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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-30 intensify

 
前書き



激化する。


この場合は、夜神鳥麗矢。更識楯無。


 

 


Practice Game, Stand By Ready Phase2 Engage.


唐突に始まった二回戦。
一回戦、夜神鳥麗矢対織斑一夏、鳳鈴音。
圧倒的な力を見せて二人を撃墜。その後に四門二連射、計八発もの音速を超える電撃がISを解除させられて、意識を失って倒れている一夏にロックオン。――――発射。
それを間一髪割り込んで水のヴェールを展開、防いだ楯無。


麗矢と楯無。
二人は八年の時を超えて向かい合う。
八年前は友達として。今は敵同士として。


「もうやめてよ、麗矢……こんなことして、一体何になるっているの?」


楯無は躊躇っている。
ようやく再会した幼馴染と命をかけて戦うことになるとは思いもしなかった。
麗矢を傷つけたくない。けれど、麗矢と戦って止めなければならない。
少女の心で渦巻く葛藤。
それが振るう槍の切れを鈍らせる。


『冷却シークエンス終了。待機モード』


ガシュンと音を立てて装填される弾丸。
超電磁砲の冷却が終わった。これでいつでも撃てる様になった。
麗矢は尽かさずチャージを始める。


麗矢の目はとても冷たいものだった。
見る者が死んでしまうと幻覚するまでに強い殺気。
一体あの優しかった少年に何があったのだろうか。少女には分からない。
ただ分かることは、もう麗矢は昔の麗矢ではないこと、だった。


      ◯


麗矢は空中に《デストラクター》を展開、手に持っていた《ドゥームブリンガー》をしまい《スラッシャー》を出して、落ちてきた《デストラクター》と《スラッシャー》の柄をつなげ両刃にした。
それはタッグトーナメントの時に一夏との戦いで少しの間見せたものだった。
そして接近。


対して楯無は、《ラスティーネイル》を展開。
同じようにもう一つの手にも展開。
水を操れることを生かして刀身に水を纏わせて待ち受ける。


接触。
刃同士がぶつかり合い火花を上げる。
右で斬りこんできた麗矢の刃を槍で弾く、それに一瞬遅れて左が出てくる。
楯無は同じように槍で弾き、引き戻しておいたもう一つの槍を突き出す。
麗矢はそれを身を捻ることで躱し、その躱した勢いで横に一気に振りぬく。
突き出した槍を戻していて、すぐに対応する。


見れば拮抗しているように見えるが、間違いである。
二人はある一定の区域でしか戦っていない。アリーナ全体を使っていない。
いいとこ三分の一しか使っていないだろう。


楯無は強力な遠距離武装がない。戦うのであれば近接格闘戦のほうが戦いやすい。
麗矢は強力な武装が多い分、小回りが利きにくい。遠距離武装はどれもこれもチャージに時間がかかる。その隙を見逃してくれるほど甘い相手じゃない。


試合状況は一向に変わろうとはしない。
麗矢が攻撃、楯無が防御した後にカウンター。
カウンターを捌くか避けるかして再攻撃。
先ほどからこれの繰り返しである。


見ている側は暇でも、戦っている側にしてみれば一進一退の攻防が続いているのだ。
麗矢の攻撃は速く重い。
楯無は早く鋭い。
速度が速く一撃が重すぎる麗矢の攻撃と槍の突き出し、引き戻しの時間が早く鋭い一撃を放つ楯無。
どちらも相手の攻撃に当たるわけにはいかなかった。


だが、戦っている距離が近すぎる。
致命的なダメージこそはないものの、捌いたり、躱した時にシールドエネルギーを削っていっているのだ。じわじわと少しの単位ではあるが減っていっていることも確か。
こうなってくると麗矢の方が不利なのである。


ほとんどダメージは負っていないとはいえ、二連戦。
体力的にきついものがある。
それに加えて一瞬も気の抜けないこの状況。
集中し続けて、精神力も使っている。
麗矢は体力はすでに枯渇し、ほぼ気力だけで戦っていた。
楯無も同じようなもの。ただ違うのが、まだ体力はあること。


楯無が一旦距離を置いた。
それを許すまいとしたが、一瞬グラつきブラックアウトしそうになるが、何とか意識を給った麗矢。
しかし、その間の隙はとてつもなくこの戦いにおいて大きいものだった。


槍を前で二本重ね、瞬時加速。
通常の二倍、三倍の速さで麗矢に突撃する。
意識を回復させた麗矢だが、楯無の突撃を回避することが出来なかった。
まだ視界の周りが黒く、今高速移動しようものなら意識を失ってしまう。
しかしながら、それと同時に真っ向からぶつかってみたいとも思った。


ブースターはオーバーヒートを起こしていて使えない。
麗矢は超電磁砲をすべて後ろに向けて放つことで反動で前に動いた。


瞬時加速を使い、猛スピードで迫る楯無。
超電磁砲を後ろに放つことで推進力を得た麗矢。
二人はぶつかった。


閃光、そして轟音。


激突の衝撃で互いに後ろに弾き飛ばされる。
楯無は意識もあり、吹き飛ばされながら機体の制御をする。
麗矢は完全に意識を失っていた。
このままでは地面に激突してしまう。
ISはかろうじて解除されていないが、ボロボロである。
麗矢が死んでしまう恐れもあった。


「くっ……麗矢っ!!」


楯無が残り少ないエネルギーで瞬時加速を行使。
麗矢のもとへ行くが間に合わない。
管制室にいる面々も今からでは遅すぎる。
また、アリーナにいた一夏と鈴は意識を回復させたものの機体を展開できる状態にあらず。
誰しもが麗矢の死を覚悟した。


「…………ドライブイグニッション」


唐突に紡がれた言葉。
麗矢が紡いだ。
それは期待から眩い光を放ち、アリーナ全体を光で埋め尽くす。
閃光、白、白。
僅か数瞬のことだった。
光が収まると、麗矢のISは傷一つなくなって壊れたはずの武装も元通りになっていた。


そのまま地面に降り立つ。
すぐにISは解除され、麗矢はその場に倒れた。


戦いの決着は引き分けであった。
楯無のエネルギーは試合終了のブザーが鳴る前に麗矢とほぼ同時に尽きたのだから。
それでは、あの光が解明できない。


一体なんだったのだろうか。


      ◯


「さっすがれーくん!! いやあとうとうやってくれたよ。束さんは嬉しいのです」


今は昼なのに光が差し込んでいない部屋。
モニターを見ていた女性――――IS発明者、篠ノ之束は動く。
ニンジンミサイルに乗ってどこかへ行ってしまった。


束が見ていたモニターには先ほどまで繰り広げられていた麗矢対楯無の戦いが映っていた。
そして麗矢の機体が光りを放つシーンも。





 
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