尋常ならざるものがあった。

「〝正体不明〟だと・・・・・・? いいやありえん、全知であるはずの〝ラプラスの紙片〟が起こすはずなど」

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 パシッと十六夜は白夜叉からギフトカードを取り上げる。だが、白夜叉は納得ができないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。それほどギフトネームが〝正体不明〟ということがありえないのだろう。

(そういえばこの童・・・・・・蛇神を倒したと言っていたな)

 状況とその功績を分析し、白夜叉は必死に答えを探そうとする。浮上してくる考えはいくつもあったが、矛盾点が多すぎる。その矛盾の大きさと比べれば、〝ラプラスの紙片〟に問題があるという結論の方がまだ納得できた。

 その後、六人と一匹は暖簾の下げられた店前へと移動し、一礼をして他愛の無い話――コミュニティについての話を白夜叉としていると、彼女は一言、釘を刺す様にいってきた。

「魔王との戦いを望むのであれば、その前に様々なギフトゲームに挑んで力を付けろ。そこの二人の小僧はともかく、おんしら二人は魔王のゲームに生き残れん。嵐に巻き込まれた虫が無様に死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ」

 その言葉を飛鳥が言い返し、白夜叉と他愛の無い会話数十秒したあと、六人と一匹は笑う白夜叉と無愛想な女性店員に見送られて、〝サウザントアイズ〟二一〇五三八〇外門支店を後にした。



 
 

 
後書き
 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 余談ですが、この二次創作では一部原作からコピペを取っている部分はありますが、そこは大切な部分と思ってのことです。自分の言葉にして変に表現するよりは、原作からとってきたほうがよいと思ったところです。

 それ以外は、きちんと自分の文章で書いていますので、どうかご理解のほどをお願いいたします。

 また、感想、評価、ご指摘など常時募集しております! 何か違和感のあるところ、この二次創作の感想、評価、遠慮なく送ってもらえればと思います!!

 それでは、また次回の話――次は恐らくガルド戦になると思いますが、それでお会いしましょう!

 最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます! 
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